完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~
*70*
しりとりシリーズ 『村雨』の『その後』 不生の戦い 10 全部全部終わったんだ
最初は二人組みの忍者だった、次に自分の刀、『村雨』を奪いに来た忍者だった、そして最後は総理大臣の不動だ──そんな出来事を思い出しながら、自分、不生は大きな欠伸をする。
どうせ特訓しても空き時間が出来たら暇になってしまう、そんな空き時間でさえも、特訓したくなるのが今の自分だ、もしも外国の人間から、『村雨』を渡せ、とか言われても、奪われたらお終いなのだ、なので、もっと強くなって、自分は『村雨』を守らなければならない。
そう思いながら、膝に手を置いて、息を切らす、流石に動かし過ぎたか? だが、まだまだ体を動かさないと、奪われたら意味も無い──そう思っていると、茂みの中から不萌が現れる、そして不生の背に手を置いて、背中を摩る。
「もう、アンタったら……まだ特訓しているの!? もう夕飯の時間よ!?」
不萌が不生に向かって怒鳴る、確かに今の時間は夜の七時なのだ、晩御飯をこの時間に摂る家族も多いだろう。
「うーん、もう少し体を動かしてからだな……」
そう言って、不生が体を動かした、するとそのまま前に倒れて、右手を顔に当てて呟く。
「あーあ、もう体が動かないかぁ、流石に動かした様だ、ごめん、不萌、家迄運んでくれないかな?」
「そんなになる迄動かした自分が悪いのよ……」
不萌は大きな溜息を吐いた後、不生を肩に担いで、不生の家迄不生を運んだ──
そして不生はその日を布団で過ごした、次の日、起き上がると、妙に体が軽かった、成程、何とか回復したようだな、と思う。
不生はそのまま外に出て、外の空気を吸った、うん、里の空気は美味いなぁ、と思いながら、不生は今日の特訓を辞退して、休憩を取る事にした。
昨日は体を動かし過ぎた、確かに不萌の言う通りかもしれない、そう感じ、不生は休憩を取る事にしたのだ。
不生は自分の里の領域を歩く、呑気に歩きながら考える、『自分はもう『村雨』を守れなくなってしまったらどうしよう?』と考えてしまう、だが逆に考えて、まだ『守れている』のだ、まだまだ守れるのでは無いか? と考える、そう考えると前向きに感じる。
不生は自宅に帰って、自分の刀、『村雨』を鞘から抜き取って、畳の上に置いた、何とも綺麗な刀身で少し惚れ惚れしてしまう、そして不生は『村雨』を鞘に戻して、大きく深呼吸した、ちゃんとこの刀を守れるか、少し心配だが、出来る限りこの刀を守りたい、だから『村雨』、お前も自分の前から離れるなよ……と心の声で言って、不生は寝る事にした──
そして不生は目覚める、何時の間にか朝になっていた様だ、今日も『村雨』の特訓をしないとなぁ、そう思いながら不生は『村雨』を肩に担いで外に出る。
「行ってきます」
不生はそう言って、一歩一歩を強く踏みしめた、この刀、『村雨』は自分が守らなくてはならない、そう思いながら、不生は前を見る、自分の見ている道は獣道の様に荒い、だけど人生だって荒い道筋なのだ、その道をゆっくりでも良いから進む──少年の歩む道はどんな道なのか、少年にはまだ分からない──
しりとりシリーズ 『村雨』の『その後』 不生の戦い 10 全部全部終わったんだ
終・わ・り……
NEXT しりとりシリーズ 『メモ』の『その後』