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しりとりシリーズの『その後』
作者: 彩都  (総ページ数: 108ページ)
関連タグ: しりとり 短編集 長編 ミステリ 推理 多ジャンル 
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 しりとりシリーズ 『帝都』の『その後』 4 帝都戦争 戦車乱軍

「はぁ、面倒だなぁ、何で今日に限って戦車が……」
 警邏の各務志摩はそう呟きながら双眼鏡で周りを確認する、今志摩が立っているのは細い木の頂上、20メートルの高さの場所だった。
 すると色也が双眼鏡に入る、『おやおや、先輩が一人で頑張っている、手伝いましょうか』、と言いながら志摩は高さ20メートルの木の上から飛び降りる、今志摩を確認出来る者は誰もいない──

「うぅっ! 中々強いな、戦車の中の人間も──」
 そう言いながら警邏の俺、久比里色也は額の汗を拭いながら短刀を持ちながら戦車の中の人間と戦っている。
「お前、何もん何だよ? 俺はただ単に天皇様を殺して新天皇様を作ろうとしているだけなのにさぁ……?」
 そう言いながら戦車の中の人間、小玉嘉慶(こだま かけい)という人物は言う。
「早くそこをどいてくれない? 俺は早く進まないといけないんだからよう……?」
 そう言う嘉慶に俺は言う。
「厭ですよ、俺は今の天皇が良いんだ、だから死んでも此処を守る!!」
 そう言いながら戦車から覗いている嘉慶を自分の短刀で突き刺す、そして血を出しながら死ぬ、よし、残りは幾らだ!?
 そう思っていると、一回り、いや、二回り以上も巨大な戦車が現れる。
 おいおいおいおい……まさか、コイツも天皇様殺しか? だったら、少しは腕が鳴るな、もっと、ぶっ倒してやるよ!
 そう思いながら俺はその戦車に突き進んでいく──

「ふむ、ふむふむ、中々巨大な戦車だこと、まだまだ先輩は大丈夫でしょう」
 そう呟きながら志摩は天皇が存在している皇居内に向かう、そして天皇と出会う。
「おや、君は?」
 天皇の言葉に対し、志摩は自己紹介をする。
「私は警邏の各務志摩と申します、天皇様、貴方様を逃がしに来ました、さぁ、逃げましょう?」
 そういう志摩に天皇は言う。
「それは要りません、どうせ私はこの場で死ぬ運命なのでしょう──だから私はここで待機して殺される、それが良いと思います、新たな天皇を祝福して下さいね?」
「…………」
 無言になる志摩、だが歯軋りをして天皇様に向かって鳩尾に拳をぶつける、その光景に他の警邏は驚く。
「おい、各務! お前一体何をしているんだ!?」
 他の警邏がそう言うと志摩は言う。
「バカ言うなよ、天皇様よう……それは私達に対する侮辱か? 今はそんな事はどうでもいいんだよ、私達は『天皇様を守る』仕事なんだよ、そんな簡単に天皇様が命を捨てて良いってモノじゃないんだよ、だから私は天皇様を死なない様に逃がす、たったそれだけだ、分かったか天皇様よう?」
 そういう志摩、だが天皇様は気絶している、それに対し、志摩は他の警邏に天皇様を投げる、そして志摩は言う。
「それじゃあ、その天皇様を逃がしな? 早くしろ」
「はっ……はい……」
 切れ長の視線の冷たさに他の警邏は冷める、そして急いで警邏は天皇様を運んで皇居から出る──欠伸をしながら志摩は呟く。
「全く、面倒な爺だなぁ……さぁて、先輩のお手伝いでもしますかね?」
 志摩はそう言いながら結んでいた髪を解き、ふぁさぁ、と風に靡かせる、志摩は目の色を変えて歩く、髪を解いた志摩、この姿は死魔の時の姿であった──

「ハァハァ……」
 俺は息を切らしていた、固い、それだけが今の感想だ。
 何故硬いのか、それは簡単だ、『相手の戦車の装甲が固過ぎる』からだ──
「おいおい、中々潰れないハエだな──流石生きているだけある」
 そう言いながら戦車の中の人間、轟豪落(とどろき ごうらく)は言う、全く、元日本柔道優勝者は色々と固いなぁ、そう思いながら短刀を持ちながら相手に向かって飛び込む、そして短刀を振り翳し、下に振る、だがそんな刀での攻撃を簡単に右手で握り締めて止める、血も出ずにどうやって握っているか分からないが、そのまま俺の短刀を折る、いとも簡単に折った──いとも簡単に折られて自分は言葉を失った、いや、何も声が出せない!
「おいおい、日本男子の魂である刀が折れたなぁ! あははははは! 中々愉快だ! そしてさっさと死ね、警邏の屑共がぁ!」
 そう言いながら俺の頭部上空に自分の折られた刃が振り翳される──あぁ、何て簡単に殺されるんだろう? 色々な走馬灯が蘇る、さようなら自分、さようなら本羅──さようなら志摩──
「誰が死んで良いって言いました?」
 そう言いながら手の握力だけで豪落の腕を掴んで、自分の腕の力だけで豪楽の腕を引き千切る志摩、引き千切ったのは、刃を持っている手だ。
「えっ? 志摩?」
「何ですか? 今は『死魔』、ですがね──」
 そう言いながら豪落を見る、豪落は驚いている。
「えっ? 何が起きた? って、俺の腕ぇ!?」
「あぁ、先輩に仇なす存在なので『手をもがせて頂き』ました、さぁ、片手で二人に勝てますかね?」
 ニヤニヤと笑う志摩、いや死魔──そして死魔の攻撃、次は豪落の空いている手を自分の手の力だけでもう一度もいだ、いとも簡単に自分の腕二本がもがれて豪楽は血の気が引く。
「もう、許してくれ……なっ?」
 呆気ない元日本柔道優勝者──だが死魔は笑いながら言う。
「無理ですよ、先輩の魂である刀を折ったんですから──」
 そう言うと俺は言う。
「い、いや、死魔? 刀なんかまた買えば良いだろ──」
 俺がそう言うと死魔は言う。
「大丈夫ですよ? 先輩は見てるだけで充分ですから」
 そう言いながら死魔は豪落に向かって俺の刀の刃で、豪落の首を刺した、そして引き抜く、綺麗に血が噴射する、それを見て死魔は笑う。
「アハハハハハ……人間ってあっさり死にますねぇ──さて、先輩、まだまだ戦車は来ています、早く中心となる人を殺して、戦車を止めましょう、更に天皇様殺しも?」
「あ、あぁ……そうだな──」
 そう言いながら俺は仕事場から換えの短刀を取りに行き、死魔の居る場所に向かう、そこには戦車が続々と現れている、はぁ、中々倒すのが大変だな、そう思いながら死魔と俺は構えを作る、かかって来い、天皇殺し共!

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