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デッドバスター 
作者: KING ◆zZtIjrSPi.  (総ページ数: 151ページ)
関連タグ: 友情 バトル 
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*37*

「お前学校行ってないのか?」
「!!??」

 郡司たちから兄の遺品である首飾りを返却してもらった次の日。つまり月曜日。
 また許可なく家に上がり込んできた郡司の言葉にかぐやは口に含んでいたジュースを思い切り吹き出した。
 器官に入ったジュースを吐きだすように咳をする。

「ゲホッゴホッ。あ、アンタ普通そういうこと聞く!?」
「で?実際どうなんだ?」
「――――行けなかったのよ。そんなことしてる暇があるなら調査していたかったの」
「調査?」
「これよ」

 かぐやは押入れを開けた。 
 そこにはズラーッと少しでも手を触れると崩れ落ちそうなぐらいたくさんある書物があった。
 しかもかなり年季が入っている。
 この書物を見て郡司は口をポカーンと開けた。

「うわー……。何でこんなに……」
「兄さんの遺品その2よ。このアパートに引っ越す時に、兄さんの部屋から見つけたの」
「げ……。字ばっかりだな」

 パラパラと郡司は書物のページを一気にめくる。
 挿絵など1つもない。活字活字活字のオンパレードだった。
 サアッと顔を蒼くしながら郡司は無言でページを閉じた。

「そりゃあこんなの全部見たら学校なんて行く暇ないだろうな……」
「なに勝手に自己解決してるのよ!これ、殲滅者や他の国についても描いてるんだからね!?」

 興奮しながらかぐやは郡司を睨む。

「これ、梶原さんとか研究員とかに知らせてるのか?」
「当たり前よ。すぐに知らせたわ。私じゃ理解しきれない部分もあるだろうし。全部研究員たちがコピーとって今も研究を続けているわ」
「へぇ〜……」

 郡司は感心したように返事しながらパラパラとページを捲る。
 すると、やっと見かけたと思った挿絵には見かけたことのあるようなものがあった。

「これ、かぐやの首飾りと酷似してる」
「え!?どれ!?」

 郡司の言葉にバッとかぐやは身を乗り出した。
 挿絵を指差す。
 確かに挿絵にはかぐやがいつも首にかけている鍵の首飾りがあった。

「何でこの書物に……」
「この本では太陽の光に当てるとって書いてるな」

 郡司はそっとかぐやの首から首飾りを取ると窓を開け、ベランダへ向かう。
 今日は日光も出てとてもいい天気だ。
 眩しさに目をつむりそうになりながらも、郡司は太陽に首飾りを翳そうとした……その時だった。

「カァー」
「「え!?」」

 呆けた声に2人は呆気にとられた。
 しかし、その隙にバッと郡司の手から首飾りがなくなっていた。
 正体は……確実にカラスだった。
 嘴に首飾りを咥えている。

「ギャーっ!なななななな何してくれてんのよあのカラス!」
「落ち着けかぐや」
「落ち着いてるわよ!早く!取り戻しに行く!」

 かぐやは顔を真っ青にしながら乱暴に郡司の襟を掴みながらベランダを降下した。

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