ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜
- 日時: 2016/01/06 23:15
- 名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)
はじめまして、裏の傍観者です。
シリアス・ダークで小説明を書かせてもらってます。
戦争系のお話しということで、今回は国内での戦争を描いた「守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜」を書いてみました。
自衛隊と国防軍の戦闘が繰り広げられた日本が舞台となります。
恋愛も入れてますが、他の作者より下手です。(自覚してますm(。_。)m)
初心者ですが、よかったら読んでみてください。
オリキャラ・コメント歓迎します!
では、本編をお楽しみください!!
〜本編紹介〜
日本が大きく変わった平成32年。
高3の時から自衛隊にあこがれていた少年は、やがて自衛隊に入隊。
長いようで短いような教育期間を終えた彼は、やがて部隊に。
そこに待ち受けていたのは、自衛隊の裏の世界。
いくつも重なり山となる理不尽とストレス。
彼はこんな自衛隊が日本を守るなんて冗談じゃないと考え始める。
その頃日本政府では日本の国防力を高めるために新たに組織を設立していた。
日本国憲法第9条をねじ伏せてまで強引に設立した組織は、突如日本国内にあるすべての自衛隊施設を襲撃する。
緊急呼集をかけられた機甲科隊員である彼は、完全武装し状況に入る。
その際、敵が自分と同じ日本人であり、攻撃してきたのは最近設立されたばかりの日本国防軍だったことを知り、彼は敵に向けていた銃口を乗り合わせていた戦車乗員の車長に向ける。
乗員の小銃弾、車長の拳銃を強奪し味方の戦車を破壊した彼は、自分に銃口が向けられているにも関わらず日本国防軍の指揮官に接触する。
「殺したければ殺せ、今はすぐにでもこの戦闘服を脱ぎたい。」
血まみれになった戦闘服の上を脱ぎ捨て火に投げ込み燃えた。
彼は日本国防軍に捕獲されるが、接触した指揮官により日本国防軍へ階級を飛ばした異例の入隊を果たした。
自衛隊員をためらいもなく小銃で殺した彼は自衛隊を敵に回してまで何を守ろうとしているのか、彼の記録が語られる。
〜登場組織〜
<軍事組織>
・防衛省
・自衛隊(陸・海・空)
・国防省
・国防軍
・民間軍事会社 日本武装傭兵団
<民間組織>
・戦争撲滅の党
・国防の党
・新未来の党
・平和実現会
・自衛隊父兄会
・日本を愛するデモ運動集団
・左翼&右翼
<勢力不明>
・新宿武装集団
ー日本国防軍階級ー
国防大臣
国防長官
国防総将官
国防総補将官
国防1等佐官
国防2等佐官
国防3等佐官
国防1等尉官
国防2等尉官
国防3等尉官
国防准尉官
国防先任曹官
国防1等曹官
国防2等曹官
国防3等曹官
国防先任士官
国防1等士官
国防2等士官
ー陸上自衛隊階級ー
陸将
陸将補
1等陸佐
2等陸佐
3等陸佐
1等陸尉
2等陸尉
3等陸尉
准陸尉
陸曹長
1等陸曹
2等陸曹
3等陸曹
陸士長
1等陸士
2等陸士
自衛官候補生
※空・海自は陸から空・海の文字に入れ替わる。
〜登場人物〜
・結美 玲也 ムスビ レイヤ (19) 国防2等尉官
元自衛官。自衛隊員を殺害し、国防軍に入隊。防衛省では最高レベルの要注意人物であり、自衛隊の特殊作戦群では抹消対象者にされている。中隊長を務めていて、部下や上司からは評価が高い。皆からは親しみを込めて、名前と階級を混ぜ合わせて省略した玲兄さんと呼ばれている。中には兄さんと呼ぶ人も増えているらしい。お互い両想いだと気づき、夕美と交際を始めた。優しいのか甘いのか、敵味方関係なく多くの人が彼のもとに寄って来る・・・との噂もあるらしい。
・相模 勝負 サガミ ショウブ (52) 国防1等佐官
玲也が状況中に接触した指揮官。彼を国防軍に入隊させるために国防省に駆け寄った。玲也からはヤジさんと親しみをこめて呼ばれている。喧嘩っぱやいおっさんで
、今は落ち着いた性格だが昔は戦闘中にとある事案で自衛官と殴り合いになったくらい荒かったらしい。
・貴志川 有 キシガワ ユウ (19) 国防2等士官
入隊したばかりの新兵。入隊早々、射撃が最も優れており、狙撃手に。玲也に誘われ、玲也の部下になる。玲也とは同い年で、兄弟的な存在。よく玲也と夕美の3人で行動している。位置的には玲也と夕美の専属スナイパーとも言える。
・日暮奈 夕美 ヒグナ ユウミ (19) 国防3等尉官
尉官試験を一発で合格した成績優秀者。教育を終えて部隊に配属される。クールな性格上、ストレートに物事を言ってしまうが、実は寂しがり屋。玲也に助けてもらった事が多く、言動や行動でまれに玲也に対する好意がみられるが、お互い両想いだということに気づき、玲也と交際を始めた。
・河瀬 颯太 カワセ ハヤタ (36) 国防2等曹官
第1中隊、通称結美中隊に所属する国防官。物を丁寧に扱うのが特徴で、彼が使用した物は知っている限り壊れたことはない。そこで玲也から車両管理者を任される。車両を常に万全な状態にしてくれている。また、大家族のビッグダディをしている。
・華目 匠 ハナメ タクミ (23) 国防3等曹官
結美中隊に所属している。衛生を担当していることから、曹官または士官の間では先生と呼ばれている。昔病院の医院長をしていたことが理由である。面倒見が良く、常に中隊全員の健康をチェックしてくれている。また、心の病にも対象できる。小さな怪我でも心配してくれるのが特徴。
・慶田 武 ケイダ タケシ(45)国防先任曹官
結美中隊の先任。曹官・士官をまとめる小隊長。玲也と夕美の親父的存在でもあり、何かと2人のことを心配してくれている。貴志川と性格が似ているところもあり、2人がそろうとそこはもう熱血地獄になりかねないほど熱くなる。
・機十 編 キジュウ アミ(20)国防技術技官
国防軍技術研究本部に所属する技官。研究に全てを捧げる。特技は剣道で、六段。常に不機嫌、口調が悪い。幼少期、自衛隊員だった両親に虐待を受けていた。親が居た自衛隊に対し、快く思っていないがために、国防省に入った。
・浜田 意識 ハマダ イシキ(47) 2等陸佐
戦車大隊の大隊長。信頼が高く、大隊での評価は高い。玲也が国防官になった事を知り、部下の状態を把握していなかったことから責任を感じている。部下にはそれを表に出さず、大隊長としての任をまっとうする。
・小森谷 辺句朗 コモリヤ ヘクロウ (39) 准陸尉
戦車大隊の最上級先任曹長。常に考え事をしているのが特長。玲也が国防官になったことを知り、最近はなぜ玲也が国防官になったのかを考え始める。
・風神花月 フウジン カゲツ(23)2等空佐
防衛大学を成績優秀表で卒業し、強い復讐を糧に佐官クラスに登り詰めた。自衛隊に両親を殺された復讐のため自衛隊に入隊するも、国を守るなど考えておらず、常に復讐のことしか頭にない。また、表と裏の差がとても激しく、今の所殆どの隊員で彼女の裏を見たものは今の所ない。
※表・明るく、フレンドリー
裏・腹黒く、人を見下し、自分の奴隷のように扱う
・古城 哉良 コウジョウ ヤヨイ(23)2等空尉
Fー15を操るファイターパイロットでタックネームはルド。一人で一作戦の相手を任せられるほどの脅威な実力を持っている。しかし、至って本人は人命を奪いたくないと思い続けている。航空学校をトップで卒業し、自衛官となる。間違っている自衛隊を、内側から変えていく事を目標に、奮闘している。国防軍からスカウトが来るも、武力で押さえるのは違うと考えて、それを蹴る。国防官に未練はないと言ったら嘘になる。また、女性の様な自身の名前を気にしている。普段は温厚で、誰にでも慕われるが命を軽視する者や奪う者を相手にした時は、怒りをあらわにし相手を震え上がらす。
・三溝 晋三 サミ シンゾウ(40) 1等陸曹
特殊作戦群所属の自衛官。冷静沈着である彼は小隊長を務める。いかなるときも常に任務を優先とする真の自衛官。玲也との面識はないが、遭遇すればそこは今までに見たことのない激戦区となる。
・神野 啓喜 カンノ ケイキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。玲也が国防軍に入隊しても気にせず玲也と関わりを持つ。心配性だが、何よりも敵同士である玲也と戦うことがないか常に心配している。
・波森 悟卓 ナミモリ ゴタク (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。元から仲が悪く、敵対することが多い。玲也が国防軍に入隊したことにより、敵対心が大きくなる。
・吉川 泰毅 ヨシカワ ヤスキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。前から自衛官を退職したいと希望していたが、人手不足から所属している大隊長に継続を命令され、未だ現役自衛官となっている。玲也が国防軍に入隊しても変わらず敵対心等を抱かない。戦場で遭遇すればお互い上司からの命令であり、仕事だから仕方ないと考え、互いに争う関係に。
・原島 羽吹 ハラシマ ハブキ(39)武装傭兵団社長
日本で初の民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るため傭兵派遣サービスを提供し続けている。まれに自分自ら派遣活動に参加することがある。会社を設立する前は日本警察の特殊部隊、SATの隊員として公務をしていた。国内戦争が勃発しそれにおびえた国民を見て考えが変わり、会社を設立した。なぜ考えが変わったのかは不明で、本人もまたそれを明らかにすることはない。
・帚木 冥 ハハサギ メイ(17)武装傭兵団社員
民間軍事会社、武装傭兵団の社員。常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップなどを装備し通常の重量を大幅に超えたSCAR−Hを酷使する。
〜活動記録目次〜
状況1.桜ノ心ナクシ自衛官、国防官ヘ
>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>08 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>27 >>28
状況2.躊躇ウ里帰リ、空ノ刺客アリ
>>31 >>33 >>34 >>37 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>51 >>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59
状況3.属サヌ傭兵、影ト成リ結美中隊
>>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>66 >>67 >>69 >>70 >>71 >>73 >>75 >>77 >>78 >>81
状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和
>>82 >>83 >>84
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.47 )
- 日時: 2015/03/28 16:53
- 名前: 裏の傍観者 (ID: mNUslh/H)
1820時、結美家。
<分かった。まぁ今は業務外だ。実家でゆっくりすればいい。明日は予定通り相馬原で陸将と会談だ。警護、しっかり頼むぞ。>
「了解、貴志川にしばらく頼むと伝えてくれ。」
スマートフォンを耳から離し、通話を切る。
恐らくだが、通話中もヤジさんはまた食い散らかしているだろう。
電話の向こうから、やたらと皿が移動する音がした。
全く、食いしん坊なヤジさんだ。
夕美は今いる俺の部屋に置いてあるベッドで寝ている。
陸自の施設にいたから、緊張が解けなかったのだろう。
机に拳銃を置き、椅子に座る。
机には
高校時代仲良くしていた友人達との集合写真があり、隣には自衛官候補生を卒業した時の同期との写真が置いてある。
高校時代はろくなことがなかったが、あれはあれでいい思い出だったのかもしれない。
今頃、同級生はどうしているだろうか。
自衛官候補生だったころの同期はどうしているのだろう。
昔に戻りたくなる気分だった。
「・・・玲也、ひどい顔してるわよ。」
夕美が目を覚ましたようだ。
「ひどいって、どんな感じだ?」
「今にも泣きそうな顔だったわ。」
俺は夕美の隣に座る。
「そうか。」
「会いに行かないの?そんな顔するくらいなら、会いに行けばいいじゃない。」
「無理だよ。昔いじめられていてな、今じゃ人殺しだ。会ったらきっと怖がられるだろう。」
小学時代の俺は弱かった。
それを知っていて、同級生だった奴は俺をいじめていた。
中学時代もそれがエスカレートして、差別も受けていた。
思い出すだけでも腹が立つが、今そんなことで腹立てても仕方ない。
ただの民間人ごときに、腹を立てるような国防官ではないからな。
「玲也、甘えていい?」
「いいよ。どう甘えたい?」
「普通そんな事聞かないわよ、バカ。」
夕美は俺の方に頭を乗せた。
「まるで恋人だな。」
「私はそのつもりよ。玲也を想ってなかったら、こんなことしないわ。」
「…あれから4か月か、あっという間だったな。」
「そうね。とても嬉しかった。・・・両親もいない私には何もなかったけど、あの時玲也が何もない私に大切なものをくれたわ。」
あの時言っていた居場所か。
「本当に、ありがと。」
「どういたしまして。」
すると、部屋の扉から階段を駆け上がる足音がする。
気になった俺は警戒し、机に置いた拳銃を手にする。
「夕美、背中に隠れてろ。」
「えぇ。」
まさか実家にまで攻めてきたか?
弾を薬室に送り、いつでも撃てるようにした。
そして、扉は勢いよく開けられた。
『結美君!!』
入ってきたのは陸自ではなく、一般人だった。
しかも・・・高校時代の同級生だ。
手にしていた拳銃を机に置いた。
「・・・はぁ。」
俺はあきれてしまった。
誰の許しを得て勝手に部屋に上がってきたんだか。
「あ、あれ・・・?」
同級生である藍那が俺の背後に隠れている夕美をみて混乱している。
「もしかして、俺たち・・・邪魔したか?」
「結美君・・・彼女はだれなの?」
しかも集団で来やがった。
「玲也?この人達・・・。」
「・・・高校時代の同級生だ。二度と会うことはないと思っていたが、まさかそっちから来るとはな。」
俺は立ち上がり、夕美に手を差し伸べる。
夕美は俺の手取り、立ち上がった。
「んで、俺に何のようだ?」
「用って、心配したんだよ!?自衛隊やめたって聞いて、ニュース見たら結美君がいて、しかも怪我してたから!」
あの戦いが、早くもニュースになっていたか。
これだからマスコミはうるさい。
「怪我なら大丈夫だ。・・・それよりなんで集団で来た?」
「連絡取れてなかったから聞いてないかもしれないけどよ、今日同窓会なんだよ。けど1時間前に今野から連絡がきてな、結美が彼女と歩いているのをみたって電話してきたんだ。」
和義が電話を俺に見せる。
いつの間にか写真を撮られていたのか、夕美と歩いているところをしっかりと撮影されていた。
「同窓会参加しようぜ!彼女も一緒でいいからさ!」
こりゃ参加しなきゃうるさそうだ。
仕方ない、行ってやるか。
「夕美、同窓会に仕方なく参加するが、お前も来るか?」
「え、いいの?私なんかが行って・・・。」
「こいつらが言うには、夕美も来ていいとさ。」
「そうね、いいわ、私も行く。」
「すまんな。・・・」
「気にしないで、玲也についていくわ。」
本当に、今回ばかりは夕美に感謝したい。
「彼女できたんだね。」
「こりゃあ、志波崎が聞いたら泣くぜ・・・。」
「黙っていれば好き勝手言ってくれるな、俺は何とも思っていないからな。」
「・・・結美君。」
「車出すからまってろ。夕美、誘導頼めるか?」
「任せて。」
全く、なんでこんなことになるんだか・・・。
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.48 )
- 日時: 2015/04/06 10:20
- 名前: 裏の傍観者 (ID: 0REM8nye)
1900時、赤羽基地 第1中隊事務室。
「これが・・・広域多目的無線機か。」
「車両用と携帯用の2種類ある無線機ですが、見るからにスマートフォンですよね。」
「そうだな。しっかし、世の中どころか戦争まで便利になったもんだなぁ。」
今この場にいるのは警衛を下番したばかりの俺、慶田先曹官と華目3曹官。
そして怪我人の河瀬2曹官と通信曹官の魅標3曹官の4人だ。
今何をしているかというと、今回新たに支給された無線機の開封をしていたところだ。
玲兄さん達が不在のため、休養期間中にある結美中隊だが、今後の事を考えるとじっとしていられず仕事をしている。
支給された無線機は、自衛隊で最近使われ始めた無線機で広域多目的無線機と呼ばれるものだ。
操作方法はスマートフォンみたいな端末にある画面をタッチすることで操作できる。
GPSを使って現在地を知ることができれば、同じ無線機を搭載している車両または人員の位置を地図に表示することもできる。
それだけではない、無線機本来の操作もできるし、進行ルートや敵情勢をオーバーレイに記入し、メールの送信で味方に共有すること等ができる最新技術の代物だ。
自衛隊で使われているものが、どうしてこうも簡単にこっちに流れてくるのだろうか。
「魅標3曹官、これはどこからだ?」
つい気になってしまう。
「埼玉補給基地から送られてきました。上からは85式無線機や新野外無線機だとそろそろ近代戦闘に追い付けないだろうって言われて渡ってきたらしいですよ。」
「俺的にはまだ新野外無線機で行けたんだがな。操作楽だし。」
「確かにそうですね、最新技術になっていくとどうも難しくなります。」
今の世代にはついていけないと思い始めた俺はもう歳なのかもしれない。
魅標3曹官はそういって広域多目的無線機、通称「広多無」の電源を入れる。
すると、送受信機と受信機、中継機の3つから一斉にパソコンのファンの音がする。
「もう野外パソコンでいいだろ・・・。」
河瀬2曹官がそういって自動的についた端末の画面を見る。
気になって画面を覗いてみると、それは本当にスマートフォンみたいだった。
「タッチペンもついているんですね。」
華目3曹官が端末の横についていたタッチペンを手にする。
魅標3曹官の指示で華目3曹官はログイン画面でパスワードを打ち込み、指示された通りシステムを立ち上げた。
「言い忘れていました。広多無は電気をものすごく消費するらしいんです。そのせいで、車両のバッテリーが急激に低下するらしく、自衛隊では車両のエンジンをかけて充電運転をするらしいいですよ。」
「なんだ、ハイテクなのに面倒なやつだな。」
「河瀬2曹官、今回この無線機はWAPCに積載する予定です。」
華目3曹官は段ボールから無線機を固定するための架台を取り出した。
「面倒くさそうだが、近代化のためなら仕方ないな。」
河瀬2曹官はそういって棚から車両管理ファイルを取りだし、ページを開くと積載する車両になにかをメモした。
「アンテナも変わります。新野外までは細長いアンテナでしたが、今回の無線機はアンテナが太くなっていて、その横にGPSが取り付けられています。上下車行動するときは、GPSを潰して壊さないようお願いします。」
魅標3曹官はアンテナをみんなに見せたあと、GPSがついている場所は直ぐに気づいた。
根本にある台の上にGPSがつけられる小さな台がついている。
その上に黒の小さな物体が取り付けられていた。
この黒い物体がGPSだ。
「高性能なのはいいが、その分故障率は高いだろうな。」
河瀬2曹官の言う通りかもしれない。
それに、操作もパソコン並に難しいはずだ。
きっと訳の分からないプログラムなどが出てきそうだ。
「自衛隊もなんでいちいち面倒な兵器や通信機なんかを使い続けるんだか。」
つい口が開いてしまった。
元自衛官のあいつなら、何か分かるだろうな?
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.49 )
- 日時: 2015/04/06 11:34
- 名前: 裏の傍観者 (ID: 0REM8nye)
同時刻、赤津高等学校。
腕を負傷している俺の代わりに、夕美が運転をしてくた。
校門を通過したとき、この学校に通っていた時の事を思い出す。
3年間、自転車で通い続けていた。
登下校中に、色々な景色を眺め、耳にイヤホンをつけて音楽を聴きながら通っていた。
今はもう出来ない。
学校は卒業しているし、通うこともない。
当然、昔までやっていた自転車通学も二度と体験することはない。
車が後退し、整頓が終わる。
「玲也、ついたわよ。・・・なにボケっとしてるの。」
「昔を思い出しただけさ。ありがとな。」
「そう。あまり無理しないでね、怪我人なんだから。」
夕美はエンジンを停止させ、引き抜いた鍵を俺に渡してきた。
「鍵は夕美が持っててくれ。」
「分かったわ。さぁ、お客さんも到着したわよ。」
俺の車に乗り合せていた藍那と和議は夕美に礼を言った。
他の奴等は、自分の車に乗ってきたというのでそのまま俺たちの後に続いた。
藍那と和議は免許は持っているものの、車は持っていないので仕方なく俺の車に乗せた。
「ありがとうございました。えっと・・・。」
藍那は夕美をどう呼べばいいか迷っているようだ。
「日暮奈でいいわ。」
「はい、日暮奈さん。」
「あざっす!」
「どういたしまして、怪我はないわね?安全運転を心掛けてるけど、運転荒い方だから。」
「そんなことないです、かなり上手でしたよ。」
「そう。」
車から降り、会場である懐かしの教室に向かった。
校舎の玄関は解放されていて、看板には・・・。
『卒業生同窓会〜そして結美君おかえりなさい☆』
と、俺を歓迎する文が書かれていた。
「・・・俺、学校でこんなに目立ってたか?」
視線を藍那に向けた。
「気づいてないかもしれないけど、自衛隊になるって言ったのは結美君だけだよ。真面目だったし、クラス委員長だったでしょ?」
「やらされただけだがな。」
後ろでは夕美がなぜか笑っていた。
「夕美?」
「羨ましいわ、仕事でも人気だけど昔から人気者だったのね。」
そういえば、本人がいうには夕美は昔からずっと一人だったらしい。
両親は突然姿を消し、知り合いの叔父に引き取られ、一人でも生きていける力が欲しくて、国防軍に入隊した。
面接でそう答えていたと相模1佐官から聞いたことがある。
彼女からしていれば、確かにそれは羨ましいことなんだろう。
だが彼女はもう一人ではない。
地元では人気だったらしいし、何よりも国防官達の間では結婚したいランキングNo.1らしい。
それに、俺達結美中隊の仲間で家族だしな。
「夕美こそ、地元や仕事でも人気じゃないか。結婚したいランキングNo.1だそうだが?」
「ちょっと、それどこの情報よ!?そんなの聞いてないわ!」
「そりゃそうだろ、男の中だけの話だぞ。」
つい俺は笑ってしまう。
「あの、楽しい所悪いんだけどそろそろ始まるよ?」
藍那がそういって教室の入り口で足を止めた。
教室から、奴等の笑い声が聞こえてくる。
どうやら、俺達で最後らしい。
「藍那は予定通り司会頼む。俺は合図で扉開けて結美と日暮奈さんを入場させるぜ。」
「うん、お願いね。」
なんだ、そんなことまで企画されていたのか。
「そういえば仕事の格好のまま来てしまったな。」
「忘れてたわ!せっかく着替え持ってきてたのに・・・。」
確かに国防軍の戦闘服を着たままで、装具もつけっぱなしにしていた。
「まぁ、仕方ないさ。仕事終わってからまだ間もなかったし。何よりも、夕美のクールさが強調されていいじゃないか。」
「私は可愛らしい服が好きなの。」
「楽しみにしてる。」
「もう、恥ずかしいわよ・・・。」
さて、教室の中はどんな状況だろうか。
急に静かになり、藍奈の声が聞こえてきた。
<皆、忙しいなか集まってくれてありがとう。今日は楽しい同窓会にしようね。昔みたいに皆と話せるのは、この同窓会だけだから。・・・さて、皆もう知ってると思うけど、私たちよりもっと忙しい人が来てくれました。なんと、彼女さんまで連れてきちゃいました☆>
なんてことを・・・!
「おい和議。」
「怒るなって、実際そのようなものだろう?いいじゃねぇか。」
「全く・・・。」
呆れすぎて笑えてきた。
まぁ、実際そうだ。
気づけば夕美とは自然に親密な関係になっているし、夕美本人もその自覚はある。
「けどなんか恥ずかしいわね・・・。」
「俺もだよ。」
<さぁ、では紹介するね。和議!>
「へいよ!」
和議はそういって教室の扉を開く。
「入ってくれ、皆お待ちかねだぜ。」
「分かった。」
服装を正して教室にゆっくりと入る。
そこには・・・本当に昔と変わらずの皆がいた。
『結美君おかえり!!』
「相変わらずだな、お前らは。」
「本当に自衛隊やめて国防官になったんだな!」
棚崎がそういって写真を撮った。
そういやこいつ、カメラマンになったんだっけか。
すると、前に懐かしい人物が出てきた。
志波崎 花菜。
昔1年だけ付き合っていた元彼女だ。
あれからますます美人になったな。
「玲也、本当におかえり。」
「ただいま。・・・にしてもまた美人になったのか、彼氏できたか。」
「花菜は彼氏持ちだよ〜。」
横上が自慢するかのように言ってきた。
「そうか。」
「・・・玲也も、彼女・・・できたの?」
「俺か?まぁ、そうだな。」
『まじか!?』
「うるさいなお前ら!?」
さっきからうるさいくらい反応してくる。
昔からだけどな。
花菜は何やら寂しそうな顔をしていた。
「そんな顔するなよ、彼氏いるんだろ?なら、そんな顔をする必要はない。仲良くしろよ。」
「・・・うん。」
「それじゃ、噂の彼女さんを紹介!」
藍奈は廊下で待機している夕美を入れるよう、和議に指示した。
夕美は恥ずかしさを隠して教室に入った。
もちろん、皆の反応は・・・。
『おおおおおおおおおっ!?』
うるさい。
うるさいとしか言いようがない。
「夕美、こっちだ。」
「え、えぇ。」
夕美を俺の隣に案内する。
「さて、彼女を結美君の口から紹介してもらいます!」
藍奈はぶっとんだ事を言ってきた。
「俺はそんなことを一度も聞かされていないが!?」
「え、紹介しちゃっていいの?」
「・・・いや、俺から言う。」
夕美を教壇に立たせ、夕美の隣で直接紹介する。
「・・・紹介する。日暮奈 夕美、俺と同じ職場で4ヶ月前に会ってから仲良くしてる。仕事でも一緒で、外出してるときはよく一緒に飯とか食いにいってる。」
「え、そこまで言うの!?」
「ん?駄目だったか?」
「そうじゃないわ、ただ・・・恥ずかしいだけで・・・。」
ついに夕美はその場で恥ずかしさを表に出してしまった。
本人に言ったら恐らくこの場で殺されるので、恥ずかしがっている姿も可愛いということは伏せておく。
「すごく美人だな!」
棚崎はそういって自慢の一眼レフで連写した。
まるでモデルの撮影をしているかのように。
花菜も驚いたみたいだ。
「スタイル抜群じゃない!?結美にはほんと勿体ない!」
「彼氏歴なしの横上には言われたくないな。」
「いいもん!出来るもん!」
まったく、このギャル女は・・・。
- Re: 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.50 )
- 日時: 2015/04/06 12:45
- 名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wJ5a6rJS)
先程は、閲覧&コメありがとうございました。
裏の傍観者様の小説も、どんどん面白くなってきていますね。
更新これかも頑張ってください。
応援しております。
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.51 )
- 日時: 2015/04/14 10:34
- 名前: 裏の傍観者 (ID: KBFVK1Mo)
あれから10分後。
いつの間にか騒ぎは落ち着き、皆懐かしの友と雑談タイムを始めていた。
俺はとくにしゃべる相手がいないので昔捨ててしまった卒業アルバムを隣にいる奴から借りて見ている。
体育祭や文化祭など色々な写真があった。
隣では夕美が藍那と花菜の3人で話をしていた。
「日暮奈さんは結婚しないの?」
「え、何を言い出すのよ。」
藍那のぶっとんだ質問に対し夕美は焦っている。
「あ、私も気になってました。」
花菜もそれに興味津々のようだ。
「貴女まで・・・、どうして結婚の話なの?」
「初めて聞くかもしれないけど、私達のクラス皆結婚してるの。」
そういや、ツイッターやラインやらで色々と垂れ流していたのを覚えている。
子供が出来たなど、出来ちゃった結婚が多い。
中には、恋愛の勢いでそのまま結婚した奴もいる。
最近では若すぎる年齢で結婚するというのが流行っているらしい。
それはそれで少子化対策になるが、よくない点もある。
まだ稼げもしない年齢で結婚をし、さらに子供を産んでしまえば生活費が追い付かなくなる。
最悪、子供を殺してしまうなどといった事件も起きてしまうわけだ。
ここにいる奴等にはそうならないでほしいが。
「玲也と結婚するんですか?」
「まだ早いわ。私と玲也はまだ19よ?結婚するにも稼げるようになってからじゃないと後々後悔するわ。・・・それに、玲也がどう思っているかにもよるし。」
「たしかにそうだね。」
藍那はそれに納得したようだ。
「結美君は?」
やはり俺にも話がふられるか。
「結婚?・・・難しい話だな。」
「・・・・・。」
夕美はなにやら寂しげな顔をする。
よくないことでも言ってしまったか?
だが今はそんな事を言っていられない。
俺と彼女は国防官だし、やるべきことが沢山ある。
自衛隊とは対立状態にあるし、なんたって俺は特戦群に付け回されているくらいだし。
だが・・・。
「・・・今の国内戦争が落ち着いてきて、本当の平和が来たら結婚するかもな。」
「玲也・・・?」
「こういうのはあれかもしれないが、結婚するとしたら間違いなく俺は夕美だな。」
「な!?もう何言ってるのよ玲也!」
「ははははッ!まぁ怒んなよ。」
一瞬だが、俺の話を聞いた夕美は安心したかのような感じがした。
彼女もきっと本気なのだろう。
こりゃ、いわゆる両想いなのかもしれない。
俺も彼女の事が好きだ。
彼女は強いし、誰に対しても優しい。
俺はいつもそんな彼女に憧れていた。
俺も夕美のような人間だったらと思うときが何度もある。
「羨ましいよ、全く・・・。」
「玲也?」
花菜に呼ばれて俺は反応する。
「なんだ?」
「何が羨ましいの?」
おっと、考えていたことが気づかぬうちに口にしていたようだ。
また変な癖がついてしまった。
「いや、元気な夕美が羨ましいと思っただけだよ。」
「それは怪我する玲也がいけないんじゃない。無茶ばっかりするんだから。」
夕美にそういわれた俺は返す言葉がなかった。確かにその通りだ。
現に怪我してるわけだし。
「玲也、彼女を守るのはいいけど、怪我したりして泣かせたりしないでよ?」
「お、おう。」
花菜にそう注意を受けたが、もう遅い。
国防省での戦闘で一人で特戦群とやりあって無茶して夕美を泣かせてしまっている。
これはバレたら厄介だが、まぁそのうちバレるだろう。
俺は心の中にとどめておいた。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20