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*83*
―――ズドドドドドドン!!!!
かぐやのリザルテと秀也のガンスタイルの銃弾が轟音を成す。
危険が及ばぬよう、勇魚と郡司、そして花京院は会議室の隅にいた。
かぐやと秀也がいた広大なベランダのようなものはひび割れ、ほとんど空虚と化していた。
だが、2人はそれに構わず戦い続ける。
「ぶっ放せっ!!」
「斬る!!」
コォォォォ……。と今まで複数でリザルテを放っていたかぐやはそれを止め、威力を高めるためだけにリザルテを1つにまとめて秀也へ思い切り投げつけた。
秀也は野球でホームランを打つように、力いっぱい如月を振る。
かぐやのリザルテは真っ二つになり空へ舞った。
爆発音が背後から聞こえる。
「かぐやはストライドは勿論体力が持たないだろう。男女の差がありすぎる」
「そうですね。三城君はストライドこそ限界に近づいてきていますが体力はまだあります。殴り合いに持ち込んだら……彼女に勝ち目はほぼないと……」
(……あの2人はバカじゃない。おそらく、そろそろこの戦いも終わる)
モニター室にいる梶原の言葉に同意するように麗は悲しそうに目を伏せた。
草薙は何も言わず、ただ黙って戦う2人を見ていた。
3人も目下には息を切らすかぐやと、ストライドで作られた如月とガンスタイルがおぼろげになっている秀也の姿。
かぐやは息を切らしながら秀也に指差した。
「……わたしも体力はもう持ちそうにない。だから……次で最後の攻撃になるわ。受け止めて……くれる?」
「くれる」だなんて烏滸がましい言葉はかぐやは使いたくなかったのだろう。
だが、これしかいう言葉がなかったのだ。
裏切ってしまったから。
ずっと一緒だと約束したのに、裏切ってしまった裏切り者の切なる言葉。
しばらく目を閉ざしていた秀也だったが、最後のストライドの力を振り絞ってガンスタイルを捨て、如月を再具現化させた。
「受けてたつ!それで、お前を倒し任務を全うする!」
(そうだ。時間がたってもかぐやはずっと強かったんだ。なのに俺は―――……。だが、負けるわけにはいかない)
ギュッとお互いに武器を握りしめる。
そして、思い切り踏み込みを入れる。
「「はぁぁぁぁぁぁ――――――っ!!!!!!」」
――――−ズバン。
と、かぐやと秀也が交差した。
しばらく2人は黙ったまま立ち上がっていたが――――……。
「―――私の勝ちよ。秀也」
ドサッと。
秀也は何も言わず倒れ込む。
ストライドが切れ、ブレイブも具現化できず。
先ほどのかぐやの一閃によって動けなくなっていた。
「竜堂さんが……勝った!」
「何言ってる麗!それより2人の治療を。梶原さん!」
「ああ。わかっている。もう手配はしてある!」
興奮するように叫ぶ麗の頭をはたきながら草薙は梶原の顔を見る。
梶原は頷きながら会議室を見る。
そこには慌しく入ってくる医療メンバーの姿が見える。
「大丈夫ですか!?」
「ええ、平気よ。秀也、無殺傷ブレイブで戦ってくれてたみたいだから」
包帯を取り出す医療メンバーにかぐやは手を突き出す。
だが、かぐやの眉はシュンとなった。
そして悲しげに秀也を見た
「……わたしより秀也を先に治療してあげて。わたしも無殺傷ブレイブで戦ったけど、最後は本気だったから。傷もあるかも……」
(……違う。いくら俺が無殺傷で戦ってたとしても飛んできた石や瓦礫までの傷は防げない。それをもろに食らっていたんだぞ。俺よりかぐやを―――……。)
担架に乗せられる秀也。
視界もおぼろげで声を出せるだけの力が出ない。
首だけを捻り、かぐやをみる。
彼女は今にもフラフラで立っているのがやっとなぐらいだった。
(……危ないだろ。早く治療を……)
「かぐや。勝ったな」
「……ええ!わたしが負けるなんてことないでしょう?」
「ヘロヘロの癖によく言うぜ」
郡司と花京院がかぐやを嬉しそうに見る。
弱々しくも勝気な笑みでかぐやは言い放った。
だが、次の瞬間―――……。
―――ガラ………。
かぐやが背もたれにしていた瓦礫が崩れたのだ。
普段の彼女ならなんとか体制を整えられただろう。
だが、体力がほぼないかぐやはそれができなかった。
悲鳴を上げる間もなく真っ逆様に落ちていく。