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- 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【感想募集!】
- 日時: 2016/07/23 20:29
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
初めに
本作はモンブラン博士のリクエストにより、モンブラン博士のオリジナルキャラクター五人全員を登場させる短編集となっております。そのため、パクリ、盗作等では決してありません。
目次
第一話『最弱、故に最強。』 >>01 >>04-05 >>9-11 >>14-23
感想 >>02
第二話『他人の不幸は蜜の味』 >>26-27 >>30-33 >>35-42
第三話『不動の意志』 >>43-46 >>49-53 >>55-74
※注意
・作品の内容によっては、登場キャラの口調や設定が、一部異なっている場合があります。
・本作は二次創作です。そのため、本家様とは作風が異なります。
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- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【千回突破!!】 ( No.65 )
- 日時: 2016/07/10 08:38
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
*
早美が髪をがばりと掻き上げると、不動は失念していたその正体に思い至った。
「そうか、お前は————」
「ふん、やっと気が付いたか。俺は昔、繁華街最強として名を連ねたホストだった」
無論、最強なのは集客力ではなく戦闘力の方である。当時の早美はそのあまりの目つきの悪さに控えめに言って人気が無かった。
「そして今は、〝都心〟最強の連絡員だ!」
「何!?」
一直線に駆けてきたかに見えた早美が、衝突寸前で消える。
「ぐっ!!」
直後、不動の右肩に激痛が走った。慣れない感覚に、堪らず呻き声が漏れる。
「ふっ、お前の肌に並の武器が通らないことぐらい、調査済みだ」
言いながら、早美が背後に着地する。その左手には、いつの間にか朱色に発光するサバイバルナイフが握られていた。早美がそれを振るうと、熱風が空を切った。
不動が手探りで傷口を確認すると、血は出ておらず、窪みが出来たままかさぶたのように固まっていた。
「そんなものを使わなければ、俺に勝てないか?」
安い手だが、自信過剰なナルシストほどこの手の挑発に弱い。
「悪いか。何せお前は、〝世界〟最強何だろう?」
が、早美に関してそれは例外だった。彼の自信は堅く揺るぎない。
「あぁ、……そうだ」
待ち受けているであろう瞑王との戦いに少しでも体力を残しておきたい不動だったが、やはり頭脳戦は性に合わないようだ。例によって実力行使に出ることにした。
「はああぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぁぁっ!!!!」
予想外だったのか避け切れず、不動の突進は早美の半身を掠めた。
「ぐはっ!!」
それだけで早美の体は回転がかって宙を舞う。何とか片手を地に突いて逆回りに飛び上がり着地するものの、反動を殺し切れない。それでも早美は頑なに、余裕の笑みを崩さなかった。
「ふん、やはりか。今のお前は、最強とは程遠い!」
そして、あろうことかサバイバルナイフを見せつけるようにして投げ捨てる。
刹那、早美の拳が不動の首元に襲い掛かる。
「っ!! どういう意味だ!」
不動はそれを背後に飛び去って躱し、汗ばんだ口元を拭った。
「データ通り筋力や動体視力の低下が著しい上に、精神の動揺も大きい。————つまるところ、俺の勝ちだ!!」
タイルが砕けるほど踏み込んで、早美は急激に加速する。そして衝突すれすれで跳ね、不動の頭上に飛び上がる。————が、その足首を捕らえる厚い掌があった。
「何だとっ!?」
振り返ると、純白の壁が迫っていた。
首から上がタイルの床に埋まった早美総一郎を尻目に、不動は上の階へ続く階段を探す。しかし、白で埋め尽くされたこの部屋で、それを見つけることは困難を極めた(念のため白色に塗りたくられていた)。
いっそ天井を突き破ろうかと頭上を見上げた不動の耳に、瓦礫を掻き分ける音が響く。
「ごほっ!! ……やはり、以前より弱体化具合が顕著だな」
己の目を疑う不動を前に、早美は元通り余裕の笑みで佇む。
「徹夜で選曲した甲斐があった」
「どういうことだ!?」
「お前のことなど調査済みだ。何度も言わせるな。お前、J-POP、本当は好きでたまらないんだろ」
早美は息をつまらせながら滔々と語る。
「お前の精神シュミレーターで細部まで検証したんだが、お前はどうも敢えて自分を好きなものから遠ざけ、嫌いなものを間近に置くことで心身を鍛えあげたらしいな。結果、最強になるころには〝好き〟と〝嫌い〟が反転してしまった」
「……」
「誰か、大切な人でも失ったのか、不動?」
「……」
不動は答えない。ただ、開き切り充血した瞳は、怒りの炎に震えていた。
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ ( No.66 )
- 日時: 2016/07/10 10:10
- 名前: モンブラン博士 (ID: EBP//tx7)
不動が好きなものと嫌いなものが逆転したとは驚きました。
どうやら敵は不動を激怒させてしまったようですが、これはもう敵の敗北フラグですね……瞑王との決戦も残っていますし、これからが楽しみです!
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【千回突破!!】 ( No.67 )
- 日時: 2016/07/17 17:34
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
「お前に、俺や、都心で働く人々の気持ちが分かるかっ!!」
「分からないな。……興味もない。俺に分かるのはただ、お前に勝つと言う事だけだ」
「それは、————どうだろうな?」
不動が意味ありげな視線を返し、早美が顔を曇らせる。そして少しの沈黙の後、
J-POPが止んだ。
「おいっ! ジュン、ジャック。J-POPはどうした!?」
慌てて無線機を取り出す早美。しかし、一向に繋がる気配が無い。
「お前の負けだ。早美」
音もなく現れた丸太の如き拳は、数センチ手前の空を掠めた。
「ぐぅあぁっ!!」
が、早美が無事であるはずがない。数十メートル先の床に投げ出され、全身を強く打ち付けた。抉れて捲れ上がったタイルに埋もれ、立ち上がることもできぬまま、早美は何も無い天井に叫ぶ。
「瞑王を呼び戻せっ!!」
その声は、微かに震えていた。
早美を問いただそうと歩む不動の足を、背後の轟音が止めた。
振り返ると、不動に勝るとも劣らぬ〝気配〟が、そこにはあった。
不動瞑王である。
「……」
不動は、口にすべき言葉が分からなかった。無論それは、恐れ戦いたからではない。驚いたからである。世間が自分と勘違いしているはずの、そのクローンの姿に。
顔は焦げた息を吐く鈍色のマスクに隠れ、上半身には怪しげに光るパワードスーツのような装備を着、下半身はいやに真新しい鎧で覆われていた。目元にはめ込まれた赤いレンズの下に眠る双眸は、どんな面持ちなのだろう。
「お前が、俺のクローン、なのか……?」
瞑王は、息苦しそうな吐息で返す。
「世間は、お前と間違えているのか?」
不動は、人々という者たちが、空恐ろしくなった。
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モンブラン博士へ
コメントありがとうございます!
お察しの通り早美の負けです。J-POPが止まなくても結果は変わらなかったでしょうね。
ちなみに早美は『最弱、故に最強。』に出て来たホスト風の男だったりします。どなたか気付きましたか?
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【千回突破!!】 ( No.68 )
- 日時: 2016/07/11 07:16
- 名前: モンブラン博士 (ID: EBP//tx7)
早美がホスト風の男だったとは全く気が付きませんでしたが、何より驚いたのが瞑王の姿です。クローンなのに全然似ていないうえに、どこかしらダースベイダーというかベインのような不気味さ恐ろしさを感じます。
これが人々の不動に対するイメージなんですね。でも彼は確かに怖いのでそんな感じになるのもわかる気がします。
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【千回突破!!】 ( No.69 )
- 日時: 2016/07/16 14:07
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
瞑王の放った拳を不動が片腕で弾いたのを合図に、壮絶な攻防戦が展開した。鉄さえも溶け落ちるような熱気に包まれ双方の拳がいくつもの残像となってぶつかり弾き合う。素人目には分からない程僅差だが、不動がわずかに優勢だった。何より受けるダメージが違う。
……このまま押し切れば勝てる。
開始数秒の手ごたえでそう確信していた。が、不動はどうしても決め手となる一撃を繰り出せない。敵の足元が揺らぎ始めている今、敢えて持久戦に持ち込まずとも勝てる。だがそれは、瞑王の装備が本来の力を抑えつけているからだ。
そんな先入観が脳内に染み付き、葛藤となって渦を巻く。
最終的に不動は、今頃こちらへ向かっているであろう元連絡員の男に問題を丸投げすることで精神的不安を和らげた。今はただ、待っていればいいと。
————ところで、お忘れではないだろうか。現在元連絡員の男は現在うっかり座ったペンキ塗りたてのベンチに貼りついてしまった衣服と格闘中なのである。彼にはJ-POPを止める暇も不動の元へ向かう余裕もないのだ。無論、このまま待っていても彼は来ない。
来るのは、J-POPを止めた、別の誰かである。
「不動さんっ!!」
声のした方を振り返ると、一人の小柄な少年がいた。首のあたりまでかかるふんわりと柔らかな金髪に、切れ長の水色の瞳。そして雪と見紛うような白い肌。誰あろう、————アップル=ガブリエルだ。
「何故お前がここにいる!?」
片腕で瞑王の攻撃を防ぎつつ半身で振り返る。不動でさえぎりぎりの離れ業だ。
「説明は後で! どいて下さいっ!!」
不動が瞑王の前からどくよりも早く、脇を小さな頭がくぐり抜けた。
それはしなやかな金の糸を振り乱しながら駆けていくと、衝突寸前に飛躍し、瞑王の頭上を跨いだ。————奇しくもそれは、早美と同じ戦法だった。
そして数メートル先に着地すると素早く踵を返し、ガブリエルは瞑王の背後にひた走る。
「たああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
その手には、いつの間にか巨大な鍵のようなものが握られている。
「何をする気だ?」
「離れてっ!!」
ガブリエルが瞑王の背中に消えた直後、強烈な光を発した凄まじい爆風が辺り一帯を包んだ。
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コメントありがとうございます。
今回、アップル=ガブリエルを登場させたわけですが、口調は問題ないでしょうか?
瞑王の姿については後々わかってきます。お楽しみに。
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