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- 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【感想募集!】
- 日時: 2016/07/23 20:29
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
初めに
本作はモンブラン博士のリクエストにより、モンブラン博士のオリジナルキャラクター五人全員を登場させる短編集となっております。そのため、パクリ、盗作等では決してありません。
目次
第一話『最弱、故に最強。』 >>01 >>04-05 >>9-11 >>14-23
感想 >>02
第二話『他人の不幸は蜜の味』 >>26-27 >>30-33 >>35-42
第三話『不動の意志』 >>43-46 >>49-53 >>55-74
※注意
・作品の内容によっては、登場キャラの口調や設定が、一部異なっている場合があります。
・本作は二次創作です。そのため、本家様とは作風が異なります。
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- Re: ザ・オールスターズ【七百五十回突破!】 ( No.50 )
- 日時: 2016/04/28 22:21
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
「早美君、一体誰なんだい? この男は……」
「JJJ48唯一の非戦闘員、ジャックです」
「JJJ、48? ———近頃のあいどるぐるーぷとやらかい?」
「いいえ。三カ月前に雇った傭兵部隊です」
「傭兵部隊?」
ようやく比較的聞き慣れた言葉が出たのも束の間、日々軍事力となる悪の集団を育成するこの秘密結社に、〝傭兵〟など不要であることは火を見るより明らかなはずである。
「えぇ。我らが秘密結社で育成している兵隊たちは、皆我ら独自の訓練法と、それを基盤とした作戦行動をしています。そのため今や街で行進するだけでも我らの軍隊を一度でも見たことのある者、特に〝不動〟には目撃されただけで勘付かれる可能性があるため、私の独断で急遽雇いました」
「なるほど……」
言いながら社長は、一瞬でも早美を疑ったことを恥じた。
「それで、ジャック、例の奴はどうなってる?」
「へぇ、こちらです」
ジャックが左の通路に手を差し伸べながら横を向くと、背丈が低いのではなく、背中が極端に曲がっているのだと分かる。社長はその歪な姿にしばらく見入っていると、歩き出したジャックを背に、早美が不思議そうに振り返ってきた。
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない。……案内してくれ」
社長は一瞬遅れて我に返ると、慌てて二人へ追いついた。ジャックはその間、一度も立ち止まっていないと言うのに、大して進んでいなかった。杖こそついていないものの、ジャックは、曲がった腰のせいで酷く歩きづらいようだった。
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【八百回突破!】 ( No.51 )
- 日時: 2016/04/29 12:21
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
通路の突き当たりにある厚い鋼鉄製の扉には、南京錠や鍵穴が至る所にあり、厳重なセキュリティが敷かれていた。それらを力任せに一つずつ壊して行くにしても、二、三時間は要するだろう。
「また随分と念入りだねぇ」
「へぇ、不動には絶対に破れない構造です」
「ん? それは……」
「———前後左右全ての方向に設置されているバネが衝撃をほぼ同じ威力で跳ね返すよう設計されているんですよ」
社長が疑問を呈する前に、早美が瞬時に口を開く。
「わっ!」
扉の淵から前触れなく噴き出した白煙に、驚き飛び退いたのは社長だけだった。
早美が社長の手を取って助け起こしている間に、鋼鉄の扉は騒々しい音を立てながらもあっさりと開いた。
「あれ? 何重にもロックされているんじゃ———」
「———中からならバルブを回すだけで開けられるんですよ」
社長が言い終わるよりも先に、またも早美が口を挟む。研究の成果を見るのが余程待ち遠しいようだ。
「これはこれは田中社長。お待ちしておりました」
白煙の中から現れたのは、これまた社長の知らない顔だった。彼は早美に説明さえされないうちに、奥へと姿を消した。どうやら扉を開けるためだけに来たらしい。
「さぁ、社長。いよいよですよ」
「な、何がだい?」
煙が晴れ、姿を現した研究設備の数々に、開いた口が塞がらない社長を、構う者はもはや誰もいない。
「我らが技術の結晶、不動明王との御対面です」
「不動、……明王?」
それはまるで、不動仁王の弟分とでも言いたげな名前だった。
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【八百回突破!】 ( No.52 )
- 日時: 2016/04/30 12:57
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
*
「これが、そうか……?」
「へぇ、まさしく」
早美が唾を呑みこむと、ごくりとやけに大きく響いた。
目前に聳える三本の試験管。それらは皆白く静かに濁りつつも、強烈な存在感を放っていた。
「では、開けますよ」
「あぁ……」
尻すぼみになった生返事は、果たして、誰のものか。
それが分かるよりも先に、右端の試験官が音もなく開く。液体のようにも見えた白い濁りの正体は、焼けるように熱い水蒸気であった。
「ぐっ」
社長があげたかに思えた呻き声は、しかし、そうではなかった。
ばたりと誰かの倒れる音を合図に、熱気はたちまち換気口に吸い込まれていった。
その後に残ったものは、棒切れのように細い男の、頼りない背中だった。
「……」
「……」
その場に二人分の沈黙が降りる。
「えぇと、早美君。これは……」
「————しまったぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「いくら不動と同じ遺伝子でも不動と同じ生活環境でなければ同等の力を得ることはできないのかぁぁーーーーーーーーー!!」
「ええぇぇーーーーーーーーーーーー!!!!」
社長は頭を抱え発狂する早美に掛ける言葉が見つからず、とりあえず同調する。
「……やはりご存じなかったのですか、総一郎様」
そしてジャックだけが、一人冷静に呆れかえり、溜め息をつく。
「指示された時から、変だなぁとは思っておりましたが、てっきり何か総一郎様なりの考えがあるのかとばかり……」
「せっかくの成長促進機が……」
クローンは、アニメや何かのようにいきなり本人と同じ姿で生まれてきたりはしない。本人と同じ成長過程、歳月を経て育つのである。つまり十七歳の少年なら十七年かかるし、蝶なら芋虫の頃から育てねばならない。そんな難点を解決した革新的装置。それこそが〝成長促進機〟なのである。が、多量の紫外線を放出する関係で高価な上老朽化が早く、基本一回きりの使い捨てである。
「へへぇ、へへへ」
項垂れる早美の横で、ジャックが得意げに笑い出す。
「ご安心下さい総一郎様。こんなこともあろうかと、余った二本の試験管でそれぞれ別の環境下で育てた予備の不動が造ってあります」
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【八百回突破!】 ( No.53 )
- 日時: 2016/05/08 09:08
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
———との言葉に、期待に胸を膨らませたのは、つい先程のことだった。
「……」
「……」
「……」
しかし今現在、辺りは再び、沈黙に包まれていた。それも三人分の、もはやどうしようもない類の沈黙である。
「天知る、地知る、我知る、子知る! 世界がどれほど従おうとも、この不動盟王が悪に屈することはなし!! 私が跪く時、それは敬意を払う時、或いは悪に止めを指す時だけだ!!」
長身の早美より頭一つ大きい背丈。細身とはいえ成人男性二人が並んでも尚余りあるかと言う肩幅。そして岩肌と見紛うほどの筋骨隆々の全身。オールバックの黒髪も、それはそれで己に徹する鋼の精神を現している。
ただ、
「正義が負けることはなし!! 正義が敗北するのなら、それは真の正義にあらず! 善行を積む己に酔いしれた、偽りの正義なり!!」
どこからどう見ても絵に描いたような正義ヒーローなのである。それだけが問題だ。
「……ジャック」
「へぃ」
先程までの自信はどこへやら、風が吹けば跡かたもなく消し飛ぶであろうか細い返答だった。
「不動仁王は多分、こんな口調じゃない……」
間違いなくこんな口調ではない。
「一体、何をどうしたらこうなった?」
「へぇ、実はこやつは三体目でして、二体目もちょくちょく筋トレをさせたかいあって体格だけはある程度再現出来ていたのですが、言葉を知らないまま成人してしまったために、二体目は一言も話せない個体になってしまったのです」
「それで、何を教えたらこうなった」
「その、我々を絶対に裏切らないよう、情操教育も兼ねて〝正義の味方名言集4000〟を聞かせました」
「……」
つまるところ不動盟王は、正しく育ち過ぎた結果こうなったわけである。
- Re: 【リクエスト作品】 ( No.54 )
- 日時: 2016/05/08 16:34
- 名前: モンブラン博士 (ID: MQ1NqBYl)
やっぱりクローンってうまくいかないものですね(汗)
でも正しく育ったいわゆる「きれいな不動」にも興味がありますね。
これからどうなるのか楽しみです。
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