ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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アクセス【【削除依頼】】
日時: 2020/08/01 19:44
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: hsews.TL)

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登場人物>>2>>3>>4
はじめに>>1

01章 URL=スタートボタン>>5>>6>>7
02章 少女二人の決意>>8>>9
03章 朝、少女は動きだす>>10>>11
04章 着いた場所、そこは空港>>12>>13
05章 そこで私達は出会った>>14>>15>>16
06章 闇夜を歩く,少女の向かう先は>>17>>18>>19>>20>>21
07章 そして四人は誓いを建てた>>22>>23
08章 逃げ惑う,迫るは危機>>25>>26>>27>>28>>29
09章 ドミノ倒し>>30>>31>>32
10章 強制退場>>33>>34>>35>>36>>37>>38
11章 彼女の長い夢>>39>>40>>41>>42>>43
12章 冷笑の奥は>>44>>45>>46
13章 違反者と参加者の>>47>>48>>49>>50>>51>>52>>53>>54>>55>>56>>57
14章 霧崎+ナイフ>>58>>59>>60>>61>>62>>65
15章 絶たれた糸>>66
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Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.36 )
日時: 2009/12/01 20:34
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

ここまでゲームは順調に進んできた。

しかし、何人もの子どもがゲームの犠牲者となっている。

流石にここまで来てしまうと、警察も動くことは当然だ。

 「 平日に街なかを歩いてる学生って、怪しいにも程があるよ。…ねぇ、聞いてる ?」

 「 はいはい…。」


 「 …。ていうか、屋上でそれを見下ろす私達の方が変だと思うけど…。」

 「 だったらどっか行ってろ。」
 「 ……暇。ていうか何でまだ暑いの ?」

十一月というのに、今日という日は普段より暑く感じた。


舞と祐樹の二人は、とある小学校の屋上に来ていた。

といっても、見知らぬ小学校だ。
誰か来たらまずいというのは当たり前だが、ここの学校は屋上が立ち入り禁止になっていた。

なので、人が来る心配はまず無いだろう。


 「 …あと何時間ぐらい此処に居るの ?」

 「 ………二時間半。」

思わずため息が出た。

  

  つまらない…


  あ、でも…最近こんな風に思うときが無かった…

  それぐらい忙しかったのかな… 

祐樹と肘をついたうつ伏せの状態で、帰っていく小学生を眺めた。


  わたしにもあんなときあった。

  懐かしいなぁ………

 「 あの小学生の中にも、参加者っているのかな ?」

 

 「 …一人ぐらいいるんじゃないか。居ないほうがいいけどな。」






舞たち二人は、夜・深夜・早朝の時間に参加者を退場させることにした。




退場させる———つまり〝消滅させる〟ということ。

Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.37 )
日時: 2009/12/01 20:34
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

  午後六時十分

舞と祐樹は小学校の校庭を出た。

 「 …もし…もしだけど、先生がいたらどうするの ? 見られてたらまずいよ。」

 「 大丈夫だって…もう出たんだから。」

祐樹は相変わらず軽い。

  羨ましい…この楽観的思考。


  私は…私達は…これから誰かを殺すっていうのに…


  なんで怖くないんだろう ?



  誰かが消えなきゃ、このゲームは長々続く…

  とっとと終わらせて、お母さんに会いたい……。



やがて二人は人ごみの多いところに入った。

 「 ちょっと待て。…近くにいる参加者調べる。」

そういって、祐樹は路地に入りパソコンの電源を入れた。

たったの数秒で画面は変わり、参加者の名前と現在地が載った一覧が開いた。

 
  本当に…どうやって調べてるんだろう。
  気味悪いにも程がある…。

  というより、不可能ではないか ?


  ——もしかして、一人に一人ずつ監視役とかいるのかな… ?



  いや、ないだろう。

 「 錐澤かんな…もうすぐそこにいる。後、北野優香……。」

祐樹は考える素振りをして、再び言った。

 「 ——あんまり此処にいる参加者だけ狙うのも良くないよな…。」

 「 …。ステハン、いつまでも此処にいると…。」
 「 あぁ、分かってる。…今日はこの二人。…どうする ?」



  どうするって…?

  やるしかない。だって…

  じゃないと、違反者扱いだし…ゲーム自体長引く……。




 「 …誓い…、破ったね。」


祐樹は黙ってパソコンを閉じ、目を瞑った。


 「 趣味でこうしている訳じゃないんだ……。」


  そうだよ…私達は…。


  好きでやっている訳ではない…けど…。


  

  やっぱり間違っているのかもしれない。
  
  

  ——いや、間違っているのは…誰 ?
 



  


 




 「 …やっぱり無理。私——」
 

首を左右に振って、俯いた。

  できる…できない…。

  いや…できる…。

 




 「 無理して撃つな。…どうすんだよ。」

  
 「 ………やってみる。…少し。」







舞と祐樹は、まず、一人目の〝錐澤かんな〟の顔写真と一致する人物を探した。  

Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.38 )
日時: 2009/12/01 20:35
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

 これからどうしよう……

 やっぱりグループ作ったほうが良かったのかもしれない…。



 こんなことになるなんて…。


 いつまでも此処にいたってしょうがない。
 でも、行き先が無いし————。


錐澤かんなは人ごみから離れ、細い路地に入っていった。

自分が狙われているなんて知らない錐澤は、建物の壁に寄りかかった。

そして、大きなため息をつく。

  


  駄目だな…あたしは…。



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 「 お前が撃て。」
 「 えぇっ! ? …私 ?」
 「 静かにしろよ…。今が絶好のチャンスだよ。」

 「 ……一人だよ。一人だからね。」

そう言いながら、舞は鞄の中から重く、冷たい銃を取り出した。


 「 ………。」

ちらっと隣の祐樹を見た。
その表情には、不安の欠片もなさそうだった。





舞は『駄目。出来ない。』という顔で祐樹を見た。




すると、祐樹は舞の鞄からハンカチを取り出し、それで舞の目を隠す。
そして、なにやら舞の耳にも何かを付けた。



 「 何、これ ?」
 
  ていうか、何勝手に人の鞄の中を——。




そのとき、音楽が聴こえて来た。
それも、舞の好きなアニメのオープニング曲。



  …あ、ウォークマン、持って来てたんだんだっけ———。




急に、銃を持った舞の両手に冷たい感触がした。

  


  裕樹の…手…。冷たい…。




銃を持つだけで、舞は冷たいコンクリートの道路に膝をついて座った。



 


  『 撃て。』


耳元で聞こえたのが、舞にも分かった。


ただし、指は動くことに躊躇する。



  



  これはゲーム。そして夢だから——。


  




  深呼吸———。




 そして————





          ————撃つ。







反動で、体が後ろに勢いよく倒れそうになった。




  








  私は撃った ?





  何をした ?



気がつくと手から銃は離れ、すぐさま手を引っ張られる。


目隠しをしたまま。




  どこいっている ?






  何も見えない。



音楽はリピートで二回目の再生に入った。







急に音楽が止まり、それと同時に目隠しが外れた。




 「 ………。」


二人は住宅地に入っていた。







急に舞は膝から下の力が抜け、祐樹に倒れ掛かった。






  


  彼女は———。


  もうこの世にいないだろう————。

Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.39 )
日時: 2009/12/01 20:36
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

  何だろう……… ?

 
  私は…今…。

 

 「 ——大丈夫 ?…じゃないよな。」

 「 …寝たい。」


 「 …金ならあるし……どっか泊まるか…。」



舞は祐樹に手を引かれ、ふらふらと歩き出した。


 「 ……もう一人はいいの ? 殺さなくて。」

 「 お前がそんなんじゃ出来る訳無いだろ。」


  私、迷惑かけてばっかりで…どうしたらいいかな。


  頼ってばかりは良くないし。


  本当は、祐樹、参加者でもない……。




  そうだよ、参加者じゃないんだ……。







  なのに…巻き込んじゃった——…。



 「 ———ごめん。」

 「 は ?」



 「 参加者でもないのに…巻き込んで…。私、もう——。」

 「 今更何言ってんだよ。…お前を置いて行くほど非情じゃねぇよ、俺は。」


祐樹は言いながら、携帯をいじくっている。

  


  説得力ないっていうか…まぁ、嬉しいからいいけど。


 


 「 …聞こえるね、サイレンの音。…退場したね。」

 「 当たり前だよ。生きてたら困る。…完璧、顔見られてたしな。」

 「 いいじゃん…もう、いないんだから—…。」



舞は自分の携帯を鞄から取り出し、自分で歩き出した。

 「 …歩けるか ?」

 「 見てのとおり、歩いてるでしょ。」

 「 ………お前…。」



わずかに笑みを浮かべ、携帯で新着ニュースを確認した。

  


  あれ…結構時間かかったな………。



やはり、既にニュースで錐澤かんなの事が取り上げられていた。

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午後八時十四分頃、路地裏で銃声が聞こえ、
駆けつけると行方不明となっていた
〝錐澤かんな〟(13)の遺体が見つかった。
死亡してからまだ時間は経っていなく、
近くに犯人がいると予想。
しかし、出血がひどく、手がかりというものが
見つからなかった。
いまだ警察は現場を調べている模様。
================================================

  本当に……私が ?


  



  あの人は…路地で…。

そして、そのニュースの関連として、もうひとつ舞は開いてみた。
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路地裏での事件で、今回使用された銃は
十一月十一日にあった空港での銃発砲事件のとき
使用されたものと、全く同じであることが判明した。

何らかの関係性があるということで、調査中…。
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 「 これでBBRと仲間全員逮捕、になったらいいけど…。」

 「 流石に、警察はこんなゲーム…信じないだろ。」

 「 うん…そうだろうけど…。」


祐樹の言うとおり、銃発砲事件の時も警察はこのゲームについて調べてはいないようだった。



ただし、今回はどうだろうか ?


 「 あ、私がテレビ見ていない間に、いろいろあったんだね…。」


舞は過去のニュース覧を一覧表示して見てみた。



 「 おい、前見て歩けよ…。ぶつかるぞ。」

 「 大丈夫だってー。…あれ、これ…。」


舞はあるニュースをみつけた。
かなり古いものだ。

  


  確か、まだ美希と恵梨がいた頃じゃないかな…。


決定ボタンを押して、画面に表示させた。




 




 「 あれ…待って……。」




  これは……。


 「 どうした ? 先行く——。」

 「 これ…うちの近くじゃん…。」



祐樹の表情が急に真剣な顔つきになる。

 




 「 あ……ここの駅! 私達が乗った電車で………。」






舞の顔から、笑顔が一瞬で消えた。

まるで、ろうそくの火が吹き消されたように——。



 






 「 ————線路に…飛び降り…。…おのだ……ゆきえ…。」





 


  —————お母さんが…… ? 

Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.40 )
日時: 2009/12/01 20:37
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

  あれ……… ?


  どういうこと… ?




グイッと祐樹が舞の携帯を手から離し、先に歩いていった。



 「 もしかしてさぁ……もう知ってたの ?」




舞の震えた声に祐樹は動きを止めた。








 「 ……何で言ってくれないの ?」





 「 いつかは言おうとしてた。今お前に言ったらショックで———。」

 「 関係ないよ ! ! …すぐ行けたのに。」







  もうやだ……嫌だよ


  こんな訳の分からない所にいたくない…




 「 お母さんが……。いない………。」





 「 今、お前に教えたらこうなるだろ。」


 「 …もっと早く知りたかったの ! 嫌だ……わたしが…… ?」




 「 もう嫌だ…こんなゲーム……。」


 「 恨むんだったら自分が参加したことを恨め。」


  だって……


 「 だって! ……嘘だと思って…。」
 
 「 じゃあなんでお前はクリックしたんだよ。」


 「 それは———。……分からないよ。」






 「 誰でも簡単に信用するな。…俺のことも。」

 
  
  大人が言うようなことを……



  なんでステハンに言われなきゃいけないの………


 「 信頼して初めて仲間が出来るでしょ! このゲームで——。」

 「 仲間を作ったところで、何が変わる ? このゲームに仲間なんてものがあってもしょうがない。」



 




 「 もういい…聞きたくない……。」


そう言って、耳に手をふさぎ道路の真ん中にしゃがみこんだ。




祐樹が携帯を手渡す。
乱暴に受け取り、先ほどの過去のニュースを見た。



内容は、舞の母親が電車が来る直前に線路に飛び降りた為死亡——…というものだった。



  


  私の責任でもあり、ゲームの責任でもある…。



  いいや、…それはただ責任を押し付けているだけ。





  命の保障はないと、私は最初知ってた。


  その保障とは……自分のことだけではなく、自分と関係している周りの人間も…



  保障は出来ないということ……



  勝った時には……残ったときには…自分には賞金以外の何が残るのか ?




  
    







  こんなゲーム無ければ……



  考えたのは誰だよ………







  自分のせいでもある。
  けれど…そもそもこのゲームの存在自体が許されない……





  どうなの ?






 「 ……姪華はメールでこう指示したよね…。〝取り敢えず〟一人殺して…と。」



 「 それがどうした ?」




 「 きっとまたいつか殺さなきゃいけなくなる…。」






 「 ———私は…BBRを——…。」




無表情のまま、鞄からライフルを取り出した。



祐樹は絶句しているのか、何かを考えているのか、黙っていた。


 


 「 復讐って ?」

 「 そう。」



  私の人生を台無しにしたアイツを——。



 



 「 ———撃ち殺す」


ライフルを強く握り締め、手の震えを押さえた。



 


 「 ……お前の思うがままに」 





  そっか…妹の恵梨、このゲームで……。






    このとき、舞は 自分で人生を大きく変えてしまっていた——…。


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