ダーク・ファンタジー小説

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守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜
日時: 2016/01/06 23:15
名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)

はじめまして、裏の傍観者です。
シリアス・ダークで小説明を書かせてもらってます。
戦争系のお話しということで、今回は国内での戦争を描いた「守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜」を書いてみました。
自衛隊と国防軍の戦闘が繰り広げられた日本が舞台となります。
恋愛も入れてますが、他の作者より下手です。(自覚してますm(。_。)m)
初心者ですが、よかったら読んでみてください。
オリキャラ・コメント歓迎します!
では、本編をお楽しみください!!



〜本編紹介〜

日本が大きく変わった平成32年。
高3の時から自衛隊にあこがれていた少年は、やがて自衛隊に入隊。
長いようで短いような教育期間を終えた彼は、やがて部隊に。
そこに待ち受けていたのは、自衛隊の裏の世界。
いくつも重なり山となる理不尽とストレス。
彼はこんな自衛隊が日本を守るなんて冗談じゃないと考え始める。
その頃日本政府では日本の国防力を高めるために新たに組織を設立していた。
日本国憲法第9条をねじ伏せてまで強引に設立した組織は、突如日本国内にあるすべての自衛隊施設を襲撃する。
緊急呼集をかけられた機甲科隊員である彼は、完全武装し状況に入る。
その際、敵が自分と同じ日本人であり、攻撃してきたのは最近設立されたばかりの日本国防軍だったことを知り、彼は敵に向けていた銃口を乗り合わせていた戦車乗員の車長に向ける。
乗員の小銃弾、車長の拳銃を強奪し味方の戦車を破壊した彼は、自分に銃口が向けられているにも関わらず日本国防軍の指揮官に接触する。
「殺したければ殺せ、今はすぐにでもこの戦闘服を脱ぎたい。」
血まみれになった戦闘服の上を脱ぎ捨て火に投げ込み燃えた。
彼は日本国防軍に捕獲されるが、接触した指揮官により日本国防軍へ階級を飛ばした異例の入隊を果たした。
自衛隊員をためらいもなく小銃で殺した彼は自衛隊を敵に回してまで何を守ろうとしているのか、彼の記録が語られる。

〜登場組織〜

<軍事組織>

・防衛省

・自衛隊(陸・海・空)

・国防省

・国防軍

・民間軍事会社 日本武装傭兵団

<民間組織>

・戦争撲滅の党

・国防の党

・新未来の党

・平和実現会

・自衛隊父兄会

・日本を愛するデモ運動集団

・左翼&右翼

<勢力不明>

・新宿武装集団

ー日本国防軍階級ー

国防大臣
国防長官
国防総将官
国防総補将官
国防1等佐官
国防2等佐官
国防3等佐官
国防1等尉官
国防2等尉官
国防3等尉官
国防准尉官
国防先任曹官
国防1等曹官
国防2等曹官
国防3等曹官
国防先任士官
国防1等士官
国防2等士官

ー陸上自衛隊階級ー

陸将
陸将補
1等陸佐
2等陸佐
3等陸佐
1等陸尉
2等陸尉
3等陸尉
准陸尉
陸曹長
1等陸曹
2等陸曹
3等陸曹
陸士長
1等陸士
2等陸士
自衛官候補生

※空・海自は陸から空・海の文字に入れ替わる。

〜登場人物〜

・結美 玲也 ムスビ レイヤ (19) 国防2等尉官
 元自衛官。自衛隊員を殺害し、国防軍に入隊。防衛省では最高レベルの要注意人物であり、自衛隊の特殊作戦群では抹消対象者にされている。中隊長を務めていて、部下や上司からは評価が高い。皆からは親しみを込めて、名前と階級を混ぜ合わせて省略した玲兄さんと呼ばれている。中には兄さんと呼ぶ人も増えているらしい。お互い両想いだと気づき、夕美と交際を始めた。優しいのか甘いのか、敵味方関係なく多くの人が彼のもとに寄って来る・・・との噂もあるらしい。

・相模 勝負 サガミ ショウブ (52) 国防1等佐官
 玲也が状況中に接触した指揮官。彼を国防軍に入隊させるために国防省に駆け寄った。玲也からはヤジさんと親しみをこめて呼ばれている。喧嘩っぱやいおっさんで
、今は落ち着いた性格だが昔は戦闘中にとある事案で自衛官と殴り合いになったくらい荒かったらしい。

・貴志川 有 キシガワ ユウ (19) 国防2等士官
 入隊したばかりの新兵。入隊早々、射撃が最も優れており、狙撃手に。玲也に誘われ、玲也の部下になる。玲也とは同い年で、兄弟的な存在。よく玲也と夕美の3人で行動している。位置的には玲也と夕美の専属スナイパーとも言える。

・日暮奈 夕美 ヒグナ ユウミ (19) 国防3等尉官
尉官試験を一発で合格した成績優秀者。教育を終えて部隊に配属される。クールな性格上、ストレートに物事を言ってしまうが、実は寂しがり屋。玲也に助けてもらった事が多く、言動や行動でまれに玲也に対する好意がみられるが、お互い両想いだということに気づき、玲也と交際を始めた。

・河瀬 颯太 カワセ ハヤタ (36) 国防2等曹官
第1中隊、通称結美中隊に所属する国防官。物を丁寧に扱うのが特徴で、彼が使用した物は知っている限り壊れたことはない。そこで玲也から車両管理者を任される。車両を常に万全な状態にしてくれている。また、大家族のビッグダディをしている。

・華目 匠 ハナメ タクミ (23) 国防3等曹官
結美中隊に所属している。衛生を担当していることから、曹官または士官の間では先生と呼ばれている。昔病院の医院長をしていたことが理由である。面倒見が良く、常に中隊全員の健康をチェックしてくれている。また、心の病にも対象できる。小さな怪我でも心配してくれるのが特徴。

・慶田 武 ケイダ タケシ(45)国防先任曹官
結美中隊の先任。曹官・士官をまとめる小隊長。玲也と夕美の親父的存在でもあり、何かと2人のことを心配してくれている。貴志川と性格が似ているところもあり、2人がそろうとそこはもう熱血地獄になりかねないほど熱くなる。

・機十 編 キジュウ アミ(20)国防技術技官
国防軍技術研究本部に所属する技官。研究に全てを捧げる。特技は剣道で、六段。常に不機嫌、口調が悪い。幼少期、自衛隊員だった両親に虐待を受けていた。親が居た自衛隊に対し、快く思っていないがために、国防省に入った。

・浜田 意識 ハマダ イシキ(47) 2等陸佐
戦車大隊の大隊長。信頼が高く、大隊での評価は高い。玲也が国防官になった事を知り、部下の状態を把握していなかったことから責任を感じている。部下にはそれを表に出さず、大隊長としての任をまっとうする。

・小森谷 辺句朗 コモリヤ ヘクロウ (39) 准陸尉
戦車大隊の最上級先任曹長。常に考え事をしているのが特長。玲也が国防官になったことを知り、最近はなぜ玲也が国防官になったのかを考え始める。

・風神花月 フウジン カゲツ(23)2等空佐
防衛大学を成績優秀表で卒業し、強い復讐を糧に佐官クラスに登り詰めた。自衛隊に両親を殺された復讐のため自衛隊に入隊するも、国を守るなど考えておらず、常に復讐のことしか頭にない。また、表と裏の差がとても激しく、今の所殆どの隊員で彼女の裏を見たものは今の所ない。
※表・明るく、フレンドリー
 裏・腹黒く、人を見下し、自分の奴隷のように扱う

・古城 哉良 コウジョウ ヤヨイ(23)2等空尉
Fー15を操るファイターパイロットでタックネームはルド。一人で一作戦の相手を任せられるほどの脅威な実力を持っている。しかし、至って本人は人命を奪いたくないと思い続けている。航空学校をトップで卒業し、自衛官となる。間違っている自衛隊を、内側から変えていく事を目標に、奮闘している。国防軍からスカウトが来るも、武力で押さえるのは違うと考えて、それを蹴る。国防官に未練はないと言ったら嘘になる。また、女性の様な自身の名前を気にしている。普段は温厚で、誰にでも慕われるが命を軽視する者や奪う者を相手にした時は、怒りをあらわにし相手を震え上がらす。

・三溝 晋三 サミ シンゾウ(40) 1等陸曹
特殊作戦群所属の自衛官。冷静沈着である彼は小隊長を務める。いかなるときも常に任務を優先とする真の自衛官。玲也との面識はないが、遭遇すればそこは今までに見たことのない激戦区となる。

・神野 啓喜 カンノ ケイキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。玲也が国防軍に入隊しても気にせず玲也と関わりを持つ。心配性だが、何よりも敵同士である玲也と戦うことがないか常に心配している。

・波森 悟卓 ナミモリ ゴタク (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。元から仲が悪く、敵対することが多い。玲也が国防軍に入隊したことにより、敵対心が大きくなる。

・吉川 泰毅 ヨシカワ ヤスキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。前から自衛官を退職したいと希望していたが、人手不足から所属している大隊長に継続を命令され、未だ現役自衛官となっている。玲也が国防軍に入隊しても変わらず敵対心等を抱かない。戦場で遭遇すればお互い上司からの命令であり、仕事だから仕方ないと考え、互いに争う関係に。

・原島 羽吹 ハラシマ ハブキ(39)武装傭兵団社長
日本で初の民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るため傭兵派遣サービスを提供し続けている。まれに自分自ら派遣活動に参加することがある。会社を設立する前は日本警察の特殊部隊、SATの隊員として公務をしていた。国内戦争が勃発しそれにおびえた国民を見て考えが変わり、会社を設立した。なぜ考えが変わったのかは不明で、本人もまたそれを明らかにすることはない。


・帚木 冥 ハハサギ メイ(17)武装傭兵団社員
民間軍事会社、武装傭兵団の社員。常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップなどを装備し通常の重量を大幅に超えたSCAR−Hを酷使する。


〜活動記録目次〜


状況1.桜ノ心ナクシ自衛官、国防官ヘ

>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>08 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>27 >>28

状況2.躊躇ウ里帰リ、空ノ刺客アリ

>>31 >>33 >>34 >>37 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>51 >>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59

状況3.属サヌ傭兵、影ト成リ結美中隊

>>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>66 >>67 >>69 >>70 >>71 >>73 >>75 >>77 >>78 >>81

状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和

>>82 >>83 >>84

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.42 )
日時: 2015/03/22 08:08
名前: 裏の傍観者 (ID: cYeSCNTQ)

1230時、会議室。

静かすぎる空気に俺は正直退屈していた。
それもそうだ、ここは陸自の駐屯地であって、目の前に自衛隊のお偉いさんが数人並んで座っている。
相模1佐官はさっそく厳重に封がされた封筒を渡す。
「これは国防長官からの手紙だ。」
「確かに受け取った。・・・全く、アパッチを破壊されたからといって騒ぎすぎだ。」
「珍しく意見が合ったな。」
それから相模1佐官と陸自のヘリコプター隊の隊長は雑談を始めてしまった。
相模1佐官からは自由にして良いと言われ、ヘリの隊長からも駐屯地内を自由に回って良いと許可も得たのでアパッチの置いてある格納庫に足を運んだ。
夕美と貴志川は念のため、移動手段である車両の見張りをしている。
それにしても、本当に貴志川の射撃は化け物だ。
あの距離でよくコックピット内の機材を壊せた。
中を除いてみると、前部座席のモニター等は全部吹っ飛んでいた。
「あとで貴志川に射撃賞渡さないとな。」
「このアパッチはお前の部下がやったのか?」
後ろを向く。
そこには空自の戦闘服を来た女性自衛官が立っていた。
「何の用だ?」
「自衛官を殺した気分を聞きに来たんだよ。」
その時、心のそこから怒りが込み上がってきた。
「喧嘩を売っているのか?」
「だとしたら?」
「こうするまでだ。」
俺はレッグホルスターから拳銃を引き抜き、彼女に向ける。
シグ・ザウエルP226が鈍く光る。
「この場にいる自衛官を全員殺すなんざ容易いことだ。それに、どういう考えかは知らんが、俺には自衛隊にいい思い出は無いんでな。貴様に聞かせる武勇伝なんざ何処にもない。」
「あっそ。」
彼女が最初から戦う気がないと感じた俺は拳銃をおさめた。
「国防官になって、何が変わった?」
彼女はそういってアパッチに近づく。
壊されたアパッチがそんなに珍しいのだろうか。
「・・・変わっちゃいない。ただ桜の心をなくして自衛官をやめただけだ。強引だったが。」
「桜の心・・・か。私は最初からそんな心は持ち合わせてない。自衛隊なんて糞な集団は、平和ボケの象徴で、ただの飾りだ。」
確かに、今まで経験してきた自衛隊での生活・訓練は平和ボケのせいで全然実戦で戦えるような状態ではなかった。
階級の一番低い自衛官は自分の尻がふけない上官の代わりに毎日ただひたすらに清掃と雑用ばかりだった。
上官は仕事が終わっても働く新隊員と違い、だらけた時間を過ごす。
表では絆だの叫んでいるが、そんなのただの口先だけだ。
その地点で絆や団結なんて最初から存在しない。
入隊した新隊員は上官の餌食となるのが真実だ。
「私は正直自衛隊なんて消えてほしいと思ってる。」
「この戦争が嫌なのか?自衛隊にとっちゃいい機会だと思うがな。俺たち国防軍は対抗部隊として出てる訳じゃないが、正直自衛隊の実戦的ではない戦法には呆れているが。」
「そんなわけねぇだろ。・・・殺されたんだよ、自衛隊に。」
「恋人をか?」
「両親をだよ。私がまだ12のガキだった時、父さんと母さんは空自で苛めにあったんだ。」
未だに自衛隊での苛めは消えていない。
俺が元いた戦車大隊もそうだ。
先任曹長に対して3等陸曹の分際でため口で馬鹿にするアホも入れば、下の階級で、1等陸士や陸士長の馬鹿どもが2等陸士に対し全てを押し付けさせたり、出来なかった事で先輩にいちいち呼ばれ、馬鹿みたいになぜ出来なかった事を質問攻めしたり笑って馬鹿にしたり。
思い出すだけでも自衛隊を本気で潰したくなるくらい殺意が沸く。
駒門の戦車大隊に限ったことではない、大宮の普通科も師団で初の自殺者を出してしまっている。
未だに改善のひとつも見られない自衛隊はもう消えていいと思う。
「ならなぜ空自になった?」
「私が上官になって、自衛隊を片っ端から捻り潰すためだ。今の階級ではまだ力が足りない。」
彼女の階級を見ると、2等空佐の階級章がついていた。
「なるほど、内部から徐々に片付けていくという腹か。悪くないな。」
そろそろ時間なので格納庫を後にする。
「あんたこそ、なんで自衛官を殺してまで国防官になったんだ?」
足を止めて俺は彼女の質問に答えた。
「教えてやっただけだ。人を殺す事と、自衛隊の存在意義や恨みをもった人間の恐ろしさというやつをな。」
「・・・あんたも同じなんだね。」
「貴様の両親よりは小さい事だ。だが、自衛隊の存在意義については貴様ら自衛官も考えるべきだ。・・・そう思わないか風神2佐。」
「そうだな、結美2尉官。」
俺は再び彼女に背を向けて歩き出す。
きっと、自衛隊には彼女のようにたくさんの隊員が自衛隊に恨みなどをもったやつがいるのかもしれない。
だが、今の俺はそいつらを救うことはできない。
俺は国防官だ、悩める自衛官に対して俺が出来るのは・・・殺すことだけだ。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.43 )
日時: 2015/03/23 12:31
名前: 裏の傍観者 (ID: z5Z4HjE0)

1305時、格納庫。

「空自のお出ましだな。」
相模1佐官はそういって、手にしているハンバーガーを豪快に食べる。
ちなみにハンバーガーは夕美が市街で買ってきてくれた。
車両から指揮官らしき人物が降りてきた。
「風神2佐、お待たせしました。」
「ご苦労エースパイロット君!」
風神2佐はふざけながら笑う。
その彼が俺を見ると顔色を悪くした。
「風神2佐、国防官がいるなんて聞いてませんが!?しかも彼は!」
「あぁ、言ってなかったっけ?落ち着きなよ、本物の結美2尉官だから。」
俺以外にいるとでも・・・?
「ちなみにアパッチ壊した本人は彼よ。」
風神2佐は貴志川を指差す。
「人を指差すな!」
「本当の事じゃない。」
今思った。
風神2佐はかなり面倒なやつだということを。
「それより古城2尉、自己紹介ぐらいはしなよ。」
「了解。・・・2等空尉の古城 哉良です。」
「俺を見て驚いたなら自己紹介しないとな。2等尉官の結美 玲也だ。覚えたかったら覚えればいい。」
自衛官を殺した身だ、覚えはしないだろう。
「・・・結美2尉官も、自衛官だったんですよね。」
「あぁ、陸自だがな。話は後だ、こいつを運ぶんだろう?手出しはしないから安心しろ。」
早速アパッチの運搬作業が始まった。
アパッチはすでにトレーラーに積載されていて、OD色のシートがかけられた。
その際、先程の彼・・・古城2尉がちょくちょく俺に視線が向けられる。
あっという間にアパッチの積載は完了し、空自の部隊も護衛準備が整っていた。
「さて、用は済んだし休暇だ!」
相模1佐官はそういってガッツポーズをする。
「ヤジさん、俺は先に解散する。」
「玲也?」
「おう、両親に会うんだろう?顔出して来い!」
一人で行こうとしたが、夕美が心配そうに俺を見つめる。
そんなに心配なら連れていくか。
「貴志川、ヤジさんを頼む。車は引き続き宜しくな、俺は実家に車があるから大丈夫だ。夕美。」
「何・・・?」
「そんな顔するな、お前も来いよ。」
「いいの?」
「甘えさせてやるよ。」
「な、何言ってんのよ!!・・・バカ。」
夕美からはついていきたいオーラ出しまくっていた。
「冗談だ、行こうか。」
「・・・沢山甘えたいわよ。」
「何かいったか?」
「なんでもないわ!さぁ、いきましょ!」
自然に夕美と俺の手が繋がれていた。
夕美に引っ張られながら実家に向かった。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.44 )
日時: 2015/03/23 15:33
名前: 裏の傍観者 (ID: cYeSCNTQ)

1400時、高崎駅。

相模1佐官がどうしてもということで高崎駅によった。
理由は・・・食い物探しだ。
さっきはハンバーガーを食べたのに、今は車内でうどんときた。
「貴志川。」
「はい何か?」
「・・・結美と日暮奈はどこまでいった?」
思わず飲んでいた紅茶を吹いてしまった。
「いきなりっすね!?」
「気になるんだよ、ベタベタだしな。」
そういえばそうだ。
夕美が初めて中隊に来たときはあまりにもストレートすぎた事もあり、誰にも心を開かなかった。
「いつからでしたっけ?」
「なんだ貴志川、覚えとらんのか?練馬前線で日暮奈が一人で突っ込んだろ。」
「あぁ!そうだった!」
練馬前線での戦闘中、夕美が見当たらないと騒ぎになった時に真っ先に飛び出したのが玲也だった。
「あの時の日暮奈は熱くなりすぎてて、気付けば2個中隊に囲まれてたな!」
「笑い事じゃないっすよ。」
2個中隊に囲まれたと聞いた時は諦めかけていた。
だが玲也は自分の身に危険が及んだとしても、気にせず真っ直ぐに夕美の元へ行き一人で2個中隊を下がらせた。
特戦群とも渡り合える力を持つ玲也は化け物だ。
「それから戦闘が終わった途端に日暮奈は結美に抱き締められたな。」
「ドラマチックでしたね。」
当時夕美が玲也に心を開いた時の事を良く覚えている。

4ヶ月前、練馬区。
「(ごめんなさい・・・、私のせいで・・・。)」
「(日暮奈3尉官・・・。)」
「(こんな私が味方なんて最低だよね・・・私もう辞めるわ、国防官失格だから・・・。)」
玲也は夕美を優しく抱き締めた。
いきなりの事で夕美は勿論、皆が驚いたんだっけな。
「(何・・・を?)」
「(失格なんかじゃない、むしろ誇るべきだ。)」
「(何を言ってるの?)」
「(普通の奴だったら一人で突っ込もうとしないさ。だがそれは弱さだ。日暮奈3尉官、気付いてないかもしれないが、お前は皆に教えたんだよ。ただ戦うだけじゃ駄目だ、守りたいものがあるなら死ぬ気で戦わなきゃいけないと。)」
「(私が・・・皆に?)」
「(そうだ。・・・俺は嬉しいよ。日暮奈3尉官がそういう人間である事を。国防官として失格なんかじゃない。)」
「(・・・・・。)」
「(俺が偉そうに言えることじゃなかったかな。・・・日暮奈3尉官、心を開かなくてもお前は1中隊、いや結美中隊の仲間だ。だからやめないでくれ。中隊長として、俺個人としてな。)」
「(中隊長・・・。)」
「(結美でいい。それか玲也でもいいよ。)」
「(・・・夕美。)」
「(なんだ?)」
「(夕美って呼んで・・・いいから。)」
「(ありがとう夕美。)」
「(それは私が言うべき事よ・・・。私に居場所をくれてありがとうね、玲也!)」
その時感動していた俺と中隊の皆が一気に二人の元へ駆けつけて、俺は二人を持ち上げた。
「(何するのよ!?)」
「(貴志川!無茶するな!)」
「(んなもん関係あるかよ!めでてぇなぁ!!)」
「(もう!このお調子者!)」
その時夕美は呆れて笑っていて、彼女から俺も夕美に名前で呼んでいいといわれた。
それから俺と玲也と夕美の3人で一緒に毎日を過ごしている。

「結美には感謝している。あいつがいたから、今の大隊がある。大隊もそうだが他部隊からも評価が高いし信頼もある。」
「そうですね。」
玲也がいなかったら、射撃は上手くならなかっただろう。
それだけじゃない。
玲也は俺だけじゃなく、皆にも家族という大切な宝物をくれた。
感謝しきれないくらいだ。
「来週に大隊の宴会があるだろ、結美をあげてやろうか!」
「玲也はまだ未成年っすよ!」
未成年である玲也に酒を飲ます気かこのおっさんは!
「そうだったな。貴志川、そろそろ旅館にいこうか!腹が減ったぞ。」
「了解っす!」
全く、いつまで食い続ける気なんだろうか。
エンジンをかけて、旅館に向かった。

Re: 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.45 )
日時: 2015/03/25 12:34
名前: 裏の傍観者 (ID: bAREWVSY)

1500時、結美家。

料金を支払い、タクシーを降りる。
目の前には、とても懐かしい実家があった。
国防官になってから全く乗っていない俺の車はきれいにされていた。
「ここが貴方の実家なのね。」
「あぁ、俺の人生はここから始まったんだ。なくなったとしても、存在は消えることのない故郷であり、結美家の宝だ。」
行こうとしても、なかなか歩み出せない。
せっかくここまで来たというのに、情けない。
「・・・行かないの?」
夕美は相変わらず心配性だ。
だが安心した。
こんな俺でも、心配してくれる人がいる。
これだけでも俺にとっては大きな力だ。
「・・・行こうか。」
玄関まで進み、チャイムを鳴らす。
「はい。」
中から親父の声がして、玄関に近づいてくるのが分かる。
鍵が開けられ、扉が開いた。
「久しぶりだな、親父。」
「玲也?玲也なのか!よく帰ってきたな!待ってたぞ、疲れただろう。」
「別に疲れちゃいない。」
どんな反応をするか少し心配だったが、親父は相変わらずだった。
「そこの彼女は?」
親父は夕美を見て驚いていた。
まるでいつの間にか結婚していたのかという顔をしていた。
「仕事で一緒に働いている仲間だ。」
「初めまして、日暮奈 夕美です。」
「綺麗な彼女さんか!やったな玲也!」
「親父、まだ結婚していないからな。」
勘違いもいいところだ。
「とりあえず中に入りなよ、母ちゃんも喜ぶぞ。」
「おう。」
「お邪魔します。」
家に上がり、リビングに入る。
「母ちゃん、玲也が帰ってきたぞ!」
「玲也!!心配したのよもう!お帰りなさい、お茶出すわね。あら、綺麗な美人さんは誰なの?」
「日暮奈 夕美、仕事仲間だ。」
「初めまして、玲也のお母さん。」
「いい名前じゃない!さぁさぁ、そこに座って。お茶いれるわね。」
久しぶりにリビングのソファに座る。
さっきから夕美は落ち着きがない、緊張しているのだろうか?
「夕美、緊張することはない。ゆっくりしててくれ。」
「どうしても緊張しちゃうのよ・・・。」
「無理もないか、いきなり他の人の家に連れてきたからな。」
「私の事は気にしなくてもいいから、話したいこと話してきなさい。私はここにいるわ。」
「ありがとう、夕美。」
お袋がお茶をいれて戻ってきた。
冷たいお茶が机に用意された。
「日暮奈さんと仲がいいんだな玲也。」
親父はつけっぱなしになっていたテレビを消した。
「防衛省から直接連絡がきた。お前が脱柵して国防軍に寝返ったと知らせがきた。」
「俺が自衛官を殺したことは?」
「聞いたよ。」
「そうか。」
あまりいいことではないのは承知の上だ。
「だが、報道でやっていた自衛隊の裏の世界を見たときは、俺も納得した。お前が自衛官を殺した理由もな。それから母ちゃん泣きっぱなしだったよ。」
「玲也はもう二度と帰ってこないんじゃないかって考えてたわ。でも今ここにいる。例え国防官になっても、国を守っていることに変わりはないってお父さんに言われたわ。貴方の元気な顔が見れただけでも私は幸せよ。」
「ありがとう、親父、お袋。そういってもらえると助かるよ。」
この時俺は実感した。
一人じゃない。
これだけは確かに言える。
「玲也、国防官になったんだな。階級は新米か?」
「いや、2等尉官だ。」
俺は身分証を親父に見せる。
身分証は自衛隊同様、紛失してしまうと重度の処分を受ける事になる。
外出時などは脱落防止を確実に行っておかなければならない。
「いきなり幹部か?責任が大きいな。」
「当たり前だ、伊達に中隊長やってないよ。」
部下を負傷させてしまっても、彼ら自身ではなく俺の責任だ。
中隊長として当然の事。
「中隊長か、頑張れよ!せっかく帰ってきたんだから、晩飯食べてけ。よかったら日暮奈さんも。」
「そんな、悪いですよ。」
まぁ、初対面の人なら遠慮はするよな。
「夕美、遠慮するなよ。」
「でも・・・。」
「心配でついてきてくれたんだろ?なら、礼くらいはさせてくれよ。」
何度彼女に心配されたか。
他人に俺の事を心配してくれる人がいるのは、俺にとってはかなり嬉しい。
「そうね、そうするわ。」
「おう。お袋、俺も手伝うよ。」
「ありがとう、それじゃ、野菜切ってくれる?」
「あ、私も手伝います。」
夕美が上着と装具を外してリビングに入る。
それを見たお袋は驚いた。
「まぁ!スマイル抜群じゃない!」
「え!?そ、そうですか?」
「玲也、いい彼女持ったじゃない!」
「聞いて恥ずかしくなるような事を言うなよ!?」
全く、こっちはこっちで相変わらず賑やかだった。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.46 )
日時: 2015/03/27 16:27
名前: 裏の傍観者 (ID: mvR3Twya)

1720時、富士重工業。

「これはまた・・・。」
社員達がアパッチの弾痕を見て息を呑んだ。
50口径の破壊力は馬鹿にならない。
人間に命中すれば、簡単に粉々になる。
「前部座席の機材が全壊、後部座席は軽微。機材が痛いですね。」
社員のリーダーがリストを渡してきた。
結構な数の部品が死んでいた。
「どれくらいかかりますか?」
試しに聞いてみた。
「2ヶ月はかかるでしょう。もう生産していないのでパーツをまた新たに製作することになります。」
「そうですか。」
まぁ、アパッチが直るなら何でもいい。
私の部隊の物ではないし、陸自の所有物だからだ。
一通り社員から説明を受け、アパッチ運搬の勤務は終わった。
車両に戻ると、古城2尉が待っていた。
「どうでした?風神2佐。」
「駄目だった、機材を新たに作らないといけないらしいから。」
「そうとうなダメージだったんですね。」
正直、私には関係のないことだ。
もうこのまま国防軍に消されてもいい気がしてきた。
「古城2尉、次のフライトいつ?」
「明後日です。」
「そう。」
古城2尉は元々百里基地の隊員だ。
私が彼を入間に呼んだのは、偶然仕事で合ったときに私の独り言で彼から声をかけられた時から始まった。
古城2尉は自衛隊を内側から変えていきたいと言っていた。
だが私には自衛隊に対する復讐しかない。
彼ならどう答えるか気になって連れてきたが、聞こうにも聞きづらかった。
結美2尉官に言われたその時から、私は迷い始めた。
「・・・風神2佐、まさか彼みたいに自衛隊を敵に回すと考えていますか?」
「どうして?」
「顔を見れば分かります、彼も同じだった。」
彼は自衛隊を本気で正そうとしている。
それに比べて私はただの復讐の塊だ。
自衛隊を正そうと考えたことはなかった。
結美2尉官の言葉を思い返す。
「(貴様の両親よりは小さい事だ。だが、自衛隊の存在意義については貴様ら自衛官も考えるべきだ。・・・そう思わないか風神2佐。)」
確かに彼の言う通りかもしれない。
「古城2尉、自衛隊の存在意義について・・・考えたことある?」
「いきなりですね。・・・まぁ、何度かあります。」
「聞かせて、じゃなきゃ殺すから。」
彼の考えを聞きたい。
明日また相馬原で結美2尉官達と会うはずだ。
それまでに、答えを見つけておきたかった。


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