完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~
*76*
ミカヅチは天界の雲の上に机とパイプ椅子を三個用意して、二人を端に座らせた
ミカヅチ
「それでは転生・能力の儀を始めます」
ミラ
「えっ、なにこれ?」
レウォル
「俺はどうやって座ればいい」
ミカヅチ
「そこはまぁ、うまくやってください」
レウォル
「おい」
ミカヅチ
「まず最初の方どうぞ」
そう言うと、空からよぼよぼの老人が降りてきて、ミカヅチが用意した座布団に座らせた
「おはようございます...」
ミカヅチ
「おはようございます、遅くなりまして申し訳ありません」
「いえいえ...」
ミカヅチ
「えーっと、『伊藤松五郎』様、男性、享年87歳、死因は老衰...」
「死ぬちょっと前に、孫は15歳になりました、家族は皆笑顔で見送ってくれましたよ」
ミカヅチ
「なるほど、貴方は町内会で会長を勤め、町の人にも愛されていたようですね」
「別にたいした事はしていませんよ」
ミカヅチ
「いえ、何十年も凹まず続けた意欲は対したものですよ」
「私だって貴方ぐらいの頃はいやになって投げ出したくなった事はありますよ、でもあの町が大好きで...」
ミカヅチ
「素晴らしいです、転生の条件を普通に満たしています、これほどの善人は中々見かけませんよ...もし良ければ世界で望むものはありませんか?」
「楽しい思い出は沢山作りましたし、欲しいものや力も特には...」
「ああそうだ、あの町の桜はとっても綺麗だった」
ミカヅチ
「桜...ですね、分かりました、手配しておきます、それでは終了します」
「ありがとうございました」
ミカヅチ
「貴方の来世も幸せでありますように」
....
ミカヅチ
「と、これが『転生』の手続きです」
ミラ
「要するに、生まれ変わる為の儀式?」
ミカヅチ
「そうなりますね、あの方は生きている間に中々いいことを沢山なさったので転生先や能力も指定しましたが...ああいう意見の方がもっと増えたらいいのに」
レウォル
「え?」
ミカヅチ
「あ、ほら、次の方が現れましたよ、どうぞ」
次に降りてきた人物は、先ほどの日本風な老人と違い、高級感溢れる鎧を付けた騎士だった
ミラ
(あんなのが死ぬの?)
レウォル
(人生、何が起きるか分からないものだからな、ある日突然意外な人が死ぬものだ)
『急に突然呼び出すなんて何事ざますか』
ミカヅチ
「えーっと【ウザソーナ・ミエッパリーナ】様...あ、五ヶ月前に転生された方ですね」
レウォル
「なんだその昭和のロボアニメみたいなネーミングは」
『おだまり』
ミカヅチ
「転生時に貴方に授けた能力...というか鎧?の件ですが」
『ああ~これねェ、と~ッても素敵な防具よォ』
ミラ
(うっざ...)
ミカヅチ
「その鎧には身体強化、魔力無限、魅力MAX、その他諸々も無限という...」
ミカヅチ
「まぁ、ここだとよくあるタイプの能力が付いていますね」
『ンン~最高よォ、この鎧はァ、転生してて良かったってさぁ』
レウォル
「転生とはそこまで贔屓をするものなのか?」
ミカヅチ
「一部の業界では常識らしいですよ、僕は知りませんけど...」
ミカヅチ
「...で、その能力に関しての話ですが」
「お気の毒ですが貴方の能力は期限切れとなりました」
ミラ
「えっ」
ミカヅチ
「え?危険な能力に制限を付けるのは基本ではありませんか?」
『....ハァァァァァァ~~~~ッ!!??』
ミカヅチ
「貴方はこの能力で色々やったみたいですねぇ...おっと、現在は世界をまとめあげる皇帝陛下様ですか、素晴らしいですねぇ、よく五ヶ月でここまでやれたものだ」
ミカヅチ
「貰い物の力が無くなれば、貴方はどうなるんでしょうね?」
『この野郎ッッッ!!ぶっ殺してやる!!お前を殺せばァ!!この能力は無限に
ミカヅチ
「おっといけない、ミラ様頼みます」
ミラ
「白光術!」
ミラは男の目の前に光の壁を張り、男の全力の魔法を弾き返した
『グギャアアアアア!!!』
魔法をもろに浴びた男は灰となり尽きた
ミカヅチ
「次の人生は真面目に暮らせることを期待しております」
レウォル
「いいのか、あんなことして」
ミカヅチ
「理由もなく消し飛ばすことを頼むほど僕は外道ではありませんよ、与えられた能力を正しく使いさえすれば期限を伸ばすことだって考えますし」