完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

しりとりシリーズの『その後』
作者: 彩都  (総ページ数: 108ページ)
関連タグ: しりとり 短編集 長編 ミステリ 推理 多ジャンル 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~

*71*

 しりとりシリーズ 『メモ』の『その後』 蘭万屋録 CASE 1 妖怪に取り付かれた人間

「すいませぇん」
「はいはい、今行きますよ」
 そう言って、自分は玄関に向かう、自分の名前は蘭(あららぎ)、蘭万屋の店長、もしくは社長である、そんな自分だが、色々な物に巻き込まれる体質だ、前は前で殺人事件のトリックを解く事になったりと色々と忙しい存在だ。
「はい、何でしょう、蘭万屋の蘭と申します、ご用件は何でしょう?」
 自分はドアを開けて自分の自己紹介をした、すると目の前にいたのは一人の幼女だった、はぁ、全く俺の仕事は色々やる事が多いなぁ、と思いながらネコ耳の幼女に対し、声を発す。
「どうしたの? 何かおじさんに用かい?」
 うぅっ、自分で言って傷付きそうだ、そう思いながらネコ耳少女の話を聞く。
「私は猫神だ、ネコの神様だ」
「そうか、だったら何の用だ、妖怪が」
 自分はそう言うと、猫神の幼女は言う。
「貴様、人間も妖怪も助けているんじゃろう? だったらとある人物を救って欲しいのじゃよ」
「『とある人物』? 一体どんな人なんだ?」
 自分がそう言うと、猫神は一枚の写真を俺に渡して確認させる、この人はどっかで見た事があるが……?
「その人物はお前の友人だ」
「いや、知ってるけど……コイツがどうかしたのか?」
「実は『妖怪』に取り付かれている、だから救って欲しい、だが私の力だけじゃ救えないのじゃ、だから助けてくれ」
 猫神がそう言うと、自分は大きな溜息を吐いて、写真を返す。
「無理だ、俺にそんな力はない、俺は退治なら出来るけど、剥がすとかは無理だ、ああいうのは精密な動きが必要、俺にはそんな動きは出来ない、だから帰ってくれ」
 そう言って自分は戸を閉じた、仕方無い、出来ない事だって有るのだ、許せ、友人よ、そう思いながら自分は寝る事にした。

 そしてその友人は死んだ、原因不明の死だそうだ、それから自分の所には猫神は来なかった、まぁ、ただの友人だし、そこ迄思い入れは無いが、何故あのネコは猫神、と名乗ったのだろう? まさか名前が猫神か? 流石にそれは無い、その知り合いは別段猫が好きでは無いし、猫神という名前をつける意味もないだろう、では本当に神様だったのか、と言われると実際違うのだ、では一体なんだったのだろう? そして一つだけ思い付いた事がある、あの猫は喋っていた、それは普通の猫ではありえないと言う事、つまりあの猫は『もう死んでいる』、そして神様から人間の姿になって自分の所に来て願った、と言う事だ、だけど本当に神様なんかいるのだろうか? そう思いながら自分は深呼吸して、欠伸をする。
「今日も繁盛します様に……」
 そう呟いて、自分はデスクに向かう──

 NEXT しりとりシリーズ 『メモ』の『その後』 2

70 < 71 > 72