ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜
日時: 2016/01/06 23:15
名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)

はじめまして、裏の傍観者です。
シリアス・ダークで小説明を書かせてもらってます。
戦争系のお話しということで、今回は国内での戦争を描いた「守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜」を書いてみました。
自衛隊と国防軍の戦闘が繰り広げられた日本が舞台となります。
恋愛も入れてますが、他の作者より下手です。(自覚してますm(。_。)m)
初心者ですが、よかったら読んでみてください。
オリキャラ・コメント歓迎します!
では、本編をお楽しみください!!



〜本編紹介〜

日本が大きく変わった平成32年。
高3の時から自衛隊にあこがれていた少年は、やがて自衛隊に入隊。
長いようで短いような教育期間を終えた彼は、やがて部隊に。
そこに待ち受けていたのは、自衛隊の裏の世界。
いくつも重なり山となる理不尽とストレス。
彼はこんな自衛隊が日本を守るなんて冗談じゃないと考え始める。
その頃日本政府では日本の国防力を高めるために新たに組織を設立していた。
日本国憲法第9条をねじ伏せてまで強引に設立した組織は、突如日本国内にあるすべての自衛隊施設を襲撃する。
緊急呼集をかけられた機甲科隊員である彼は、完全武装し状況に入る。
その際、敵が自分と同じ日本人であり、攻撃してきたのは最近設立されたばかりの日本国防軍だったことを知り、彼は敵に向けていた銃口を乗り合わせていた戦車乗員の車長に向ける。
乗員の小銃弾、車長の拳銃を強奪し味方の戦車を破壊した彼は、自分に銃口が向けられているにも関わらず日本国防軍の指揮官に接触する。
「殺したければ殺せ、今はすぐにでもこの戦闘服を脱ぎたい。」
血まみれになった戦闘服の上を脱ぎ捨て火に投げ込み燃えた。
彼は日本国防軍に捕獲されるが、接触した指揮官により日本国防軍へ階級を飛ばした異例の入隊を果たした。
自衛隊員をためらいもなく小銃で殺した彼は自衛隊を敵に回してまで何を守ろうとしているのか、彼の記録が語られる。

〜登場組織〜

<軍事組織>

・防衛省

・自衛隊(陸・海・空)

・国防省

・国防軍

・民間軍事会社 日本武装傭兵団

<民間組織>

・戦争撲滅の党

・国防の党

・新未来の党

・平和実現会

・自衛隊父兄会

・日本を愛するデモ運動集団

・左翼&右翼

<勢力不明>

・新宿武装集団

ー日本国防軍階級ー

国防大臣
国防長官
国防総将官
国防総補将官
国防1等佐官
国防2等佐官
国防3等佐官
国防1等尉官
国防2等尉官
国防3等尉官
国防准尉官
国防先任曹官
国防1等曹官
国防2等曹官
国防3等曹官
国防先任士官
国防1等士官
国防2等士官

ー陸上自衛隊階級ー

陸将
陸将補
1等陸佐
2等陸佐
3等陸佐
1等陸尉
2等陸尉
3等陸尉
准陸尉
陸曹長
1等陸曹
2等陸曹
3等陸曹
陸士長
1等陸士
2等陸士
自衛官候補生

※空・海自は陸から空・海の文字に入れ替わる。

〜登場人物〜

・結美 玲也 ムスビ レイヤ (19) 国防2等尉官
 元自衛官。自衛隊員を殺害し、国防軍に入隊。防衛省では最高レベルの要注意人物であり、自衛隊の特殊作戦群では抹消対象者にされている。中隊長を務めていて、部下や上司からは評価が高い。皆からは親しみを込めて、名前と階級を混ぜ合わせて省略した玲兄さんと呼ばれている。中には兄さんと呼ぶ人も増えているらしい。お互い両想いだと気づき、夕美と交際を始めた。優しいのか甘いのか、敵味方関係なく多くの人が彼のもとに寄って来る・・・との噂もあるらしい。

・相模 勝負 サガミ ショウブ (52) 国防1等佐官
 玲也が状況中に接触した指揮官。彼を国防軍に入隊させるために国防省に駆け寄った。玲也からはヤジさんと親しみをこめて呼ばれている。喧嘩っぱやいおっさんで
、今は落ち着いた性格だが昔は戦闘中にとある事案で自衛官と殴り合いになったくらい荒かったらしい。

・貴志川 有 キシガワ ユウ (19) 国防2等士官
 入隊したばかりの新兵。入隊早々、射撃が最も優れており、狙撃手に。玲也に誘われ、玲也の部下になる。玲也とは同い年で、兄弟的な存在。よく玲也と夕美の3人で行動している。位置的には玲也と夕美の専属スナイパーとも言える。

・日暮奈 夕美 ヒグナ ユウミ (19) 国防3等尉官
尉官試験を一発で合格した成績優秀者。教育を終えて部隊に配属される。クールな性格上、ストレートに物事を言ってしまうが、実は寂しがり屋。玲也に助けてもらった事が多く、言動や行動でまれに玲也に対する好意がみられるが、お互い両想いだということに気づき、玲也と交際を始めた。

・河瀬 颯太 カワセ ハヤタ (36) 国防2等曹官
第1中隊、通称結美中隊に所属する国防官。物を丁寧に扱うのが特徴で、彼が使用した物は知っている限り壊れたことはない。そこで玲也から車両管理者を任される。車両を常に万全な状態にしてくれている。また、大家族のビッグダディをしている。

・華目 匠 ハナメ タクミ (23) 国防3等曹官
結美中隊に所属している。衛生を担当していることから、曹官または士官の間では先生と呼ばれている。昔病院の医院長をしていたことが理由である。面倒見が良く、常に中隊全員の健康をチェックしてくれている。また、心の病にも対象できる。小さな怪我でも心配してくれるのが特徴。

・慶田 武 ケイダ タケシ(45)国防先任曹官
結美中隊の先任。曹官・士官をまとめる小隊長。玲也と夕美の親父的存在でもあり、何かと2人のことを心配してくれている。貴志川と性格が似ているところもあり、2人がそろうとそこはもう熱血地獄になりかねないほど熱くなる。

・機十 編 キジュウ アミ(20)国防技術技官
国防軍技術研究本部に所属する技官。研究に全てを捧げる。特技は剣道で、六段。常に不機嫌、口調が悪い。幼少期、自衛隊員だった両親に虐待を受けていた。親が居た自衛隊に対し、快く思っていないがために、国防省に入った。

・浜田 意識 ハマダ イシキ(47) 2等陸佐
戦車大隊の大隊長。信頼が高く、大隊での評価は高い。玲也が国防官になった事を知り、部下の状態を把握していなかったことから責任を感じている。部下にはそれを表に出さず、大隊長としての任をまっとうする。

・小森谷 辺句朗 コモリヤ ヘクロウ (39) 准陸尉
戦車大隊の最上級先任曹長。常に考え事をしているのが特長。玲也が国防官になったことを知り、最近はなぜ玲也が国防官になったのかを考え始める。

・風神花月 フウジン カゲツ(23)2等空佐
防衛大学を成績優秀表で卒業し、強い復讐を糧に佐官クラスに登り詰めた。自衛隊に両親を殺された復讐のため自衛隊に入隊するも、国を守るなど考えておらず、常に復讐のことしか頭にない。また、表と裏の差がとても激しく、今の所殆どの隊員で彼女の裏を見たものは今の所ない。
※表・明るく、フレンドリー
 裏・腹黒く、人を見下し、自分の奴隷のように扱う

・古城 哉良 コウジョウ ヤヨイ(23)2等空尉
Fー15を操るファイターパイロットでタックネームはルド。一人で一作戦の相手を任せられるほどの脅威な実力を持っている。しかし、至って本人は人命を奪いたくないと思い続けている。航空学校をトップで卒業し、自衛官となる。間違っている自衛隊を、内側から変えていく事を目標に、奮闘している。国防軍からスカウトが来るも、武力で押さえるのは違うと考えて、それを蹴る。国防官に未練はないと言ったら嘘になる。また、女性の様な自身の名前を気にしている。普段は温厚で、誰にでも慕われるが命を軽視する者や奪う者を相手にした時は、怒りをあらわにし相手を震え上がらす。

・三溝 晋三 サミ シンゾウ(40) 1等陸曹
特殊作戦群所属の自衛官。冷静沈着である彼は小隊長を務める。いかなるときも常に任務を優先とする真の自衛官。玲也との面識はないが、遭遇すればそこは今までに見たことのない激戦区となる。

・神野 啓喜 カンノ ケイキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。玲也が国防軍に入隊しても気にせず玲也と関わりを持つ。心配性だが、何よりも敵同士である玲也と戦うことがないか常に心配している。

・波森 悟卓 ナミモリ ゴタク (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。元から仲が悪く、敵対することが多い。玲也が国防軍に入隊したことにより、敵対心が大きくなる。

・吉川 泰毅 ヨシカワ ヤスキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。前から自衛官を退職したいと希望していたが、人手不足から所属している大隊長に継続を命令され、未だ現役自衛官となっている。玲也が国防軍に入隊しても変わらず敵対心等を抱かない。戦場で遭遇すればお互い上司からの命令であり、仕事だから仕方ないと考え、互いに争う関係に。

・原島 羽吹 ハラシマ ハブキ(39)武装傭兵団社長
日本で初の民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るため傭兵派遣サービスを提供し続けている。まれに自分自ら派遣活動に参加することがある。会社を設立する前は日本警察の特殊部隊、SATの隊員として公務をしていた。国内戦争が勃発しそれにおびえた国民を見て考えが変わり、会社を設立した。なぜ考えが変わったのかは不明で、本人もまたそれを明らかにすることはない。


・帚木 冥 ハハサギ メイ(17)武装傭兵団社員
民間軍事会社、武装傭兵団の社員。常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップなどを装備し通常の重量を大幅に超えたSCAR−Hを酷使する。


〜活動記録目次〜


状況1.桜ノ心ナクシ自衛官、国防官ヘ

>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>08 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>27 >>28

状況2.躊躇ウ里帰リ、空ノ刺客アリ

>>31 >>33 >>34 >>37 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>51 >>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59

状況3.属サヌ傭兵、影ト成リ結美中隊

>>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>66 >>67 >>69 >>70 >>71 >>73 >>75 >>77 >>78 >>81

状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和

>>82 >>83 >>84

Re: 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.52 )
日時: 2015/05/08 23:21
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: FSosQk4t)

裏の傍観者様、
最近は更新がストップしてしまっていますね・・・・・
お忙しいのでしょうか?
また戻って来てください
まさか、完結してしまったのでしょうか?

待っています。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.53 )
日時: 2015/05/09 15:17
名前: 裏の傍観者 (ID: mNUslh/H)

翌日、相馬原駐屯地。
隊長室。
「・・・君が結美2等尉官か。」
陸将である世名津 雅光。
俺が元いた戦車大隊は、この男が率いる第1師団の師団長だ。
この男の率いる師団の部隊にいたのだから、俺のことは知っているはずだ。
「貴方とはこうして直接お話したことはございませんが、陸自にいたときは嫌でも広報誌で見たり、去年の師団祭で巡閲の際に貴方には敬礼をした。」
なんといっても、陸士が直接師団長と話すことは絶対にない。
「おい結美・・・。」
相模1左官は俺が喧嘩口調でいることから困った顔をした。
「そうか。巡閲で私に敬礼をした者が敵になる・・・か。世の中わからないものだ。」
「貴方こそ、あんな古びた74式戦車をまだ部隊においていらっしゃる。いい加減、平和ボケで腐った戦車部隊をもっと実戦的にしてほしいものです。」
「ちょっと、結美2尉官・・・。」
さすがに言葉がすぎたのか、夕美に抑えられる。
「確かに、結美2尉官の言うとおりだ。我々自衛隊は戦争をはじめから体験していたわけではない。諸君ら国防軍が存在するまでは、平和に漬かりすぎていて、精強のはずがこの有様だ。意見を感謝する、結美2尉官。」
俺はそれ以上何も答えないことにした。
そろそろ本題に入らなくてはならない。
「・・・では、世名津陸将。国防長官からお預かりした書類をお読みになられたと思います。」
相模1左官はそういって机に書類を陸将に向けて置く。
「陸自が国防省に攻撃を実行する直前に国防軍が先制攻撃を行ったように見せかけ、住民をやっとのことで避難させた。」
そのときの住民たちを覚えている。
ひどくおびえていて、逃げるのに必死だった。
「避難が完了し戦闘ヘリが攻撃。これは、我々国防軍にとって致命的な打撃を受けた瞬間だった。だが、当時撤退が遅れた神奈川県警の機動隊が撤退中に市民体育館でいまだ多くの住民が残っていたのを目撃し、機動隊は撤退を中止し、その場を死守した。優秀な警察官もいたものですな。自衛隊と違い、命を懸けないはずの彼らが、戦闘中に命を投げ捨て住民を守った。」
周りにいた自衛隊のお偉いさん達が騒ぎ出した。
その様子だと、初耳のようだ。
「つまり、貴方に渡された国防長官からの書類は、住民が避難を完了していない状態にもかかわらず、戦闘を行った陸将に対する責任であります。ご理解いただけましたかな。」
なるほど、そういうことだったのか。
俺も住民が避難を完了していなかった事は初耳だ。
神奈川県警の機動隊も、たいしたものだ。
「理解した。確かに国防省への攻撃を命令したのは私だ。」
世名津陸将はそういってお茶をすする。
これは確かに重い責任だ。
国民を守るはずの組織が、国民を危険にさらした。
本来あってはならない事だ。
「責任を受けるのは、おそらく師団長である貴方だけでしょう。防衛省や陸幕は国会から独立している、国会が防衛省や陸幕に責任を負わせようとしても、届くはずもない。」
「我々自衛官は、戦争を望まないはずだった。いつ崩れるかも知れない平和を守り続けているはずが、石頭の堅物共の命令により多くの自衛官をなくしている。その中に、結美2尉官が殺めた者も含まれている。」
車長、砲手、操縦手。
俺が戦闘で初めて人を殺したのはこの3人だ。
あの時は、躊躇いもなかった。
「我々自衛隊は、時代にただ流されていただけに過ぎないことが証明されている。・・・定年退官したら、静かに暮らしたいものだ。」
世名津陸将は席を立つと、日差しが強い窓の外を眺める。
飛び立っていくCH−47、チヌーク。
地上では隊員が汗水垂らして持続走をしている。
さわやかで充実していると感じ取った俺は無意識で笑ってしまう。
「何かおかしいかな、結美2尉官。」
陸将が俺が笑っていることに気づいたようだ。
「俺も昔はああして自衛隊生活を送っていたのを思い出した。戦車大隊に配属される前の話ですがね。」
俺はそのまま隊長室を後にした。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.54 )
日時: 2015/05/09 15:39
名前: 裏の傍観者 (ID: mNUslh/H)

玲也が無言で隊長室を退室した私は貴志川に後を任せて玲也を追った。
「もう、心臓に悪い事ばかり口にして・・・。どこにいったのよ。」
「彼を探しているんですか?」
急に離しかけられて足を止める。
相手は陸自ではなく空自の隊員だった。
胸についているウイングマークを見て、彼はパイロットであることがわかった。
「貴方は?」
「航空自衛隊、2等空尉の古城 哉良です。」
そういえば昨日一度顔を合わせているのを思い出した。
確か、アパッチの搬送を護衛していた部隊の一人だ。
玲也を見て驚いていたのが彼だった。
「日暮奈 夕美、国防3等尉官よ。・・・なんだったかしら。」
「彼を探してらっしゃるんですか?」
「えぇ。陸将と喧嘩口調で話をした後、無言で隊長室を去ったわ。貴方も玲也を探しているの?」
昨日は玲也に何かを話したがっていたようだった。
「風神2左が結美2尉官とお話をしたいとのことで、今お探ししています。」
「俺を探しているそうだな。」
「玲也!どこに行ってたのよ。」
トイレから出てきた事から、トイレに行っていたのだろう。
「結美2尉官。」
「古城2尉、案内してくれ。」
2人はそういって歩き始める。
「夕美も来いよ。あの風神2佐から面白い話が聞けるぞ。」
「・・・わかったわ。」
仕方なく付いて行くことにした。

Re: 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.55 )
日時: 2015/05/09 16:52
名前: 黒い月 (ID: T2uN9H3j)

はじめまして。
コメディ・ライトで小説を連載させていただいている、黒い月と申します。
すごく作り込まれた話だなと思いました。どうしたらここまでうまく書けるのか不思議で仕方ない……それでですね。オリキャラをひとつ置いていこうかと。

【名前/フリガナ】帚木 冥/ははきぎ めい
【年齢】17
【性別】女
【所属組織】民間軍事会社
【人物紹介】常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。
ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップを装備したSCAR−Hを使う。

直した方がいいところがあったら言ってください。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜オリキャラ募集中!! ( No.56 )
日時: 2015/05/12 22:13
名前: 裏の傍観者 (ID: KBFVK1Mo)

隊長室。
「・・・ところで相模1佐官。」
「なんでしょう?」
世名津陸将はソファーに座り、俺と向き合う。
何やら寂しそうな顔をしていた。
「結美2尉官に付き添っていた彼女だが・・・。」
「日暮奈3尉官が何か?」
「・・・彼女はそっちでも元気かね。」
いきなりの事で理解できなかった。
なぜそんな事を聞くのだろうか。
「いきなりですな。日暮奈3尉官は幼い時に両親を失い1人だったと聞いてますが。」
たしかそのはず。
面接でも本人から直接耳にしているし、身元調査でもはっきりとその記録が残っている。
「確かに彼女は両親をなくしている。・・・私は日暮奈3尉官の父の同期なのだ。」
「なんだと!?自衛官の娘だというんですか?」
あり得ない、父が自衛官だった記録はないはずだ。
「自衛官じゃない、元警察官だった、それも特殊部隊の方だ。」
「SAT・・・。」
「記録にないのは確かだ。だが元々記録にはあった、彼女が何らかの方法で消すまでは。」
「消した?それはいつの話です?」
「高校3年の時だろうか。丁度国防官の正式募集が始まった頃だ。」
なるほど、その歳になれば記録を抹消させる行動に出れる。
高校3年までは、世名津陸将と同じ地元で過ごしていた事になる。
「それと今にどんな関係が?」
「記録が抹消されてから、彼女は姿を消した。話によれば群馬に移住し、1人暮らしでありながらも健やかに育っていったと聞いた。・・・だが4か月前、彼女が国防軍に入隊したのを初めて知った私は、日暮奈の墓に行きづらくなった。」
4か月前、練馬前線のことだ。
「それじゃ日暮奈3尉官は貴方の事を?」
「いや、知らないはずだ。日暮奈が殉職した当時、娘は4歳だった。それから私は一度も日暮奈家に出向いていない。」
「・・・そうですか。」
まさか、こんなところに日暮奈3尉官の身内に出会うとは。
それも敵である陸自の陸将だ。
彼女にはどう話せばいいのか。
だが、記録を消したというのなら、彼女は知らないはずはないだろう。
だが何のために?
「敵である私が言うのもおかしな話だが、結美2尉官にこう伝えてくれ。・・・夕美を頼む、2人に平和が来ることを願っていると。」
なるほど、世名津陸将もあの2人の関係を知っていたか。
「とんでもない裏話を聞かされたもんだ。・・・了解しました、今回の件は、私の心にとどめておきます。結美にはそのまま伝えます。」
「頼む。・・・今日までは駐屯地内を自由に回ってくれて構わない。監視を2人つけさせることになるが、構わないだろう。」
「ここは我々にとって敵地です。それぐらいは当然でしょう、自由に回っていい件については感謝いたします。・・・では。」
書類を鞄の中にしまい、隊長室を退室する。
廊下で貴志川と合流し、駐屯地の厚生センターにある売店、「PX」に向かった。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。