ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- Ruin〜破滅〜【完結:番外編連載中】
- 日時: 2011/08/09 18:30
- 名前: ルナ (ID: e83t2LuI)
はじめまして。ルナと申します。
初めてここで小説を書くので、色々わからないことがありますが、宜しくお願します。
まず、この小説の注意事項です。必ず読んでください。
*かなり好みが分かれると思います。
*時々ギャグです。でも、基本はシリアスな感じです。
*少々グロイところがあるかもしれません。
以上でも「大丈夫!」という方は、小説を読んでくれるとうれしいです。
ここで、ちょっとした登場人物の紹介をしたいと思います。
【主人公】
名前:Ruin
容姿:銀で長い髪。瞳は赤。ネコ耳としっぽが付いているのは誰かさん の趣味。水色のふわっとしたワンピースを着ている。
【その他】
名前:小川 学
Ruinの父で、最高の科学者。故人。
名前:松田優美
Ruinの新しい引き取り手。20代前半の新米科学者。
名前:天城直弥
松田博士が想いを寄せている男性。Ruinは相当彼を憎んでいる。
時代は平成です。Ruinはサンフランシスコから東京に引っ越してきました。
どうぞ、宜しくお願い致します。
お絵カキコ4号館にRuinの絵があります。気になる人は見てみてください。
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- Ruin〜破滅〜【第8章 彼の真意 第1話】 ( No.61 )
- 日時: 2011/06/12 17:00
- 名前: ルナ (ID: bSF/F1B1)
『ったく…。高い金払ってこいつを引き取ったって言うのに、何のデータも取れねぇじゃねぇか!このポンコツめ!!』
ガッ。
殴られ、私は倒れこむ。痛くはない。
『あの小川 学が造り出したアンドロイドだって言うから期待していたのに…。所詮、この程度か。』
『…。』
『やはり、機械が『心』を持つだなんて無理な話なんですよ。』
『だ、な…。機械は機械のままでしかない。そういうデータが取れただけでも上出来だ。01は売り出そう。』
そう言い残し、去っていく研究者たち。私はまた1人になった。
≪やはり、機械が『心』を持つだなんて無理な話なんですよ。≫
さっき言われた言葉がよみがえる。違う。機械だって『心』を持つことができるんだ。現に、今私は『心』を持っている。
『…。』
こんな思いをするなら…。
『『心』なんて、いらない。』
私の本音は誰にも聞かれることはなかった。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++
目が覚める。久々に嫌な夢を見た。ここのところ、いい夢しか見ていなかったから、とても寝覚めが悪い。
ふと、カレンダーに目を移す。今日の日付のところにXが描いてある。今日か…。天城直弥の研究所に行く日。
「…。」
不安、という感情しか今の私にはない。本当に今日何もなく無事に終わるとは思えない。
と、その時だった。
コンコン
松田博士がドアをノックした。もう朝食の時間か。
「はい、今行きます。」
軽く寝癖を手ぐしで直してから階段を下りる。
「おはようございます。」
「おはよう。もうご飯できてるよ。」
テーブルの上にはおいしそうなベーコンエッグ。
松田博士の機嫌は絶頂のようで、少し音の外れた鼻歌をうたっている。はぁ、と溜息をついてから席に着いた。
「「いただきます。」」
ベーコンエッグはものすごくおいしかった。
食器洗いも終わり、出かける準備を整える。とはいっても、準備をしているのは松田博士のほう。私はただそれを待っているだけ。
「よし、準備完了!Ruin、行こう。」
「はい。」
研究所を出て、松田博士の車に乗り込む。
「じゃ、出発進行ー!」
車が発進。徐々に研究所が遠くなっていく。
なぜだかわからないけど、この研究所を見るのが最後のような気がして、私はいつまでも、研究所が完全に見えなくなるまで後ろを向いていた。松田博士はずっと前を向いていた。
本当にこれが最後…なのか。
- Ruin〜破滅〜【第8章 彼の真意 第2話】 ( No.62 )
- 日時: 2011/06/18 17:22
- 名前: ルナ (ID: GHOy3kw9)
どれほどの時間が経っただろうか。ようやく私たちは天城直弥の研究所に到着した。しかし…。
「…!」
「す、すごいね…。」
天城直弥の研究所は想像していたものとかなり違い、かなり大規模なものだった。いったいあんな若造のどこにそんな金があるのか。
「とりあえず、入ろうか。」
「…そうですね。」
研究所の規模に圧倒されながらも、私たちは中へと入る。そしてエントランスにて私たちを出迎えたのは…
「やぁ!いらっしゃい。」
他ならぬ天城直弥だった。
「天城さん、ご招待ありがとうございます。立派な研究所をお持ちですね。うらやましい限りです。」
「いえいえ。僕が建てたんじゃなく、親が建ててくれたんですよ。ここまで大きくなくてもよかったんですけど、まぁ感謝してますよ。」
なんて他愛もない会話を2人がしている間、私はエントランスを見渡してみた。白が基調とされた綺麗なエントランス。とても清潔感がある。この床は…大理石か?天城直弥の親は一体何をしているんだ。
ここに塩酸をまいたら相当な量の二酸化炭素が発生するな…。なんてくだらないことを考えていたときに感じた、視線。その先にいたのは、受付の若い女の人。その人はその視線を私ではなく、松田博士に向けていた。
じとっとした、あの目。
どこかで見たことがある。と思ったら一昔前の私の目と同じだった。そう、天城直弥に嫉妬していた時と同じ目。それが松田博士に向けられている。初対面なのに(というより視線すらかわしたことのない)、どうしてあんなに憎悪のこもった視線を送れるのだろうか…。と考えていた時だった。
「Ruin?行くよー!」
「あっ…はい。すいません。」
松田博士が呼んできた。そろそろ天城直弥の研究所を回っていくのか。
背中に痛いほどの嫉妬の視線を受けながら、私は松田博士の元へと急いだ。
それぞれの思いが、絡まり合って、やがて…。
- Ruin〜破滅〜【第8章 彼の真意 第3話】 ( No.63 )
- 日時: 2011/06/21 18:30
- 名前: ルナ (ID: GHOy3kw9)
あっち行ったりこっち行ったり…。研究所が広すぎてどこをどう回ったのか分からなくなってきている時だった。
「Ruinちゃん、ちょっと松田さんと2人っきりで話がしたいんだ…。ちょっと席をはずしてもらってもいい?」
「えっ…。」
突然の天城直弥からの要求。さすがにこの頼みは鵜呑みにできない。
「いや…。」
駄目。そう言おうとした時だった。
「大丈夫だよ!Ruinはちょっと席外してて。ね?」
嬉しそうな顔をして松田博士が言う。きっと告白でもされると思って浮かれているんだろう。
でも、ものすごく嫌な予感がする。
「ね?お・ね・が・い!」
松田博士はこれでもかってほどに頼み込んでくる。なんだか哀れに思えてくるほどに。そこまで頼まれたら、…断れないじゃん。
「…わかりました。適当にあたりをうろついていますよ。」
「ありがとう!!じゃあまたあとでね!」
私は早めにその場を去った。
この行為を私は一生後悔する
++++++++++++++++++++++++++++++++++
「…さて、Ruinはいなくなりましたし…。で、話って何なんですか?天城さん。」
「うん、僕にも話すべきことがありますが…その前に松田さん。貴方も僕に話すべきことがあるんじゃないんですか?」
「…。」
気付かれて、いたのかな?
「天城さん…。何が目的で私に近づいたんですか。」
「うわ…直球ですね。」
「当たり前でしょう。遠回しに聞いたってきっと意味がないでしょうからね。」
「案外冷たくものを言う人ですね。」
「そういう風に思ってもらっても結構です。で、質問に答えてください。」
はぁ…。まるでしょうがないな、とでも言いたげにため息をつく天城さん。
「では逆に問いますよ。貴方は興味がないんですか?」
「…何に?」
「Ruinちゃんが持つ力にですよ。」
やはりそう来たか…。
「いいえ。私はそういうものに関しては全くの興味がございませんので。」
「そっかぁ…。残念だな。協力してもらおうと思ったのに。」
協力…?まさか!!
「…これは絶対に渡さない。」
「そういうと思っていました。でも僕には必要なんです。そのRuinの力を制御しているリミッターをはずす装置が!!」
ざっ…と思わず身構える。
「Ruinはこの力についてかなりのトラウマを持っているわ。それを開放させるだなんて絶対にさせない!!」
「何を言うんですか。彼女はあくまでも機械。人間の道具なんですよ。せっかく備え付けられた機能を使わなくては宝の持ち腐れでしょう。」
「違う!確かにRuinは鉄でできたものかもしれない。でも彼女は『心』を持っているのよ!?私たちと同じ喜怒哀楽を持っているの!!だから人間と変わりないわ!」
天城さんがおもしろくなさそうな顔をする。そしてフッと笑った。
「そこまで彼女の事を思ってるなら仕方がありません…。」
あ、もしかして諦めてくれた?
体の構えをとり、一安心する。けれど、次に視界に入った黒い物を見て、私の体は硬直した。
「無理矢理貴女の命ごと奪うしかなさそうですね。」
そして、私が声を上げる間もなく、大きな破裂音とともに私の体は貫かれた。
Ruin…。ごめんね、貴女の事…。守れなかったわ…。
- Ruin〜破滅〜【第8章 彼の真意 第4話】 ( No.64 )
- 日時: 2011/06/26 19:13
- 名前: ルナ (ID: GHOy3kw9)
ダァン!!
「!!?」
私が来た方向…すなわち、松田博士と天城直弥がいる方向から聞こえた聞き覚えのある破裂音…。これは、銃声だ!!
「っ。」
何かを感じて、私は自分が出せる限界の速さで走る。どうか松田博士に何もありませんように…。そう願いながら走る。
あともう少し!!
「松田博士!!……っ!!?」
角を曲がり、松田博士呼んだ。そして、その私の目に飛び込んできた光景は…
血溜まりを作り、倒れている松田博士。
一瞬何が起こっているのか分からず、私は硬直する。事態が呑み込めたのはどれほどの時がたってからだろうか。はっと我に帰った私は、
「松田博士!!」
松田博士の元へ駆けていって、松田博士を抱きかかえる。腹部からとめどなく流れ出る血。死人のように真っ青で白い顔。いつも以上に黒くて短い髪がその白い肌に映える。嫌だ嫌だ嫌だ。もう大切な人を失いたくない。瞼は固く閉じられたまま。お願い、目を開けてよ松田博士…いや、優美…。お願い!もう一度その目をあけて、その瞳に私を映してよぉ…。
「んっ…」
「優美!?」
ふと、優美が目を開けた。かなり苦しそうな表情。息が荒い。
「優美…優美ぃ…。」
だんだん涙声になる。ぽろぽろと涙が止まらない。
「ごめん…ね?私、Ruinのこと…まもれ、なかった…わ…。」
「そんなこと言わないでよ!!まるで死んじゃうみたいじゃん!!」
「いえ…私…は、もう駄目…よ…。ごめんね、本当…に…。」
カクン、と優美の首から力が抜けた。
え、まさか。
腹部から流れ出ていたはずの血が止まっている。まさか、まさか…!冷や汗が流れる。念のため、手首の脈をとってみる…。
嘘…嘘!!
博士が…優美が…。
死んだ。
「そん…な…。いやぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
あらん限りの声で泣き叫ぶ。優美が生きていたなら、すぐに走って来てくれて、わたしを抱きしめて慰めてくれるんだろう。でも…でも、その優美は今もういない。それだけで気が狂う。
「あはは、死んじゃったネ。君の大切なご主人さま。」
すべてを嘲笑うかのように、のうのうと天城直弥が言う。なんで優美は死んだのか。私と別れた後、優美は誰と一緒にいたのか。こいつだ。天城直弥だ。こいつが…優美を殺した。
私の体中から憎しみがあふれ出す。憎い憎い憎い憎いにくいニクイ。こいつのせいで死ななくてもいいはずの優美が死んだ。こいつが殺した。憎い、憎い。殺してやる殺してやるころしてやるコロシテヤル。
「わた…しは!!」
優美の亡骸をそっと床に置き、立ち上がる。そして、ありったけの憎しみを瞳に秘め、天城直弥を睨みつける。
「お前を絶対に…許さない!!」
パリィン!!
その瞬間、私の中で何かが砕け散った。
『いいかいRuin、その力は決して他の人に見せてはいけないよ?』
ふと、父の忠告が脳裏によぎったが、すぐに消える。
私が今やるべきことは、こいつを消すこと。
ごめんなさいお父さん。私…約束破ります。
- Ruin〜破滅〜【第9章 憎しみが生み出したモノ 第1話】 ( No.65 )
- 日時: 2011/07/03 14:25
- 名前: ルナ (ID: GHOy3kw9)
『はぁ…はっ…』
いろんなところで銃声が聞こえる中、私は居てもたってもいられずお父さんが駆けて行ったところまでの道を急いだ。
『お父さんっ…!』
そこで、目の当たりにしたのは。
血を流す、父の姿。
『いっ…嫌!!お父さん!!』
『っRuin!?あそこで待っていろと言ったはずだ、戻れ!!』
『嫌だ!みんな戦っているのに、『力』を持っている私が何もしないだなんて嫌だよ!』
そう言い合っていると、
『おやまぁ、やはり生みの親は慕われているんですね。』
『…?』
あれ、この人の声…聞いたことがある。
『お互いに姿を見せるのは初めてかな。では、はじめましてRuin。』
あ…この人、私を売れってしつこくお父さんに言い寄っていた人…。
『君は素晴らしい力を持っている。できれば、その力を使って私に協力してもらいたい…。そしたら、…君のお父さんの命を助けてあげてもいいよ?』
『!!!』
なんて甘美な誘惑。お父さんには助かってもらいたい。生きていてほしい。私は、躊躇うことなくその人の条件に乗ろうとした。…だが。
『そうはさせない。』
『『!!』』
ガチャリ。
え、何?今の感覚…。
自分の意志とは関係なく、どんどんと視界がブラックアウトしていく。
『Ruinの力にリミッターをかけた…。私以外には、もう解けない。』
『貴様ぁっ…。よくも私の邪魔を!!』
ダァン!
沈んでいく意識の中、はっきりと聞こえた銃声。それは間違いなく、お父さんを貫いた。
『やだっ…。おとうさぁぁぁぁぁぁああああん!!』
叫びは、自分の中にこだました。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「…。」
そうか、これが私の中に閉じ込められていた記憶…。力の制御リミッターが外れたと同時に、よみがえってくるいまわしい記憶。
なるほど…。私の持っている力って…。
人の命を、奪う力。
それでお父さん、いつもあんな顔していたんだ。怖かったんだ。自分が生み出したモノがいつか、たくさんの人の命を奪うことになるんじゃないかって。そういうことだったんだ…。
でもお父さん。私、お父さんにしか解けない筈のリミッターはずしちゃった。それほど憎しみが強かったんだな。それほど…優美を愛していたってことなんだ。
私から尋常じゃないくらいの『力』を感じるからなのか、天城直弥が怯えているような、焦っているような顔をして一歩後ずさる。
逃げるなら逃げればいい。どこまでも追いかけて行ってやる。
私の爪がすごい勢いで伸びた。おお。もしかしてこれで斬るの?
試しに、近くにあった柱を斬ってみた。
きれいに、柱が6等分された。その切れ目は若干鉄が溶けたようになっている。すごい、これ熱で斬れるようになってるんだ。
ギッと天城直弥を睨みつけると、何かを喚きながら腰を抜かしていた。
「…覚悟。」
さぁ、復讐のショータイム。
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