ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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白夜のトワイライト
日時: 2011/12/01 18:23
名前: 遮犬 (ID: FMKR4.uV)
参照: 本編:13話♯2を更新いたしました!

何だか色々と更新したり、しなかったりで申し訳ございません。
シリアスで初めて投稿した作品なので、どうにか完結まで導きたいと思います。
オリキャラも、全員必ず出させていただきます。
どうか宜しくお願いいたします。



小ネタ劇場とかどうですか?>>120
狩人さんの小ネタ劇場とかどうですか?>>124
男の子キャラを二次元女体化してみました>>144

〜目次〜
物語を読む前の分からない用語確認…>>30

キャラごとのランクと職種公表…>>186
プロローグ…>>1

【第一章】
第1話:始まりの鎮魂歌 >>13-36
♯1>>13 ♯2>>26 ♯3>>31 ♯4>>36
第2話:断罪の花 >>41-57
♯1>>41 ♯2>>50 ♯3>>56 ♯4>>57
第3話:Daed or alive?(生死は問わず) >>63-78
♯1>>63 ♯2>>66 ♯3>>77 ♯4>>78
第4話:隠された記憶 >>82-93
♯1>>82 ♯2>>89 ♯3>>92 ♯4>>93
第5話:裁くべきもの、守るべきもの >>103-127
♯1>>103 ♯2>>117 ♯3>>126 ♯4>>127 
第6話:動く政府と反政府 >>133-147
♯1>>133 ♯2>>138 ♯3>>145 ♯4>>147
第7話:戦いの螺旋 >>150-162
♯1>>150 ♯2>>151 ♯3>>154 ♯4>>162
第8話:闇に塗れた真実と地獄 >>163-168
♯1>>163 ♯2>>166 ♯3>>167 ♯4>>168
第9話:光と闇の咆哮 >>170-175
♯1>>170 ♯2>>171 ♯3>>172 ♯4>>175

【第二章】
第10話:終わりの始まり >>180-183
♯1>>180 ♯2>>181 ♯3>>182 ♯4>>183
第11話:混雑な世界 >>184-191
♯1>>184 ♯2>>185 ♯3>>188 ♯4>>191
第12話:捜し人 >>196-204
♯1>>196 ♯2>>199 ♯3>>203 ♯4>>204
第13話:惨劇の再来
♯1>>205 ♯2>>211



【番外編】(一応物語に関係したりします)
Condemnation(断罪)
♯1>>187 ♯2>>192 ♯3>>203 ♯4>>208




〜オリキャラの方々〜(○=既に登場 ●=近く登場予定)

風月 春(ヴィオラさん作)…>>3○         宮澤 碇(ヨモギさん作)…>>4
甘槻 無兎(瓦龍、さん作)…>>6●        吾妻 秋生(亜倉歌樹さん作)…>>8○ 
不知火(狩人さん作)…>>9○            涼代 美月(乙季さん作)…>>11
レイス・マキャベッリ(めるとさん作)…>>14○    矢野 命中(アドレスさん作)…>>16
藤堂 紫苑(紅蓮の流星さん作)…>>17○    裏面 臨死(阿嘉狐さん作)…>>23
琴覇 明(風華さん作)…>>24○         黒槍 斬斗(パーセンターさん作)…>>27
天道 残月(クロ+さん作)…>>33○        エルンスト・ワイズマン(祭さん作)…>>44
阜 七姫(譲羽さん作)…>>47○         鈴音 凛( 葵さん作)…>>49
千原 双(世移さん作)…>>75○         竹内 和磨(青銅さん作)…>>83
鬼神 舞華(絶櫨さん作)…>>84●        炎牙 零影(駒犬さん作)…>>85

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Re: 白夜のトワイライト  ( No.182 )
日時: 2011/10/03 20:04
名前: 遮犬 ◆.a.RzH3ppI (ID: EFs6h6wo)

世界は豹変する。
異次元と現実が混じる時、世界は新たな形を創造する。
それは、壮絶な物語のきっかけに過ぎない。




まだ頭が痛む。酒を浴びるほど飲み、二日酔いをしたような気分で、優輝はゆっくりと体を起こした。
一体何が起こったのかも分からず、ただぼんやりしている頭を押さえながら、優輝はふらついた足で何とか立ち上がった。

「ここは……どこだ?」

次第に視界が治まっていく。しっかりと目の前が見ることが出来たと思うと、そこは優輝自身のベッド上だった。
周りは散乱し、いつもの部屋だという感覚と共に、不意に違和感を覚えた。

「これ……何だ?」

腕に、いつの間にか腕輪が取り付けられていた。銀色に光る腕輪で、優輝はそんなものを身に着けていたことなどは知らなかった。いや、それよりも見覚えすらもない。一体これは何だと疑心に溢れていると、不意に思ったことがあった。

「俺は、どこにいた?」

優輝はもう一度自分はどこにいたのか考えてみることにした。
警察庁に向かい、そこで自分は誰と会ったのか。

「そうだ……高宮、修司に会ったんだ」

そして、その後高宮に連れられて警察庁の奥まで連れて行かれることになった。そこから何を見たのか。

「下には、もう一つの世界があって……機械だらけの、すげぇ街が……」

エレベーターから下りて、そこからどうしたのか。

「高宮が……突然、わけのわからないことを言って……? それから、俺は……気を失った?」

全てを思い出した優輝は、単純な疑問を抱いた。
あの場で倒れたのだとしたら、もしそうだとして、夢でなかったとして、

「なら、俺はどうして自分の部屋にいる?」

素朴な疑問は、一つの行動を駆け巡らせた。
最後に聞いたアップデートと関係のある言葉。それは、この世界に何らかの異変が起きたということだろうか。
もしそうだとしたら、この世界は一体どういう風に変わってしまったのだろうか。
優輝は自分のパソコンの画面を見た。節電状態で、真っ暗な画面と化していたそれに浮かびあがったのは、

『アップデート完了。アップデート内容:三次元と楽園の混入・及び合成。』
「三次元って……この世界のことか? 楽園……エデンのこと? それの混入と、合成……。もしかして……!?」

優輝の考えたこと。それは——

ガシャァンッ!

不意に外からガラスの割れるような音が響いた。音の大きさ的にも、すぐ近くだということが分かる。一体何事かと、優輝は窓の外を覗いて見るが、よく見えない。実際に行ってみるしか方法がなかった。




商店街の一角。そこは現実にて、現実ではなくなってしまった場所に、一人の少女が、そこにいた。
少女は、その傍で力が抜けたのか、へたりこんでしまっていた。その姿を見て、少女の眼の前にいる異形の生物はニヤニヤと笑っているような不気味な笑みで少女を見つめていた。

「あ……ぁ……」

少女は、眼の前の明らかに怪物といえる存在を見て、怯えていた。

「G%&')'$"$……!!」

文字として表しようのない雑音に似た音声がその怪物から放たれる。それは少女も今まで見たこともなかった。
ゆっくりと怪物は少女へと近づいていく。怖くて少女は声を出すことすらも敵わなかった。

「#%%#”#%’&!」

化け物は一気に少女の上空へと飛び上がり、そのままその身を切り裂こうとしたその時だった。
一閃、斬撃が虚空を舞う。
それは音も無く、無音のまま、化け物を切り裂き、そしてゆっくりと化け物は肉塊へと変化していった。
その様子を見て、少女は絶句した様子でその肉魂を見つめた。そのすぐ傍で、誰かが歩み寄ってくる気配がした。

「姉ちゃん、大丈夫かいな?」

関西風の言葉をその男は投げかけてきた。
その男の頭には、見たことのあるものが生え、そしてその男の尻の辺りにも見たことのあるものが生えてあった。
意気揚々と、元気良く少女に話しかけたこともあってか、少女は戸惑いながらもゆっくりと頷いた。

「そぉーかぃっ! よかったわー! 大丈夫そうやな!」
「あ、あの……」
「なんや?」

喜ぶ関西風の男の頭上と尻の辺りを交互に見てから、

「それ……犬耳と、犬の尻尾……ですよね?」
「え!? ……あ、あぁっ! バレてもとるやん!」

何故だか愕然としたような態度を取り、頭を抱えてはうずくまる関西風の男を見て、少女は少しその様子を驚いたように見つめ、その後、慌てたように、

「あ、あああのっ! い、言ったら、ダメ、でしたか……?」
「へ? あぁ、いやいや! かまわへんよ! これなぁ……俺の能力の代償みたいなもんやねん」
「能力の、代償ですか?」
「せや。やから、そないに気にすることもないねんけどなぁ……まぁ、ええわ。姉ちゃん、名前教えてくれへんか?」

突然話が切り替わったりして、そのスピードについていけずに慌てる様子を取る少女を見て、関西風の男は気にしない様子で「あぁ!」と声をあげた。

「そうやなぁ! 名乗らせる前に、俺から名乗っとかなあかんわな! 俺の名前は、緒川 春之助(おがわ はるのすけ)ゆーもんや! よろしくな、姉ちゃん!」

緒川は笑顔で言うと、手を差し伸ばした。その手に触れようか触れまいか悩んだようにした挙句、少女はゆっくりとその手を掴んだ。

「わっ!」

そうした途端、急に体が浮き上がり、少女は立ち上がった。緒川が手に力を込めて少女を立ち上がらせたのだった。
その様子を見て、緒川は高笑いすると、

「次は姉ちゃんの名前やで。教えてくれへんか?」

緒川の言葉に促されるように返事をすると、少女は少し戸惑いがちに言葉を漏らした。

「ぼ、僕の名前は、裏面、臨死(りま、りんし)っていいます……。え、えっと、アバタコードは……"なるようにならない最悪"です……」
「えらいけったいな名前しとるなぁ〜……って、アバタコード忘れとったわ! 悪い悪い!」

緒川はそう言って人懐こそうな顔を見せた後、

「俺のアバタコードは"犬神"や! よろしゅう頼むなっ! えーと……臨ちゃんって呼ぶわ! な、臨ちゃん!」
「え、え? あ、は、はい……あの、えっと……」
「あぁ、俺のことは春でえぇよ! 春之助、なんて言い難いしなぁ! それで堪忍してや!」
「はい……よろしく、お願いします……。そ、それと……先ほどは助けていただいて、ありがとうございます」
「お互い様やろ? ははっ、大したことしとらんわ〜!」

緒川はそういって犬耳を前後に揺らし、尻尾を左右に振った。
どうやら無意識らしく、嬉しかったりすればこういう動作を行ってしまうようだった。

(か、可愛い……)

初対面でこう思うの、とは思ったが、裏面は密かにそう思ったのであった。

Re: 白夜のトワイライト  ( No.183 )
日時: 2011/10/04 18:42
名前: 遮犬 ◆.a.RzH3ppI (ID: EFs6h6wo)

外に出て、優輝は確信を得た。
この世界は、いつも通りの世界ではなく、混ざっていると。
確実にそれは壊れていて、けれど上手く混ざり合っている世界。その結合したものがこの世界。
傍に無機質に置かれた鉄パイプを持って振るう。風を斬る音が振り終わった後に聞こえる。
優輝はエデンの時と同様にして、一つ息を吐き、誰もいないアスファルトの道の中、勢いよくパイプを振るった。すると、見覚えのある光が鉄パイプに纏わりつき、それは一気に風と共に空中を切り裂いた。
その一閃、風が二つに割れたかのように、優輝の前方の空気が左右に勢いよく吹き荒れ、やがて地面の中へと吸い込まれていった。

「斬れる……。能力が、使える」

鉄パイプを持つ手を握り締め、優輝はそう感じた。
あの感触といい、あの感覚や、あの光は、全て優輝の能力である神をも斬ることが出来る"神斬"という能力と全く同じだったからだ。
つまり、この世界はもうエデンと同じ。もしかすると、アップデートの内容は思った通りなのかもしれない、と優輝はその場で考えた。
現実の世界と、エデンの配合。果たしてそんなことが本当に可能なのだろうか。いや、そうじゃなければ、今現在の状況はどう解釈できるのだろうか、と。
思考錯誤を繰り返しても、状況は変わらず、人気のない道路がただ眼の前に広がっているだけ。その奥を見つめても、何も出てこないと分かるが、優輝にとってその奥に待ち受けるものは何なのか。それがどうにも違和感なようなものに似ている気がして仕方がなかった。
震えも止まらない。どうにも前へ進みたいのだが、誰か人の気配が欲しかった。自分は今どこにいるのか教えてくれるだけでもいいから、誰かと話したい。そんな気分に駆られた。

「そうだ、携帯……!」

もっと早くに気がつけばよかったと後悔しつつも、優輝は自分のポケットを探り、携帯を握り締め、取り出した。
電話かけるとしたら誰にしようか。悩んだ挙句、一人の男にかけることにした。
プルルル、といつもの呼び出し音が携帯から鳴る。出てくれ、という思いと同時に不安が募る。それを押し切り、黙って相手が出るのを待った。すると、

『……もしもし? 優輝か!?』

久しぶりに聞くような気分がした。相手の声を聞くや否や、優輝はその場で喜びの声をあげるように、妙に興奮した声で、

「はいッ! 俺です! 日上 優輝です! ——橋野さん!」

優輝が電話をかけた相手は橋野 慶治だった。
アバターコード、狂戦士で通っている優輝の上司にあたる人である。以前、優輝の不注意によってシステム上のバグ、通称イルに襲われていたところを助けてくれた優輝にとって信頼出来る人間の中の一人だ。
電話越しに聞く橋野の声が優輝にとっては安心できるもので、とても心が落ち着いた気がする。

『大丈夫か? 今、どこにいる?』
「俺は大丈夫です。今は……俺の家を出て、少しの所ですから、西城公園にしじょうこうえんの近くだと思います」
『分かった。俺も近くにいるから、すぐに向かう。そこで落ち合おう』
「分かりました、待っています」
『あぁ、じゃあ、後でな』

そこまで話すと、橋野の方から電源が切られた。優輝は携帯を閉じてポケットへと再び仕舞い込むと、一息吐いた。

「とりあえず……橋野さんが来る間に、俺はこの辺の探索とか、色々してみるか……」

ゆっくりと一歩、前へと進んだその時だった。
不意に、前方に何かが駆け抜けていった。とても速く、それは一体何なのかがまるで判断がつかなかった。
その直後、右側の壁が大きな破裂音と共に砕け散った。煙が立ち込め、辺りは真っ白に染まっていく。

「何だ……?」

その煙が全て晴れたその時、その中から見えたのは男だった。
男は、手にグネグネと右往左往に曲がっている刀身を持つ剣を握っており、どうみてもプレイヤーのように見えた。

「ククク……! 見つけたぜぇ……? プレイヤーちゃんよぉー!」

ニヤニヤと笑みを浮かべているその男は、麻薬中毒なのか、眼が泳ぎまくり、何本も注射の後が腕に見える。格好はホストのような格好をし、何があったのか、服は血だらけだった。

「お前は……」
「ううーん? どれどれ……神斬? 聞いたことねぇアバターコードだなぁ、おい」

残念がっているのか、苛立っているかどちらかよく分からないような態度を取りつつ、地団駄を踏んでいる男は、やはりどこからどうみてもプレイヤーで、人間だった。

「まぁ、いいかぁ……。お前はどんな顔で、どんな声で泣き叫ぶんだろうなぁ……」
「俺を一体、どうする気だ……」
「決まってるだろ? ——殺すに決まってンだろぉぉがぁぁっ!!」

男はふらついた足取りをテンポよく刻みながら、優輝の方へ勢いよく駆けて来た。
大きく剣を縦に振るい、地面に当たる寸前で止めたその直後、突き刺すようにして剣を構え、優輝の胸元辺りに目掛けて手を伸ばした。

「ッぶねぇっ!」

間一髪、優輝はそれをかわし、バックステップを踏んで後方へと下がった。
手持ちの武器は、鉄パイプ。それに比べて、相手は本物の剣。明らかに不利なのは優輝の方だった。

(相手も何か能力があるはずだ……。俺の前に現れた時のあの速度。それは能力に違いないんだが……)

どんな能力かを具体的に知らない限りは迂闊に手出しは出来ない。これはゲームの世界でもなく、現実世界として存在しているようで、気が狂いそうだった。
今まで人を倒してきたりしたのは、人ではなく、ゲームのキャラとして割り切ってきたから。そうしないと、人は斬れない。それだけ重かったのかと今更になって実感する。

「何、逃げてんのぉぉっ!?」

狂ったように叫びながら、男は再び千鳥足で向かってくる。剣を優輝の肩に目掛けて振り落とした。寸前のところで鉄パイプによって受け止めたが、

「な……!」

パキンッ、と鉄パイプから音がしたと同時に、剣によって一刀両断された。男は、ニヤリと笑ってすぐさま優輝を斬りつけた。
血が空中を舞った。服に切れ目が入り、そこから鮮血が飛び散る。だが、優輝はまともに斬られてはおらず、ほんの切り傷に過ぎなかった。

「ちぃっ、少し掠っただけか……よぉぉっ!」

この機を逃がさない、といったように続いて剣を振り上げた。優輝は動こうにも、斬られた後で、怯んでしまっていた。痛みが傷から伝わってくるよりも早くに男の剣は優輝を捉えていた。

「しねねぇっ!!」

男の持っている剣が優輝を斜めに切り裂こうとしたその時、それよりも速く、優輝の手が動いていた。
優輝の手には、斬られた鉄パイプがまだ残っていた。それも斜めに斬っていたおかげで、鋭く尖っている。それを優輝は思い切り、男の腹に突き刺したのである。この至近距離でしか届かない、今の優輝にとっては最大の攻撃であった。

「が、ぁぁっ……!」

男の腹に鉄パイプは見事突き刺さり、着ている服が赤く染まっていく。その怯んだ隙を狙って、優輝はその男を蹴り飛ばした。
アスファルトの地面に叩きつけられた男は、そのまま意識が昇天し、気を失った。

「あ、危なかった……」

この男が優輝を殺せると余裕を見せて至近距離まで近づいてきたのが仇となった。優輝はそれを狙い、斬れた鉄パイプで攻撃出来る範囲を作り上げたのだった。
ゆっくりと男の元に近づき、剣を拾い上げた。意外と重いが、両手で握れば速い攻撃が可能だろう。

「しっかし……変な剣だな」

そう呟いてはその剣を護身用にするべく、手に持っておくことにした。
それから優輝はその場に座り込み、事のまとめに入った。
まず、何故プレイヤーをプレイヤーが狙っているのか。エデンにも、プレイヤーキラーというものがいたり、賞金稼ぎの為にそれ専用の殺し屋や、その他にも目的は沢山あるプレイヤー殺し。だが、この世界でそんなことを知り得ることが出来るのだろうか。もし殺してメリットがある、なんてことは本当にあったとするならば、それはどんなメリットなのだろう。金か、それとも他の何かか。どちらにせよ、この世界が一体何なのかさえも分かり兼ねているこの状況で、プレイヤーを殺すなんてことは情報的にも不利じゃないのだろうか。

「あぁ、面倒だな……」

頭を掻きながら考えても見るが、どうにも腑に落ちない。それどころか、謎が深まるばかりだ。
こんなことをして、何のメリットになる。それに、このアップデートによって、やはりエデンを作った誰かがこの世に存在するということになるのだろうか。
一体誰が。何の目的でエデンを作ったのか。アップデートをする意味は一体何なのか……。
そもそも、この世界が本当にエデンなのかというのも不確かだった。今の現段階では、情報が少なすぎる。

「情報か……。情報。情報……? ……あ、高宮! 目覚める前、何だか知っていそうなことを言っていたような気がする……」

そう言った直後、携帯が震え始めた。電話で、名前の欄には橋野さんと書かれてある。すぐにその電話を出ることにした。

『もしもし。日上、お前、今はどこにいるんだ』
「すみません。もう少しで着きます。もう公園に着いてますか?」
『あぁ。人気無くて不気味な感じだな。すまんが、早く——』
「もしもし? 橋野さん?」
『……すまん、用事が出来た。日上、駅に乗って中央セントラルに行け』
「え? もしもしっ? もしもし!? 橋野さん!?」

優輝が橋野を呼んだ時には、既に電話は終了していた。
一体橋野に何があったのだろうか。そんな不安の中、急いで優輝は公園へと向かうことにしたのであった。




「随分暇そうですね?」

薄暗い部屋の中、一人の男の声が響いた。
何も無い殺風景な部屋に、この男の少し低い声はよく似合っていた。

「そうかなぁ?」

子供のような発音で、"それ"は返事をした。
しかし、声音はノイズがかった感じの声で、少年なのか青年なのかの区別もつかない。
その態度に、男はふっ、と鼻で笑うと「いいんですか?」と言った。

「何が?」

ノイズの声はそれに対して少なくとも無邪気、という言葉を多少なりとも含んでいる感じで答えた。

「何でもないですよ——"ツクツク法師"さん」

その男の言葉が室内に響いてから数秒後、突然ノイズの混じった声がケタケタと笑い声をあげた。
それは、気持ちの悪い雄たけびのようなものに聞こえ、通常の人間なら畏怖を感じ、また人ではないと思うだろう。

「面白いだろ? 黒獅子」

いつまでも笑い声が止めることはなかった。
それはまるで、始まりを告げるサイレンのように、室内を埋め尽くしていく。

ゲームは再び再開される。
トワイライトは、繰り返される。

Re: 白夜のトワイライト  ( No.184 )
日時: 2011/10/10 17:08
名前: 遮犬 ◆.a.RzH3ppI (ID: EFs6h6wo)

ポツ、ポツと繰り返して同じリズムを刻んでいくその雨粒は、天井の岩石から滴り落ちていた。
薄暗い洞窟の中に、三人の人間が息を潜めていた。その内の二人は気絶しているのか、その場で倒れ込んでいる。二人の隣にいた赤い目をした男は、片手に持っていた瓶を口へとつけ、一気に中身の水を飲み干した。水を飲み干す音と、水音が滴り落ちる音しかないこの薄暗い空間の中、黒槍 斬斗は息を吐いた。
近くの岩石の壁に剣を二つ、たて掛けている。いつでも剣を取ることが出来るように出来るだけ傍に置いてあった。

「ふぅ……」

瓶からようやく口を離し、一息吐いた後に隣で寝ている二人に目をやった。

(何故俺がこんなことを……)

思い返してみれば、それは突然のことだった。


第11話:混雑な世界


あの闘争の中、敵だった斬斗を助けたのは、現在斬斗の隣で寝ている内の一人、風月 春こと大和撫子だった。
何故助けたか。その理由は斬斗の考えることでは全く理解しえないものであった。

「離せ! 敵の恩などいらん!」

斬斗はその時、肘を振り回してそれを払った。善意で助けてくれたというのは斬斗にも分かっていたが、敵だった。それはどう考えても敵で、先ほどまで殺し合いをしていた者同士。なのに恩を着せる、などということは斬斗にとって有り得ないことだった。

「あ——ッ!」

その時、春は後ろに飛ばされた形になり、後方へ仰け反った。その直後、眼の前が眩み、地面が大きく揺れ動いた。春の足元には地割れが起きようとしていた。そのすぐ傍で涼代 美月こと氷歌も倒れており、二人してその地割れの波に飲み込まれそうになっていた。
本来なら、それは敵が死ぬという"メリット"で助けなかっただろう。しかし、その時の斬斗の心の中では、その規律は乱されようとしていたのである。
もう既に戦争は終わった。この闘争は、終わりを告げた。つまり、敵も味方もない。今はもう、一プレイヤー同士だと。

「うぉぉッ!」

斬斗は力の限り走り出し、春と美月を助け出した。その時から既に二人の意識は途絶えてしまっていた。
地割れの断面を何とか飛び越え、転がるようにして着地をした後、二人の様子を確かめる。脈がしっかりと取れていることを確認すると、安堵の息を吐いた。
それから周りを見渡し、もう一人仲間の連れがいなかったか探そうと立ち上がったその時、突然斬斗たちの足元に巨大な地割れが開いたのであった。

「な——ッ!!」

斬斗たちは成すすべもなく、そのまま谷底へと落ちていった。
だが、今はこの通り生きている。それは落ちている最中、急に眼の前に現れたアップデートという文字が関係しているのかは分からない。だが、現在こうして助かっているところからすると、関係性は確かにあるのだろう。

(しかし……こんな洞窟、見覚えがない。もし谷底から落ちたとすれば、即死になる……生きているし、どこかに転送されたとしか考えが思いつかん……)

また一口水を飲み込み、喉へと通した。冷たい水がひんやりと喉から胃にかけて冷ましていく。

「う……」

その時、不意に隣の方からうなり声のようなものが聞こえた。そこには、青いバンダナをした春がゆっくりと起き上がってきていた。

「起きたか」
「ん……あれ? ここは……」
「分からん。どこかに転送されたのかもしれん」

春が寝ぼけたような声を出しながら辺りをキョロキョロと見回す。その様子を斬斗は暫く見ていると、不意に春の方から「あっ!」と声を出して斬斗の方へと向いた。

「貴方は……!」
「……あぁ、黒槍 斬斗だ。アバターコードは斬将。俺もお前も、そして……お前の後ろにいるそいつも、三人が三人ともこの洞窟に転送されたようだな」
「後ろの……え、美月!?」

春は後ろにいた美月の肩を揺さぶり、目が覚めるまでそれを繰り返しながら名前を呼び続けた。

「うぅん……」
「よかった……目が覚めた」

ゆっくりと美月も体を起こして、状況が全く掴めない、といった表情をして春と斬斗を見比べ、そしてそのすぐ後に突然身構えた。

「大和撫子。私をまた"あの場所"へ戻しに来たんでしょ!?」
「違う。私はそんなことをする為にここにいません。……氷歌。貴方は何で黒獅子側についていたの?」
「黒獅子……? そんなの関係ない! 私は、あんな場所に戻りたくない! あんな場所で、歌いたくない!」

混乱したように声を荒げる氷歌を落ち着かせようと春が宥めるが、全く言うことを聞かない。斬斗はその様子を見て、

「おい、氷歌。少しぐらい話を聞いてやれ。ただ駄々を言っても何もならないだろう」

腕を組み、冷静に斬斗が言うと、その言葉のおかげで少し落ち着いたのか、ゆっくりと美月は頷いた。その様子を見て、春は口を開いた。

「貴方は無意識の内に、歌に幻覚作用を込めている。貴方があの場所へ抱く恐怖。それが幻覚の全て。貴方が歌いたいという気持ちが、返ってあの場所を思い出させるの」
「……じゃあ、もう歌ったらダメなの?」
「そうじゃない。私は、貴方の歌声が大好きだった。あの場所に居た時から。あの場所が怖いなら、あの場所を忘れるように努力すればいい。貴方の幻覚の能力は、利用されてるだけなの」
「どうすればいいの? そんなの、あの場所は……」

次第に美月は体が震えてきていた。その様子をじっと春は見つめ、ゆっくりと手を伸ばし、抱き締めた。しっかりと、離さぬように。

「その為に私がいるの。あの場所に返す為じゃない。貴方を自由に、歌わせてあげたいから。だから、此処にいる」
「此処に……? 私の、傍に?」
「うん。そうだよ」
「本当に?」
「うん。本当だよ。今度は逃げないから、大丈夫。私には、仲間がいるから。その仲間に、美月も入れてあげるから」
「……仲間?」
「そうだよ。とっても強いの。だから、一緒に行こう、美月」

春の言葉がどれほど美月に染みたのかは分からない。だが、次第に美月の無表情の顔から涙が零れて出てきていた。
ゆっくりと、大粒の涙は止まることなく、地面の岩石を濡らしていく。

「これ……止まらないよ……」

春は、美月が涙を流しているところを初めて見た。感情が無く、誰が死のうと関係のないバイオレンスな状態だった美月が初めて見せた涙。それはきっと、良い事なのだと春は微笑んだ。
その一部始終を見ていた斬斗は、心が何か詰まっているような感覚がした。
特にこの二人に思い入れなどはないが、斬斗はその様子を見て、変われるものだ、と鼻で優しく笑った。

「……とにかく、此処から出ないと何も始まりそうにないな」
「えぇ、そうね……」

斬斗の言葉に、振り返った春が答えた。美月は涙を必死に服で拭いている所だった。
洞窟は薄暗い状態が延々と奥まで続き、一歩進めばまた闇。十歩進んでもまた闇が広がり、それは果てしない闇に見えた。

「左右に道が分かれているが……どうする? この三人で行くのか?」
「え……斬将、貴方も着いてきてくれるの?」

春が驚いた表情で斬斗に向けて聞いた。ゆっくりと立ち上がり、斬斗はたて掛けて置いた剣を腰元に装着しながら「勘違いするな」と呟いた。

「借りは返すだけだ」

斬斗は振り返り、そう言った。
しかし、春の様子は思っていたのとは違い、笑みを浮かべて笑い声を小さく漏らしていた。

「……何がおかしい?」
「ううん。借りって言っても、多分だけど、貴方はもう私達を助けてくれたんじゃないかな?」

春の言葉を聞いて、斬斗はうっ、と息を飲み込んだ。
あの地割れの時、春と美月は気絶していたはず。あれは落ちることが怖くて目を瞑っていただけなのかもしれない。そういう考えがすっかり思いつかずに、敵を助けたという自分のキャリアにも関わる事実が知れているやもしれないことに焦りを感じたのだ。

「ほら、その反応はやっぱり」
「う……うるさいッ! 早く用意をしろっ。どれほど歩くかも分からん」

斬斗は少し苛立ったような、恥ずかしいのを我慢しているような顔を春の目線から逸らし、暗闇を見つめた。その様子を見て、春はまた思わず笑ってしまうのだが——その瞬間、思い出したことがあった。

「秋生……。そうだ、秋生はッ!?」
「秋生……? 誰のことだ?」
「アバターコード、月蝕侍。陽炎を使う細目の男です!」

春の言葉を聞いて、ハッとしたような顔をしたかと思うと、斬斗は「そういえば……」と、言葉を漏らした。

「あの場で探したんだが、あいつの姿だけはなかった。もっと探そうとしたその時、地割れが……」
「そんな……」

傍にいたはずの秋生が消えていた。それは春にとって、不安な要素だった。今までパーティとして組んできた秋生には、親しみがある。その分、心配になっていたのだ。
あの時、秋生は狂気に犯されていた。そのことがより一層春の心を揺さぶったのだ。

「早くここから脱出しましょう」

春はそう言った途端、立ち上がった。
秋生はどこにいるのか。秋生を探す為に。






【番外編:Condemnation 序章】


「はぁ……はぁ……はぁ……」

頭が割れそうだ。もう"終わり"が近づいているような気がする。
全身が麻痺しているような感覚。俺はもう、死ぬんじゃないだろうか。
一体何をしていたかさえも思い出せない。俺はどこで、何をしていた? そこで——何があった?

「何だ……これ……」

壁にもたれかかるようにして倒れると、その痕には血がべっとりと付いた。全身が血だらけで、視界もぼやけている。
ゆっくりと、右手を左腕が"あるだろう部分"へと手を付けた。
しかし、右手は虚空を振るうばかり。痛みは左腕が付いているはずの部分から伝わってくる。
しかし、その後、ぼやけた視界の中で見つけたもののおかげで自分の置かれた状況が分かった。

「あぁ、そうかぁ……。俺——左腕が千切れてるわけか」

視界が消えていく中、吾妻 秋生こと月蝕侍が見た"それ"は、紛れもない、自身の左腕だった。
肩の辺りからバッサリと千切られているその腕が眼の前に転がっていた。おぞましい光景を最後にして、秋生の意識は消えて行った。


「——おや?」


腕が空中へ上がる。


「へぇ……まだ、まだまだ——終わらせないよ」


意識はなかった。とっくに消えていたが、その言葉だけは、何故か、秋生の耳へしっかりと聞こえていた。

Re: 白夜のトワイライト  ( No.185 )
日時: 2011/10/11 23:14
名前: 遮犬 ◆.a.RzH3ppI (ID: EFs6h6wo)

都会染みた場所から離れ、人気のなさそうな場所へと春之助と裏面は来ていた。
都会の風景には似合わず、周りには誰もいない寂れた様子に首を傾げつつ、裏面は春之助に着いて行った。
元を辿れば、裏面はとある人物を探しているのだが、その道中に道に迷い、異形の化け物に襲われたのだった。自分に心底自信のない裏面にとって、春之助の存在はとても頼りになる。春之助がゆっくりと歩いていくのを、小走りで裏面は追いかけていく。正確に言えば、春之助に付いてある犬の尻尾が左右に動くのを見つめながら着いていっているわけなのだが。

「大丈夫かいな? 疲れたか?」
「え、あ、い、いえっ、だ、大丈夫です……」
「んじゃあ、俺が疲れたから休もか!」
「えぇっ!? あ、あのッ! ……あぁ……」

突然振り向いた春之助に驚いたのと、休もうと言い出しては裏面の腕を引っ張り、半強制的に休まされることになったことも驚いた。
見た目が犬耳、犬尻尾というコンビになので、可愛さで圧倒されていた為かここまで強引な人だという印象は全くなかったのだ。
丁度公園があり、そのベンチに座ることにした。都内は都内だが、ここは静かな場所で、ビル群もあまり見えない。都会というより、田舎臭い雰囲気のある場所だった。だが、それが返って落ち着かせてくれた。

「この場所が分からんわぁ……ここ、どこやろな」
「あ、それ、私も聞こうとしてました……」
「ほんまかいな? 臨ちゃんも知らん都会やとはなぁ……」

悩んだように腕を組み、うーんと唸り声をあげている春之助を横目に、裏面は小さく笑い声をあげてしまった。

「な、何がおかしいんや?」
「あ……ご、ごめんなさいっ。あの、その尻尾って、態度によってやっぱり変わるんですね?」

裏面が春之助に生えている尻尾を指摘しながら言った。
その言葉通りに、尻尾は真っ直ぐ伸びていた。左右に揺れることもなく、尻尾はその態度の通りに従っていたのだ。

「うぁ! めっちゃ恥ずかしいやん!」

慌てて尻尾を隠そうとする春之助だが、今度は犬耳がピクピクと前後に動いているのを見つけた裏面が再び笑い声をあげた。

「わぁぁっ! どうしろ言うねん!」
「ふふっ、可愛いからいいじゃないですか?」
「よくないわぁっ! あぁ、もう……あんま見んといてっ」

そっぽを向いて頬を膨らませる春之助の姿は本当の犬のようで、とても可愛らしく見ている裏面は思っていた。元々春之助は童顔な顔の造りをしている為、そのおかげでそう見えているのかもしれないのだが、それは言わないでおこうと裏面は口を結んだ。
そうして少ししてから、不意に春之助が裏面の方を向いた。その様子に驚いた裏面は、思わず「な、何か……?」と返してしまった。

「あんな、臨ちゃん。実は——」

春之助が言葉を紡ごうとしたその時、理解しがたい雑音に似た声が聞こえてきた。それも春之助と裏面の辺り一面を囲んでいるようで、辺りからその雑音は聞こえてきた。

「&#&%$”#&%&」
「何語喋ってんねん! ……それにタイミング良すぎやろ! 台無しにすんなや! KY集団が!」

マシンガントークの如く、早口で春之助は言葉を吐き出すと、それと同時に両手を握り締め、ゆっくりと構えた。
敵はあちこちにいる。数は正確には分からないが、かなりの数がいることは明白だった。
煩い雑音が辺りから聞こえ、耳が痛いほどの状況下の中、

「臨ちゃん、戦える?」
「は、はい……大丈夫、です」
「よっしゃ、ほな——暴れてくるわ」

その瞬間、春之助は猛烈な勢いで前方駆け出した。
左右からその春之助をすかさず攻撃を加えんと、化け物が飛び掛ってくるが、空中で春之助は両手を交差させる。その後、綺麗に化け物の頭だけが飛び上がった。データの化け物は血を噴出すことはないが、青白い光を傷口から発光させている。

「よっ、と」

春之助はそのまま体を捻らせ、そのままの勢いで着地する地点にいた化け物へと手を振りかざし、振り落とした。その瞬間、何かが"噛み千切った"ような惨い音が響いた。化け物の半身は噛み千切られたように裂け、体と呼ぶには到底及ばないものへと変貌されていた。
着地した後、足に力を込めた春之助に、一斉に前方から襲いかかってくる化け物の集団は奇妙な声をあげて春之助を仕留めようと飛び掛ってきた。

「春之助風、ドッグ・ムーンアサルトォォッ!」

早口でそう言った直後、勢いよく春之助は宙に浮いて後転した。爪で引っかくように、両手を伸ばしながら行ったので、足と共に手も同じように前方へと後ろ回りに振り回した。
前方にいた化け物の集団は4,5体だろうか。それらの化け物は全て"上半身が食い千切られた"ような有様となっていた。
春之助は素早く着地すると、また駆け出していく。その姿を裏面は見つめ、たった30秒にも及ばない行動に圧巻されていた。

「$&%##!」
「っ……!」

裏面の元にも化け物は迫ってきていた。ほんの後わずかの距離で、間一髪にして裏面は避けたのだ。
そのまま倒れるようにして転がった後、すぐに立ち上がり、決心したような顔付きでハッキリと言い放った。

「ショートカット【手榴弾】」

すると、裏面の手には手榴弾が握られており、それを多少慣れた手つきで前方へ投げつけた。
手榴弾が地面へと被弾した直後、強烈な破裂音と共にその場にいた化け物は皆吹き飛んでいた。
何とか倒せたことで、一息吐く裏面の後ろに化け物の声が聞こえてきた。それも、すぐ近くに。

「あ——」

声をあげたが、それは何の意味も無く、裏面は化け物の攻撃を受けてしまった。肩に痛みが走る。それは抉られ、自分の肩に強烈な痛みが走っているのだという実感が湧き、思わず叫び声を出した。

「臨ちゃん!」

春之助の声が遠い。少し視界がぼやけ、後ろへと倒れていく自分の体はどの方向にあるのかも分からずに、裏面は地面へと——倒れなかった。
そしてその直後、化け物の断末魔が近くで聞こえた。一体何が起こったのか。何故自分は地面に倒れていないのか、と裏面が考えるのも束の間、

「大丈夫?」

その声は、とても優しそうな声だった。裏面がゆっくりと目を開けてみると、右手に大きな剣を持ち、左手で裏面を支えている優輝の姿があった。

Re: 白夜のトワイライト  ( No.186 )
日時: 2011/10/12 00:36
名前: 遮犬 ◆.a.RzH3ppI (ID: EFs6h6wo)

そういえば作っていた設定があったのだけれど、誰が誰だか全く分からないというような状況&書く機会がもはやありませんので、このレスに書き留めておきたいと思いますw

えー……ランクと職種について、ですね。どのキャラがどのランクでどの職種か公表したいと思います。なお、能力のレベルによってランク付けされているので、異能につきましてのランクは変わりませんが、身体能力についてのランクは変わります。この二つをまとめますと……。



ランクは上から【SSS、SS、S、A、B、C、D】まであります。
異能と職種のあれこれの総合ランク表示とさせていただきます。身体能力とか、書いても無駄な気が。チートとかバレちゃう気が(ぁ



職種:エデン内のいわば職業のようなもの。そんなものあったの? とか聞かないで(ぇ
シーカー、ストライカー、クレイバー、スレイヤー、パニッシャーの5つが職種となります。
【概要】
シーカー【頭脳的職業で頭を使う勝負や幻覚や毒など、異常状態にさせるタイプの能力を持っている職種】
ストライカー【武器での攻撃が全くなく、能力がほとんどの攻撃手段となっている。その他、武器も多用するが、能力と融合させているタイプもこれに当てはまる】
クレイバー【能力も使い、武器攻撃、能力攻撃の二つを使いこなす。いわば万能タイプということです。クレイバーのS以上のランクは稀と言われている】
スレイヤー【能力は身体向上などで補い、武器攻撃がほぼ全て。近接攻撃のエキスパートといえる】
パニッシャー【様々なリスクはあるが強い力の多い職種。体に負担がかかるが人ではないものに化けるタイプもパニッシャーとなる】

まあ、こんな感じです。よし、何か楽しくなったきt(殴
意気揚々と、今まで登場した野郎とオリキャラさんをピックアップしていきますっ。登場したオリキャラのみとさせていただきます。すみません;後ほど、また更新させていただきます。ネタバレ防止の為に隠している登場人物もいますが、ご了承くださいませ。


月影 白夜【白夜光】ランク:SS 職種:クレイバー
日上 優輝【神斬】ランク:A 職種:ストライカー
断罪【断罪】ランク:SS 職種:クレイバー
橋野 慶治【狂戦士】ランク:B 職種:スレイヤー
ディスト【???】ランク:??? 職種:???
レト【螺旋翼】ランク:S 職種:ストライカー
黒獅子【黒獅子】ランク:??? 職種:???
ヴァン・クライゼル【土沌龍】ランク:SS 職種:クレイバー
ラプソディ【狂気】ランク:SSS 職種:???
ナイトメア【悪夢】ランク:SSS 職種:???
緒川 春之助【犬神】ランク:SS 職種:パニッシャー
ツクツク法師【???】ランク:??? 職種:???


風月 春【大和撫子】ランク:A 職種:シーカー
吾妻 秋生【月蝕侍】ランク:A 職種:ストライカー
不知火【閃光王・柏】ランク:SS 職種:スレイヤー
涼代 美月【氷歌】ランク:S 職種:シーカー
レイス・マキャベッリ【探求者】ランク:C 職種:シーカー
裏面、臨死【なるようにならない最悪マッドブルー】ランク:S 職種:ストライカー
黒槍 斬斗【斬将】ランク:A 職種:ストライカー
天道 残月【月夜ムーンナイト】ランク:SS 職種:スレイヤー
エルンスト・ワイズマン【軍犬】ランク:A 職種:ストライカー
阜 七姫【赤頭巾】ランク:C 職種:シーカー
鈴音 凛【神無】ランク:D 職種:シーカー


という感じになりましたー。
上がこの小説の普通登場人物で、下がオリキャラ様でございます。
能力の無力化部類のものはランクを低くしております。無能力とさほど変わりはないという判断がされると考えてくださいませ。
以上、終わります!引き続いて登場していく人物ごとに更新していきますw???の部分もある程度話が進めたら明かしますー。


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