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「第41話テンガン山、決戦ディアルガ!」パート5
アイコ現在の手持ち
ゴウカザル(戦闘中)、ルカリオ(戦闘中)、ゴローン(戦闘中)、クロバット、スカタンク、ストライク
「ガブリアス、今よ!」
「ガーブ!」
ガブリアスが穴を掘ってマニューラに背後から攻撃に出た。
「かわせ!」
「ニュ!」
アカギの指示でマニューラはこうそくいどうでかわしてつじぎりに出た。ガブリアスはつばめがえしをしてこれをガードした。
「ミローオオオ!」
ミロカロスはハイドロポンプをしてヤミカラスを吹っ飛ばした。
「ケケ!」
ヤミカラスはミロカロスに目掛けてエアカッターを連射した。ミロカロスはこれを浴びながらもれいとうビームを放った。
「・・・・・」
「・・・・・」
「ミロ・・・!」
しばらくの沈黙が続いたあと、ミロカロスが音を立てて倒れた。
「ケーっケケケケケ!」
ヤミカラスはミロカロスを倒したと思って嘲笑った。しかし羽を見て一部が凍っていることに気付いた。
「ギゲアーっ!!!」
ヤミカラスは瞬く間に凍りついて地面に落ちた。ヤミカラスが敗れたことにマニューラは動揺し始めた。
「ガブリアス、ドラゴンクローよ!」
シロナの指示でガブリアスはドラゴンクローをしてマニューラを吹っ飛ばした。
「馬鹿なーっ!」
マニューラ達が敗れ去り、アカギが絶叫した。そして、アイコ達も決着の時が近づいていた。
「ソウスケくん、行くよ!」
「おう!」
二人の指示でゴウカザル達は一斉に攻撃を放った。ゴウカザルはフレアドライブから炎の衝撃波を、ルカリオははどうのあらしを、ゴローンはロックブラストを、ブーバーンはオーバーヒートを、フローゼルはハイドロポンプを、エンペルトはふぶきを、エムリットはみらいよちをしてディアルガに大ダメージを与えた。
「グギャ、グパアアア・・アア・・・!」
遂にディアルガは崩れ落ちた。アイコ達はやった、と思った。だが、「ググ、グギャアアアア!!!」
ディアルガは再び、起き上がって咆哮を上げた。
「く、まだ来るか!」
「待って!」
アイコはソウスケを止めると、ディアルガに近づいた。ソウスケが追いかけようとしたが、アイコの真意に気付いていたゴウカザルが目で任せてみようと伝え、ソウスケもアイコを信じることにした。自分を鋭い眼光で見下ろすディアルガにアイコは必死で訴えた。
「お願い、おとなしくなって!勝手にここへ連れられて怒っているのは分かるわ。でも、このシンオウ地方にいる人たちにも優しい人や善人もいる。それだけは理解して!」
アイコは真っ直ぐな思いでディアルガを説得した。ディアルガはしばらく静止したあとアイコの思いに理解を示したかのように目を丸くさせた。
「グギャアーっ!」
ディアルガは自身を球体に包み、上空の彼方へと飛んでいった。
「アイコ!」
ソウスケが駆け寄った。
「終わったんだな」
「ええ・・」
戦いが終わり、二人は安堵の笑みを浮かべた。ゴウカザル達もホッとしたかのように二人を見守る。
「おーい!」
そこへ、ヒョウタを始めとしたジムリーダー達が駆けつけた。
「お、師匠、それにジムリーダーの皆!」
「そちらは・・・」
「ふむ、概ね片付いたわ。よくやったな」
下っ端達を蹴散らしたことを伝えてトウガンはアイコ達の健闘を褒めた。
「いやー、まさかここまでやるとはなー」
「ワタシならー、貴方達ならきっとヤレルって信じてましたヨ」
マキシとメリッサも嬉しい気持ちは同じだった。
「うおおおお!」
その時、アカギが叫び声を上げた。膝をついて焦燥した表情でアイコ達を見据えた。
「貴様達は、何故この不完全な世界に生きることにこだわる。心などという不完全なものを消し去り、世界が新たに生まれ変わることで・・」
「待って」
シロナがアカギに呼びかけた。
「今、やっと思い出した・・・」
シロナは昔を思い出すように語りだした。自分がまだ小さかった頃、一人の青年に出会い、彼からポケモン図鑑を渡されたあの日のこと。その青年はとても暗く悲しい顔をしていた。図鑑を自分には必要ないものと言って渡した青年・・・。
「あの時、私に図鑑をくれたあの青年、貴方だったのよ。貴方の言うとおり、世界には不幸な出来事や悲しい事件もある。それは永遠には消えない。でもね、怒りがあるから、優しさが生まれて、悲しみがあるから、喜びが生まれる・・」
「・・・・・・」
「私、貴方に会えて良かったと思ってるのよ。貴方がくれたポケモン図鑑のお陰でたくさんの人、たくさんのポケモン達に出会えて、多くの苦しみも、悲しみも、喜びもあって。今は、このシンオウ地方の・・・」
「・・・。あの時の少女がここまで大きくなり、この世界を守るべく私を打ち負かしたとは。だが、もう遅い・・・・。ギンガ団はあまりにも大きな組織になり過ぎた。もう、後戻り出来ないところまで来てしまったのだ。だが、これだけは約束しよう・・。我々ギンガ団は、もう二度と君たちの前には姿を現さない・・・。さらばだ」
アカギは幹部、下っ端達を連れて、テンガン山を去っていった。虚しく去っていく彼らにアイコ達は哀愁と悲哀を感じずにはいられなかった。
「シロナさん・・・」
「ううん、大丈夫よ。きっと解ってくれる日が来るわ。だって世界はそんなに悲しくなってないもの。信じるわ。彼らと解り合える日が来ることを」
シロナはアイコに心配はかけさせないと前向きになって笑顔で応えた。
「アイコーっ!」
そこへナナカマド博士とコウキが駆けつけてきた。
「あ、博士、コウキくん!」
「じいさん、遅いぞ。もう終わっちゃったぜ!」
「いやすまない。テレビで見て心配になってな。しかしお前達、本当によくやってくれた。お前たちのお陰でこのシンオウ地方は救われた。ありがとう、ありがとう!」
ナナカマド博士は、アイコとソウスケの手を取って二人に感謝した。
「あ、見て!」
コウキが指を指すと、太陽が上がっているのが見えた。陽の光は一層輝いていて、アイコ達の未来に幸あることを祝うように輝いていた・・・。