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【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【感想募集!】
日時: 2016/07/23 20:29
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)

初めに

本作はモンブラン博士のリクエストにより、モンブラン博士のオリジナルキャラクター五人全員を登場させる短編集となっております。そのため、パクリ、盗作等では決してありません。

目次

第一話『最弱、故に最強。』 >>01 >>04-05 >>9-11 >>14-23

感想 >>02

第二話『他人の不幸は蜜の味』 >>26-27 >>30-33 >>35-42

第三話『不動の意志』 >>43-46 >>49-53 >>55-74

※注意

・作品の内容によっては、登場キャラの口調や設定が、一部異なっている場合があります。
・本作は二次創作です。そのため、本家様とは作風が異なります。

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Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.15 )
日時: 2015/06/07 19:10
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

まさかそこまで川村が空腹になっていたとは驚きでした。
そしてついに彼が再登場しましたね。彼がラーメンを無事食べきることができるのか、楽しみです!

Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.16 )
日時: 2015/06/20 18:02
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: JEeSibFs)

応援ありがとうございます! 頑張ります!!

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 その容姿から察するに、あの日不良に絡まれていた、あの少女と見て間違いないと思われた。
 入院中も校門の前で、ずっとあの先生が見張っていたのだから、大丈夫だろうとは思っていたけれど、それでもやはり、安堵の溜め息をつかざるをえなかった。
 猫衛門は立ち止り、まじまじと、その背中を見つめた。暑苦しい店内に咲く、一輪の花。彼女もまた学校帰りなのか、制服の上から、校章のないカーディガンを着ていた。
 ありがちで庶民的なそのカーディガンでさえも、彼女が着れば、どこぞの有名ブランドのもののように見えてくる。彼女はそのくらい、高貴なオーラを身に纏っていた。
 が、それ故、近寄りがたくもあった。
 小さな手で割りばしを持ち、汁を飛び散らせることなく上品に、ゆっくりと麺を啜る彼女。
 しかしそのすぐそばでは、どんぶりが、山のように積み上げられていた。少女の席は壁際で、隣は空席。
 となればその山の創作者は、この少女と言う事になるのだろうか……
 猫衛門は頭を横に振り、そんなはずはないと否定する。
 もし仮に、あの少女があれほどの量を食べることができたとしよう。
 しかしあのスピードであれほどの量を食べたとなると、昼ごろからこの店に居たことになる。となるとこの少女は別に夢いでも何でもないごく普通のラーメン屋のごく普通のラーメンを食べるためだけにわざわざ学校を抜けだして来た、ということになる。
 まさかそんなはずはないだろう。そこまでお腹がすいていたら、学校を休むはずだ。
 激しい空腹感に苛まれながら、猫衛門は、必死に思考を巡らせる。少女の無実を晴らすため。とはいえ別に、学校をサボったくらいで罪に問われたりはしないのだけれど。
 そうこうしているうちに、ラーメン屋の戸が、壊れそうなくらい大きな音を立てて勢いよく開いた。
 そこに立つ、その大きな人影の正体に気付いた二人は、息を呑んだ。

Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.17 )
日時: 2015/06/22 22:43
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: JEeSibFs)

「お前らまさか、学校帰りにラーメン屋に寄ったりなんて、してないだろうな? その下に制服とか、着てないだろうな?」
 先生は、否定を許さない鬼の形相で、二人を睨みつける。
『は、はい………』
 二人は、そう答えざるをえなかった。


 案の定、一瞬でバレた。そして二人は学校まで引きずられ、そのまま生徒指導室へと連行された。
 二人が二時間以上にもわたる説教から解放されたころにはもう、辺りは闇夜に包まれていた。
「……すまんな。説教が長引いてしまった。出来れば二人を家まで送り届けてやりたいところだが、都合上それも無理だ。猫衛門、これを貸してやる」
 そう言って先生は、鞘に納められた棒を猫衛門に渡す。
「何ですかこれ。刀?」
「まぁ、防犯グッズみたいなもんだ。それを鞘から抜くと、大音量のブザーと強烈な光で周囲に危険を知らせることができる」
「何だ。そういうことですか……」
 猫衛門は、この暗がりでもわかるほど、あからさまにがっくりと肩を落とした。
「当たり前だ。アニメや漫画じゃないんだぞ。お前にそんなもの、渡すわけがないだろう」
「でもこれじゃあ、もし前みたいに悪い人たちに囲まれたとき、どうすればいいんですか?」
 ヨハネスが不安そうな顔で問う。
「なぁに心配するな。確かにそれに人を傷つける力などない。が、正しく使えばその辺の不良たちぐらい簡単に振り切れる。猫衛門、お前がもし、あの時より強くなっていれば、お前には、ヨハネスを守ることができる。だがもし、お前があの時のように弱いままならば、誰も守ることはできない。本当の目的を見失うな。わかったな?」


 先生はそれだけ言うと、立ち去った。それ以上猫衛門に質問させる暇を与えてくれなかった。
 猫衛門にはわからなかった。先生が、果たして何をしたいのか。先生が、猫衛門に何を期待しているのか。
 あの時とは一体いつのことなのか。何も分からなかった。
 ただ先生が、わざと要領を得ず、核心に迫ることを避けるような、まわりくどい言い方をしてきた理由はわかっていた。
 要するに、答えは自分で探せ、そう言いたいんだろう。
 だけど今の僕に、それができるのだろうか。猫衛門は考える。
 大体、ただでさえ負けてばかりだっていうのに、退院したばかりの自分に何ができるっていうんだ。
 今の自分では、横を歩く女の子ですら、守ることはできないだろう。そんな風に思うのだ。
「僕、男なんだけどな……」
「え?」
 突如ヨハネスから発せられたその言葉に、猫衛門は、驚きを隠せなかった。
 独りごとをうっかり聞かれてしまったこと以上に、横を歩くこの人物が、男だという事実に。
 二人の間に気まずい空気が流れだす。物語終盤に今更聞かされた衝撃の事実。猫衛門は、知らぬが仏ということわざを、今まで以上に痛感した。
 さて、どうしたものか。独りごとを聞かれてしまった以上、もう言い訳は通用しない。かといって、ここで開き直ってあっけらかんと笑い飛ばせるほど、猫衛門の器は大きくなかった。
「……し、知らなかった、で、ござる」
「…………」
 二人の間に再び気まずい沈黙が訪れる。滑った。完全に滑った。
 猫衛門がとっさに思いついた渾身のギャグは、もはやこれ以上ないくらいに、滑ってしまった。
 終わった。もう終わりだ。もう駄目だ。諦めよう。僕らの間に会話の花が咲くことは、もう二度とないだろう。猫衛門は、自らの終わりを悟った。
 しかしこの物語はまだまだ続く。

Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.18 )
日時: 2015/06/22 22:58
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

全州明さんへ
あちゃー、ふたりとも先生に見つかってしまいましたねー!
そして先生から渡された撃退用アイテムの刀。続けて明かされるヨハネスが男だったという衝撃の事実!おおっ、このときのやりとりから、徐々に川村が侍口調に変化していくのですね。

Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.19 )
日時: 2015/07/08 17:57
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: 0Yt9//Ku)

モンブラン博士へ

物語は終わりにさしかかっております。もうじき全ての伏線が回収されます。……多分。

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 あれからしばらく経った。幸か不幸か、この沈黙を破る者が、現れることは無かった。夜の静寂は、しかし、不気味すぎるほどだった。街灯のおかげで、かろうじて道なりに歩くことはできるものの、いつまで経っても塀だらけ。同じような風景がどこまでも続いている。どうやら迷ってしまったらしい。不安が募り、猫衛門はキョロキョロと辺りの様子を覗うも、誰もいない。まるでこの世界で二人だけ取り残されてしまったように。
 そんな時背後から、足音が近づいて来た。それは前方からも聞こえてくる。後方が一つなのに対し、前方からは複数聞こえてくる。ヨハネスは脅え、猫衛門の腕にすがりつく。猫衛門は足を止め、刀に手をかけ身構える。
 前方から、乱れ、薄汚れた制服を来た、不良たちが現れる。後方では、サングラスに、ホストの様な華やかな衣服を身に纏った人物が、退路を塞いでいた。
 この刀に、人を傷つける力などないけれど、今度こそ、勝てるだろうか。
 猫衛門は、右手で柄を強く握りしめ、後方の、小柄なホスト風の男に、狙いを定める。
 ———あいつ一人くらいなら、勝てるかもしれない。
 刀が偽物であることも忘れ、鞘から引き抜こうとしたその刹那。
「猫衛門君……」
 ヨハネスが、目に涙を浮かべ、掠れた声をあげた。
 その声に、猫衛門は一旦頭を冷やし、敵を冷静に観察する。
 そして猫衛門は気がついた。後ろのいかつい不良たちに目の前のホスト風の男を入れると、全部で十二人はいる。彼らはどう見ても仲間だ。なのに、制服の不良たちが十一人いるのに対し、このホスト風の男は一人、たった一人で退路を塞いでいる。明らかに、比率がおかしい。
 普通二手に分かれるならば、できるだけ均等にするはずだ。なのにこの男は一人、悠然と佇んでいる。これは、この男一人で普通の不良十一人分に匹敵する自信がある証拠だ。
 しかし、小柄でひ弱そうなこの男が、それほどの力を有しているようには見えない。ということは、まさか、この男は。猫衛門は顔を上げ、男をじっくりと観察する。
 ホスト風の男は、右ポケットに手を入れたまま突っ立っている。その口元には強者の笑みが浮かんでいるものの、どこか引きつっており、額には、脂汗が滲んでいた。一見悠然としているようで、体全体が、微かに、小刻みに揺れている。
 男は、自信に満ち溢れながらも、緊張していた。なぜだろう。何か、胸騒ぎがする。
 この男は危険だ。そんな気がする。


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