完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~
*12*
「第11話クロガネジム、VSヒョウタ」
クロガネシティにて、ヒョウタの強さを見たアイコは、手持ちのポケモン達と共に特訓をすることに。そこで思わぬハプニングが起こったがヒコザルの火事場の馬鹿力で回避され、ヒコザルはモウカザルに進化したのだった。アイコは自信たっぷりにクロガネジムに入った・・・。
〜クロガネジム〜
「ヒョウタさん!」
アイコはジムの門を叩いた。ジムの内部は複雑ではなく、真っ直ぐな一本道になっており上の階段を上ったところに、ジムリーダーのヒョウタが待ち構えていた。アイコは道をまっすぐ進んでいき、奥にいるヒョウタへと到着した。
「ヒョウタさん、バトルを挑みに来ました!」
「ようやく来たか。君だね。改めて自己紹介だよ。僕はジムリーダーのヒョウタ。いわタイプと歩むことを決めたトレーナーだ。僕のいわポケモン達の攻撃を君は避けきれるかな?さあ、行くよ!」
ヒョウタの掛け声と共にバトルが始まったヒョウタは一番手としてイシツブテを繰り出した。
「では私も、イシツブテ!」
これにアイコは同じくイシツブテを出した。2体のイシツブテの戦いが始まった。
「イシツブテ、ロックブラストだ!」
ヒョウタのイシツブテが先手で岩の弾を飛ばしてきた。これにアイコのイシツブテはいわくだきをしてこれを全て砕いた。
「イシツブテ、マグニチュード!」
アイコは自分のイシツブテにマグニチュードをさせてヒョウタのイシツブテに大ダメージを与えた。いわタイプは地面に弱い。弱点を突かれたヒョウタのイシツブテは力尽きた。
「く、イシツブテ。けど、勝負は始まったばかりだよ!このポケモンはどうかな、行けイワーク!」
ヒョウタはイシツブテをボールに戻すと、二番手としてイワークを繰り出した。
「イワーク!」
登場するやイワークは、地響きと共に咆哮を上げた。
「イシちゃん、戻って!」
アイコはイシツブテをボールに戻すと、次にムックルを繰り出した。
「ムックルーっ!」
「アイコちゃん、いわタイプのイワークにひこうタイプのムックルで挑むのかい?」
ヒョウタは目を疑った。ひこうタイプはいわタイプに弱い。ムックルでは一方的にやられる可能性があった。だが、ヒョウタは、アイコが自身に満ちた表情をしていることに何かを感じた。戦いでムックルを信頼している目である。
「ふふ、なるほど。そのポケモンで勝てるかどうか見せてもらうよ。イワーク、いわおとしだ!」
ヒョウタはイワークにいわおとしの指示をした。
「ムーちゃん、こうそくいどう!」
アイコはムックルにこうそくいどうをさせた。ムックルは素早く動いてイワークの落とす岩を次々とかわして、イワークに接近。イワークをつついて攻撃するが、イワークは何ともない。するとイワークはムックルの足に噛み付いて動きを封じた。これにムックルはイワークの目をつついて攻撃、痛がった反動でイワークから逃れることが出来た。反撃のチャンスである。
「ムーちゃん、今よかぜおこし!」
アイコの指示でムックルは翼を大きく羽ばたかせて、かぜおこしをした。イワークの前に強風が吹き荒れ、飛ばされまいとイワークは踏ん張った。
「ムクーっ!」
ムックルは休むことなく翼を羽ばたかせて、その速度を早くしていった。ムックルの羽ばたきが強くなると同時に風の強さは増していった。
「ま、まさか・・・!」
ヒョウタは気付いた。強風を起こすことでイワークを吹き飛ばそうというのである。やがて強風は大きな竜巻となってイワークを飲み込んでいった。
「イワーっ!」
竜巻に飲まれたイワークはぐるぐると回転させられ、勢いよく地面に叩き落とされた。
「イワー・・・」
「く、イワーク」
ムックルの竜巻作戦を前にイワークは完全に戦闘不能になった。ヒョウタの手持ちは、あと一匹である。
「やったわムーちゃん!」
「ムックルーっ!」
「さすがだよアイコちゃん。僕をここまで追い詰めるなんてね。けど、次のポケモンも同じように倒せるかな?ズガイドス!」
ヒョウタはボールを投げて、最後の手持ちであるズガイドスを繰り出した。
「ズガ!」
「さあ、僕のズガイドスを倒せば君の勝利だ。でも、僕もジムリーダーとして、そう簡単にはやられはしない」
最後の一匹に闘士を燃やすヒョウタにアイコは俄然とやる気になってきた。
「必ず勝ちます、モウカちゃん!」
アイコはムックルを戻して、いま進化したばかりのモウカザルをバトルに出した。ラストバトルが始まった。
「ズガイドス、ずつきだ!」
「ズガーっ!」
ヒョウタの指示でズガイドスが渾身のずつきで突進してきた。
「モウカちゃん!」
「モカ!」
アイコの意を汲んだモウカザルは、拳をブンブン回してズガイドスに向かって突進した。雌雄を決する2体のポケモン。そして、モウカザルはズガイドスの手前でジャンプして、
「マッハパーンチ!」
アイコの掛け声に合わせて豪腕のマッハパンチをズガイドスに浴びせた。
「ズガーっ!」
今のが大きなダメージとなったのか、ズガイドスは両手を伸ばして力なく倒れた。戦闘は不能。アイコの勝利である。
「やったーっ、私、ジムリーダーになったーっ!」
「まさか、鍛えたポケモン達が!」
ヒョウタは負けたことにショックを隠せなかったがすぐに冷静になってズガイドスを褒めてボールに戻した。
「いやー、まさかジムバッジを持っていないトレーナーに二度も負けるなんて。でもそれは君とソウスケくんが強くて僕が弱かった。それだけのことだ。さて、僕に勝った証としてクロガネジム公認のコールバッジを渡すよ」
ヒョウタは清々しい気持ちでアイコにコールバッジを渡した。
「ありがとうございます、これがジムバッジなんだ・・・」
始めてのジム戦で掴み取ったバッジをアイコは胸に当てた。彼女の気持ちは嬉しさで一杯だった。
「この先には僕よりも、もっと強いジムリーダー達がいる。彼らにも挑戦してみたらどうかな?」
「ヒョウタさん以外にも、私頑張ってみます。さあ行くよモウカちゃん、ムーちゃん、イシちゃん!」
アイコはモウカザル達と共にクロガネジムを後にした。彼女の長い冒険は、まだ始まったばかりである・・・。