ダーク・ファンタジー小説

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守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜
日時: 2016/01/06 23:15
名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)

はじめまして、裏の傍観者です。
シリアス・ダークで小説明を書かせてもらってます。
戦争系のお話しということで、今回は国内での戦争を描いた「守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜」を書いてみました。
自衛隊と国防軍の戦闘が繰り広げられた日本が舞台となります。
恋愛も入れてますが、他の作者より下手です。(自覚してますm(。_。)m)
初心者ですが、よかったら読んでみてください。
オリキャラ・コメント歓迎します!
では、本編をお楽しみください!!



〜本編紹介〜

日本が大きく変わった平成32年。
高3の時から自衛隊にあこがれていた少年は、やがて自衛隊に入隊。
長いようで短いような教育期間を終えた彼は、やがて部隊に。
そこに待ち受けていたのは、自衛隊の裏の世界。
いくつも重なり山となる理不尽とストレス。
彼はこんな自衛隊が日本を守るなんて冗談じゃないと考え始める。
その頃日本政府では日本の国防力を高めるために新たに組織を設立していた。
日本国憲法第9条をねじ伏せてまで強引に設立した組織は、突如日本国内にあるすべての自衛隊施設を襲撃する。
緊急呼集をかけられた機甲科隊員である彼は、完全武装し状況に入る。
その際、敵が自分と同じ日本人であり、攻撃してきたのは最近設立されたばかりの日本国防軍だったことを知り、彼は敵に向けていた銃口を乗り合わせていた戦車乗員の車長に向ける。
乗員の小銃弾、車長の拳銃を強奪し味方の戦車を破壊した彼は、自分に銃口が向けられているにも関わらず日本国防軍の指揮官に接触する。
「殺したければ殺せ、今はすぐにでもこの戦闘服を脱ぎたい。」
血まみれになった戦闘服の上を脱ぎ捨て火に投げ込み燃えた。
彼は日本国防軍に捕獲されるが、接触した指揮官により日本国防軍へ階級を飛ばした異例の入隊を果たした。
自衛隊員をためらいもなく小銃で殺した彼は自衛隊を敵に回してまで何を守ろうとしているのか、彼の記録が語られる。

〜登場組織〜

<軍事組織>

・防衛省

・自衛隊(陸・海・空)

・国防省

・国防軍

・民間軍事会社 日本武装傭兵団

<民間組織>

・戦争撲滅の党

・国防の党

・新未来の党

・平和実現会

・自衛隊父兄会

・日本を愛するデモ運動集団

・左翼&右翼

<勢力不明>

・新宿武装集団

ー日本国防軍階級ー

国防大臣
国防長官
国防総将官
国防総補将官
国防1等佐官
国防2等佐官
国防3等佐官
国防1等尉官
国防2等尉官
国防3等尉官
国防准尉官
国防先任曹官
国防1等曹官
国防2等曹官
国防3等曹官
国防先任士官
国防1等士官
国防2等士官

ー陸上自衛隊階級ー

陸将
陸将補
1等陸佐
2等陸佐
3等陸佐
1等陸尉
2等陸尉
3等陸尉
准陸尉
陸曹長
1等陸曹
2等陸曹
3等陸曹
陸士長
1等陸士
2等陸士
自衛官候補生

※空・海自は陸から空・海の文字に入れ替わる。

〜登場人物〜

・結美 玲也 ムスビ レイヤ (19) 国防2等尉官
 元自衛官。自衛隊員を殺害し、国防軍に入隊。防衛省では最高レベルの要注意人物であり、自衛隊の特殊作戦群では抹消対象者にされている。中隊長を務めていて、部下や上司からは評価が高い。皆からは親しみを込めて、名前と階級を混ぜ合わせて省略した玲兄さんと呼ばれている。中には兄さんと呼ぶ人も増えているらしい。お互い両想いだと気づき、夕美と交際を始めた。優しいのか甘いのか、敵味方関係なく多くの人が彼のもとに寄って来る・・・との噂もあるらしい。

・相模 勝負 サガミ ショウブ (52) 国防1等佐官
 玲也が状況中に接触した指揮官。彼を国防軍に入隊させるために国防省に駆け寄った。玲也からはヤジさんと親しみをこめて呼ばれている。喧嘩っぱやいおっさんで
、今は落ち着いた性格だが昔は戦闘中にとある事案で自衛官と殴り合いになったくらい荒かったらしい。

・貴志川 有 キシガワ ユウ (19) 国防2等士官
 入隊したばかりの新兵。入隊早々、射撃が最も優れており、狙撃手に。玲也に誘われ、玲也の部下になる。玲也とは同い年で、兄弟的な存在。よく玲也と夕美の3人で行動している。位置的には玲也と夕美の専属スナイパーとも言える。

・日暮奈 夕美 ヒグナ ユウミ (19) 国防3等尉官
尉官試験を一発で合格した成績優秀者。教育を終えて部隊に配属される。クールな性格上、ストレートに物事を言ってしまうが、実は寂しがり屋。玲也に助けてもらった事が多く、言動や行動でまれに玲也に対する好意がみられるが、お互い両想いだということに気づき、玲也と交際を始めた。

・河瀬 颯太 カワセ ハヤタ (36) 国防2等曹官
第1中隊、通称結美中隊に所属する国防官。物を丁寧に扱うのが特徴で、彼が使用した物は知っている限り壊れたことはない。そこで玲也から車両管理者を任される。車両を常に万全な状態にしてくれている。また、大家族のビッグダディをしている。

・華目 匠 ハナメ タクミ (23) 国防3等曹官
結美中隊に所属している。衛生を担当していることから、曹官または士官の間では先生と呼ばれている。昔病院の医院長をしていたことが理由である。面倒見が良く、常に中隊全員の健康をチェックしてくれている。また、心の病にも対象できる。小さな怪我でも心配してくれるのが特徴。

・慶田 武 ケイダ タケシ(45)国防先任曹官
結美中隊の先任。曹官・士官をまとめる小隊長。玲也と夕美の親父的存在でもあり、何かと2人のことを心配してくれている。貴志川と性格が似ているところもあり、2人がそろうとそこはもう熱血地獄になりかねないほど熱くなる。

・機十 編 キジュウ アミ(20)国防技術技官
国防軍技術研究本部に所属する技官。研究に全てを捧げる。特技は剣道で、六段。常に不機嫌、口調が悪い。幼少期、自衛隊員だった両親に虐待を受けていた。親が居た自衛隊に対し、快く思っていないがために、国防省に入った。

・浜田 意識 ハマダ イシキ(47) 2等陸佐
戦車大隊の大隊長。信頼が高く、大隊での評価は高い。玲也が国防官になった事を知り、部下の状態を把握していなかったことから責任を感じている。部下にはそれを表に出さず、大隊長としての任をまっとうする。

・小森谷 辺句朗 コモリヤ ヘクロウ (39) 准陸尉
戦車大隊の最上級先任曹長。常に考え事をしているのが特長。玲也が国防官になったことを知り、最近はなぜ玲也が国防官になったのかを考え始める。

・風神花月 フウジン カゲツ(23)2等空佐
防衛大学を成績優秀表で卒業し、強い復讐を糧に佐官クラスに登り詰めた。自衛隊に両親を殺された復讐のため自衛隊に入隊するも、国を守るなど考えておらず、常に復讐のことしか頭にない。また、表と裏の差がとても激しく、今の所殆どの隊員で彼女の裏を見たものは今の所ない。
※表・明るく、フレンドリー
 裏・腹黒く、人を見下し、自分の奴隷のように扱う

・古城 哉良 コウジョウ ヤヨイ(23)2等空尉
Fー15を操るファイターパイロットでタックネームはルド。一人で一作戦の相手を任せられるほどの脅威な実力を持っている。しかし、至って本人は人命を奪いたくないと思い続けている。航空学校をトップで卒業し、自衛官となる。間違っている自衛隊を、内側から変えていく事を目標に、奮闘している。国防軍からスカウトが来るも、武力で押さえるのは違うと考えて、それを蹴る。国防官に未練はないと言ったら嘘になる。また、女性の様な自身の名前を気にしている。普段は温厚で、誰にでも慕われるが命を軽視する者や奪う者を相手にした時は、怒りをあらわにし相手を震え上がらす。

・三溝 晋三 サミ シンゾウ(40) 1等陸曹
特殊作戦群所属の自衛官。冷静沈着である彼は小隊長を務める。いかなるときも常に任務を優先とする真の自衛官。玲也との面識はないが、遭遇すればそこは今までに見たことのない激戦区となる。

・神野 啓喜 カンノ ケイキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。玲也が国防軍に入隊しても気にせず玲也と関わりを持つ。心配性だが、何よりも敵同士である玲也と戦うことがないか常に心配している。

・波森 悟卓 ナミモリ ゴタク (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。元から仲が悪く、敵対することが多い。玲也が国防軍に入隊したことにより、敵対心が大きくなる。

・吉川 泰毅 ヨシカワ ヤスキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。前から自衛官を退職したいと希望していたが、人手不足から所属している大隊長に継続を命令され、未だ現役自衛官となっている。玲也が国防軍に入隊しても変わらず敵対心等を抱かない。戦場で遭遇すればお互い上司からの命令であり、仕事だから仕方ないと考え、互いに争う関係に。

・原島 羽吹 ハラシマ ハブキ(39)武装傭兵団社長
日本で初の民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るため傭兵派遣サービスを提供し続けている。まれに自分自ら派遣活動に参加することがある。会社を設立する前は日本警察の特殊部隊、SATの隊員として公務をしていた。国内戦争が勃発しそれにおびえた国民を見て考えが変わり、会社を設立した。なぜ考えが変わったのかは不明で、本人もまたそれを明らかにすることはない。


・帚木 冥 ハハサギ メイ(17)武装傭兵団社員
民間軍事会社、武装傭兵団の社員。常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップなどを装備し通常の重量を大幅に超えたSCAR−Hを酷使する。


〜活動記録目次〜


状況1.桜ノ心ナクシ自衛官、国防官ヘ

>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>08 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>27 >>28

状況2.躊躇ウ里帰リ、空ノ刺客アリ

>>31 >>33 >>34 >>37 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>51 >>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59

状況3.属サヌ傭兵、影ト成リ結美中隊

>>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>66 >>67 >>69 >>70 >>71 >>73 >>75 >>77 >>78 >>81

状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和

>>82 >>83 >>84

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.17 )
日時: 2015/05/09 16:02
名前: 裏の傍観者 (ID: mNUslh/H)

1500時、横浜市役所 会議室。
パソコンに繋がれたプロジェクターが国防省での戦闘をスクリーンに映し出している。
アパッチは未だ待機中で、ブラックホークは国防省から200メートル先に離れた駐車場で隊員を降下させた。
自衛隊員で「S」と呼ばれる彼らは、元自衛官であり、国防軍に属した国防2等尉官、結美 玲也を抹消する任務を与えられて今回の作戦に参加している。
陸上自衛隊、特戦作戦群。
中央即応集団の隷下部隊であり、日本初にして唯一の特殊部隊。
彼らの持つ力は一般隊員とは比べ物にならないほど。
89式小銃という概念に捕らわれず、自らあらゆる手段で入手した小銃を駆使して戦う。
中には、ドイツのH&kが製造した最新の小銃、Hk416・417を使う隊員がいた。
他にも、M82A2バレットと呼ばれる50口径対物ライフルも使用しているらしい。
とんだいかれた連中だ。
そんな奴等がムキになって結美陸士長を消す理由がわからない。
自衛官を殺しただけで特戦群は出てくるのだろうか?
「大隊長、市民の避難が90%完了しています。」
隣で小森谷准陸尉が市民の状況を報告してきた。
彼は今どんな事を考えているのか気になった。
「小森谷准尉、今回の任務についてどう思っている?」
「浜田2佐?」
「聞かせてほしい。」
彼はなにやら戸惑っていたが、暫くして口を開けた。
「正直、納得していません。特戦群まで参加する必要があるのか考えていました。」
成る程、彼もそう考えていたか。
「私もだ。理由が知りたいが、これは上からの命令だ。本隊を全て前進させよ。アパッチについては、攻撃準備を実施させよ。」
「了解しました。」
悪くは思わないでほしい。
国防官も一緒なはずだ。
君や私も国の命令で戦っている。
君にもわかるだろうか、結美士長・・・いや、結美2尉官。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.18 )
日時: 2015/03/13 09:16
名前: 裏の傍観者 (ID: k67I83SS)

アパッチがついに動き出した。
だが、未だに奴等は攻撃してこない。
多分、攻撃準備に入ったのだろうか。
「・・・貴志川2士官。」
「どうした?」
「ヘリを墜落させず、故障させるにはどうしたらいい?」
撃墜はしなくても、故障だとパイロットが判断したら引き返すはずだ。
米軍のヘリパイロットみたいなやつでなければの話だが。
「ヘリは詳しく知っちゃいないが、エンジンを片方潰してみるか?」
「・・・墜落したらどうする?」
「したら責任取れんわ。パイロットを直接やるか?」
パイロット?
確かアパッチは複座式だった。
前部座席はガンナーで、後部座席がドライバー。
攻撃をするのはガンナー。
そいつをやれば行けるかもしれない。
「それだ!貴志川、夕美を連れてきてくれ。狙撃位置を変える。」
「ヘリパイロットを直接か、面白い!」
だが問題がある。
貴志川が使用している狙撃銃は7.62mm弾を発射するM24。
自衛隊でも対人狙撃銃として使われ続けている狙撃銃だ。
問題は口径。
7.62mm弾でパイロットを覆っているキャノピーを貫通させることができるか。
恐らく無理だろう。
50口径でなければ難しい。
だが、こちらが持っているなかで唯一その弾を撃ち出せるのが2連装12.7mm重機関銃のみだ。
下手に連射して機体ごとズタズタにしてしまえば墜落してしまう。
危険性が高いが、今の状況ではやはりエンジンを狙うしかないのか。
考え込んでいたら貴志川と夕美が二人して大きな荷物を持ってきた。
「何だそれは?」
「庁内の展示室にあったものよ。弾も数発だけど持ってきたわ。」
「見て驚くなよ!」
貴志川のテンションが高い。
夕美が大きい袋を開けると、中から銃身を取り出す。
「銃身?」
そしてそいつの正体が明らかになる。
「フランス軍御用達のへカートⅡだ!」
「まじか!?」
フランス軍で使用されている対物ライフル。
NATO基準の重機関銃弾薬を発射する、ボルトアクション対物ライフルだ。
弾倉を確認する。
確かに少ないが、こいつなら2連装12.7mm重機関銃の弾で代用できる。
「にしてもすげぇな!まさか庁内にあるなんてよ。」
「全くよ、お陰で重かったし手が痛いわ。」
「良くやってくれた、後でマッサージでもしてやる。」
へカートⅡを装甲高機動車に積載する。
「あら、女の肌をただで触るつもり?」
「なんだ日暮奈、今日はやけに色っぽいな!」
「おかしいわねぇ、何か聞こえたんだけど、この口かしらぁ?」
「いでててててっ痛ぇよ!?」
全く、こんな状況でも夕美と貴志川は変わらないな。
一先ず移動だ。
夕美と貴志川が乗車する。
運転席に座り、エンジンを始動させる。
「玲也の運転なんて久しぶりだな。」
「そうね。でも今は状況中、派手に飛ばすみたいよ。」
「その通りだ、捕まってろ!」
アクセル全開。
後輪が滑ると暫くして前へ進む。
全速力で狙撃位置へと向かった。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.19 )
日時: 2015/03/13 14:17
名前: 裏の傍観者 (ID: m9NLROFC)

1520時、場所特定不能。
俺達の任務は、自衛官を殺害し国防軍に寝返ったある人物を抹消すること。
目標は元陸士長である国防2等尉官、結美 玲也。
自衛官を殺しただけで俺達が出る必要があるのか。
理由は分からないが、任務を遂行する。
「三溝1曹、準備完了しました。」
俺の背後には、黒色のバラクラバで顔を隠した部下が自費で入手したさまざまな小銃をてにしている。
「よし、作戦通り行くぞ。2手に別れる、アルファーは俺についてこい、ブラボーは国防省だ。」
『ラジャー。』
結美は防衛省で最高レベルの要注意人物だ。
手強い相手に違いない、人を平然と殺せる人間だからだ。
俺達にもそれができる。
そのために訓練をしてきた。
確実に抹消対象者を執行してやる。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.20 )
日時: 2015/03/14 22:24
名前: 裏の傍観者 (ID: hmF5PELO)

1535時、横浜市内建造物 狙撃位置。
目的地にたどり着き、建物内に自衛官がいないかをクリアリングしながら確認していく。
結果的にはいなかった。
屋上へ上がり、貴志川がへカートⅡを準備させた。
「弾は中破したWAPCから一箱持ってきたわ。」
「サンキュー、繋がっているリンクをはずして弾を単体にしてくれ。」
「分かったわ。」
重機関銃に装填する際、弾はリンクという金具で繋がれている。
戦争映画で良く出るのが、繋がれた弾を体に巻き付けて機関銃を連射するシーンが良い例だ。
アパッチは国防省に釘付けだ。
やるなら今しかない。
「貴志川、やれそうか?」
「任せな。ガンナーを直接やらなくても、機材を破壊するれば攻撃はできなくなる。」
「なんだ貴志川、人をやるんじゃなかったか?」
「さすがにスコープを赤で染めたくはないからさ。」
要は血を見たくないということだろう。
今まで自衛官を狙撃してきた貴志川だが、狙っている所が防弾チョッキで弾を当てて脅すだけの戦い方をしていた。
発砲して相手の流す血を見たことがないのだろう。
「分かった、だがヘリだけは落とすなよ。」
「了解。」
貴志川が狙撃態勢に入った。
夕美は屋上に敵が入ってこないよう扉の近くで見張りをしている。
アパッチのチェーンガンが動き出した。
照準先は国防省正面ゲートのバリケードだ。
「させるかよ!」
貴志川が引き金を引いた。
大きな銃声が鳴り響き、へカートⅡから弾が放たれた。
弾の速度が速すぎて見えなかったが、数秒後にアパッチに弾が命中した音が聞こえた。
双眼鏡で覗いてみると、弾は見事ガンナーの機材に命中していた。
だが、機材が破損した際に飛び散った破片がガンナーの体に突き刺さっていた。
軽傷で済んだのか、ガンナーは破片を引き抜き応急処置をしていた。
それ以降チェーンガンは動かない。
やったのか?
「目標に命中、ガンナー軽傷。ドライバーは・・・、ヘルメットが破損しただけだ。」
ドライバーのヘルメットが割れているのが確認できた。
「計算してな、念の為ドライバーのヘルメットも破壊しておいた。」
「良い腕だな。」
これで1機目のアパッチは戦闘が出来なくなった。
アパッチは機体を旋回させて飛び去っていく。
「目標の後退を確認。次やるか?」
貴志川はへカートⅡのボルトを操作して次弾を装填した。
攻撃を受けたアパッチは他の機に報告をしただろう。
場所を変えないといずれ気づかれる。
ふと気づく。
下でなにやら人が集団で動いている。
市民にしては動きがぴったり過ぎる。
手には・・・様々な小銃が握られている。
戦闘服の迷彩柄はどっからどうみても陸自迷彩だった。
「貴志川、夕美!急いで撤収だ。」
89式小銃2型に弾倉を差し込む。
「え、まだアパッチが残ってるぞ。」
「下に敵だ、さっきの銃声で気づかれたらしい。」
「待ちなさい、市民じゃないの?陸自がここまで展開しているというの?」
市民にしては動きが良すぎる。
一般の隊員ではない。
だとしたら・・・。
「運の悪いことに、特戦群だ。」
「おいおい、冗談だろ・・・?」
「まさか、玲也を・・・!」
「話は後だ、追い付かれる前に退避だ。」
撤収をすぐに完了させて下に降りる。
止めてあった装甲高機動車に2人を乗せる。
運転席には夕美を乗せた。
「玲也、貴方まさか!」
「安心しろ、こんな所で死ぬつもりはない。命令だ、直ちに国防省に戻れ。その場で大隊の指揮をとり、防御陣地を立て直せ。俺はここで特戦群を足止めする。俺の部下にこいつらの相手は無理だ。貴志川は当初の持ち場に行け。いいな2人とも。」
「分かった、死ぬんじゃねぇぞ。」
夕美はまだ納得していないのか、心配しながら俺を見ている。
そんな彼女の頭を撫でる。
「玲也・・・?」
「そんな顔をするな、いつものように帰ってくる。そしていつも通り外出して、一緒に飯食いに行こう。いいな?」
夕美は泣くのを我慢しているが、目からは涙が溜まっている。
「いいな?夕美。」
「・・・分かったわ。」
彼女は目を擦る。
「日暮奈3等尉官、行動を開始せよ!」
「了解!・・・必ず帰って来なさいよ、バカ!」
夕美はアクセルを限界まで踏むと、装甲高機動車は全速力で国防省へと走っていった。
「久しぶりに、直接自衛官と戦闘か。」
今まではほとんどが指揮で前線には出ていなかった。
今回やりあうのは一般の連中じゃなく、手強い特戦群だがそんな事は関係ない。
あいつらを国防省へは絶対に入れさせない。
「特戦群の1人や2人は殺ってやる。」
俺はもう、自衛官だった頃の平和ボケした人間じゃない。
それを奴等に刻み付けてやる。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.21 )
日時: 2015/03/15 06:21
名前: 裏の傍観者 (ID: lU2b9h8R)

10分後、横浜市内 交差点。
奴等が向かってくる方向に持ち合わせていたC4爆弾すべてを設置した。
作戦はない。
だが、特戦群の隊員がどんな奴か気になり、ちょっとした賭けにでる。
C4爆弾に囲まれた道路のど真ん中で待ち伏せをする。
奴等は必ず俺を円になって囲むはずだ。
囲んできたらそこで爆弾を起爆させる。
危険な行為だが、気になる。
小銃と拳銃はすでに準備が整っている。
手にはいつでも押せるよう、起爆スイッチを隠し持つ。
後は奴等が来るのを待つだけだ。
そしてついに、奴が姿を現した。
「良い動きだな。・・・そこにいるのは分かっている、来るなら来い。」
さて、この挑発に乗るだろうか。
奴等はすでに起爆範囲内にいる。
「良し、囲め!」
乗って来た。
隊長らしき隊員が部下に囲めと指示させると、そいつらは俺を囲んだ。
鈍く光る銃口が全て俺に向けられている。
「いい動きだな、流石は特戦群だ。使用している武器も、使い勝手が良さそうだ。」
「そういう貴様こそ、よく特戦群と見抜いたな。結美元陸士長。」
隊長自らお出ましとはな。
「桜の心をなくした俺は自衛官じゃない。今は国防2等尉官の結美 玲也だ。」
「そうか、結美2等尉官。俺は1等陸曹の三溝 信三だ。覚えられんだろうからここまでだ。貴様は今日づけで執行されるからだ。」
三溝1曹は9㎜拳銃の銃口を俺に向ける。
「執行か、俺が抹消対象者にされているらしいな。・・・理由は?」
「俺は知らん、ただ国の命令なんでな。理由なんて関係ない、ただ任務を遂行するだけだ。」
「そうか。」
「執行前に3分間待ってやる。3分間好きにしろ。懺悔でもすればいい、その後に執行する。」
「3分間か、分かった。3分間でなにが出来るかね、森3曹。」
横にいる奴に聞いてみる。
なんて返ってくるか。
「知るか裏切り者!」
「なら教えてやる。・・・貴様らを殺すことだ!」
起爆スイッチを押す。
俺を囲んでいた自衛官が爆風により吹っ飛ぶ。
車のある位置まで走り、車を盾にする。
小銃の切換レバーを「レ」にし、態勢を崩した自衛官に連射した。
蜂の巣にされたそいつはその場から動かない。
今のでざっと5人は始末した。
「奴を撃て!」
向こうも発砲してきた。
車に大量の弾が撃ち込まれる。
奴等の戦法を確認すると、撃っては移動の繰り返しだった。
しかもその動作がやたらと素早い。
一般隊員ならついていけないだろう。
俺ならそれを覆す。
仕掛けたのはC4爆弾だけじゃない。
クレイモアもそこら中に設置した。
すでにそれに引っ掛かり体を粉砕した自衛官もいる。
かなりの人数を始末できた。
残りは人数的に2つの小隊くらいだろう。
思ったよりもあっけない。
が、隊長さんである三溝1曹はまだ生きている。
「やるな結美2等尉官!」
「デカい図体して、よく動き回るな。邪魔くさい!」
弾はさっき貴志川と夕美から全弾受け取っている。
今は弾に困ることはないだろう。
問題は、1対数人でどこまで持つかだ。
「貴様らを国防省にいかせない、状況がおわるまではここで踊ってもらう!」
なんとか足止めは出来ている。
後は任せたぞ、夕美!


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