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*10*
「第9話クロガネシティいわタイプと歩む男」
炭鉱ではしびれを切らした謎の集団が、モンスターボールを手に持って、力づくで鉱石を奪おうとしていた。集団の二人が、ゴルバットとアゲハントを繰り出して襲いかかろうとした。その時、
「イワーク、いわおとしだ!」
いわへびポケモンのイワークが現れて、いわおとしでアゲハントを攻撃した。むし・ひこうタイプであるアゲハントは大ダメージを受けて戦うことなく力尽きた。イワークの前にはあの赤いヘルメットを着けたあの青年が立っていた。
「あ、あれは、ヒョウタさん。ヒョウタさんが来てくれた!」
作業員達がこぞって言うヒョウタと言う名前、そう、彼がここクロガネシティのジムリーダー、ヒョウタである。
「誰です!」
「何が目的かは解らないけど、この鉱山で騒動を起こしてもらっては困るね」
「く、何としても任務を成功させなくては!やれ、ゴルバット!」
謎の集団の一人が、ゴルバットを差し向けた。ヒョウタは冷静な顔をして、ズガイドスを繰り出す。
「行け、ズガイドス!」
「ズガ!」
「ずつきだ!」
ヒョウタの指示でズガイドスはずつきをしてゴルバットを攻撃した。
「キーっ!」
ずつきを食らったゴルバットは大ダメージを受けて地面に倒れた。
「わ、私のゴルバットが・・・」
「さあて、まだ戦うかい?」
ヒョウタのポケモンは元気一杯である。イワークとズガイドスはやる気満々で謎の集団を睨みつけた。
「ぐ、し、仕方がない。ここは引き上げましょう・・・」
「そうです、我々は無駄な争いはしないのです」
ヒョウタのポケモン達の勢いに押されて、謎の集団たちは一目散にクロガネシティを去っていった。
「ありがとう、ヒョウタさん!」
「おかげで助かったよ!」
謎の集団が去ったあと、ヒョウタは炭鉱の人たちから感謝された。
「な、アイコ。あのヒョウタって人、すごいだろ?」
「すごい・・・」
アイコは呆然としていた。ヒョウタの活躍は、彼女にとってジムリーダーの強さ凄さをまざまざと見せつけられたものだった。やがてヒョウタがアイコの方を振り向いた。
「やあ、君はさっきのトレーナーだね」
「あ、はい」
アイコは緊張した面持ちで首を縦に降った。ヒョウタはアイコを見て、彼女の手持ちを観察した。
「なるほどね。ヒコザルとムックル、それにイシツブテか。イシツブテは何とかなるかもしれないけどあとの二匹で挑むとなると厳しいかもね。準備が出来たらおいで。いつでも相手になってあげるよ」
ヒョウタはそう言い残してクロガネジムへと戻っていった。
「今のって、どういう事なのかな?」
「そりゃ、相性のことじゃないかな。ポケモンには相性があってさ。例えばくさはみずに強くて、ほのおには弱い。ま、俺はポッチャマだから勝てたけどな」
ヒョウタが使うのはいわタイプのポケモン。くさとみずには弱いが、ほのおタイプには強い。ましてや、アイコのヒコザルはほのおタイプ。まともに戦っても勝ち目はないことは見えていた。アイコはしばし考えたあと、ある決心をした。
「よし、私特訓するよ!」
「え、何だいきなり?!」
「あのヒョウタさんに勝てるようにポケモンを鍛えてくる!見ててねソウスケくん。さあ行くよ皆!」
ヒョウタに勝つには特訓して強くなるのみ。アイコは早速、ヒコザル達を連れてクロガネシティの北側にある207番道路へと向かっていった。
「お、おい。へへ、全く・・・。頑張れよ、アイコ!」
ソウスケは優しく手を振ってアイコを応援して見送るのだった。果たしてアイコとポケモン達の特訓とは・・・。