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【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【感想募集!】
日時: 2016/07/23 20:29
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)

初めに

本作はモンブラン博士のリクエストにより、モンブラン博士のオリジナルキャラクター五人全員を登場させる短編集となっております。そのため、パクリ、盗作等では決してありません。

目次

第一話『最弱、故に最強。』 >>01 >>04-05 >>9-11 >>14-23

感想 >>02

第二話『他人の不幸は蜜の味』 >>26-27 >>30-33 >>35-42

第三話『不動の意志』 >>43-46 >>49-53 >>55-74

※注意

・作品の内容によっては、登場キャラの口調や設定が、一部異なっている場合があります。
・本作は二次創作です。そのため、本家様とは作風が異なります。

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Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【八百回突破!】 ( No.55 )
日時: 2016/05/14 11:56
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)

コメントありがとうございます。
次回はいよいよ不動仁王の出番です!(多分)
最近は週一のペースでしか書けていませんが、どうか気長にお待ちください。

—————————————————————————————————


「コイツしか、いないのか?」
「はい」
 数秒の思案の末に、早身は重々しい雰囲気を携えて口を開いた。
「……ジャック」
「なんでしょう」
「——————————————これでいこう」
「いやだめだろ」
 即座に社長の突っ込みが入る。
「しかしっ! この性格ならまず裏切らないかと……」
「いや正義感強すぎてあっちにつかれたらどうするの。不動二号になっちゃうよ」
「そのことなんですがね社長、実はこの固体、まだ不動仁王の半分程の力しか有していないのですよ」
「そうか、なら仕方ないな」
「言っておくけど、この性格じゃあどのみち却下だからね!?」

           *

 しばしの混沌と静寂の後、三人は場の空気をあの場に置き去りにして、会議室にて今後の計画について話し合うことにした。
「————で、どうするんだい?」
「現状最新型である〝不動盟王〟はオリジナルの半分程度の力しか出せない上、性格上敵に回る危険性があります。よって、ただちに処分すべきかと」
「へへぇ」
 殿に平伏す家来のごとく、ジャックは深々と頭を下げる。
「それと〝不動二号〟という言い回しは著作権的にあれなので、今後は使用しない方向で」
「「異議なし」」
 即座に意見がまとまる。
「それでジャック君、どうしてオリジナルの半分しか再現できなかったのかは分かっているのかい?」
「へぇ、おそらくオリジナルの鍛え方を再現しなかったのが原因かと」
「なるほど。遺伝子が同じなら、後は鍛え方さえ再現することができれば……」
「オリジナルと同等の固体を造ることができる、ということかい?」
「恐らくは」
「でも、どうやって?」
「お忘れですか社長。我らが傭兵部隊、JJJ48を」
 言いながら早美は、どこからか取り出した無線に向かって声を張り上げた。
「総員、ただちに会議室に集合しろ!!」

Re: 【不動の意志】 第二話 「不動VS」 ( No.56 )
日時: 2016/06/06 22:08
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)

 第二話 「不動VS」


「待て!! 悪はそこまでだ! 不動!!」
 公園に呼び出された不動仁王を待ち受けていたのは、三人の傭兵達だった。
「灼熱の如き情熱っ! 赤きリーダー、ジョイレッド!!」
「新緑の如き思想っ! 緑の背徳者、ジェイグリーン!!」
「河川の如き俊足っ! 青き英雄、ジャスブルー」
「「「三人合わせて、傭兵戦隊 J・three!!!」」」
 赤、緑、青という何となくパッとしない三色の戦闘服を身に纏った彼らは、閉口一番そう叫び、そして、不動が無言で振るった拳によって、早くも一人が吹き飛んだ。
「「ジェイグリーン!!」」
 ジェイグリーンはその最後を残りの二人が見届けるよりも先に十数メートル先の植え木に突っ込んで消えた。
「よくもジェイグリーンを————うわっ!!」
 そしてこれまた無言で振るわれた拳をジョイレッドは後退りすれすれで躱す。だが直後に巻き起こった風に、反撃の機会を失い体勢を保つことさえ困難になる。
「甘いっ! 俺の俊足をなめるなっ!!」
 一方ジャスブルーは不動の脇の下をくぐりぬけ、がら空きの背後を捉えていた。
「ぐはぁっ!」
 が、余計な声を上げたせいで気付かれ、振り返り際の肘鉄で地面に叩きつけられた。
 無論地面には一瞬にしてバトル漫画顔負けの大穴ができ、ジャスブルーはその中央奥深くに膝から上が埋まった。
「くそぉっ! 一時撤退だ!!」
 一人寂しく声を上げ、ジョイレッドは踵を返して駆け出した。はずだった————
「あ、あれ……?」
 突如街の景色が空に切り変わり、背中を冷たい風が吹き抜ける。
「ぉぉおおおおぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
 地の底から響き渡るような咆哮がジョイレッドを包み込み、空が、右から左へと高速で旋回する。
「ぎゃああああぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
 ジョイレッドがようやく気付いたころには時既に遅く、不動はハンマー投げの要領でジョイレッドを遥か彼方へ放り投げた。
 にも関わらず、ジョイレッドは放物線を描くことなく一直線に空、或いはその向こうへと飛んで行った。比喩でなく、星になったわけである。

Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【八百回突破!】 ( No.57 )
日時: 2016/05/17 14:55
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)


           *

「なぁにぃーーーーーーーーーーー!! 不動に一言も喋らせないうちにやられただとぉ!?」
 帰って来た偵察部隊の報告は、早美さえ絶叫させるほど悲惨なものだった。
「あの〝悪はそこまでだ!〟は?」
 社長に尋ねられ、偵察部隊隊長、ジェーンは光栄とばかりに敬礼しつつ、淡々と答えた。
「あれはジョイレッドの台詞です」
「紛らわしいわっ!!」
 社長たち三人は偵察部隊が持ち込んだ無線越しにしか戦いの様子が窺えなかったため、てっきり普通の会話程度なら不動は何かしら喋っているだろうと思っていたのである。
 だが実際は、名乗った直後に次々とやられていくJ・threeたちの情けない断末魔と、偵察部隊が命がけで撤退する足音や息遣いで全てだった。
「次回からは可能な限り映像付きで頼む。以上だ」
 未だ額に冷や汗をかきながらも、早美総一郎は平静を装って指示する。
「了解です」
 ジェーンを含む偵察部隊全員が一斉に敬礼をし、足早に会議室を出て行くと、三人の誰ともなしに盛大な溜め息が漏れた。
「どうなってるんだ、早美君。君の言う通りなら今頃は不動の何かしらの音声データが取れていて、それを分析することで不動の性格や思想のサンプルが手に入っているはずなんだろう?」
「えぇ、そのはずだったのですが……」
 戦闘兼囮役と偵察部隊の二班に分かれ、戦闘兼囮役が不動との会話及び戦闘を試み、その様子を偵察部隊が録音、及び文章により記録することで性格や思想、攻撃パターンなどを分析するというのが、今回の作戦の目的だった(映像はカメラのレンズの反射によって怪しまれる恐れがあったため、撮れなかった)。
「それにしても、少々不自然じゃあありやせんでしたか?」
「というと?」
 社長が聞き返すと、ジャックはまた得意げそうに笑い、続けた。
「わたしには、どうにも不動がわざと喋らないようにしていると思えたんですがね」
「それは、一体……?」
「不動に内通者がいるということか?」
「へぇ、絶対とは、言い切れんのですがねぇ」
 ジャックのどこか煮え切らない推測が正しいことに、この時点ではまだ、誰も気付いていなかった。

Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【九百回突破!】 ( No.58 )
日時: 2016/05/26 21:14
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)

「俺の言った通りだったろう?」
 不動が静かになった公園の公衆トイレの前を通り過ぎると、待ち構えていた黒ずくめの男が壁から背を離し、不動の背中に声を掛けた。
「あぁ。だが、お前は、……一体何者だ?」
 不動がその鋭い眼光で睨みをきかせると、男はフードを目深に被って目を逸らす。
「なぁに、俺は、しがない元連絡員さ」
 男は自分なりに精一杯恰好つけようと試みたが、風で飛んできた新聞紙がその決め顔被さり、全てが台無しになる。
「なぜ俺に味方する?」
「ある男に、復讐がしたくてね」
「……そうか」
 それだけ聞くと、不動は興味を失ったように音もなく速足で立ち去っていった。

           *

『こちら第一迎撃部隊ジロウ。100m先に目標を発見。まもなく肉眼で確認できる距離に到達し———』
 通信は、そこで途絶えた。
「また駄目だったのかい?」
「へぇ、そのようでございます」
「不動に近付き過ぎたか……」
 作戦開始から四日も経たないうちに、送り込んだ部隊が全滅しても誰も驚かなくなった。そして、一週間が経つ頃には三人の脳内に〝通信が途絶えた=全滅〟という最悪の等式が出来上がっていた。
「早美君、いくらJJJ48と言えどこのままじゃあ兵力を維持できないんじゃないかい? ジョイレッド君も、まだ見つかってないんだろ」
「はい。ジェイグリーンは全治三カ月の入院、ジャスブルーに至っては、もはや再起不能の状態です。このままこの作戦を続ければ、内部から反感をかいかねません。ですが他に方法が無い以上、このまま続けるしか……」
「総一郎様!!」
 唐突に素っ頓狂な声を上げたのは、先程からろくに会話に参加せずパソコンをいじっていたジャックだった。
「どうした?」
「不動の弱点を見つけました!」
「本当かい?」
「どうやって見つけた!」
「へへ、まぁそう焦らずに。————こちらの映像を見て下さい」

Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【九百回突破!】 ( No.59 )
日時: 2016/06/02 18:34
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)

 ジャックがパソコンの画面をこちらへ向け、ひょろ長い指でスペースキーを叩くと公園の監視カメラらしき映像が流れ出した。いくら不動と言えど、公共仕様の監視カメラにはうかつに手を出せないのだ。
「これは?」
「へへ、先日の、不動VSジュンの映像でございます」
「ジュン? あのラップしながらブレイクダンスでトリッキーな戦闘をする————」
 早美が言い終わらないうちに、映像の中のジュンは自慢のラップを披露し始めた瞬間塀代わりの植え木に突っ込んで消えた。ブレイクダンスにいたっては、出だしさえ映ることは無かった。不動の姿も、この位置からでは窺えない。
「どうです?」
 が、ジャックは依然として得意げだ。
「本当に、この映像で合っているのかい?」
「へぇ、間違いありやせん」
「いつもより破壊力に欠けるな。ジュンが飛ばされた高度も低い」
「さすがは総一郎様っ! 全く持ってその通りでございます!!」
 そう言われると、確かにそうだ。ジェイグリーンの時は同じ植え木でもニ、三メートル程の背丈がある木の先端付近に突っ込んだのに対し、ジュンはあって四、五十センチの塀代わりの植え木の根元に突っ込んだ。そしてジェイグリーンの突っ込んだ木は四十五度傾き、先日の強風でぽっきり折れたというのに、この小ぢんまりとした植え木は枝が折れた程度だ。
 それでも数日で枯れてしまうような致命傷だろうが、ジェイグリーンの時と同じ威力で飛ばされたならば、根元からごっそり無くなっていたことだろう。
「なるほど。以前と比べると著しく弱体化しているわけだね……」
「へぇ、この状態の不動なら、或いは現状のクローンたちでも倒せるやもしれませんですはい」
「————調べる価値は、あるな」
 早美は懐からおもむろに無線を取り出すと、既に外に居るのか、木々のざわめく音がするマイクへ呼び掛けた。
「総員、一時撤退。会議室へ」


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