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落し物 
日時: 2010/08/13 22:02
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)

え〜 はじめまして・・・の方ばかりだと思います。神無月です。最近、シリアスのほうでも書き始めました。

のにもかかわらず、何故かこっちでも書いちゃってます。どうした自分。更新は遅いです。亀が早く感じるほど遅いです。

それでもいいという、心優しい方はどうぞ読んで下さい。できればコメントのほう、よろしくお願いします。


お客様
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Re: 落し物 ( No.55 )
日時: 2010/06/28 21:14
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


そらねさん wありがとうございます。
       ギャグ頑張ってみてください!!
       

Re: 落し物 ( No.56 )
日時: 2010/07/19 09:24
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)

見つめあっている(二人にはそう見えた)二人にあいつらが気づかないわけもなく。

「あああああああああああああああああ!!!」

叫んだのは・・・相も変わらず彼だったのだが。

「何見つめあってるんだよ!?」

その言葉を聞き通行人(女)は、えっそう見えました?キャア、恥ずかしい、と言って頬を赤く染め、ゴリラは心底うんざりとしたような顔をした。

・・・やっぱりこうなるんだな

その間も二人はぎゃーぎゃーと騒ぎ立てている。通行人は未だ赤い顔のまま何かをぶつぶつと呟いていて、時折「も〜やだやだそんなことないって!!」と一人で悶えていた。

・・・もう・・・俺・・何か無理かも

可哀相なゴリラ。この光景を誰か_少なくともまともな思考回路を持った人間_ならば、そう思ったことだろう。                     

あまりにもいろいろなことがありすぎて、一人称が「私」から「俺」になっていることさえ気づかないほどに彼は疲弊していたのだ。

ふと、通行人が悶えるのをやめてぐりんっという効果音がつきそうなほどの動きでゴリラを見た。

「あの・・・っ、お名前は、何て言うんですか!!」

それを聞いて、未だ騒ぎ続けていた二人までもがぴたりと動きを止めた。

「そういえば・・・僕たち、名前知りませんでしたね」

そう呟くのは警官。それに対して、男も頷く。

「ちょうどいいから、自己紹介でもするか」

その言葉をはじめとして、今更ながらの自己紹介タイムが始まった。



「えーと、じゃあまず・・・僕からいきましょうか」


警官が片手をあげながら言う。他の面々は、それに対して肯定の意を示した。

「えーと、ごほんっ。


まず、僕の名前は上長竜太郎(かみなが りゅうたろう)と言います」

「上長?珍しい名前だな」

男が少し驚いたような声を出した。竜太郎は、少し照れたようにはにかんだ。

「はい。僕は島生まれなんですけど、そこにしかない名字なんです」

へえ〜、と全員が驚きと感心の入り混じったような顔をして頷く。

「あ、じゃあ次俺な」

次に手をあげたのは男。それに対しても一同は先ほどと同じような反応を示した。


「俺は、近藤響(こんどう ひびき)。ぴっちぴちの17歳だ!」


えっへん、とでも言うように胸をはりながら言った響に通行人が目を向けた。

「17歳なの?私も17歳なの!」

「お、マジ?タメだなー!」

何やら二人で盛り上がっているのを見ていた竜太郎が、おずおずと声をかけた。

「あのう・・・そちらの方のお名前は?」

「あ、私?そうだった。私は姫野由佳里(ひめの ゆかり)よ」

ふわりと微笑む由佳里に、響と竜太郎は顔を赤くする。ただしゴリラは、思いっきり顔をゆがめたが。

「さあ!!次は貴方の番ですよ!!!」

目を輝かせて勢いよく言った由佳里を一瞥して、ゴリラはため息をついてから嫌そうに(きっとそれは他の三人は気づかなかったであろうが)口を開いた。


「俺は・・・慎(しん)」


その言葉に、三人は首を傾げた。皆の気持ちを代弁したのは竜太郎だった。

「名字は?」

周りが何を不思議がっているのかいまいち理解できていなかった慎は、その言葉にああ、と頷いた。


「俺たちゴート族には、名字がないんだよ」


それに、響と竜太郎はへえ!という反応をし、由佳里はわけがわからないという顔をした。

「ごーとぞく?って、なに?」

その疑問に、響と竜太郎は顔を見合わせた。

・・・よく考えたら、自分たちも詳しいことは知らない

そう考えて、結論としては。


「話せ(して下さい)」


詳しい説明を、とせまる三人に圧倒された慎は再びため息をつきながらも話しだした。

Re: 落し物 ( No.57 )
日時: 2010/07/08 15:53
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


_“ゴート族”

それは、霊長類が人間に進化する途中の段階の者たちを指す。その存在はとても稀で、世界の重鎮たちしかその存在を知らない。

ゴート族は300年ほど前に突如として現れた種族で、その起源は不明。生態も謎に包まれており、今現在学者たちが躍起になってその起源と生態を調べている。

彼らについて分かっているのは、彼らはとても頭がいいということ。つまり、今の人間ではとうてい追いつかないほどの科学力や様々な技術をもっているのだ。

しかし、その技術も完全に人間となった時点で失われてしまう。今まで使ってきたそれらの方法や知識を、全て失ってしまうのである。

一部には、彼らは未来からきたのではないか、と考えている者もいる。だからこそ、人間になったとき未来の知識を現在に教えてしまわないように記憶が消えるのではないか、と。

そのことなどについても、依然詳細は不明である。

_余談として、“ゴート族”というのは一番最初に現れたゴート族の長がつけたもので、「ゴリラ」と「ヒト」を合わせたものなのだという。


一気に話し終えた慎は、大きく息をついた。

これでいいか、とでもいうように三人に向けた目は、三人には見えていないようだった。

驚いたり唖然としたりした表情の三人は、ぽかんと口を開けたまま固まっている。

「・・・・おい」

声をかけるが、一向に反応を示さない三人にしびれをきらした慎は、先ほどよりも大きめな声を出した。

「おい!!!」

その声にやっと目を覚ました三人は、しばらく口をぱくぱくとさせた後、各々の感想を述べた。

「ゴート族って・・・すごいですね」

「未来から・・「世界の重鎮しか知らない」・・・やっぱり国家機密!?俺、殺される!?おかあさあああん!!」

「なんだかよくわからないけど・・・かっこいい!!付き合って下さい!!」


・・・濃い

慎は、うんざりしたようにため息をついた。

「すごいかどうかは分からないが・・・まあ、珍しいのは確かだな。

世界の重鎮たちしか知らないっていうのは、俺たちがめったに人前に姿を現さないからだ。進化途中にあるゴート族は見た目があからさますぎるからな。
国家機密かどうかは知らないが・・・殺されはしないだろ。

良く分からないならそれでいい。あと、おれは普通の人間には興味がない」

ちゃんと全ての言葉に返事を返した彼は、とても偉い人だろうと思う。

Re: 落し物 ( No.58 )
日時: 2010/07/08 16:04
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


だが、三人はその返事の中で気になるところがあったらしい。しばらくの沈黙の後、代表して口を開いたのは竜太郎だった。

「あの・・・「人前にはあまり姿を現さない」って・・・今ここにいて大丈夫なんですか?」

その問いに、慎は即答した。

「別に問題ない」

「でも・・・・・・!!」

眉根を寄せて食い下がる竜太郎に、慎は薄く笑った。

「確かに俺たちは普通の人とは全く違う見た目をしていた。

でも・・・俺たちも、人間なんだよ。
普通に笑って、怒って、泣くんだ。

だから、俺たちも用事があるときは街へ来る。

_たとえ、どんな目で見られようと。

俺たちも、同じ「ヒト」であると、そう信じているから」

その言葉に、竜太郎はかける言葉が見つからなかった。

彼らには、彼らの想いがあって。

何も言うことのできない自分が、ひどく無力に感じた。


と、今まで黙って話しを聞いていた由佳里がそろそろと口を開いた。

「あの・・・全然関係ないんですけど、」

慎と竜太郎は由佳里の方を向き、視線で続きを促す。

「街には、何か用事があるときに来るんですよね?」

「?ああ」

「なら・・・今回は、なんのために来たんですか?」

「それは、落し物を探しに・・・・・・・あ」

響も、あ、という顔をした。竜太郎もまた、同じような顔をした。

「・・・・・・忘れてた・・・っ!!」

Re: 落し物 ( No.59 )
日時: 2010/07/08 16:12
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


苦虫をかみつぶしたような顔をした響たちを、由佳里は不思議そうに見た。

「あ・・・・空が・・・・・・」

いつの間にかドアを開けて外に出ていた竜太郎が呟いた。それを聞いて、他の面々も落し物コーナーから出ていく。




空は、赤かった。美しい、夕焼け空。

夕焼けは、街も、人も、全てを同じ色に染め上げていく。

空に、ところどころ混じるオレンジが温かかった。

黄色からオレンジへ。オレンジから赤へ。赤から青へ。青から紫へ・・・・。

うつろう色は、美しく。静かな夜へといざなう。

4人は、声も出せずに、ただ空を眺めていた。




_場所は戻って落し物コーナーの一角。[生物]と書かれたプレートの棚の前。

全員が無言で見つめているのは、その棚の一番上のもの。

_“バナナ”だ。


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