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【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【感想募集!】
日時: 2016/07/23 20:29
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)

初めに

本作はモンブラン博士のリクエストにより、モンブラン博士のオリジナルキャラクター五人全員を登場させる短編集となっております。そのため、パクリ、盗作等では決してありません。

目次

第一話『最弱、故に最強。』 >>01 >>04-05 >>9-11 >>14-23

感想 >>02

第二話『他人の不幸は蜜の味』 >>26-27 >>30-33 >>35-42

第三話『不動の意志』 >>43-46 >>49-53 >>55-74

※注意

・作品の内容によっては、登場キャラの口調や設定が、一部異なっている場合があります。
・本作は二次創作です。そのため、本家様とは作風が異なります。

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Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【六百回突破!】 ( No.40 )
日時: 2016/03/21 23:10
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: gF1/UC.2)


「静火?」
 案内された階段を上っていった先の扉に恐る恐る手を掛けると、つんとしたアロマキャンドルの香りが鼻をついた。その薬品めいた匂いは、リラックスのためというより、荒いアロマセラピーのようだった。
 静火は、そのもっさりと煙に包まれ、布団の上で寝苦しそうにしていた。
「あぁ、ハニーちゃん。……ごめんね、学校、行けなくて」
「そんな、いいよ。気にしないで。それより、元気そうで良かった」
 何言ってるんだろう、わたし。静火、こんなに辛そうなのに。
「そう?」
 さすがの静火も戸惑いの色を浮かべ、それ以上、言葉は続かなかった。

 ————間に流れた沈黙は、一秒を、永遠の如く引き延ばす。

 今まで静火といた中で、こんなにも心地の悪い静寂があっただろうか。
 思えばいつも、静火がハイテンションにリードしてくれていたんだ。些細な話でも、オーバーなリアクションでどんどん発展させて、盛り上げてくれた。
 どんな話でも、いつだってちゃんと聞いてくれて……
 わたしが気軽で入られたのは、なんでもかんでも本音でずけずけ話せたのは、その分静火が、気を使ってくれていたからだったんだ。
 今日みたいに、静火がフォローしきれなきゃ、静火が、我慢せずに、正直な反応をしたら、わたし達は成り立たないんだ。
 それで静火は耐え切れなくなって、学校を休んだのかもしれない。
 そうに決まってる。謝らなきゃ———
「しず……」
「ハニーちゃん」
 わたしの声を遮って、静火は、本当に辛そうに、ゆっくりと上体を起こした。
「わたし、謝らなきゃいけないことがあるの……」
「え?」
 体を起こしたことで、静火の頭が背後の鏡台に映りこむ。


 その決意に満ちた横顔は、鏡の中で、紫色に塗りつぶされていた。

Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【六百回突破!】 ( No.41 )
日時: 2016/03/30 00:03
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: gF1/UC.2)

「わたし、わたしね。ハ二—ちゃんを、教室で初めて見かけたとき、思ったの……」
 言い淀む静火の眉は、悲痛に歪んでいた。だがやがて、深々と息を吸うと、吹っ切れたように本音をされけ出した。
「あぁ、〝余りそうだな〟って」
「え……?」
「ほら、ハ二ーちゃんってさ、見た目が日本人離れしてるじゃない。その金髪も、どうみても自毛だし。だから皆ハ二ーちゃんには話しかけづらそうにしてて。それで何週間か経って、ある程度グループが出来た後も、案の定皆、嫌う事も避けることもできずに中途半端に距離を取ってた。だから、だからあなたになら、嫌われたって、大して変わんないだろうと思って、少なくとも一緒にわたしを嫌い出すような女子はいないだろうと思って、あなたに、話しかけたの……」
 静火はとぎれとぎれになりながらも、ぽつぽつと打ち明けてくれた。
 話し終えた静火は、憑き物が落ちたように、どこか気楽そうな表情をしていた。
 今わたしは、どんな顔をしているんだろう。怒ってるのかな。泣きそうになってるのかな。戸惑ってるのかな。

 ———ほんの少しでも、笑っていればいいんだけど。


——————————————————————————————————
果たしてこんなんでいいのだろうか。どうですか? 読者の皆さん。
どうか感想を下さい。不安です。


多分、次回で最終回になると思います。

Re: 【リクエスト作品】他人の不幸は蜜の味【最終回】 ( No.42 )
日時: 2016/03/30 00:05
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: gF1/UC.2)

 ————それからわたしたちは、日が暮れるまで話し合った。
 お互いの、本当の気持ちを、全部、全部。

 今までどこかちぐはぐだったわたしたちだけど、これからは、本当の意味で仲良くできる気がする。
 いや、そうに違いない。
 あれから、少なくとも静火の周りには、あの紫のもやもやは映らなくなった。
 わたし自身、鏡を見る回数が極端に減ったせいもあるのだろうけど。
 あれがなんだったのか、何となく、分かってきた。だから最近は、ビルのガラスやなんかに映る、知らない誰かのもやもやに、わたしは、手をつけないようにしている。


 だってそうでしょう。
 このもやもやを、わたしが食べてしまったら。
 〝無かった〟ことに、してしまったら。


 きっとその人は、自分の不幸に、気付けなくなる。

Re: 『不動の意志』 ( No.43 )
日時: 2016/04/13 16:32
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)

今回はギャグ&戦略バトルです。
時系列的にはちょっと前の話だと思って下さい。
——————————————————————————————

プロローグ


 秘密結社〝アルティメット・エクストリーム・ゴールデン・エクスプロージョン・インターナショナル・ホールディングス・超改新AZスーパーハイパーDX(以下略)〟は、日々、世界征服を目論んでいた。だが結成二十周年を迎え、事実上の最高司令官たる前社長(小林)が他界後も、ついぞその夢が叶うことは無かった。
 いくらトップクラスの軍や兵器を揃えようとも、それを従え、使いこなす世界最高水準の指導力があろうとも、不動仁王ふどうにおうには敵わなかったからである。
 不動仁王。彼を、正義の味方と称する者は、まだいない。


 ただ、彼によって世界平和が保たれているということは、それこそ、不動の事実である。

Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【六百回突破!】 ( No.44 )
日時: 2016/04/13 16:38
名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)

 第一話 「天才兼ナルシスト」


「———社長! 部隊が全滅しました!!」
 開け放たれた社長室の扉から、連絡員が血相を変えて駆け込んでくる。
「……何があった」
 一方の社長は、疲れたとでも言うように、叱責一つせず最小限の声量で返す。
「東京都目黒区を襲撃中に戦闘部隊が不動に遭遇。数秒足らずで壊滅した後、極一部の撤退した戦闘員によって他の戦闘部隊の潜伏先が特定され、全滅しました」
「あの不動が、跡を追ったというのか?」
「いえ、詳しいことは、まだ……無線も、すぐに途絶えてしまいましたので」
「敗因さえ不明瞭ということか……」
 失敗から学ぶことは、同じ失敗を繰り返す可能性が激減するという点において大いに役立つ。だがこれまで、不動と遭遇して生きて帰ってきた戦闘員はいない。そのため、敗北からも、失敗からも、不動の出現場所以外何も得るものが無い。それこそが未だ日本さえ征服し切れていない一番の原因であることは、火を見るより明らかであった。
「田中社長!」
 バン、と派手に扉が開き、そこから一人の男が姿を現した。
 その無礼な行動を非難しようと振り返った連絡員は、しかし、何もできなかった。
 連絡員がしかめっ面で振り返るその一瞬の間に、その男は連絡員を通り越し、社長の座る大机の前まで移動していたからだ。
 これこそが彼の必殺技、〝俊足の早歩き〟である。部下たちの間では〝歩くのはや!!〟と呼ばれている。
早美双一郎はやみそういちろう、ただいま参りました」
 すらりと伸びた背に皺一つない純白のスーツを着込み、毅然とした態度で一点を見据えるその男を、人は、天才兼ナルシストと呼ぶ。
「おぉ、待っていたよ。アルティメット・エクストリーム・ゴールデン・エクスプロージョン・インターナショナル・ホールディングス・超改新AZスーパーハイパーDX(以下略)最後の希望、早美双一郎君」
「誰なんです? この男は」
 不審がる連絡員。
「そうか、そう言えばまだ、言っていなかったね、君には」
「え、えぇ、はい」
 社長の謎の迫力と言外の嫌な予感に圧倒され、連絡員は尻込みする。
「紹介しよう。こちらは早美双一郎君。英語以外の二十四カ国の言語をものの一年でマスターし、一時的とはいえ北海道地方と東日本の三分の二を征服した事実上最高の実績を誇る指揮官だった男だ。そして今日から、彼にはここ東京都本社の連絡員兼遊撃部隊隊長をやってもらう」
「連絡員兼、ですか……?」
 連絡員のシャツの襟を、大粒の冷や汗が濡らした。
「そう。つまるところ君は、———クビだ」


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