ダーク・ファンタジー小説

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守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜
日時: 2016/01/06 23:15
名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)

はじめまして、裏の傍観者です。
シリアス・ダークで小説明を書かせてもらってます。
戦争系のお話しということで、今回は国内での戦争を描いた「守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜」を書いてみました。
自衛隊と国防軍の戦闘が繰り広げられた日本が舞台となります。
恋愛も入れてますが、他の作者より下手です。(自覚してますm(。_。)m)
初心者ですが、よかったら読んでみてください。
オリキャラ・コメント歓迎します!
では、本編をお楽しみください!!



〜本編紹介〜

日本が大きく変わった平成32年。
高3の時から自衛隊にあこがれていた少年は、やがて自衛隊に入隊。
長いようで短いような教育期間を終えた彼は、やがて部隊に。
そこに待ち受けていたのは、自衛隊の裏の世界。
いくつも重なり山となる理不尽とストレス。
彼はこんな自衛隊が日本を守るなんて冗談じゃないと考え始める。
その頃日本政府では日本の国防力を高めるために新たに組織を設立していた。
日本国憲法第9条をねじ伏せてまで強引に設立した組織は、突如日本国内にあるすべての自衛隊施設を襲撃する。
緊急呼集をかけられた機甲科隊員である彼は、完全武装し状況に入る。
その際、敵が自分と同じ日本人であり、攻撃してきたのは最近設立されたばかりの日本国防軍だったことを知り、彼は敵に向けていた銃口を乗り合わせていた戦車乗員の車長に向ける。
乗員の小銃弾、車長の拳銃を強奪し味方の戦車を破壊した彼は、自分に銃口が向けられているにも関わらず日本国防軍の指揮官に接触する。
「殺したければ殺せ、今はすぐにでもこの戦闘服を脱ぎたい。」
血まみれになった戦闘服の上を脱ぎ捨て火に投げ込み燃えた。
彼は日本国防軍に捕獲されるが、接触した指揮官により日本国防軍へ階級を飛ばした異例の入隊を果たした。
自衛隊員をためらいもなく小銃で殺した彼は自衛隊を敵に回してまで何を守ろうとしているのか、彼の記録が語られる。

〜登場組織〜

<軍事組織>

・防衛省

・自衛隊(陸・海・空)

・国防省

・国防軍

・民間軍事会社 日本武装傭兵団

<民間組織>

・戦争撲滅の党

・国防の党

・新未来の党

・平和実現会

・自衛隊父兄会

・日本を愛するデモ運動集団

・左翼&右翼

<勢力不明>

・新宿武装集団

ー日本国防軍階級ー

国防大臣
国防長官
国防総将官
国防総補将官
国防1等佐官
国防2等佐官
国防3等佐官
国防1等尉官
国防2等尉官
国防3等尉官
国防准尉官
国防先任曹官
国防1等曹官
国防2等曹官
国防3等曹官
国防先任士官
国防1等士官
国防2等士官

ー陸上自衛隊階級ー

陸将
陸将補
1等陸佐
2等陸佐
3等陸佐
1等陸尉
2等陸尉
3等陸尉
准陸尉
陸曹長
1等陸曹
2等陸曹
3等陸曹
陸士長
1等陸士
2等陸士
自衛官候補生

※空・海自は陸から空・海の文字に入れ替わる。

〜登場人物〜

・結美 玲也 ムスビ レイヤ (19) 国防2等尉官
 元自衛官。自衛隊員を殺害し、国防軍に入隊。防衛省では最高レベルの要注意人物であり、自衛隊の特殊作戦群では抹消対象者にされている。中隊長を務めていて、部下や上司からは評価が高い。皆からは親しみを込めて、名前と階級を混ぜ合わせて省略した玲兄さんと呼ばれている。中には兄さんと呼ぶ人も増えているらしい。お互い両想いだと気づき、夕美と交際を始めた。優しいのか甘いのか、敵味方関係なく多くの人が彼のもとに寄って来る・・・との噂もあるらしい。

・相模 勝負 サガミ ショウブ (52) 国防1等佐官
 玲也が状況中に接触した指揮官。彼を国防軍に入隊させるために国防省に駆け寄った。玲也からはヤジさんと親しみをこめて呼ばれている。喧嘩っぱやいおっさんで
、今は落ち着いた性格だが昔は戦闘中にとある事案で自衛官と殴り合いになったくらい荒かったらしい。

・貴志川 有 キシガワ ユウ (19) 国防2等士官
 入隊したばかりの新兵。入隊早々、射撃が最も優れており、狙撃手に。玲也に誘われ、玲也の部下になる。玲也とは同い年で、兄弟的な存在。よく玲也と夕美の3人で行動している。位置的には玲也と夕美の専属スナイパーとも言える。

・日暮奈 夕美 ヒグナ ユウミ (19) 国防3等尉官
尉官試験を一発で合格した成績優秀者。教育を終えて部隊に配属される。クールな性格上、ストレートに物事を言ってしまうが、実は寂しがり屋。玲也に助けてもらった事が多く、言動や行動でまれに玲也に対する好意がみられるが、お互い両想いだということに気づき、玲也と交際を始めた。

・河瀬 颯太 カワセ ハヤタ (36) 国防2等曹官
第1中隊、通称結美中隊に所属する国防官。物を丁寧に扱うのが特徴で、彼が使用した物は知っている限り壊れたことはない。そこで玲也から車両管理者を任される。車両を常に万全な状態にしてくれている。また、大家族のビッグダディをしている。

・華目 匠 ハナメ タクミ (23) 国防3等曹官
結美中隊に所属している。衛生を担当していることから、曹官または士官の間では先生と呼ばれている。昔病院の医院長をしていたことが理由である。面倒見が良く、常に中隊全員の健康をチェックしてくれている。また、心の病にも対象できる。小さな怪我でも心配してくれるのが特徴。

・慶田 武 ケイダ タケシ(45)国防先任曹官
結美中隊の先任。曹官・士官をまとめる小隊長。玲也と夕美の親父的存在でもあり、何かと2人のことを心配してくれている。貴志川と性格が似ているところもあり、2人がそろうとそこはもう熱血地獄になりかねないほど熱くなる。

・機十 編 キジュウ アミ(20)国防技術技官
国防軍技術研究本部に所属する技官。研究に全てを捧げる。特技は剣道で、六段。常に不機嫌、口調が悪い。幼少期、自衛隊員だった両親に虐待を受けていた。親が居た自衛隊に対し、快く思っていないがために、国防省に入った。

・浜田 意識 ハマダ イシキ(47) 2等陸佐
戦車大隊の大隊長。信頼が高く、大隊での評価は高い。玲也が国防官になった事を知り、部下の状態を把握していなかったことから責任を感じている。部下にはそれを表に出さず、大隊長としての任をまっとうする。

・小森谷 辺句朗 コモリヤ ヘクロウ (39) 准陸尉
戦車大隊の最上級先任曹長。常に考え事をしているのが特長。玲也が国防官になったことを知り、最近はなぜ玲也が国防官になったのかを考え始める。

・風神花月 フウジン カゲツ(23)2等空佐
防衛大学を成績優秀表で卒業し、強い復讐を糧に佐官クラスに登り詰めた。自衛隊に両親を殺された復讐のため自衛隊に入隊するも、国を守るなど考えておらず、常に復讐のことしか頭にない。また、表と裏の差がとても激しく、今の所殆どの隊員で彼女の裏を見たものは今の所ない。
※表・明るく、フレンドリー
 裏・腹黒く、人を見下し、自分の奴隷のように扱う

・古城 哉良 コウジョウ ヤヨイ(23)2等空尉
Fー15を操るファイターパイロットでタックネームはルド。一人で一作戦の相手を任せられるほどの脅威な実力を持っている。しかし、至って本人は人命を奪いたくないと思い続けている。航空学校をトップで卒業し、自衛官となる。間違っている自衛隊を、内側から変えていく事を目標に、奮闘している。国防軍からスカウトが来るも、武力で押さえるのは違うと考えて、それを蹴る。国防官に未練はないと言ったら嘘になる。また、女性の様な自身の名前を気にしている。普段は温厚で、誰にでも慕われるが命を軽視する者や奪う者を相手にした時は、怒りをあらわにし相手を震え上がらす。

・三溝 晋三 サミ シンゾウ(40) 1等陸曹
特殊作戦群所属の自衛官。冷静沈着である彼は小隊長を務める。いかなるときも常に任務を優先とする真の自衛官。玲也との面識はないが、遭遇すればそこは今までに見たことのない激戦区となる。

・神野 啓喜 カンノ ケイキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。玲也が国防軍に入隊しても気にせず玲也と関わりを持つ。心配性だが、何よりも敵同士である玲也と戦うことがないか常に心配している。

・波森 悟卓 ナミモリ ゴタク (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。元から仲が悪く、敵対することが多い。玲也が国防軍に入隊したことにより、敵対心が大きくなる。

・吉川 泰毅 ヨシカワ ヤスキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。前から自衛官を退職したいと希望していたが、人手不足から所属している大隊長に継続を命令され、未だ現役自衛官となっている。玲也が国防軍に入隊しても変わらず敵対心等を抱かない。戦場で遭遇すればお互い上司からの命令であり、仕事だから仕方ないと考え、互いに争う関係に。

・原島 羽吹 ハラシマ ハブキ(39)武装傭兵団社長
日本で初の民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るため傭兵派遣サービスを提供し続けている。まれに自分自ら派遣活動に参加することがある。会社を設立する前は日本警察の特殊部隊、SATの隊員として公務をしていた。国内戦争が勃発しそれにおびえた国民を見て考えが変わり、会社を設立した。なぜ考えが変わったのかは不明で、本人もまたそれを明らかにすることはない。


・帚木 冥 ハハサギ メイ(17)武装傭兵団社員
民間軍事会社、武装傭兵団の社員。常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップなどを装備し通常の重量を大幅に超えたSCAR−Hを酷使する。


〜活動記録目次〜


状況1.桜ノ心ナクシ自衛官、国防官ヘ

>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>08 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>27 >>28

状況2.躊躇ウ里帰リ、空ノ刺客アリ

>>31 >>33 >>34 >>37 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>51 >>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59

状況3.属サヌ傭兵、影ト成リ結美中隊

>>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>66 >>67 >>69 >>70 >>71 >>73 >>75 >>77 >>78 >>81

状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和

>>82 >>83 >>84

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.22 )
日時: 2015/03/15 09:52
名前: 裏の傍観者 (ID: nnuqNgn3)

1600時、正面ゲート。
国防省から離れた所に、連続して鳴り響く爆発音と、黒煙が空に舞い上がっていた。
その前は、アパッチが機材の破損と人員負傷の報告をしてきて後退した。
場所は特定できず、狙撃を受けたらしい。
国防省の守りが完全武装のWAPCと必死な国防官でかなり頑丈だった。
一度は西から攻めようと前進したが、そこにも偽装したWAPCからの待ち伏せで、正面ゲートを突破するしかなくなった。
アパッチが攻撃をしてくれれば一発だが、未だに住民の避難が終わっていないらしく、下手に攻撃出来ないらしい。
俺の隣には、小銃を連射する波森と弾倉を交換する吉川がいる。
未だに結美を発見できず、波森は苛立ちを大きくする一方だ。
「糞が!連中、防弾チョッキが固すぎるぞ!」
波森はそういいながら撃ち尽くした弾倉を交換する。
「あいつらが着けてるのは防弾チョッキ3型の改良型だ、手足を撃てば足止めにはなる!」
吉川が単発で発砲すると、見事国防官の腕に命中した。
撃たれた国防官は、数人の国防官に囲まれ援護射撃を受けながら後退した。
「国防軍の連中、相当な訓練を受けたな。負傷者の回収も素早い。」
吉川が国防官を誉めながら笑う。
「何がおかしいんだよ吉川。」
こんな状況なのに、よく笑っていられる。
でも確かに吉川の言う通りだ。
自衛隊でののんびりとした訓練を受けた俺たちと違い、向こうは実戦といっていいほどの訓練を受けている。
彼らが訓練で使用している弾はゴム弾。
それを躊躇いなく撃ち合う奴等は、本当にいかなるときでも躊躇いなく人を撃てる訓練をしてきただろう。
テレビの番組で国防軍の訓練風景が放送されていた事があり、俺はたまたまそれを見ていたから知っている。
結美もあれから平気で人を撃てるようになったのも、その訓練のせいかもしれない。
小銃を構え、バリケードに隠れる国防官に発砲する。
その弾は当たることなく終わり、反撃を受ける。
撃っては撃たれるの繰り返しだ。
すると、携帯無線機から大隊の呼び出しが鳴った。
<イシガキ、こちら00。放送連絡、住民の避難が完了!これより、航空機による対地攻撃を実施する。地上で戦闘中の隊員は誤射に注意されたい、終わり。>
「アパッチが動くぞ!!」
味方に伝令し、誤射を受けないよう態勢を取り直す。
上空ではアパッチが国防省に急接近する。
この戦闘、こっちの勝利だ。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.23 )
日時: 2015/03/15 10:19
名前: 裏の傍観者 (ID: nnuqNgn3)

同時刻、国防省 指揮所。
玲也に命令された通りに防御陣地を建て直し、貴志川は当初の狙撃位置である屋上に戻った。
防御は完璧だと思っていたその時、伝令からの報告で事態は一変する。
「日暮奈3尉官!狙撃班から報告、アパッチが動き出したとのことです!」
「なんですって!?」
上空を確認する。
アパッチ全機が急速でこちらに接近してくる。
「また、住民の避難が完了した模様!」
やっと住民の避難が完了したようだ。
これで玲也が残してくれた切り札が使える。
「最悪な状況だけど、こっちにはまだ切り札があるわ。ジャベリン迎撃部隊を展開!!」
「了解!」
伝令は無線でジャベリン迎撃部隊を展開するよう呼び掛ける。
すぐに各車両からジャベリンATGMが出される。
潜伏していた第5中隊も、屋上に展開し迎撃態勢に入った。
「アパッチを絶対に寄せ付けさせないで!各人の判断で発射を許可!」
『了解!!』
アパッチが国防省に墜落するのは避けなければいけない。
接近してくる前に攻撃だ。
早速、屋上に展開した第5中隊がミサイルを発射した。
そのミサイルは先頭のアパッチに向かって高速で飛んでいく。
しかし、アパッチから放出されたフレアによってミサイルは外された。
「まだよ!アパッチに照準を合わせ続けて!ロック検知されただけでも、相手に脅威を与えられるわ!」
「了解!」
アパッチ部隊は編成を組んで接近していたが、ミサイルを放たれてから編成が崩れた。
これも想定済みだ。
編成を崩したアパッチは散開して国防省を囲み集中攻撃をする。
その対策として、玲也は全方向にジャベリン迎撃部隊を配置した。
これなら、アパッチといえど下手に近づくことはできない。
相当な腕前をもつパイロットだったら話は別だが。
アパッチがチェーンガンで西で待機していたWAPCを攻撃した。
<零ーHQ、こちら零ーW10!攻撃を受けた!WAPC大破、負傷者15名!そのうち2名は重傷、戦闘続行不能!送れ!>
アパッチの攻撃により、大きな被害を受けてしまった。
「零ーW10、こちら零ーHQ!下車戦闘用意!負傷者は直ちに搬送!送れ!」
<零ーW10了解!>
「これ以上負傷者を出させないわ!ジャベリン迎撃部隊、一斉射撃よ!」
『了解!!』
地上や空中からも攻め込まれている。
これではここも長くは持たなくなる。
「玲也・・・どうしたらいいのよ!」
ここから先の策は尽きかけていた。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.24 )
日時: 2015/03/15 22:03
名前: 裏の傍観者 (ID: 0exqyz.j)

1635時、交差点。
空が暗くなり始めてきた。
このまま夜戦に持ち込まれそうだ。
ひとまず、暗視装置JGVSーV8を被っているヘルメットのマウントアームに取り付けた。
米軍で使用されている暗視装置を、日本がライセンス生産した暗視装置。
自衛隊でも使用されていて、隊員からは「V8」と呼ばれている。
特戦群と戦闘をはじめてから約1時間。
敵戦力は残り5人。
その中に、まだ三溝1曹が含まれている。
他の連中は、C4爆弾やクレイモア、貴志川が残していったへカートⅡで体を粉々にして天に送ってやった。
正直、特戦群相手によく1人で戦えたものだ。
戦闘が終わり、無事生還できたら、自分にご褒美をくれてやりたい。
「ぐッ!?」
撃たれた右腕から再び激痛が走る。
先の銃撃戦で、三溝1曹に撃たれてしまった。
奴も、俺が放った拳銃の弾が命中し、足を負傷している。
命中したのは足の大動脈付近。
もしかしたら出血したままかもしれない。
にも関わらず、平然と動ける奴は一体何なのだろうか。
化け物としか言いようがない。
生憎、俺は小銃を撃つ際は左利きなので射撃に支障はない。
残弾は、弾倉5つで150発。
そのうち弾が尽きて拳銃だけで戦う羽目になる。
足音が聞こえてきた。
「もう接近してきたか・・・。」
国防省に近づかせることを避けるため、市役所方向へと向かい特戦群を誘き寄せている。
これだけ離れれば十分かもしれない。
だが、三溝1曹は俺が市役所方向へ走り出した時表情を変えていたのを覚えている。
俺はその時、攻撃してきている自衛隊の作戦本部はおそらく市役所だと気づいた。
それから特戦群からの銃撃が激しくなり、負傷してしまった。
「結美2尉官、そこまでだ!大人しく武器をおろし、執行されろ!」
三溝1曹だ。
「冗談じゃない、誰が自分から執行されに行くか!馬鹿か貴様は。」
「どうやら、本当に死にたいらしいな。」
「本音が出たな、三溝1曹。」
弾を装填し、小銃を構える。
「来るがいい三溝1曹、天を拝ませてやる!」
「面白い!」
互いに一斉射撃をする。
三溝1曹を囲んでいる隊員がうるさい。
手榴弾を2つ投げる。
それに気づいた三溝1曹は隊員に退避を指示するが、間に合うはずもなかった。
三溝1曹以外の隊員は爆発に巻き込まれて吹っ飛んだ。
あとは奴のみだ。
「結美2尉いぃ!!」
「三溝1曹おぉ!!」
小銃で正確に狙いを定め、発砲しては全力で走る。
かわした弾が商店の窓ガラスを割る。
俺が放った弾は、かわされてガソリンが漏れた車に命中し爆発した。
互いに距離を縮めて接近する。
そして・・・。
「チッ!」
「ッ!!」
0距離となり、その場で互いに小銃を向け合った。
炎上している車の炎で、今立っている場所が照らされる。
「貴様、左利きだったか。通りで右腕を撃ち抜いても、射撃出来るわけだ。」
「そういう三溝1曹こそ、足撃たれて出血しているのに平然と動けてる貴様は化け物だな。」
お互い引き金は引かなかった。
向け合っている小銃は、弾がなくなり貢幹が後ろで止まっていた。
引き金をいくら引いても弾が出るわけがなかった。
すると横浜市内にサイレンが鳴り響いた。
携行している無線機からは・・・。
<戦闘中の国防官に告ぐ。現時刻をもって戦闘を停止せよ。繰り返す・・・。>
相模1佐官の声だ。
三溝1曹が携行している無線機からも、戦闘終了の放送が流れていた。
「残念だったな、執行できなくて。」
互いに向け合っていた小銃を下ろす。
「失敗ではない。」
「ほう?」
「貴様のような戦闘慣れしている奴と戦ったのは初めてだ。前までは海外派遣でテロリストと戦ってきたが、一方的で終わってきた。」
「・・・戦いを楽しんでいるのか。」
こいつ、とんだ戦闘凶だな。
「本性はそんなものだ。」
「強い訳だ、そういう奴ほど馬鹿みたいに力がある。」
さてこれからどうするか。
このまま一人で国防省に戻るのも寂しい。
なら、話し相手で三溝1曹も連れていこうか。
「プライベートでも、敵同士である貴様とは仲良くするつもりはないが少し話さないか。」
「いいだろう。」
国防省に向かって、俺と三溝1曹は話をしながら歩いた。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.25 )
日時: 2015/03/15 12:24
名前: 裏の傍観者 (ID: NGqJzUpF)

1740時、国防省 正面ゲート。
話をしながら歩き続け、気づけば国防省にたどり着いていた。
三溝1曹は国防省にたどり着く前に、バラクラバを被り顔を隠した。
「結美2尉官を確認!無事だ!!」
『おぉツ!!』
大勢の国防官が喜びの声をあげた。
貴志川が全力でこちらに走ってくる。
「この馬鹿野郎!やっと戻って来やがったか!!」
「やめろ貴志川!痛いだろうが!」
貴志川の腕が俺の首にかけられ、絞め技を決めてきた。
「やめねぇよ!夕美を泣かした罰ゲームだ!」
「駄目じゃないですか兄さん、日暮奈3尉官泣かしちゃ。」
華目3曹官が笑顔で出迎えてくれた。
「華目3曹官、河瀬2曹官は?」
「俺なら無事ですよ!まぁ、車両がいくつかぶっ飛んじまいましたけど!」
「忙しくなるな、早くその腕直して処理してくれ。」
「もちろんですよ!」
河瀬2曹官はそういって愉快に笑い出す。
相変わらずのテンションだな。
「玲也!!」
声のした方向を見る。
そこには夕美が立っていた。
その背後に、大勢の国防官がカメラや携帯を手にしている。
「さ、感動の再開だな。」
そういって貴志川達は俺から離れた。
三溝1曹は無言でその場に立っている。
にやけているのがバレバレだぞおっさん。
夕美には結構心配をかけてしまったに違いない。
「・・・ただいま、夕美。」
「この・・・バカ!」
夕美は俺に向かって走り、飛び付いてきた。
俺はそれをしっかりと受け止めた。
「1人で戦おうとしないでよ!どれだけ心配したと思ってるの!?」
夕美は泣いていた。
「悪かったよ、だから泣くな。約束通り、俺は帰ってきたぞ。」
俺は彼女の頭を撫でる。
夕美のやつ、クールな性格なのに寂しがり屋だな。
時々甘えん坊だが。
「その腕どうしたの・・・?」
「これか?」
撃たれた右腕に巻いていた包帯が真っ赤に染まっていた。
「撃たれた腕か。」
「撃たれたの!?」
「心配するな、かすった程度だ。一番ヤバイのは後ろにいる化け物だよ。」
俺は三溝1曹に顔を向ける。
貴志川達は警戒をする。
「な、何だお前は!」
貴志川が驚いて奴から離れた。
「まさか特戦群なの!?」
皆は武器を手にし始めるが俺はそれを止める。
「やめろ、戦闘はもう終わってる。・・・足は大丈夫か?」
「たいしたことではない、手術は受けるかもしれないが、その内治る。」
華目3曹官は三溝1曹の足を見る。
「足の大動脈付近に貫通銃槍・・・!なんで立っていられるんだ!?」
そういって彼は包帯を新しく巻き直した。
「そういう貴様こそ、腕は大丈夫なのか?かすったとは言っていたが、実際は貫通したのだろう?」
「アンタよりはマシな方だ。・・・さっさと手術しろよ。」
すると、三溝1曹は俺にメモ紙を渡してきた。
俺はそれを受けとる。
「何だこれは。」
「会えたらまた会おう。良い話が聞けてよかった、礼として奢ってやる。」
そういって奴は黙って自衛隊と合流した。
ふと気づく。
正面ゲートに止まっている自衛隊車両に、神野達がいた。
神野は心配した顔で俺を見ている。
吉川は俺に軽く手を振っていて、波森は俺に向けて中指を立てていた。
今は敵同士だが、いずれまたどこかであいつらと遊びたい。
メモ紙には、三溝1曹の連絡先が書かれていた。
「貴方腕貫通したの!?もう無茶ばっかりして!」
「兄さん、今日は大人しくしていてください、搬送します。・・・衛生班、担架を持ってきてくれ!」
衛生班が担架を持って来た。
「玲也、後は任せてその腕どうにかしてこい。」
「分かった、夕美は同行してくれ。」
「言われなくても行くわよ、看病してあげるわ。」
「大袈裟だな・・・。」
俺はチヌークまで運ばれる。
途中、相模1佐官に呼ばれる。
「よくやった結美2尉官。」
「ヤジさん。」
「ゆっくり休んで、怪我を治してこい!後は俺に任せろ。」
「そうさせてもらうよ。」
さっきの戦闘で疲れたのだろうか、眠気が襲ってきた。
チヌークはエンジンを始動させ、空に飛び立つ。
空は暗くて星しか見えないが、下は町の光で綺麗な夜景になっていた。
「眠いの?」
「あぁ、しばらく寝る。」
「分かったわ。」
夕美は俺の頭を膝の上に乗せる。
膝枕ってやつか。
そういや、昼間夕美に膝枕をさせた記憶がある。
次は夕美の番ということか。
「お休み、玲也。」
俺は目を閉じて眠りに落ちた。

Re: 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.26 )
日時: 2015/03/16 16:43
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wJ5a6rJS)

こんにちは(^-^)/))Hello

裏の傍観者様の、小説、
どんどん凄い展開になってきていますね♪

では!
コメント、ありがとうございました。<(_ _)>


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