ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- アクセス【【削除依頼】】
- 日時: 2020/08/01 19:44
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: hsews.TL)
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登場人物>>2>>3>>4
はじめに>>1
01章 URL=スタートボタン>>5>>6>>7
02章 少女二人の決意>>8>>9
03章 朝、少女は動きだす>>10>>11
04章 着いた場所、そこは空港>>12>>13
05章 そこで私達は出会った>>14>>15>>16
06章 闇夜を歩く,少女の向かう先は>>17>>18>>19>>20>>21
07章 そして四人は誓いを建てた>>22>>23
08章 逃げ惑う,迫るは危機>>25>>26>>27>>28>>29
09章 ドミノ倒し>>30>>31>>32
10章 強制退場>>33>>34>>35>>36>>37>>38
11章 彼女の長い夢>>39>>40>>41>>42>>43
12章 冷笑の奥は>>44>>45>>46
13章 違反者と参加者の>>47>>48>>49>>50>>51>>52>>53>>54>>55>>56>>57
14章 霧崎+ナイフ>>58>>59>>60>>61>>62>>65
15章 絶たれた糸>>66
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- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.31 )
- 日時: 2009/12/01 20:31
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
祐樹が舞と美希をグイグイ引っ張りながら走り、駅を後にした。
幸い、誰も着いてこなかった。
「 …祐樹、私は——。」
舞が無言で引っ張りながら歩き続ける祐樹に声をかけようとした時、美希の携帯が鳴った。
『 もしもし…今忙しいんだけど。』
電話だったらしい。
『 え ? 予定…。あぁ、…そう。分かった。じゃあ…。』
手早く美希は電話をすまし、鞄に入れた。
歩き続けて何分経っただろうか。
人の気配がない、殺風景な道を行く。
寒くて、手が震えた。
いいや、これは寒さのせいではないだろう。
先ほどのことを思い出すだけで、舞は膝がガクガクと震えてしまう。
思い出したくない。
消えればいい。
いらないものは、みんなデータのように簡単に消えればいい。
「 … ?」
突然、美希が足を止めたので、舞は後ろを振り返った。
「 どうしたの ?」
「 ううん。なんでもないの。」
美希……… ?
「 ただお礼と謝罪がしたくて。」
え…お礼 ? 謝罪 ?
何のこと… ?
「 裕樹ならとっくに気づいているでしょうけど…。」
そう言って、美希は舞に視線を移した。
「 今まで、同行させてもらったよ。アリガト。そんじゃ……じゃあね。」
「 ちょっと !! 美希…どういうこと ?」
「 私はBBRの仲間の一人。参加者がどう動くか観察していたの。…自分も同行してだけど。」
じゃあ…
じゃあ……
美希は…始めから……嘘を———。
「 また、いつか会おうね、舞。…生きてたらだけど。」
「 待って、美希、じゃあこれからどうするのの…?」
「 私 ? 私は仲間のところへ行くだけ。〝本当の仲間〟のね。…あんたのことなんて、知らないわよ。」
「 み……き………。」
「 私、あんたのことは友達だと言ったわ。以前はね ! でも、仲間なんて言った事はない。」
信じられない…。
舞は祐樹の自分の腕を掴んでいる手を振り払い、美希に向かっていった。
そのまま、頬を強く叩いてやろうとしたがあっさり腕を掴まれてしまった。
「 あんたも、私の事、仲間だと思ってないんじゃん。」
「 違う ! 違うよ…私、美希が———。」
美希は舞の手を放し、今まで通ってきた道を走っていった。
「 ………っ…。」
全部終わりだよ。
全部 消えてくれ。
舞はそのまま歩道に横になった。
祐樹から顔を背けた。
今にも泣きそうだったからだ。
「 ステハン…撃って。」
祐樹に向かって、涙声で舞は頼んだ。
これで終わりだよ。
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.32 )
- 日時: 2009/12/01 20:32
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 ねぇ…。」
祐樹は舞のところまで歩いていくと、手を差し伸べて言った。
「 ………ここに居たかったら居ろ。」
そのまま舞は黙って立ち上がり、祐樹の後について行った。
——ここもまだ田舎とは程遠いところで、大型電気店が多く建っていた。
その為、暗くなっても店の電気のおかげで、昼間のように明るかった。
今、私がいるのはネットカフェ。
未成年だが、今の時間帯なら入っても大丈夫らしい。
店の中で奥のほうにある個室を選び、二人は中に入った。
ドアを閉めた瞬間、舞は思っていることを口に出した。
「 美希のこと、気づいてたの ?」
少しの間、沈黙し、裕樹は頷いた。
「 誓い…破ったね。…ねぇ——。どうして殺したの… ? —何であんなこと…出来るの ?」
ほんの少し前まで、うまくいってたのに。
また、みんなであの場所に行けると思ってたのに。
あのときの記憶が蘇る。
「 あの子、殺したんなら…祐樹もあの子と一緒だ!! 同類だよ !!」
誓ったのに。
みんなで誓った。
銃を使わない、手を血で汚さないと——。
あのことを誓ったから、私は怖くなかったのに。
自分は誰かを殺してしまうという恐怖から逃げられたのに。
祐樹は立ち尽くす舞を無視して、ネットでゲームの進行状況を確かめた。
こんなところで確かめるのは危険だが、今となってはしょうがない。
「 あと百五十七。」
パソコン画面を見ながら、祐樹が数字を言った。
「 …何が…。」
「 残り。」
ああ…もうそんなに…。
現実かな、これ——。
違う。
きっとこれは夢で、私は眠っている。
「 これ、長い夢なんだ——?」
舞はもうひとつあった椅子に深く座り、明るい画面を見る。
「 これは夢だよね——?」
「 そう、夢。」
祐樹は舞の異変に気づいたが、あえて何も言わなかった。
「 よかった…夢なら何でもいい。」
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.33 )
- 日時: 2009/12/01 20:32
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
ゴトッ
突然の大きな音に、舞は閉じていた目を開き、個室のドアのほうへ目をやった。
何かが投げ込まれたようだ。
祐樹はパソコン画面から顔を離し、投げ込まれた物に手を伸ばした。
「 何、それ。」
「 自分の目で見てみろ。」
そういって舞に手渡す。
なにかな…。
重い…。
不思議に思いながら、投げ込まれた鞄のチャックを開けた。
ジーッというチャックの音と同時に顔を出した物は——。
「 何だった?」
祐樹は無表情で聞いてきた。
「 …中身、知ってるくせに…。」
微笑を浮かべ、舞から鞄を取り上げた。
「 ちょっとばかり友人に頼んだんだよ…。ここにいるから持って来いって。」
こんな危険なもの持っているって…どんな奴だよ。
まぁ夢だから仕方ない。
——そう。夢だから。
「 こんな時に悪いが、いつまでも逃げられるなんて俺は最初から思ってない。」
「 知ってる、そんなの。…そういう顔してたもん。」
「 仲間なんて——所詮形だけのもの。」
信頼できる保障なんてものはない。
「 …大丈夫か ?」
「 何が ? 誰が。」
「 お前だよ。ふぁいばー」
あぁ……懐かしい感じ。
「 …別に。此処は夢世界。目を覚ましたら、していない事になるよ。。。」
「 …だといいけどな。で、どうすんの ? これから。」
ダルそうに祐樹は聞いてきた。
こっちまでダルくなってくる。
「 これ。」
そういって舞は手で銃を撃つ真似をした。
「 射的がしたいのか ?」
「 そう。今はね。」
何もかも、終わりにしよう。
このゲームも、この人生も。
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.34 )
- 日時: 2009/12/01 20:33
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 なるべく移動したほうがいいな。美希は俺達の居場所を知ってるかもしれない。」
この考えには賛成した。
確かに、ついさっき美希と離れたのだ。
もしかしたら、ということもある。
「 …これ…何 ?」
舞は四角い物体を手に取り、スイッチをONにしようとした。
「 わっ!やめろやめろ…。」
「 何これ ? 」
裕樹は突然、パソコンの前に舞を連れ出し、検索バーに文字を打ち始めた。
≪ 口に出すのはまずいからここに書く≫
確かに、聞かれていたらとんでもない…。
そして、両手で文字を打ち始めた。
≪ お前の持ってるのはスタンガン。護身用。≫
≪ 誰かを殺すことはまず、無い。多分≫
祐樹は打つと必ず舞の顔を見て、舞が読んだと頷くと消して新しく打つ。
≪ 相手の体に当てて、スイッチON。これで相手は動くことは出来ない。多分≫
≪ 今は電池が入ってるから気をつけろ。後、俺に使うなよ≫
舞はコクコクと頷き、鞄に戻した。
「 …ちなみに、電池って切れるよね ?」
「 当たり前。換えの電池はあるけどあんまり使わない方がいい。」
鞄の中をみると、確かに四角い大きな電池が何個も入っていた。
だからこんなに重かったのか…。
「 …こんなの、どうやって手に入れるの ?」
舞は鞄から銃を取り出し、目を丸くして眺める。
恐怖より、今の舞には裏切った美希への憎しみで満ちていた。
「 そんなの、ネットで調べてみろ。簡単に買えるから。」
そういって祐樹はサイトにアクセスし、ゲームの進行状況を確認した。
「 …うわ……。」
祐樹は突然、恐ろしいものでも見たような顔をした。
舞は銃を鞄に戻し、近寄って画面を見た。
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ゲームはただいま 順調にすすんでおります。
現在の参加者・生存者は… 143 人です。
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——そこには、驚くべき数字が書かれていた。
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.35 )
- 日時: 2009/12/01 20:33
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 百四十三人…まだまだじゃん……。」
赤いチェックのスカートを履き、黒いパーカー姿の少女は退屈そうな声で言った。
「 まぁまぁ、そう焦るなって…。あ、おかえりありす。」
少女と同い年くらいの少年が言った。
美希ことありすはとある大きな倉庫の中に入っていった。
「 ご苦労様。…で、どうだった ? 〝お仲間〟と同行して…。」
BBRの仲間の姪華が、ニヤニヤしながら椅子から身を乗り出して聞いてきた。
「 …別に。ただ最初、銃を使わないとかいいだしたからビックリした。」
姪華と一緒に居た間崎悠斗、通称ザッキーと姪華が笑い出した。
そんな二人を無視して、そのまま倉庫の奥へと歩いていった。
奥には四段ぐらいしかない階段があり、そこにありすは座った。
鞄から携帯を取り出し、着信履歴、メールの受信ボックスを確認した。
「 銃を使わないとか…。アハハハ、無理無理 !」
「 きっと明日には使ってるなー。」
二人の会話や笑い声が、遠く離れたありすのところまで響いてきた。
…ふぁいばーは…もしかして…
そう思ったが、彼女には何にも届いていなかった。
「 裏切り者に、メールなんて送らないもんね…。」
ありすはそのまま、携帯を閉じた。
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