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しりとりシリーズ 『似ぬ』の『その後』
自分達が高校生になった時、お父さんとお母さんが自分と弟の二人を呼んだ、一体何なんだろう? まさかDNA鑑定がバレたとか? そう思っていたが違うようだ、自分は弟の目を見て判断する、大丈夫、まだバレていない、と──
「えーとだなぁ、二人を呼んだのは他でも無いんだ、実はな……」
お父さんは咳払いをして、自分達二人に言う。
「実はな、お前等二人が双子って、言うのは真っ赤な嘘なんだ……実は次男のお前、お父さんと血が繋がってないんだ……」
そう言うと弟が叫ぶ。
「どういう事だよ!? 俺は真っ赤な他人の血が入った人間って事か!?」
「少しは落ち着いて話を聞いてくれ……」
静かにお父さんが言う、少しだけだが弟は息が荒くなっている。
「簡単に言えば、次男のお前は、お父さんの兄の息子なんだよ、んでもって、その父親が何処にいるのかも教えてやろう……」
お父さんがそう言うと、一つの遺影を取り出してきた、そして言う。
「これがお父さんの兄だ、そしてお前が生まれた後、死んだ……病死でな、そして赤ん坊を引き取った、だから血が繋がっていないんだ、だけどな、これだけは分かって欲しい、血が繋がってなくとも、『親子としての絆はある』って事を……まぁ、兄だから少しだけお父さんの血が繋がっているかもしれないなぁ」
お父さんがそう言いながら頭を掻く、すると弟が言う。
「つまり、父さんの兄貴の子って事? だったら俺の母さんは?」
弟がそう言うとお父さんは溜息を吐いて言う。
「お前の母さんも……死んだ、事故でなぁ」
「……そうか」
弟はそう言いながら自室に戻った──確かに、この内容は高校生の自分達にとってはとても重い話題だった──
それから俺が風呂に入って弟の部屋に入る、すると弟が言う。
「なぁ、俺が兄さんの弟じゃないって聞いた時どう思った?」
「そんなの……それでも一緒にい続けたじゃねぇか、それでも俺の弟だよ」
何言ってるの俺? 何か気持ち悪い発言だな、とか思った、すると弟は言う。
「そうか……俺は兄さんの弟、血が繋がってなくても、『兄弟としての絆は繋がっている』、これからも宜しく、兄さん?」
「はっ! そんなの言わなくても、こっちから宜しくなんだけどね?」
「へぇ、兄貴面すんなよ、兄貴?」
「煩い、一応は血が繋がってなくても兄貴だよ!」
何とか弟は何時も通りに接してくれる、俺も負けじと何時も通りに接してやる、これが兄弟ってもんじゃないのかな?
「ねぇ? 言ったでしょう? 二人はそれでも一緒って?」
そう言いながら俺の母親が言う、それに対し、お父さんが言う。
「そうだな……もっと早く言っておけば良かったかもしれないな……」
お父さんはそう言いながら俺達兄弟の部屋から離れる──良い兄弟になったな、お父さんはそう思いながら溜息を吐く、全く、冷や冷やした……
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