コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- これってラブコメ?
- 日時: 2014/11/25 17:46
- 名前: 夕陽 (ID: jP/CIWxs)
こんにちは!夕陽です。
前作が完結したので新しいのを書き始めることにしました。
アドバイスなどをいただけると嬉しいです。
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- Re: 森にある泉には天使と悪魔が住んでいるらしい ( No.63 )
- 日時: 2014/04/01 22:09
- 名前: 夕陽 (ID: 4fHAeWMT)
三十八話 天は真琴に拓のことについて聞くらしい
「で、聞きたいことは何だ?」
真琴はベンチに座り、背もたれに体重を預ける。
「とりあえず、一番聞きたいのは魔法のこと。何使えるの?」
天は座らずたったまま話をするようだ。
今更だけど、これ人に聞かれたらまずいよね?
人がこないことを祈ろう。
「それくらい知っている。よく、魔法の練習を一緒にしたからな。人の心を読む、瞬間移動、動物としゃべる。この三つが生まれもってついた魔法だ。ただ、実力でつけた魔法だったらよく分からないが」
すらすらと、よどみなく答える。
そういえば真琴、拓のこと好きだっけ。
「じゃあ次。拓と仲良かった子は?」
「基本クラス全員と仲良くしていたからな、あいつは。特に仲良かったのは男子は聡と和馬。女子は僕と彼女——夢。それだけだ。僕らは毎日このメンバーで遊んでいたからな。ちなみに和馬は元天使だ」
彼女の名前を言うとき、少しつらそうな表情になった。
でも今は、昔を思い出すときみたいに優しい表情だ。
「これで最後。拓は、昔どんな性格だった?」
この質問に真琴は一瞬言葉につまった。
しかし、ずっと向かい合っている天が何もいわないでにらんでいるので、しぶしぶ口を開いた。
「昔はさっきも言ったとおり誰とでもしゃべる子だったよ。いや、それは今も変わらないな。でも、昔はもっと純粋だったんだ。目がきらきら輝いていた。でも、今は悪魔っぽさがある顔になっているんだよ。悪い意味でな」
苦々しい顔で真琴は告げる。
「ちなみに、その時期は夢と付き合い始めたころでしょ?」
天はお見通しというように真琴の顔を覗き込む。
「たぶん。というか僕自身いつ付き合い始めたかは知らないんだ」
真琴は拓のことずっと見てたんじゃないの?
「さすがに盗撮はしてないぞ? ストーカーはしたけど。それにストーカーし始めたのもあの二人が付き合った後からだ」
いや、ストーカーもだめだと思う。
「とにかく僕は知らない。他の二人も多分知らないと思うぞ」
そういって首を振る限りで何もいわない。
「大丈夫、犯人は夢って子だから」
天はニヤッとした顔で言った。
- Re: 森にある泉には天使と悪魔が住んでいるらしい ( No.64 )
- 日時: 2014/04/03 16:29
- 名前: 夕陽 (ID: 4fHAeWMT)
三十九話 天は夢と会ったらしい(三人称)
「はあ」
しとしと外に降っている雨を家の中から見てため息をつく影が一つ。
「何で急に空先輩にあんなに嫌われたんだろう?」
翼だ。けんかから五日はたっているが関係はよくなるどころか悪化している。呼び方にも影響が出ており、空は翼のことを「小池さん」と呼び、翼は「空先輩」と呼べと言われ、しぶしぶ従っている。
そんな翼を見ている四つの瞳があった。
「翼、大丈夫かな?」
そのうち二つは好奇心旺盛な青い瞳。
「ああ、確かに心配だ。最近はため息と空のことしか言わないしな」
残る二つは意思の通ってまっすぐな黒い瞳だ。
「やっぱり、本人に会いにいったほうがいいよね」
そういって青い瞳の方、天は自分の部屋に戻る。
「おい、天。勝手にいなくなるな」
黒い瞳の方、真琴も姿を消した。きっと、瞬間移動だろう。
「真琴、じゃあ行ってくる」
天は机の奥の引き出しから、人一人くらい包み込めそうなほど大きな布を取り出した。
「天、多分あいつは悪魔の世界にいない。こっちの世界にいる」
真琴は慌てて悪魔の世界に行くための魔法の布を奪い取る。
「そうなの?」
天は目にもとまらぬ速さで布を奪われた事に驚きつつも言葉を返す。
「ああ、だってあの魔法は本人の十メートル以内に自分がいないとかからないからな」
「でももう五日もたったよ? 帰っているかもしれないじゃん」
天は頬を膨らませる。
「いや、それはない。僕が知っている夢は、自分の獲物が不幸な時は実際に見て楽しむやつだからね。レンズの向こうではダメっていつも言ってたよ」
全く趣味の悪いやつだ、と真琴は苦い顔して言う。
拓の彼女ということも手伝い、あまり快く思っていないんだろう。
「自分の獲物って?」
天は単刀直入に聞いた。
「翼だよ。彼女は翼を恨んでいる」
真琴は噛んで含めるように天に言い聞かせる。
「なんで!? 翼は確かに友達少ないけど、悪い子じゃないっ!」
天は翼のことを大事に思っていた。
住まいを与えてくれる、恩人として。
他愛もない話で盛り上がれる、友人として。
そんな翼が誰かに恨まれているなんて聞きたくなかった。
だから
「私が、翼は悪い子じゃないってこと、説得する!」
そんな天の目は駄々をこねる子供みたいで、子供みたいだからこそ純粋な瞳に真琴は何も言えずに呆然と天の出て行く先を見ていた。
天は夢がどこにいるか知らないのに。
雨の中、傘も差さずに外に出たらぬれてしまうのに。
「全く、天も子供だな」
真琴はそういい、雨の中外に出て行く天を追いかけた。
傘を二つ、手に持って。
- Re: これってラブコメ?(題名変更) ( No.65 )
- 日時: 2014/04/04 15:19
- 名前: 夕陽 (ID: 4fHAeWMT)
四十話 天と真琴は夢と話したらしい(三人称)
「天! 傘もって来たぞ!」
天の姿が見て取れると真琴は大声で天を呼ぶ。しかし天には聞こえてないらしく立ち止まらない。
真琴はすぐさま瞬間移動を使う。
いったん真琴の姿が消え、またすぐに現れる。
「天!」
もう一度呼ぶ。友達の名前を。
「真琴!?」
天の二つの青い瞳が大きくなる。
「何でここに? 真琴は来なくてもいいのに」
しかし次の瞬間鋭い目線に変わる。小さい子供ならないて逃げ出すほどの迫力だ。しかし、真琴はその目線を逆に睨み返す。
「なんでそんなことを言うんだ、天は」
そして傘を渡しにっこりと笑う。
「じゃあ、天には真相を教えてあげるよ。この話のな」
「真相?」
さっきまでの負のオーラはどこかへいったようだ。真琴はほっとしてある提案をする。
「ずっとここにいると濡れるからどこかで雨宿りしながら話すか」
真琴は持ってきた傘を一つ天に渡す。
「ありがと!」
天はいつもと同じような何かをたくらんでいる顔に戻った。
「とりあえず、あそこにでもいくか」
真琴は喫茶店を指差し言った。
「なるほど、そういうことだったのか!」
事情を全て聞いた天は納得! というように大きく頷いた。
「天も協力してくれるか?」
真琴は天みたいに何かたくらんでいる顔になる。
きっと断られる可能性は全くないと思っているからだろう。
「あったり前じゃん! こんないいこと、やめられないしね!」
天は真琴の思っていた通りの回答をした。
「じゃあ、よろしくな」
真琴もニヤッと笑って家に戻った。
- Re: これってラブコメ?(題名変更) ( No.66 )
- 日時: 2014/04/04 22:35
- 名前: 夕陽 (ID: 4fHAeWMT)
四十一話 天は面白い事を思いついたらしい(三人称)
「ねえ、真琴。こうすればいいんじゃない?」
天はひそひそと真琴に耳打ちする。
「なるほど、それはいいな。みんなに言っておくよ」
真琴は軽く頷き、姿を消した。
瞬間移動魔法は便利そうだ。
「じゃあ、私はこっちで準備してよーっと」
天は翼の元に行く。
翼は昨日と同じように窓側でひとり言をぶつぶつ言っている。
今は春休みだからいいが、終わったらどうするんだろう?
まあ、それまでにはこの状態はなおるだろうが……。
「翼」
天は一度名前を呼んでみる事にした。しかし反応しない。
「おーい、翼?」
今度は肩をゆすってみる。全く反応がない。
「翼、空先輩」
「何!?」
驚くべき速度で反応した。
「あのさ、空先輩で分かった事があるんだ」
自分の考えた作戦を実行するため、出来る限りまじめな顔をする。
「なに?」
翼は空以外興味がないのか真剣に話を聞いている。
天ははっきりいっていつものニヤニヤ笑いが出ているのに気付きもせずに。
「あのね、空先輩はね、呪いをかけられているの」
天は翼に言葉を刻みこむようにゆっくりと言葉をつむぐ。
「え? 呪い?」
「そう。翼の事嫌いになる呪い」
何回も同じ言葉を繰り返し、翼に覚えさせる。スポンジに水を吸収させるように。
「そんな呪い、あるの?」
実際あるが、夢はその使い手ではない。あくまで人の意思を助長するだけだ。かける本人にその意思が全くないとかからない。
つまり、空には演技をしてもらっているのだ。
「うん、でねこの呪いは時間が経過するだけじゃ、解けないの」
「どうすれば、解けるの?」
翼は不安げな顔を隠さずにきく。それはまるで親を失ってしまった子猫のようだった。
「それはね」
天は一度区切り、
「——をすればいいんだよ」
最後に、決定打を放った。
* * *
自分たちが翼を、いや翼たちを幸せにしてあげるためにできる事。
「ごめんね、こんなやり方で。でも、私は翼に幸せになってもらいたいんだ。これが翼の望む幸せだと知っているから」
心の読める天使は笑う。
悲しそうに、哀しそうに笑う。
翼のいなくなった部屋で。
- Re: これってラブコメ?(題名変更) ( No.67 )
- 日時: 2014/04/05 17:50
- 名前: 夕陽 (ID: ofW4Vptq)
四十二話 天と真琴はハッピーエンドにしたいらしい
「翼、いくよ〜」
天は元気な声で私を呼びに来る。
「待ってよ、天」
私は返事をすると天は
「早く、早く! 空先輩と仲直りしたいんでしょ?」
うっ。それをいうのはずるい。
「じゃあ、いくよ〜!」
私は天を追いかけるようにして集合場所へと向かった。
「ごめん! 待たせた?」
天が両手をあわせて謝る。
「…………」
空は、何も言わない。
心なしかいつもより怒っているように感じられた。
「空……先輩ごめんなさい」
呼び捨てで呼ぼうとしたら睨まれた。
「とにかく、後は二人でがんばって〜」
楽しそうな気分のまま去っていく天。
「天」
天の服をつかもうとしたが、上手くすり抜けてしまった。
「いったでしょ? 二人っきりでデートしないと呪い解けないって」
「確かにそうだけど……。でも、この雰囲気でデートなんて出来ないよ!」
「とにかく、一回でもデートできればいいんだから! がんばって!」
天は無責任だ。
「大丈夫。私の言う通りにすればね」
でも、天のその言葉に少しだけ信用しようと思えた。確かに天の言う通りにしてだめだった事もあったかもしれないけど、絶対どこかにいい
ことが隠れているから。
「分かった。がんばるよ」
天の瞳を見つめ、頷く。
「じゃあ、私は近くにいるから何かあったら呼んで」
天はそういって去っていく。
「私もがんばらなきゃ」
小さく呟いて空……先輩の所へと行った。
「これ、可愛くないですか?」
私は嫌がる空(心の中でなら名前呼びでもいいよね)を無理やり雑貨屋さんへと連れて行った。
まあ、売っているものが女の子用だからいやだろうけど。
「私もほしいなあ」
何気なく催促する。以前このような会話をしたら買ってくれて私もお返しにストラップ買って渡したっけ。でも返ってきた答えは
「……欲しいなら、買えば?」
そんな素っ気ない言葉。
「別にいらない」
ぷいと顔をそらし私は空を引っ張って更に奥へと進む。
ところが、突然空が止まった。
何だろう? っと思い振り向くと空があるストラップに目を奪われているのが分かった。
これ、どこかで見覚えあるような気がするけど……。
「空……あの、これって確か」
今回、空は呼び捨てにしたのに睨まなかった。
のろいが解けつつあるのか、ただ単にストラップに意識を奪われているだけなのかはよく分からない。
「……別に、なんでもない」
空はそういって
「もう、ここでよう?」
と、店から出た。
「おなかすいたからご飯食べない?」
腕時計をちらりと見ると12時少し前だ。きっとおなかすいているだろうし。
「……うん」
少しずつだが、呪いは解けているようだ。さっきまでなら「もう、帰る」と先に帰っていただろう。
私は近くのファミレスに足を進めた。
「おいしかったね、空」
「……うん」
呪いもほとんど解けたようで呼び捨てでも怒らない。
「じゃあ、そこらへんぶらぶらしようよ!」
今は1時だ。別れるには早すぎる。
私は、近くにある公園が散歩に最適だといっていた天の顔を思い出す。
その公園は、確かに散歩には最適だった。
「こうやって過ごすのもたまにはいいかもね」
緑に囲まれている、まではいかないが景色がきれいだ。
それに、近くに遊園地があるのでそのついでにこの公園に来ている人も多いみたいだ。
「ねえ、翼」
空がいきなり話しかけてくる。
「え? 何?」
「翼、僕のこと好き?」
直球で聞かれた。
「えっと、その」
言えるわけないじゃん、恥ずかしい!
「じゃあ、僕の事嫌い?」
「嫌いじゃないっ!」
それだけは絶対思わない。
「空のこと、好きだよ」
恥ずかしいが、小さな声で付け足す。
「じゃあ、なんで仁のこと黙ってたの?」
怒ってるわけではなく、諭すように聞いてくる空。
「だって、言わなくていいと思ったんだもん」
すねるような口調になってしまったが、空は表情を少し柔らかくして
「まあ、翼にとっては兄との同居だもんね。でもね、僕心配したんだ」
心配?
「だって、あの人まえ翼のこと怪我させようとしたから。同居している間にもしかしたらそうなる事あるかもしれないから」
その言葉を聞いて、私はなんて馬鹿なことをしたんだろうと後悔した。
わざわざ心配してくれたのに、それに気付かなかった自分が。
「空」
私は、大好きな彼氏の名前を呼ぶ。
「何?」
空はそういって首をかしげる。
「ちょっと、耳貸して」
私の言葉に空は従って耳を貸してくれる。そして私は
「心配してくれてありがとう。大好きだよ」
とささやき、ほっぺたにキスをする。
いきなりだったからか、空の顔は少し赤い。
「僕も大好きだよ」
照れた顔でそういってくれる彼が、私はとても好きだ。
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