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ポケモンストーリー ダイヤモンド編
作者: たくと七星  (総ページ数: 123ページ)
関連タグ: ポケモン ダイヤモンド バトル 冒険 恋愛要素 
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「第44話伝説のポケモンからの試練、仲間の思いを背負って」パート1

アイコ現在の手持ち
ゴウカザル、ルカリオ、ムクホーク、ストライク、ゴローン、エムリット

 ナギサシティの夜、ポケモンセンターの屋根の上でアイコが体育座りをして顔を涙で浮かべていた。この日、アイコは初めて負けを経験したのだ。
「くすん、ひっく・・・」
 アイコは涙を流して膝に顔を埋めた。これまでの戦いで苦しい戦いがあっても必ず勝利をしてきた。しかし最後のジム戦というところで大敗北してしまったのである。
「・・・・」
 ルカリオが声をかけようとしたが、アイコの気持ちを察していたゴウカザルがそっとしておいてやれと手を出した。他のポケモン達も彼女になんと声をかけていいか解らなかった。

 翌朝、アイコはポケモンセンターを出た。そしてボールを見て何かに気づいた。
「あれ、いない・・・?」
 手持ちのボールを見ると、一匹だけボールの中からいなくなっているポケモンがいたのである。
「エムリット、エムリットちゃんがいない!」
 エムリットがいなくなってしまった。アイコは街中を探したが、どこにもいなかった。ナギサシティを出て222番道路に向かい草むらの中から探してもエムリットはどこにもいなかった。
 アイコは呆然と立ち尽くした。ギンガ団との戦いで仲間になったポケモンが自分の元から去ってしまった状況に、ただどうすることも出来ない。
「そうだよね、私みたいに弱い人じゃあ、当然だよね・・・」
 アイコは顔を沈めて諦めで納得しようとした。
「おーい、アイコ!」
 そこへソウスケがやって来た。
「いやー、久しぶりにお前の顔が見たくてさ、アイコ?」
 ソウスケがアイコの顔を見ると、アイコは瞳一杯に涙を流してソウスケを見た。
「どうした、お前?」
「ソウスケくん、ソウスケくーん!」
 アイコはソウスケの胸に顔を埋めて涙を濡らした。
「わわ、おいおい何だよいきなり、と、取り敢えず落ち着けって、ほら、深呼吸してさ」
 ソウスケはハンカチでアイコの涙を吹いてアイコを落ち着かせた。海岸で二人で近くに座ってソウスケはアイコの今までの経緯を聞いた。
「そうか、負けちまったのか・・・」
「うん、今までこんなことなんて無かったんだよ・・・」
「で、なんでここで、泣いてたんだ?」
「私が全部いけないの、私が弱いせいでエムリットちゃんには愛想をつかれて、私は強くなかったのよ、最後で何も出来なかった。こんな辛い思いをするなら旅なんて・・・!」
「・・・・・・」
 ソウスケはしばらくアイコの話を聞いて空を見上げて話した。
「そういうことがあったんだな。悔しいって言うのは解るぜ。でも、負けることがあってもさ、旅に出たことを後悔するって思っちゃダメだ。」
「え?」
「旅に出れば色んなことがある。負けたりすることや挫折することだってあるって。でもよ。そういう時だからこそ、笑顔にならなきゃダメじゃないか?辛いことはあったかもしれないけど、お前がいつまでもこんな調子じゃ、一緒に戦う皆も吹っ切れなくなるんじゃないかな。それに?」
「それに?」
「お前がいつまでも暗いままだと、幼馴染ていうか恋人の俺もやりにくくなっちまうだろうし・・・」
 ソウスケは照れ臭い顔をして頭を掻いた。それを見てアイコは何かに救いがあるような気がして、少し笑顔になった。
「ソウスケくん、強いんだね・・・」
「強くはねえさ。強くなっていくんだ。アイコと一緒に、無いものをこうして出し合ってさ。これからも変わらず」
「くす、ありがとう・・・」
「お、やっと笑った。そのいきだぜ。そうだ」
 ソウスケはポケッチを開くとあるアプリを開いた。
「それは?」
「ポケッチのマーキングマップってやつ。ナナカマドのじいさんがさ、バトルばっかしてないでたまにはポケッチの更新をしてこいって言われてさ。ここにそのエムリットはいないかなってさ。ん?」
「どうしたの?」
「アイコ、これ・・・」
 ソウスケが指を指した場所、そこはシンジ湖だった。そこに何かがいるというマークが点滅していた。
「確かシンジ湖にはエムリットがいたよな。もしかしたらここにいるのかもしれないぜ」
「本当に?」
「アイコ、どうする?」
 ソウスケが言うと、アイコは躊躇った。湖に何かがいるのは確かである。しかしそれが本当にエムリットなのかどうかは確証は持てない。それに今更行ったところでエムリットに会わせる顔があるのだろうか。迷う彼女をソウスケが後押しした。
「アイコ、行きたいんだろ、いや、行くべきだ。何があるかは解らないけど、ここで何かがお前を待ってる。そう思うんだ。考えるよりも、走れ、だぜ」
「・・・・。うん、分かった。ソウスケくん。私、行ってみるよ。それから・・・ありがとう」
 アイコはソウスケの頬にキスをしてフタバタウンのシンジ湖へと走っていった。
「頑張れよ、アイコ・・・」
 ソウスケは自分の愛しい人を微笑ましく見送った。シンジ湖で何が待ち受けているのか・・・。

パート2に続く・・・。

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