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デッドバスター 
作者: KING ◆zZtIjrSPi.  (総ページ数: 151ページ)
関連タグ: 友情 バトル 
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*78*

―――ドンドンッ!!
 秀也の弾丸がかぐやの体擦れ擦れで突き抜ける。
 彼女はよけたが、これはよほどの動体視力と反射神経でないと成し遂げられない。
 だが、こんなことをずっとできるはずもなく。
 かぐやは弾丸を避けるために後方へ下がっていくしかなかった。

「――今までの威勢はどうした?」
「うっさい……わね……っ!」

 明らかにかぐやは疲弊している。
 それは、彼に攻撃せず防御に徹しながらの結果であった。
 心臓の音がうるさい。

「このままだと死ぬぞ?」
「わたしを殺す気なんてないくせに」
「……言ってくれるな」

 かぐやの強い目に一瞬、肩が動いたがすぐに如月を握りしめる。
 そして、相変わらずの淡々とした冷たい口調でこう言うのだ。

「そこまでいうなら殺してやる。今すぐ」
(――――……今だ!)

 彼が如月を振り下ろした瞬間だった。
 かぐやは秀也の振り下ろすほんの数秒のモーションを狙って自らの武器である斧で、如月を真っ二つに斬った。
 パキン、と音立てた如月を見てしばらくボーっとしていたがすぐさま秀也はジャコッとガンスタイルを膝ついているかぐやの眉間に向けた。

「……俺とは戦わないと思ったんだがな」
「抵抗しないとは言ってないわよ!」

 不敵に笑うかぐや。
 だが、その状況に耐え切れなくなった梶原が勇魚を見る。

「もういいだろう勇魚さん。こんな無駄なこと……」
「無駄?無駄ではない。これは我々人類にとって大切なことだと私は実感している」








「飛来っ!」
「今取り込んでるから関わってる暇ないよ瀬良」

 恐ろしい形相で郡司に駆け寄る瀬良。
 だが郡司はヒラリと彼をかわす。
 その表情はいつになく真剣なものだった。
 ハッと何か感づいた瀬良はいつもの表情に戻る。

「……かぐやはどこ?」
「おい、クソエリート……」
「かぐやはどこだ」

 ビリビリとした威圧が瀬良を襲う。
 これは皮肉も冗談も言えない雰囲気だ。
 ゴクッと瀬良は生唾を飲んで、ゆっくり言葉を発した。

「―――会議室。勇魚さんの命令でかぐやと三城が命がけのガチンコバトルしてる。……梶原さんも止めようとしてくれたけど、ダメだった」
「……そうか。ありがとう、瀬良」

 先ほどの雰囲気から一変、郡司の表情が柔らかなものになる。
 ポン、と郡司は瀬良の肩に手を置くと凄まじい勢いで走って行った。
 通り過ぎる人の顔なんて見ていられない。
 【観て】いたはずなのに。肝心の場所がわからないだなんて。

(……どうか、信じていない神様。かぐやを。秀也を酷い目に逢わせないでくれ―――――……。)


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