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- 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【感想募集!】
- 日時: 2016/07/23 20:29
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
初めに
本作はモンブラン博士のリクエストにより、モンブラン博士のオリジナルキャラクター五人全員を登場させる短編集となっております。そのため、パクリ、盗作等では決してありません。
目次
第一話『最弱、故に最強。』 >>01 >>04-05 >>9-11 >>14-23
感想 >>02
第二話『他人の不幸は蜜の味』 >>26-27 >>30-33 >>35-42
第三話『不動の意志』 >>43-46 >>49-53 >>55-74
※注意
・作品の内容によっては、登場キャラの口調や設定が、一部異なっている場合があります。
・本作は二次創作です。そのため、本家様とは作風が異なります。
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- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.10 )
- 日時: 2015/07/08 21:55
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: JEeSibFs)
「……まぁ何にしても、もう悠聖のことはもう、心配するな」
「え?」
「アイツは、転校することになった。他県の学校にな。両親が、かなり世間体を気にする人たちでな」
先生は、近くにあった、背の低い椅子に腰かけて、棚の上にバスケットを置いた。
そして小さく溜め息をついてから、言った。
「……だから、復讐の復讐なんて、馬鹿な真似はするんじゃないぞ?」
猫衛門の目を見据えて、はっきりと。
「でも僕は、あいつらに勝ちたいです」
「無理だ。集団相手に勝ち目は無い。それに悠聖の連れて来た奴ら、アイツらは、人を平気で傷つける、そんな奴らだ。喧嘩慣れしている上に、近隣の暴力団とも繋がりがある。二度と関わらない方がいい」
先生は、手に取ったリンゴを剥きながら、当たり前のように言った。冷たい声だった。
「でも先生は………勝ったじゃないですか。僕の目の前で、高校生くらいの集団を、追い払って見せたじゃないですか」
「いいや。俺は勝ってない。俺はただ、一人の教師として、危険にさらされた生徒を助けただけだ。あれを勝ちとは言わない。そもそも、戦ってすらいないのだからな」
そうだ、そうだった。猫衛門は思い出す。確かにあの時先生は、戦っていない。力など、振るっていない。ただ突っ立って、大声をあげた。それだけだった。
「いいか川村。勝つことを目的とするな。でなければ何も守れない。わかったな」
先生は語尾を強め、否定を許さな言い方をした。猫衛門は、頷きざるを得なかった。
猫衛門は頭の中で、その言葉を何度も反芻してみたが、今はまだ、よくわからなかった。勝たないで、どうやって大切なものを守るんだ。そんな風に思った。
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.11 )
- 日時: 2015/06/04 21:29
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: JEeSibFs)
次に先生が見舞いに来たのは、退院する前日のことだった。
「先生、これから僕は、どうやって強くなればいいんですか?」
開口一番に、猫衛門は先生に尋ねた。
「お前は、どうしてそんなに強くなりたいんだ?」
先生は逆に質問されて、猫衛門は戸惑い、少し考えてから、答えた。
「だって僕は、弱いから。だから、悪い奴を、気に入らない奴を、倒せずに、黙って見過ごすことしかできないんです。立ち向かっても、勝てたことなんてないし…… 先生、僕は正義を貫き通したいんですよ。悪い奴らを、懲らしめてやりたいんですよ」
「………そうか。だがな川村。それは正義じゃない。エゴだ。お前の自己満足だ。悪い奴らを倒したらそれで、そいつらはもう、悪いことをしなくなるのか? 誰も苛められなくなるのか? 俺はそうは思わない。悪い奴らは倒すだけじゃ反省なんてしないし、イジメも、ただターゲットが変わるだけだと思うぞ」
「じゃあどうすれば……!!」
「困ってる人を助けろ、大切な人を救え。それが本当の正義だ。やられたからやり返したって、何も解決しない。何の意味もないんだ」
猫衛門は、納得がいかなかった。先生とは、波長が合わないんだと思った。
自分が間違ってるなんて、考えもしないままに、退院した。
怪我は、跡かたもなく消え去っていた。学校ではたくさんの人に心配されて、声を掛けられたけれど、猫衛門は今、そんなことに構っている場合ではなかった。
強くなりたい。頭の中は、そのことで一杯だった。
悠聖たちに、抵抗できずに大怪我を負わされて、その想いは、より一層強くなっていた。
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.12 )
- 日時: 2015/06/05 15:22
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
先生いい事言いますね。ですが、川村にはその思いは届いていないようで……ヨハネスがどうなったかも気になります!
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.13 )
- 日時: 2015/06/07 18:59
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: JEeSibFs)
コメントありがとうございます。次回はコメディ・ライト提示板らしい内容にする予定です。
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【百回突破!】 ( No.14 )
- 日時: 2015/06/13 17:29
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: JEeSibFs)
放課後になり、荷物をまとめて校門に出ると、今日も先生が目を光らせていた。
猫衛門が帰宅途中に襲われたことを受け、学校側は、再発防止のため、校門の前に、常に先生を配置することにした。屈強で筋肉質な体育担当の先生が、その仕事を受け持つことになった。理由は、人を呼ばずとも、一人で対処できるからである。おかげであれ以来、大きな事件は起きていないと言う。
体育担当の先生、と言うのは、猫衛門にいろいろと教えてくれて、入院中もお見舞いに来てくれた、あの先生のことなのだが、猫衛門は、なぜだか声を掛けるのを憚られ、何も言わずに通り過ぎる。急ぎの用もあった。
というのも、牢屋の飯が臭いなら、病院の飯は無味無臭なのである。要するに味が無く低カロリーで、歯ごたえも、無に等しいと言える。故に猫衛門は入院中、常に腹をすかせていた。
しかし、その空腹感とも、不完全燃焼とも、今日でおさらばだ。猫衛門の足は、近くのラーメン屋へと向かっていた。
猫衛門の学校は、帰宅中の寄り道を校則で禁じている。故に、店員に顔を覚えられる前に、声を掛けられる前に、早急に、食べ終える必要がある。
ラーメン屋の入口まで来たのはいいものの、その二つの試練に挑むには、相当な覚悟が必要だった。腹をくくる、というほどでもないが、先生たちに見つかれば、ただではすまされない。
最悪停学だ。ただでさえ長期の入院で、授業日数が極端に少ないと言うのに、その上そんなことになれば、全ての教科の成績に、大打撃を与えることになる。当然進路にも響くだろうし、テストにも響くだろう。授業ほど、効率のいい勉強はないのだ。
しかし猫衛門は、今更引き返すわけには行かなかった。
事態は急を要するのだ。この空腹感では、多分、家まで持たない。今でさえ、道端の草がキャベツやレタスに見えてきてしまうと言うのに。そのうち通行人さえも、大根や人参と見間違えてしまうかもしれない。
連想される食べ物が、全て野菜であることから、猫衛門が入院中、ほとんど野菜しかありつけなかったことが伺える。草食系男子と言う奴だ。
そんな猫衛門である。先程も述べた通り、野菜以外の食べ物は、あまり覚えていない。野菜ばかり食べさせられて、腹も満たされず、うまく頭が働いていないのかもしれない。
そんな状態で、いきなりラーメンを食べるとなると、まず間違いなく腹をこわすことになるだろう。しかし猫衛門は、この時、完全に失念していた。
覚悟を決めて、入口の戸を勢いよ開ける———場面を脳内で想像し、実際は音を立てないように、まるで泥棒のように、ゆっくりと、ゆっくりと、戸を開く。わずかに出来た隙間に体を滑りこませ、店内へと侵入する。俯いて、店員や客と、目を合わせないよう心がける。
制服は、デパートで買ったカーディガンを着ることにより校章が見えないよう配慮してある。
対策は万全だ。あとは人目につかないカウンター席を選ぶだけ。混みあった、狭い店内の中で視線を巡らせていると、場違いな、サラサラの金髪が目に止まった。
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