ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- Got Part -神の一部-
- 日時: 2011/02/21 17:00
- 名前: 輝咲 (ID: SSNg/Zhu)
- 参照: 世界は只独りの人間を残して壊れた_____
クリックThank You★
●挨拶*.゜
初めまして!輝咲といいます。
初投稿で下手かもしれません。
なので、優しい目で見守ってくれると嬉しいです!!
因みに、コメ&アドバイス等は大歓迎です!!
●注意*.゜
:荒らしや中傷はお引取り下さい
:更新が遅い(週に2回位に更新します)
:駄文です(誰か分けて下さい><)
:誤字脱字有るかと思われます
:流血等、グロ有りです、苦手な方は止めておいた良いかと
●目次*.゜
>>004 登場人物(←編集しました)
>>140 オリキャラ用紙(終了しました)
>>151 オリキャラの紹介
序章 >>020
第1章『 裏切られる心 』>>175
第2章『 運命の出逢い 』>>176
第3章『 』
>>157・・part壱 >>158・・part弐 >>159・・part参 >>162・・part四 >>163・・part伍 >>166・・part六
番外章『 クソみたいに日常を愛する少女達 』
>>173・・part壱
●御客様*.゜
#くれは様 #ほみお #みんと水飴さん #幻洸様 #西戎王様
#偉薔薇様 #シルヴィン様 #main様 #ウサリンゴ様
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36
- Re: Got Part -神の一部- 拾弐話up ( No.111 )
- 日時: 2010/08/14 15:16
- 名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: r4kEfg7B)
●2章 part四
「うっ……!」
勢い良く会社から出たのはいいのだが、慣れていない都心の空気や太陽の光が、零衣を襲う。
四軌が追って来ても面倒なので、念の為会社から離れた路地裏に佇む。
「ったく……全然村とは違うな。」
どこを見ても、村とは違うものが溢れかえっている。
こんな路地裏からでも分かる。
空を目指しているかの様な高層ビル。
者の通りが絶えることのない程の沢山の者の数。
道には者工的に植えられたかの様な木。
そして、車輪をつけて走る変わった物体が。
零衣にとっては、見たことのない物がありすぎている。
「——早く例の者を探さねぇと。」
見たことない物を眺めている場合ではなかった。
左眼の眼帯を外し、そっとイヤリングに触れる。
「……どうやってやるんだ?」
そういえば——この能力の解放の仕方を知らない。
遊衣と闘った時は確か、あの女の声が勝手にやってくれた。
『神眼発動——覚えといてね。』
「——!!」
あの女の声がそう唱えると、イヤリングは砕け、瞼が開けれるようになる。
それだけを言いたかったのか、発動の仕方を教えると、すぐに声は消えていった。
まぁ、助かったのは間違いなしだった。
これで例の者を探せれる。
零衣は瞳をゆっくり動かしながら、大通りに出た。
者込みに呑み込まれそうな数だが、できるだけ者から避けて歩く。
左眼の世界は、真っ暗な風景に、色とりどりの炎が揺らめいている。
これが多分、『感情』というものを表している。
まぁ、当然のように、零衣には何も灯っていない。
(そういえば……。)
遊衣との闘いで、助けてくれたあの呉阿という女に不自然なことがあったのを思い出す。
隣にいた拳銃女の炎は視えたのに、呉阿の炎は視えなかった。
というより、『視せてくれなかった』の方が近いかもしれない。
今更、どうでもいいことなのだが。
不意に思い出してしまった。
遊衣のことも思い出してしまったことに後悔していると、ドンと肩がぶつかった。
「ちっ!」
ぶつかった男は不機嫌になったのか、厳つい顔で舌打ちをし、零衣を睨んでくる。
殴り合いはできるだけやりたくなかった零衣は、目を細くして男に睨み返した。
すると、さっきまでの表情とは真逆の怖がった表情になり、目を逸らし小走りで消えていった。
(弱いくせに、強がったことをする。一番、目障りな野郎だな。あんなのは雑魚以下のカスだ。)
弱い奴は雑魚などと、侮辱していると。
視界におかしな、『炎』が視えた気がした。
もう一度、そこに視線を戻してみると、おかしな炎がまた視えた。
煉瓦造りの家の向こう側の路地からだった。
不規則に炎が揺らめき、小さく燃えている。
普通に視えている炎とは違うのは確かだった。
(『その能力を使えば必ず分かる。保障する。』)
呉阿の言葉が脳に過ぎる。
もう、躊躇っている暇はなかった。
慎重にその炎が灯されている路地へと歩いて行く。
- Re: Got Part -神の一部- 拾弐話up ( No.112 )
- 日時: 2010/08/23 11:45
- 名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: PAeJS2fQ)
●2章 part伍
よく晴れてた先日のことだった。
「俺と付き合ってくれ!」
「えっ……!?」
冬野うさみというごく普通の女の子が通っている学校の屋上でだった。
とある学年のイケメン男から、『告白』されたのだ。
勿論、初めてではない。
何回かは告白された。
けど、全部断ってきた。
今回も断った。
——いつもどおりに。
上司に頼まれて、買出しに行ってた時だった。
「おい雪女!!」
5、6者の柄の悪い男達が、道を歩いていたうさみを呼び止めた。
「な……何?」
ゆっくりと振り返り、少し震えた声で男達に返事をした。
「ちょっと来い。」
うさみは腕を捕られ、裏路地に連れて行かれる。
ドンと壁にぶつけられ、男達に囲まれる。
「御前、昨日俺の弟をふったあげく、スノーマンにしたらしいなぁ!!」
一番体が角ばった男が前に出て、うさみに吼える。
「そ、それが? ちゃんと断ったよ?」
「俺が聞いてるのはそっちじゃない!! 何で弟をスノーマンにしたかだよ!!」
角ばった男の額には血管が浮き出ている。
マジ切れのようだった。
うさみの首を片手で掴み、壁に押し付ける。
手に持っていた買い物鞄が落ちる。
「うっ……!」
足が宙に浮き、体の重みが全部うさみにかかる。
首が絞まって息ができない。
「は、離して……!!」
出るだけの声を出したが、掠れて上手く声が出ない。
うさみは男が掴んでいる手首に、両手で掴む。
なんと、掴んだところから冷たい空気が吹き出た。
そして、みるみる手首が凍っていく。
「———!!!」
声になっていない叫び声をあげる男。
泣きそうな顔で、凍った腕を引き抜く。
解放されたうさみはゴホゴホと苦しそうに咳をする。
「て、てめぇぇぇ!! 何しやがる!!」
男は本気で切れた。
凍っていない腕で、うさみを殴る。
「……っ!」
腕で攻撃を防いだが、バランスを崩し、壁にまたぶつかる。
体全体を強打し、痛みが体に走る。
「てめぇらぁ!! 殺ってしまえ!!」
「おっす! 兄貴ぃ!」
手下達はそれぞれ軽い柔軟し、ニタニタを笑っている。
全員、素手でたりみたいだ。
(ど、どうしよ……。闘わなきゃ……。)
と言っても、うさみの体は動かない。
痛みは我慢できる。
しかし、体が動かない理由があった。
(こんな時に限って……。『アレ』のせいで……。)
涙が毀れそうになる。
そんな後悔をし始めた頃だった。
——この場所に、『救世主』が現れたのは。
- Re: Got Part -神の一部- 拾弐話up ( No.113 )
- 日時: 2010/08/23 11:48
- 名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: PAeJS2fQ)
●2章 part六
家と家の間のうす暗い小さな広場までの道を歩く。
炎は広場から視えている。
広場に近づくほど、炎がくっきりと視えてくる。
そして、広場の表に出ようとした時だった。
「てめぇらぁ!! 殺ってしまえ!!」
男の怒鳴り声が聞こえた。
ピタリと歩を止め、家越しに左眼で状況を確かめる。
あの小さな炎の周りに、6個ぐらいの炎が揺らめいている。
小さな炎の前にある、炎だけが大きく燃えていた。
紅く燃えさかり、ドンドン大きくなっていく。
(行ってみるか。)
零衣は武器を構えず、広場に出た。
左眼で視たように、状況は正しかった。
男達が囲んでいる中に、咳をしている女の子が1者いた。
「御前等、女を苛めてどんな利益があるんだよ。」
「あぁ!! んだてめぇ!? 殺られてぇのかぁ!?」
体が角ばった男は怒鳴り散らした。
さっきの声と同じ声だった。
よく視れば、怒鳴った男の片腕の手首が凍っている。
状況的に、あの女がやったみたいだ。
「別に。只、煩かっただけだ。てか、声のボリューム下げろよ。」
「なんだとぉ!? 調子に乗ったこと言うんじゃねぇぞ!!」
男はまた怒鳴った。
零衣のドスドスと前へと歩み寄る。
「もう一度言う。声のボリュームを下げろ。」
「はぁ!? 誰に向かって言って——」
男が切れて、腕を上げた瞬間だった。
ブシュゥゥゥ———。
男の手首から血飛沫が散った。
切断された手はコンクリートの地面にボトリと落ちた。
辺りの空気は沈んだようになった。
「……ギャァァァァァァ!!!」
手が無くなったことに反応が遅れた男。
地面に蹲り、切断された腕を掴んで、ガタガタと震えている。
追い討ちをかけるかのように、傷口より少し上に、阿修羅を突き刺す。
「ウギャァァァァ———!!」
叫び声と呻き声が混じった声を上げる。
男は涙と鼻水を垂らしていて、汚かった。
「御前、言葉が分からないのか? 私は、『声のボリュームを下げろ。』って言ったんだ。素直に下げないから、こんな事になったんじゃないのか?」
「うっ……!」
男は言い返せない。
痛みに耐えるので精一杯みたいだ。
とどめに、阿修羅を頭に突き刺した。
「あ、兄貴がやられたぞ……!」
「なんだよアイツ……!」
「強すぎだろ……!」
残った手下達はヒソヒソと恐れるように小話をしている。
そして、如何にも体つきが弱そうな男が武器を構えて突っ込んでくる。
「兄貴の仇ぃー!」
——無謀にも程があるな。と零衣は呆れてしまった。
刺した阿修羅を引き抜き、突っ込んでくる男の喉に阿修羅を振るう。
大量の血が飛び散り、男は静かに崩れ落ちた。
「ヒィィ!!」
男達は驚き竦み上げた声を上げた。
中には腰を抜かしている者もいる。
零衣はゆっくりと、男達の方へと歩いて行く。
そしてたどり着くと、素早く阿修羅を振り、男達の体を斬り裂く。
——あっという間に地面は血の海となった。
女は唖然とした顔で、零衣を見つめていた。
目は丸く、クリーム色の髪は長く天然のウェーブがかかっている。
肌は白く、雪のように見える。
——愛嬌がありふれた女だった。
(こんな女が、アイツが言ってた奴のわけがないよな。)
期待が外れ、此処には用がないと思った零衣は、女に背を向け歩き出す。
歩く度に、地面に広がった血の面が揺らめく。
(———血。)
夢にも出てきた、大量の血。
その上に、沢山の死体。
この光景が、夢と同じに見えてきた。
——プツッ。
何かが繋がる様な音が聴こえた。
そして、左眼の様子がおかしい。
——焦点が合わない。
同時に、目眩が起きる。
(何だこれ!? 左眼が——!)
左眼を思い切り手で押さえる。
それでも、左眼の焦点は合わない。
歩くと足が縺れそうになる。
『——現在と過去が繋がった。』
- Re: Got Part -神の一部- 拾弐話up ( No.114 )
- 日時: 2010/08/23 11:50
- 名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: PAeJS2fQ)
●2章 part七
(——は?)
淡々とした口調で、例の『声』が語った。
今までに無い喋り方で、零衣は一瞬怯んだ。
(くそっ! 訳がわからん! さっきから——)
頭を抱えて悩んでいたら、女が零衣の近くまで来ていた。
「あ、あの〜……大丈夫ですか?」
「——!!」
近づいていることに全く気づかなかった零衣。
反射的に女から離れる。
何故かその時、左眼も焦点が元に戻った。
「もし頭が痛かったら、甘い物が良いですよ。意外に落ち着きますし。」
そう言って女の手には、『チョコレート』が——。
夢に出てきたパッケージとは違ったが、形はほぼ同じだった。
ザザザ———。
女の顔を視ると、左眼がまたおかしくなった。
目の前にいる女の顔と、夢に出てきた救世主の顔が、ほんの一瞬だけ重なって視えた。
差し出している手も、顔の表情も、その血と死体の背景も——全てが現在と一致した。
「……!」
女の頬が熟した林檎の様に赤くなっている。
さっきまでの白い肌とは別物になった。
「おい……御前も大丈夫なのか? 顔が真っ赤だぞ。熱あるんじゃないか?」
別に心配とかはしていないが、急に頬が真っ赤に染まったことが不思議に思った。
女はさっきよりも頬を赤くし、手を横にブンブンと振って否定した。
「だ、大丈夫です! 熱はありませんよ! ——それよりも、頭の方は治まったんですか?」
零衣には、話題を無理矢理変えた素振りに見える。
そんなことは気にせず、零衣は答えた。
「あぁ、まぁな。」
確かにおかしな左眼の症状は治まった。
しかし、疑問が微かに頭に残った。
(どうしてだ? この女が話しかけられると、左眼の症状は治まった。それが二度も起きた。)
頭を捻らせたが、良い答えが思いつかない。
多分これは、考えても意味ない——と零衣は改めた。
「その左眼の模様変わってますね。」
頬の色が元に戻った女が、零衣の瞳に疑問を抱いた。
零衣の顔を覗き込んでいる。
「御前、この模様が見えるのか?」
意外な質問に、根本的な質問で返してしまった。
「当たり前ですよ。だって、こんな神秘的な模様が瞳に映ってるなんて、普通じゃ有り得ませんって。それに、私が働いている会社のボスの額に、その模様がありますし。」
「何!? ボスだと!?」
『ボス』という言葉に反応してしまった。
それに、『額』の方も気になる。
「え、えっと……。」
いきなりの質問に戸惑いの様子が表れている。
——不運と言ってもいいかもしれない。
この場に呉阿が姿を現した。
「ようやく出逢ったようだな。おめでとう。」
皮肉っぽく呉阿は微笑みながら言った。
その姿を見て、女は呉阿の元へ駆けて行く。
「ボス! どうして此処に? ——痛っ!」
呉阿は女の額にデコピンをした。
両手でやられた部分を抑えている。
「いい加減慣れたらどうだ? 『男』に。」
少し呆れた様に言うと、女はモゾモゾしている。
「男は〜……無理。」
「ったく……。」
呉阿は大きく溜め息を吐いた。
次に零衣を見て、呆れた様に話しかける。
「ちょっとやりすぎじゃないか?」
零衣の周りは、死体と血が溢れている。
血の量に対して指摘しているのだろう。
「襲ってきたから、身を守る為に殺っただけだ。他に理由はない。」
「能力はピカイチなのに、性格は問題児だな。——まぁいい。兎に角、此処から離れるぞ。誰かに見られたら面倒だ。」
「了解ボス!」
「……。ダルい……。」
零衣は呉阿と女に聴こえないように、小さな声で呟いた。
——呉阿が一瞬笑った気がした。
- Re: Got Part -神の一部- 拾弐話up ( No.115 )
- 日時: 2010/08/25 16:44
- 名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: P8fkdnbW)
●2章 part八
零衣がさっき歩いてきた大通りを歩く。
呉阿を真ん中に、左右それぞれに零衣と女が歩く状態となった。
「早速本題に入るが、うさみを零衣の秘書にあたる者になってもらう。」
「はぁ!?」
「え!?」
零衣と、『うさみ』と呼ばれた女は同時に驚きの声を上げる。
驚きすぎているのか、うさみの表情が固まっている。
「何でだ? 私はまだ14だぞ。秘書なんていらん。」
零衣は呉阿の提案を拒否した。
普通に考えれば、こんな歳で秘書をつけるなんて有り得ない。
「歳とかは関係ない。他の会社の社長の息子や娘は、普通につけているぞ。5歳でつけているとこもあるしな。」
「……狂ってんな。」
呆れすぎて、上手く言葉が出てこない。
この世界自体が狂ってる。——零衣は無意識に空を見上げた。
「それにうさみの御陰で『左眼の症状』だって治ったんだろう?」
まるで、知っていたかのように呉阿は言った。
嫌がらせなのか、『左眼の症状』を強調している。
「——! どうしてそれを!」
零衣は驚愕してしまった。
まだ、そんな事を話してもいないのに。
先を読まれた感じだった。
「その事は会社に着いてから話すさ。兎に角、うさみを秘書とする。良いな?」
「——あぁ。」
もう、反論したって勝ち目が無い。
零衣は諦め、仕方なく承諾した。
「うさみも良いな?」
「うん!」
コイツ——と零衣はうさみを酷く恨んだ。
どう考えても、反論はするだろ。
「——という訳で、お互い自己紹介だ。」
呉阿は両手を、零衣の頭とうさみの頭にポンと乗せた。
まず、先に言ったのがうさみだった。
「私は、冬野 うさみって言うんだ。ヨロシク!」
満面の笑みで自己紹介をされた。
てか、笑顔輝きすぎだろ。
ふと、そんなことを思ってしまう程だった。
「……私は、鉄川 零衣。歳は14だ。」
「14? ——なら、私と同じだね!」
また、あの笑顔で答えられる。
目を合わせるのが、不意に面倒になってきた。
自然的に視線をうさみから外した。
「そうか。——!!」
零衣はできるだけ、驚きを誰にもばれない様にする。
息が止まってしまうぐらい驚いたが、運良く誰にもばれなかった。
「じゃ次は——」
呉阿が何かを話しているみたいだが、頭に入ってこない。
そんな事よりも、零衣には個者的な問題が発生していた。
零衣の目の前の視界には、黒いフードを深く被った者が、零衣の反対側から歩いてきている。
身長は大体、零衣と同じぐらい。
下は赤のチェックの短いスカートを着ている。
顔はフードのせいで見えない。
左手には人形が抱えられ、右手にはお菓子らしき袋が抱えられている。
特徴がとても、夢に出てきた『救世主』に似ていた。
——いや、『似ている』と言うより、『同じ』かもしれない。
——プツッ。
まただ。
何かが繋がる音がする。
当然のことかの様に、左眼の焦点が合わなくなる。
必死で左眼を押さえるが、意味がなかった。
(うっ……。クソ! 治れ!)
どんなに胸の中で叫んでも、治まる様子はない。
そんな事を思っている内に、どんどんお互いの距離が縮まっていく。
ついでに、心臓の鼓動も早くなっていく。
————。
フードの者と隣ですれ違った。
あっちは零衣の存在に気づいていない様子で歩いて行った。
運が良かったのか、悪かったのか。
夢に出てきた者とそっくりな者を見かけてしまった。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36