ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜
- 日時: 2016/01/06 23:15
- 名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)
はじめまして、裏の傍観者です。
シリアス・ダークで小説明を書かせてもらってます。
戦争系のお話しということで、今回は国内での戦争を描いた「守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜」を書いてみました。
自衛隊と国防軍の戦闘が繰り広げられた日本が舞台となります。
恋愛も入れてますが、他の作者より下手です。(自覚してますm(。_。)m)
初心者ですが、よかったら読んでみてください。
オリキャラ・コメント歓迎します!
では、本編をお楽しみください!!
〜本編紹介〜
日本が大きく変わった平成32年。
高3の時から自衛隊にあこがれていた少年は、やがて自衛隊に入隊。
長いようで短いような教育期間を終えた彼は、やがて部隊に。
そこに待ち受けていたのは、自衛隊の裏の世界。
いくつも重なり山となる理不尽とストレス。
彼はこんな自衛隊が日本を守るなんて冗談じゃないと考え始める。
その頃日本政府では日本の国防力を高めるために新たに組織を設立していた。
日本国憲法第9条をねじ伏せてまで強引に設立した組織は、突如日本国内にあるすべての自衛隊施設を襲撃する。
緊急呼集をかけられた機甲科隊員である彼は、完全武装し状況に入る。
その際、敵が自分と同じ日本人であり、攻撃してきたのは最近設立されたばかりの日本国防軍だったことを知り、彼は敵に向けていた銃口を乗り合わせていた戦車乗員の車長に向ける。
乗員の小銃弾、車長の拳銃を強奪し味方の戦車を破壊した彼は、自分に銃口が向けられているにも関わらず日本国防軍の指揮官に接触する。
「殺したければ殺せ、今はすぐにでもこの戦闘服を脱ぎたい。」
血まみれになった戦闘服の上を脱ぎ捨て火に投げ込み燃えた。
彼は日本国防軍に捕獲されるが、接触した指揮官により日本国防軍へ階級を飛ばした異例の入隊を果たした。
自衛隊員をためらいもなく小銃で殺した彼は自衛隊を敵に回してまで何を守ろうとしているのか、彼の記録が語られる。
〜登場組織〜
<軍事組織>
・防衛省
・自衛隊(陸・海・空)
・国防省
・国防軍
・民間軍事会社 日本武装傭兵団
<民間組織>
・戦争撲滅の党
・国防の党
・新未来の党
・平和実現会
・自衛隊父兄会
・日本を愛するデモ運動集団
・左翼&右翼
<勢力不明>
・新宿武装集団
ー日本国防軍階級ー
国防大臣
国防長官
国防総将官
国防総補将官
国防1等佐官
国防2等佐官
国防3等佐官
国防1等尉官
国防2等尉官
国防3等尉官
国防准尉官
国防先任曹官
国防1等曹官
国防2等曹官
国防3等曹官
国防先任士官
国防1等士官
国防2等士官
ー陸上自衛隊階級ー
陸将
陸将補
1等陸佐
2等陸佐
3等陸佐
1等陸尉
2等陸尉
3等陸尉
准陸尉
陸曹長
1等陸曹
2等陸曹
3等陸曹
陸士長
1等陸士
2等陸士
自衛官候補生
※空・海自は陸から空・海の文字に入れ替わる。
〜登場人物〜
・結美 玲也 ムスビ レイヤ (19) 国防2等尉官
元自衛官。自衛隊員を殺害し、国防軍に入隊。防衛省では最高レベルの要注意人物であり、自衛隊の特殊作戦群では抹消対象者にされている。中隊長を務めていて、部下や上司からは評価が高い。皆からは親しみを込めて、名前と階級を混ぜ合わせて省略した玲兄さんと呼ばれている。中には兄さんと呼ぶ人も増えているらしい。お互い両想いだと気づき、夕美と交際を始めた。優しいのか甘いのか、敵味方関係なく多くの人が彼のもとに寄って来る・・・との噂もあるらしい。
・相模 勝負 サガミ ショウブ (52) 国防1等佐官
玲也が状況中に接触した指揮官。彼を国防軍に入隊させるために国防省に駆け寄った。玲也からはヤジさんと親しみをこめて呼ばれている。喧嘩っぱやいおっさんで
、今は落ち着いた性格だが昔は戦闘中にとある事案で自衛官と殴り合いになったくらい荒かったらしい。
・貴志川 有 キシガワ ユウ (19) 国防2等士官
入隊したばかりの新兵。入隊早々、射撃が最も優れており、狙撃手に。玲也に誘われ、玲也の部下になる。玲也とは同い年で、兄弟的な存在。よく玲也と夕美の3人で行動している。位置的には玲也と夕美の専属スナイパーとも言える。
・日暮奈 夕美 ヒグナ ユウミ (19) 国防3等尉官
尉官試験を一発で合格した成績優秀者。教育を終えて部隊に配属される。クールな性格上、ストレートに物事を言ってしまうが、実は寂しがり屋。玲也に助けてもらった事が多く、言動や行動でまれに玲也に対する好意がみられるが、お互い両想いだということに気づき、玲也と交際を始めた。
・河瀬 颯太 カワセ ハヤタ (36) 国防2等曹官
第1中隊、通称結美中隊に所属する国防官。物を丁寧に扱うのが特徴で、彼が使用した物は知っている限り壊れたことはない。そこで玲也から車両管理者を任される。車両を常に万全な状態にしてくれている。また、大家族のビッグダディをしている。
・華目 匠 ハナメ タクミ (23) 国防3等曹官
結美中隊に所属している。衛生を担当していることから、曹官または士官の間では先生と呼ばれている。昔病院の医院長をしていたことが理由である。面倒見が良く、常に中隊全員の健康をチェックしてくれている。また、心の病にも対象できる。小さな怪我でも心配してくれるのが特徴。
・慶田 武 ケイダ タケシ(45)国防先任曹官
結美中隊の先任。曹官・士官をまとめる小隊長。玲也と夕美の親父的存在でもあり、何かと2人のことを心配してくれている。貴志川と性格が似ているところもあり、2人がそろうとそこはもう熱血地獄になりかねないほど熱くなる。
・機十 編 キジュウ アミ(20)国防技術技官
国防軍技術研究本部に所属する技官。研究に全てを捧げる。特技は剣道で、六段。常に不機嫌、口調が悪い。幼少期、自衛隊員だった両親に虐待を受けていた。親が居た自衛隊に対し、快く思っていないがために、国防省に入った。
・浜田 意識 ハマダ イシキ(47) 2等陸佐
戦車大隊の大隊長。信頼が高く、大隊での評価は高い。玲也が国防官になった事を知り、部下の状態を把握していなかったことから責任を感じている。部下にはそれを表に出さず、大隊長としての任をまっとうする。
・小森谷 辺句朗 コモリヤ ヘクロウ (39) 准陸尉
戦車大隊の最上級先任曹長。常に考え事をしているのが特長。玲也が国防官になったことを知り、最近はなぜ玲也が国防官になったのかを考え始める。
・風神花月 フウジン カゲツ(23)2等空佐
防衛大学を成績優秀表で卒業し、強い復讐を糧に佐官クラスに登り詰めた。自衛隊に両親を殺された復讐のため自衛隊に入隊するも、国を守るなど考えておらず、常に復讐のことしか頭にない。また、表と裏の差がとても激しく、今の所殆どの隊員で彼女の裏を見たものは今の所ない。
※表・明るく、フレンドリー
裏・腹黒く、人を見下し、自分の奴隷のように扱う
・古城 哉良 コウジョウ ヤヨイ(23)2等空尉
Fー15を操るファイターパイロットでタックネームはルド。一人で一作戦の相手を任せられるほどの脅威な実力を持っている。しかし、至って本人は人命を奪いたくないと思い続けている。航空学校をトップで卒業し、自衛官となる。間違っている自衛隊を、内側から変えていく事を目標に、奮闘している。国防軍からスカウトが来るも、武力で押さえるのは違うと考えて、それを蹴る。国防官に未練はないと言ったら嘘になる。また、女性の様な自身の名前を気にしている。普段は温厚で、誰にでも慕われるが命を軽視する者や奪う者を相手にした時は、怒りをあらわにし相手を震え上がらす。
・三溝 晋三 サミ シンゾウ(40) 1等陸曹
特殊作戦群所属の自衛官。冷静沈着である彼は小隊長を務める。いかなるときも常に任務を優先とする真の自衛官。玲也との面識はないが、遭遇すればそこは今までに見たことのない激戦区となる。
・神野 啓喜 カンノ ケイキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。玲也が国防軍に入隊しても気にせず玲也と関わりを持つ。心配性だが、何よりも敵同士である玲也と戦うことがないか常に心配している。
・波森 悟卓 ナミモリ ゴタク (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。元から仲が悪く、敵対することが多い。玲也が国防軍に入隊したことにより、敵対心が大きくなる。
・吉川 泰毅 ヨシカワ ヤスキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。前から自衛官を退職したいと希望していたが、人手不足から所属している大隊長に継続を命令され、未だ現役自衛官となっている。玲也が国防軍に入隊しても変わらず敵対心等を抱かない。戦場で遭遇すればお互い上司からの命令であり、仕事だから仕方ないと考え、互いに争う関係に。
・原島 羽吹 ハラシマ ハブキ(39)武装傭兵団社長
日本で初の民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るため傭兵派遣サービスを提供し続けている。まれに自分自ら派遣活動に参加することがある。会社を設立する前は日本警察の特殊部隊、SATの隊員として公務をしていた。国内戦争が勃発しそれにおびえた国民を見て考えが変わり、会社を設立した。なぜ考えが変わったのかは不明で、本人もまたそれを明らかにすることはない。
・帚木 冥 ハハサギ メイ(17)武装傭兵団社員
民間軍事会社、武装傭兵団の社員。常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップなどを装備し通常の重量を大幅に超えたSCAR−Hを酷使する。
〜活動記録目次〜
状況1.桜ノ心ナクシ自衛官、国防官ヘ
>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>08 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>27 >>28
状況2.躊躇ウ里帰リ、空ノ刺客アリ
>>31 >>33 >>34 >>37 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>51 >>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59
状況3.属サヌ傭兵、影ト成リ結美中隊
>>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>66 >>67 >>69 >>70 >>71 >>73 >>75 >>77 >>78 >>81
状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和
>>82 >>83 >>84
- 守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.7 )
- 日時: 2015/03/08 17:48
- 名前: 裏の傍観者 (ID: /uGlMfie)
1030時、東京中央国防基地。
「鍛島総将官、つい先程空軍から緊急連絡がありました。」
三日月総補将官が書類と写真を持ってくる。
「空軍?何があった。」
「イーグルアイで監視中、陸上自衛隊が動いているところを発見したとのことです。また、海上自衛隊のヘリ空母からアパッチが全出撃したとの報告もあります。」
いつもは我々国防軍が攻撃を仕掛けてきたが、今度は自衛隊から動いたと言うのか。
「自衛隊の狙いは?」
「恐らく、国防省だと思われます。」
「頭から先に潰す腹か。」
国防省は神奈川県横浜市に存在する。
そこに基地はない。
基地があれば基地内での戦闘が可能だが、無ければ民間人を巻き込むことになる。
民間人を巻き込まないのは自衛隊も同じのはずだ。
だとしたらどうやって攻撃をする気だ。
「なお、アパッチは地上部隊を支援するものと思われます。」
アパッチを撃墜すれば民家に落ち、市内に被害を与えてしまう。
下手に戦闘機や攻撃ヘリは出せない。
「だとすれば敵は普通科連隊か。」
「それなんですが・・・、出現したところが静岡の御殿場市で、駒門との報告です。」
「戦車大隊だと!?自衛隊はいったい何を考えている!民間人を殺すというならば容赦はしない、それ相応の戦力で叩く!」
自衛隊め・・・、戦車を市街に出すということは、どういうことかを知っていてのことか・・・!
「いかがなさいますか?」
どうする、国防軍でいち早く動ける部隊はいるのか・・・?
相手は戦車大隊。
いや待て、戦車大隊?
「三日月総補将官、たしか陸自の戦車大隊出身の国防官がいたな。」
「結美2等尉官ですか?例の元自衛官である・・・。」
「思い出した、結美君だ!彼なら戦車大隊の動きを少しでも知っているはずだ、第零攻撃戦闘大隊に出撃命令を出してくれ。国防省をやらせるわけにはいかん。」
まだなにかあるはずだ、市街地には沢山の国民がいる。
そのまま攻撃するわけではあるまい。
結美君、君ならやってくれるだろうか。
- 守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.8 )
- 日時: 2015/03/08 13:59
- 名前: 裏の傍観者 (ID: 4J23F72m)
1040時、赤羽基地に突然出撃警報がなる。
<報告、報告!レッド発令、レッド発令!各部隊の指揮官は大隊作戦室に集合せよ!繰り返す、各部隊の指揮官は大隊作戦室に集合せよ!>
基地内でサイレンが鳴り響く。
「尉官は直ちに情報収集!曹官及び士官は出撃準備!車両は念のため全て準備させろ!あと日暮奈3尉官を大隊作戦室に呼び出してくれ!」
『了解!!』
部下達は迅速に動き出す。
メモ帳とペンをもって大隊作戦室へと走る。
それにしても珍しい。
この様子だと、自衛隊が先に動いたと見ていいだろう。
「自衛隊自らお出ましとはな、やりがいがある!」
大隊作戦室。
「諸君、つい先程中央国防基地から出撃命令が発令された。状況を説明したのち、直ちに出撃する。では、状況を説明する。」
プロジェクターがスクリーンに地図を映す。
しかも最悪なことにその地図は・・・神奈川を映していた。
「ヤジさん、もしや敵の狙いは国防省ということか。」
俺は大隊長である相模1佐官に聞いた。
神奈川に国防軍の関連施設があるとしたら、横浜市にある国防省だけだ。
「その通りだ、結美の言う通り、敵の狙いは国防省と思われる。」
すると指揮官達が騒ぎ始める。
「あいつら正気か!?」
「国民に被害が出たら、自衛隊だけじゃなく国防軍の存在すら問われるぞ!」
「これじゃ出撃すらできないじゃねぇか!」
色々な考えが飛び交う。
確かに、国民に被害がでれば、自衛隊だけじゃなく国防軍までもが責任を問われる。
元は自衛隊や国防軍も日本の領土と国民を守るために存在している。
その守り手が、国民を攻撃してしまえば、存在の意味がなくなる。
「静かに!」
相模1佐官が皆を黙らせる。
「敵の勢力なんだが、イーグルアイで記録された写真を分析した結果、敵戦力は戦車大隊と自衛隊で数少ないアパッチを全て投入したらしい。」
攻撃ヘリか。
対地戦闘能力だけでなく、対空戦闘能力をも兼ね備えたヘリコプター。
そいつが搭載しているミサイルは、戦闘機をも落とすことができるAIMー9とAIMー92がある。
その他にも、AGMー114ヘルファイヤやM230 30mmチェーンガンなどを装備している。
敵に回したくはない攻撃ヘリだ。
それが市街地に来るとなると、もっと最悪だ。
「市街地にあんなデカ物を投入するなんて、どうかしてるわ。」
「いや、可能だ。」
『??』
全員が俺に注目する。
市街地に適した戦車ならあいつがいる。
「陸自の誇る新型戦車、10式戦車だ。あれは元々市街地での戦闘を想定して作られたやつだ。小さく、そして恐ろしく速い。市街地での機動性は、おそらく10式戦車が圧倒的に有利だ。」
だが戦車が横浜市内に前進するには無理が多すぎる。
すでに戦闘態勢なら、トレーラーは使うはずがない。
かといって、そのまま自力で走ってくれば、燃料もそこを尽きるはずだ。
「結美、今回の作戦はお前さんに一任すると、鍛島総将官から伝えられている。」
「鍛島総将官が?」
「お前さんは元自衛官で、機甲科にいたんだ。何か知っていると言っていた。大隊の指揮官は結美2尉官に一任するが、反対の者はいるか?」
『なし!!』
即決された。
「では結美、頼む。」
「分かりました。」
相模1佐官に席を譲り、俺は前にでる。
パソコンを夕美から受け取り、彼女を補佐役に任命する。
この状況、どう解決するか。
考えはすぐにまとまった。
自衛隊がその気なら、俺が叩きのめす。
時間がないが、まずは情報収集だ。
戦車が直接来るには無理がある。
だとすればやつらがどう来るかだ。
10分おきに更新される衛星写真を見返す。
その写真は、起動したプロジェクターがスクリーンに映している。
「結美、この写真は?」
相模1佐が説明を求める。
「10分おきに撮影された衛星写真です。リアルタイムでとれているので、戦車がどれくらい出撃しているかを見ています。」
「なるほど、お前さんならではのやり方だな。」
自衛官だった頃、俺はその戦車大隊にいた。
駐屯地のパークと呼ばれる所に戦車は止めてある。
その数を今でも覚えている。
元自衛官で、その戦車大隊にいた奴でなければできないことだ。
調べている途中、ふと気づいた。
戦車が未だに止まっている。
それも全部だ。
距離もあるし、すぐにたどり着く訳でもない。
「ねぇ玲也。」
夕美が俺を呼ぶと、画面に指を指す。
「ここ・・・、隙間があるにしても広すぎない?」
「なんだと?」
夕美が示した場所を拡大する。
確かに隙間があるにしても広すぎる。
いや待て、確かここに置いてあったのは・・・。
「3トン半とWAPCか!!」
自衛隊の大型トラック、3トン半。
人員や、機材などを運ぶために使われている。
そのトラックとWAPCがないということは・・・。
「戦車は来ない。」
「なんですって?」
なるほど、やつらは装甲車を基準とした戦闘をお望みか。
なら話は早い。
俺はすぐに作戦を皆に伝えた。
戦車が来ないと言ったときは皆驚いていたが、反対の声はなかった。
作戦は簡単だ。
今まで行ってきた攻撃戦闘から、防御戦闘に変えればいい。
ヘリで人員と車両を国防省に輸送し、自衛隊が到着するまでの間にできるだけ多くの防御陣地を構築させる。
国防省の建物の中に侵入されても押さえられるよう、中にも防御陣地を構築させる。
屋上など、狙撃できるポイントには狙撃手を配置させ、敵を足止めする。
これが今回の作戦だ。
今回は本格的な防御戦闘になる。
皆士気を高めて、すぐに出撃の準備を終えた。
状況開始だ。
- Re: 守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.9 )
- 日時: 2015/03/08 13:31
- 名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wJ5a6rJS)
初めまして。
…………………凄すぎです.
なんで、こんなに詳しいんですか?
自衛隊について………
では、さようなら。
良かったら、私の小説も見に来てくださいね。
- 守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.10 )
- 日時: 2015/03/09 04:36
- 名前: 裏の傍観者 (ID: cYeSCNTQ)
1200時、神奈川県 横浜市 国防省。
作戦通り、数十機の輸送ヘリ、チヌークをフル稼働させ人員と車両を輸送する。
作戦会議中に、部下達には使えるWAPC全てを先に国防省に向かわせ、準備させておいた。
大隊のWAPCを全て戦闘に回したことは、今までなかったので今回が初めてになる。
予想では、またいくつか壊しそうだ。
・・・整備大隊には申し訳ない。
<零ー1、こちらブルー8。目標地点に到着、人員をどこに降下させればよいか送れ。>
「ブルー8、こちら零ー1。国防省第3駐車場へ降下させよ、送れ。」
<ブルー8了解。>
上空で待機していたチヌークは第3駐車場へと向かった。
「WAPCの配置、終わりました。正面ゲートに6両です。」
河瀬2曹官はメモをとりながら報告をしてきた。
いつもWAPCの管理は河瀬2曹官が担当している。
「他は?」
「作戦通り、草木を被せて小さな山に。配置は正面ゲートのある南口にゲートにある奴を含めて12両。北口の裏門には8両、東と西に4両ずつ隠して配置してます。」
「国防省の回りはなんで小さな森林で囲まれてるかね。」
国防省は小さな森林で囲まれていて、自衛隊が隠れ放題となっている。
「見た目ってやつじゃないですか?さすがに植物が何一つないと、目に悪いですから。」
「そうなんだけどな。河瀬2曹官、火焔放射機で焦がしてくれないか?」
「それやるくらいなら、自衛隊ごと丸焦げにしたいですな。」
俺はつい笑ってしまう。
それもいいかもしれない。
ただ焼けるだけだし、血を見なくてすむからな。
<トランシーバーから貴方達の嫌な笑いが聞こえてくるわよ、結美2尉官。>
無線から夕美の声が聞こえてきた。
しまった、トランシーバーのPTTスイッチを押しっぱなしにしていた。
さっきの会話も駄々漏れだった。
「貴志川2士官をつかって覗きか?」
<んな訳ないでしょ!?報告よ、狙撃班の配置が完了したわ。>
国防省の屋上を見上げる。
かなり小さいが、屋上に夕美と貴志川がいるのを確認した。
「おう、作戦まで休んでてくれ。狙撃班の指揮は頼むぞ。」
<分かったわ。あ、こっちまで飲み物持ってきてくれないかしら?>
「分かった。」
トランシーバーをポーチに入れた。
こちらの戦力は、第零攻撃戦闘大隊の全中隊のみ。
だが、切り札がある。
いざアパッチを落とさなければいけなくなったとき、ジャべリン対ヘリ迎撃部隊を臨時編成した。
ジャべリンATGMを積載したWAPCや、第5中隊の人員にジャべリンを2人1組に分けて1つずつ持たせて潜伏させている。
これが放たれたとき、アパッチはミサイル祭りできれいに踊ったあと地面に激突することになる。
第1から第4中隊は土嚢を積み重ねて防御陣地を構築させ、そこで敵を足止めする。
第2中隊は北を担当。
俺の中隊は南の正面ゲート、第3中隊は東、第4中隊は西と、4方向に守りを固めた。
第5中隊はジャべリンをもって潜伏中だ。
また、車両が容易く侵入しないよう、WAPCの前方70メートル先には、スクラップにされる予定だったトラックを解体業者から借りてバリケードにしている。
勿論、チヌークで吊り下げて14台持ち出してきた。
解体業者の社長が優しい人でよかった。
あのときの会話をまだ覚えている。
「(いやぁ、これだけあっても解体しきれないんで、正直助かります。)」
「(これを解体するのが、貴殿方の仕事ではないんですか?)」
「(そうなんですけどね。実はこの車両、震災でつぶれてるんですよ。売れるパーツもなくて、正直どうしようかって考えててね。)」
商品にならないから持ってってもいいといってくれた社長さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
後でお礼にでもいかないとな。
「兄さん、救急搬送用のヘリを、第4駐車場に配置しました。もう1機は屋上に。」
華目3曹官はそういって屋上に指を指す。
ここからだとチヌークのローターしか見えない。
「了解、これで俺の中隊は準備完了だな。」
あとは他の中隊が完了するのは待つだけだ。
- 守るべきもの〜自衛隊を敵に回した元自衛官〜 ( No.11 )
- 日時: 2015/03/08 15:28
- 名前: 裏の傍観者 (ID: /uGlMfie)
1215時、東名高速道路 海老名サービスエリア。
完全フル装備で出撃を命じられた戦車大隊は、作戦変更により海老名サービスエリアで一時待機となった。
戦車を使わず、WAPCを基準とした戦闘は、戦車大隊では異例のことらしい。
結美が国防軍に入隊してから、この大隊の今いる中隊の空気は悪くなった。
もとから結美に敵対していた波森も、あいつへの敵対心を大きく膨らましていた。
実弾が込められた89式小銃が、いつもより2倍重い。
人の命を絶つ重さなんだろうか。
「神野。」
ふと呼ばれて横を向く。
波森だった。
「何さ?」
「結美をみたら俺に言ってくれ。代わりに俺が殺してやるよ。」
そういって、波森は89式小銃をちらつかせる。
あいつに対する殺意が大きくなっている。
「よせ波森、俺達は殺しにいくんじゃない。国防軍を止めるためにいくんだ。・・・殺せと言われたら、仕方がないけどさ。」
吉川はそういって携帯を操作する。
「どうしてこんなことになったんだかな。」
結美、会えたら教えてほしい。
どうして味方を殺してまで、国防軍に入隊したのかを。
自衛隊のやり方が間違えているのか?
かといって、国防軍は正解なのか?
どっちも俺には分からなかった。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20