ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- アクセス【【削除依頼】】
- 日時: 2020/08/01 19:44
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: hsews.TL)
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登場人物>>2>>3>>4
はじめに>>1
01章 URL=スタートボタン>>5>>6>>7
02章 少女二人の決意>>8>>9
03章 朝、少女は動きだす>>10>>11
04章 着いた場所、そこは空港>>12>>13
05章 そこで私達は出会った>>14>>15>>16
06章 闇夜を歩く,少女の向かう先は>>17>>18>>19>>20>>21
07章 そして四人は誓いを建てた>>22>>23
08章 逃げ惑う,迫るは危機>>25>>26>>27>>28>>29
09章 ドミノ倒し>>30>>31>>32
10章 強制退場>>33>>34>>35>>36>>37>>38
11章 彼女の長い夢>>39>>40>>41>>42>>43
12章 冷笑の奥は>>44>>45>>46
13章 違反者と参加者の>>47>>48>>49>>50>>51>>52>>53>>54>>55>>56>>57
14章 霧崎+ナイフ>>58>>59>>60>>61>>62>>65
15章 絶たれた糸>>66
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- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.56 )
- 日時: 2009/12/01 20:46
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 何、最初から知ってるけど ?」
「 じゃあ何で他の奴らには教えてくれなかったんだよ ! !」
舞のいる場所から遠く離れた使われなくなった巨大な倉庫の中に間崎の声が響く。
「 あんたに言った所で、何が変わるの ?」
美希は目の片隅で間崎を冷たく睨み付ける。
「 そっ……それは…」
ダルシーがBBRの仲間を離れたことで、美希だけが知っていたことに腹を立てた間崎は、怒鳴りつけていた。
しかし、間崎だけではなく、ダルシーと美希とBBR以外全員にそのことは知らされていなかったのだ。
誰もが不満を抱く中、倉庫の錆びた扉が開かれた。
入ってきたのは、ハナビと姪華だった。
二人の表情は怒りに満ちていた。
美希は倉庫の奥のほうへと歩き出した。
「 アンタッ ! 私たちを警察に売ろうとしたの ! ?」
美希は足を止め、ゆっくりと後ろを向く。
「 別に。というより、捕まらなかっただけありがたいと思ったら ?」
「 クッ……最低。…もし少しでも遅かったら、私達捕まってたんだよ ? !」
ツカツカと姪華は美希に歩み寄り、胸倉をつかんで揺さぶった。
「 やめとけ、姪華」
「 ………ザッキーまでそんなこというわけ ? はぁ…本当に———」
「 危ない、怖いって思ってんなら仲間に入らなきゃよかったじゃない…」
「 そんなこというわけ ? …ありえないんですけど…」
姪華はそのまま美希から視線をそらし、見知らぬ人物に向ける。
「 何 ? あいつ…なんなの ?」
「 貴方が警察に捕まったらと思って新しく二人仲間に入れたの」
姪華は信じられないというふうに首を振り、その二人を交互に見る。
「 あたしの…代わり ? 何 ? 捕まること前提なわけ……」
「 貴方の代わりなんかじゃ勿体無いほどの才能をもった二人だからね。
右が詩音、左がスギクラ…」
ハナビは黙ったまま、ウロウロする姪華を目で追っていた。
姪華は立ち止まり、美希に冷たい目で見つめながら言った。
『 こんな仲間といたくない、もう辞める』
そういって踵を返し、自分の入ってきたほうへと向かう。
「 別にいいけど…このまま〝普通に〟返すわけにはいかないの…。
…此処、警察にばらしそうだしね、貴方」
「 ………何する気 ?」
美希は詩音に向かってOKのサインを出す。
急に動き出した詩音は、羽織っていた上着の内側から、ナイフと銃を取り出した。
少しずつ迫る詩音を姪華はただ睨み付ける。
「 …どっちがいいですか ? 銃とナイフ。
……私的には、どっちも嫌ですが…」
「 …何 ? 殺したくないの… ?」
姪華の問いに、詩音はうっすらと微笑をうかべた。
「 貴方を殺す為だけに銃弾一発無駄にするなんて…
…貴方を殺す為だけにナイフを汚さなきゃいけないなんて…
嫌だなぁ…と思っただけです」
「 馬鹿にしているの ? そもそも…殺すって…」
「 そうそう…先ほど連行されそうになった貴方を助けたのは私です。感謝してください」
姪華は怒りに震え、今にもつかみ掛かりそうだった。
「 ……どっちも私はい———」
「 そうですか、〝どっちもいい〟んですね !」
「 違——」
詩音は姪華の頭部目掛けてナイフを投げ、すぐさま銃を発砲する。
姪華は瞳を大きく開き、仰向けで倒れた。
その場はすぐに赤く染まる。
倒れた姪華に、尚も銃を胸元に何発か撃ち込む。
その瞬間、銃口をハナビに向け引き金を引いた。
そんな光景を間崎は息を呑んで見ていた。
仲間が仲間に撃たれる最期を。
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.57 )
- 日時: 2009/12/01 20:47
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 ダルシー、私だけでも———」
「 駄目。…今の状況分かってるの ? 舞に捕まってもらっちゃ困る」
せめて
せめて少しでもいいから、BBRの仲間を———
「 そもそも、舞、撃てるの ?」
ダルシーが痛いところをついてきた。
「 う……別に、撃てますとも……多分」
「 ……別にいいんじゃないの ? だって…ここで他の仲間が来るのを待つよりはさ」
ケンが言った言葉で、ダルシーも渋々了承した。
「 ……あんまり帰るの遅くなったら怒るからね」
「 うん、分かった」
武器の入った鞄片手に、玄関で靴を履いていた。
「 ——え ? どっか行くの ?」
先程の会話をほとんど聞いていなかった沙紀が、困惑した様子で舞を見つめる。
「 うん、まぁ…。ちょっと〝捕獲者狩り〟に」
「 一人で行くの ?…危なくない ?」
「 大丈夫、大丈夫…じゃあ、いってきまーす」
マンションの一室を出た舞は急いで階段を下りていく。
もたもたしている余裕は無い。
何せ、この一分一秒に違反者の運命がかかっているのだから———
「 …はぁ……はぁ…これ、重すぎるだろ…」
銃とその他いろいろ持ってきた舞の鞄はかなりの重さだった。
紐取れないよね…鞄、壊れないよね…あぁ…
さっきまでとはうって変わって、のろのろと道路を歩きながら携帯を開いた。
「 えーっと…近くに違反者、は…あれ ?」
サイトに載った違反者一人一人の住所を見て、異変に気がついた。
何故か、ほとんどが舞達のいる場所に近いのだ。
何でだろ……もしかして巨大グループ的な何かでも築こうとか…
そうか——
もしや、今向かっている人たちが…〝仲間〟
「 でもなぁ…多すぎるし……」
いくらなんでも多すぎる数であった。
ここまでいたら、ゲーム自体一日で終了させることが出来るだろう。
そのまま舞は、取りあえずすぐ近くの違反者のところへ向かった。
「 あー、足痛い…もっと減らせばよかった……ん ?」
正面の大通りに出た途端、一気に人を見なくなった。
もしかして、皆私達が銃を持っていることをテレビで———
その時、路地から急に一人の女の子が出てきた。
手元には携帯があり、舞は自分の携帯を見て確信した。
この子が違反者か
…よし、現在位置もあってるって事は私が探してた子だし…
その子は地面から顔を上げ、舞を見据える。
そのまま近づき、声をかけようとした——
「 ダルシーの友達の舞 ?」
突然、目の前の子が喋り出したので舞は一歩退いた。
何か様子がおかしい
自分でも気が付かないまま、舞は疑いの表情を浮かべていた。
「 …貴方、違反者だよ…ね ?」
顔色を伺いながら、尋ねてみるとその子は、微笑を浮かべた。
「 私は———詩音……BBRの仲間」
聞いた途端、舞は全身が冷たくなった。
ここで逃げたら意味が無い
————ここは——
狂気だった笑みを浮かべ、全速力で詩音は舞に突進してきた。
手に持っているものは、ナイフ二本。
「 ちょ、ちょっと…待って待って待って ! !」
迫るスピードは落ちるばかりか徐々に速くなっているようだった。
舞も追いつかれぬよう、すぐさま後ろへ走り出した。
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.58 )
- 日時: 2009/12/01 20:47
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 いつまで逃げてる気ですかぁ ?」
すぐ後ろのほうで声がしたと思えば、すぐ真横に詩音がいたり、今の舞に逃走は不利だった。
どんなに走っていても、舞には詩音以外の人は見えなかった。
それどこらか、気配すら感じなかった。
これでは、助けさえ呼ぶこともできなかった。
やっぱり…どの家もテレビとかでゲームを知ったのかな……
そうなると、誰一人外に出たくなくなるのも頷ける。
外には銃を持った子供が何人もいるのだから。
たとえ合わなかったとしても、流れ弾にあったり、変に事件に巻き込まれたりしたらとんでもない。
「 あーあ…仲間と来ればよかった…とか考えてるんですか ?」
舞の足も悲鳴を上げ始め、最初から全力で走らなきゃよかったと後悔した。
それにしても……挑発のつもりだったとしても、満面の笑みで横走られると…なぁ…
舞とは別に、詩音は余裕の表情で横を走り続けている。
どうする…
いつまでも走り続けて終わるなんて考えられないし…
時間稼ぎだとしても、こんなんじゃこっちが先にくたばっちゃうし———
「 …まぁ、仲間が来たって私が全員捕まえるのに代わりは無いですが——」
「 ずっと走ってても貴方が疲れるだけですよ…」
「 もうそろそろ———」
「 いつまで喋ってんだよ !!!!!!!」
詩音のフードを掴んでそのまま後ろへ引っ張る。
不意を突かれた詩音はバランスを失い後ろへ倒れこむ。
「 なっ——何——」
詩音を道路に押し倒すと、舞は周りを確認しながら銃を即座に取り出した。
無音。
静寂。
静かに——銃口を頭に向ける。
仰向けになり、舞と見つめ合う詩音の瞳に恐れといった色がなかった。
ただ、まっすぐ彼女は舞を見据えている。
早く撃てとでもいうように———。
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.59 )
- 日時: 2009/12/01 20:48
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
舞は自分の中で葛藤していた。
撃つべきか。
それとも…ダルシーの所へ連れて行くか。
どっちにしろ…ただで済む話じゃないんだよね—
一番残念なのは、警察に連れて行けないということだ。
自分もゲームの参加者、そして捜索届けの出されている身だから無闇にウロウロはできない。
どうすれば———本当に。
「 初めから——」
「 え ?」
「 初めから撃つ気がないのなら、…銃なんて持たないでください」
「 ………だって」
「 私……いまチャンスをあげていたんですよ ?」
言い終えた直後に、詩音はナイフを取り出して舞の右腕を目掛けて投げる。
まるでダーツの矢のようにナイフは的へと向かっていく。
「 痛いっ! 」
ザックリと舞の右腕ではなく右手の甲に刺さったナイフはギラギラと輝いていた。
刺さった先から、ポタリ、ポタリと赤い血が流れては指を伝って道路に落ちていく。
「 …………」
ガチャッと音を立てて、右手から赤く血の付いた銃が道路に落ちた。
拾わなきゃ———
あ——来る
駄目だ。ここで退場。———もうあと少しだ——
隙を見て起き上がった詩音は真っ先にナイフを舞に目掛けて振りかざす。
ヒュンッ
すぐそばをナイフが擦れたと思えば、すぐさま違うほうからナイフが向かってくる。
無意識のうちに、自分でナイフを避けるようにして退けていた。
冷静に————
私は今鞄を持っていて——
徐々に詩音の顔つきが険しくなってきた。
銃はあと一丁。
でも私が持っているのは————確か——
その時、正面にパトカーがやってきた。
あまりの急の事態に、詩音はナイフ片手にパトカーを見た。
————今なら——
鞄の中から舞が取り出したもの———スタンガンだった。
詩音の背中にグッと押し当て、ボタンを一瞬だけ押す。
「 あっ!!!!!」
「 君 ! 持っているものを地面に———」
警察官がとうとうパトカーから降りてやって来てしまった。
舞が思っているものよりもずっとスタンガンの効き目はあったらしく、地面に詩音は蹲っている。
そのまま警察官に向けて、ボタンを押した。
しょうがない———
バチ…バチバチッ…と音を立てて威嚇する。
ゆっくりとそのまま舞は後ろへ歩き出し、すぐさまその場を立ち去る。
「 痛い………痛い…」
詩音が呻きながら、這いずり回っている。
その光景を作り出した自分にゾッとした。
その時警察官は唖然として、舞の走っていく姿を見ていた。
残されたのは、警察官一人と血がべったりと付いた銃。
そして、うずくまる詩音だけだった。
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.60 )
- 日時: 2009/12/01 20:48
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 はぁ……はぁ…一旦…」
急いで建物の影に身を潜めた。
警察官や人の気配はしない。
うまく逃げることができたのだろう。
寒さでかじかむ手のひらは、自分の血で赤く染まっていた。
何やってるんだろう…私…
でも、一応、詩音っていう敵の仲間は抑えたからよかったのかもしれないけど——
ダルシー、どんな顔するかな———
鞄にスタンガンを入れ、誰も着いてきていないことを確認すると
再び、仲間のところへと舞は痛みをこらえて走り出した。
ナイフは今だ刺さったままだった。
それも、舞は突然とったら傷口を塞ぐ物がなくなってしまい
今以上に流血してしまうのではないかと考えたからだった。
しかし、この状況を仲間にどう説明すればいいのか舞は悩んでいた。
ナイフが右手に刺さったまま帰ることになるとは考えていなかった。
階段を駆け上がり、人がいないことを確認するといそいで仲間のいる部屋のドアをノックした。
取り敢えず、ちゃんと説明しないと駄目だよね——
しかし、いくら待っても声がしない。
それどころか、物音もしない。
舞は怪訝そうな顔で、さっきよりも強くドアを叩く。
全く音がしない。
——あ、もしかして、皆も違反者とか助けに… ?
ううん、違う。…もし仲間が来て誰もいなかったらってこともあるから…
一人ぐらい居ると思うんだけどな———
右手を見ると、今だ血が流れ続けている。
あんまり良いことじゃないなぁ…早く何とかしないと…… !
一歩後ろに下がり、力を込めて勢いよくドアを蹴り付ける。
それは一回ではなく、何度も何度も。
ガゴンガゴンと蹴る度にドアは音を立てるが開かない。
まぁ、この位で開いたら駄目だろうけど…
再び蹴ろうとしたそのとき、音も立てずにドアが少しずつ開いた。
開くことでできた隙間からは、ダルシーの顔半分が見える。
「 何だ…舞か———」
そのままドアを開いたとき、目は大きく開かれ動きもとまった。
それもそのはず、仲間の右手が血だらけだったのだから。
しかも、ナイフも刺さったままだ。
「 うわあ———」
「 ダルシー ! こんな所で騒いだら人が来ちゃう——」
硬直したダルシーを強引に部屋に押し込み、自分も部屋へ入ってすぐドアに鍵をする。
「 …何 ? どうしたの—— ?」
「 違反者だと思って近づいたら敵側の人間だった…」
そのまま靴をぬぎ、いそいで台所へ向かう。
その後を動揺したダルシーが着いていく。
「 ……どうすればいいの…」
「 取り敢えず止血しないとしょうがない」
ダルシーがタオルで右手を覆う。
しかし、ここからどうすればいいのか分からなかった。
「 …全く…何やってんのこんなときに…」
「 仕様が無いじゃん…というか、生きてただけでもすごいと思ってよ !」
「 それより、どういうこと ? 違反者だとおもったら敵だったって——」
「 …サイトで確認して、違反者の居るところに行ったら——」
そこで舞は口をつぐんだ。
ダルシーも分かったというように頷いた。
「 ……はっきりいって…あのサイト、信じない方がいいかもね——」
「 え————」
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