ダーク・ファンタジー小説

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守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜
日時: 2016/01/06 23:15
名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)

はじめまして、裏の傍観者です。
シリアス・ダークで小説明を書かせてもらってます。
戦争系のお話しということで、今回は国内での戦争を描いた「守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜」を書いてみました。
自衛隊と国防軍の戦闘が繰り広げられた日本が舞台となります。
恋愛も入れてますが、他の作者より下手です。(自覚してますm(。_。)m)
初心者ですが、よかったら読んでみてください。
オリキャラ・コメント歓迎します!
では、本編をお楽しみください!!



〜本編紹介〜

日本が大きく変わった平成32年。
高3の時から自衛隊にあこがれていた少年は、やがて自衛隊に入隊。
長いようで短いような教育期間を終えた彼は、やがて部隊に。
そこに待ち受けていたのは、自衛隊の裏の世界。
いくつも重なり山となる理不尽とストレス。
彼はこんな自衛隊が日本を守るなんて冗談じゃないと考え始める。
その頃日本政府では日本の国防力を高めるために新たに組織を設立していた。
日本国憲法第9条をねじ伏せてまで強引に設立した組織は、突如日本国内にあるすべての自衛隊施設を襲撃する。
緊急呼集をかけられた機甲科隊員である彼は、完全武装し状況に入る。
その際、敵が自分と同じ日本人であり、攻撃してきたのは最近設立されたばかりの日本国防軍だったことを知り、彼は敵に向けていた銃口を乗り合わせていた戦車乗員の車長に向ける。
乗員の小銃弾、車長の拳銃を強奪し味方の戦車を破壊した彼は、自分に銃口が向けられているにも関わらず日本国防軍の指揮官に接触する。
「殺したければ殺せ、今はすぐにでもこの戦闘服を脱ぎたい。」
血まみれになった戦闘服の上を脱ぎ捨て火に投げ込み燃えた。
彼は日本国防軍に捕獲されるが、接触した指揮官により日本国防軍へ階級を飛ばした異例の入隊を果たした。
自衛隊員をためらいもなく小銃で殺した彼は自衛隊を敵に回してまで何を守ろうとしているのか、彼の記録が語られる。

〜登場組織〜

<軍事組織>

・防衛省

・自衛隊(陸・海・空)

・国防省

・国防軍

・民間軍事会社 日本武装傭兵団

<民間組織>

・戦争撲滅の党

・国防の党

・新未来の党

・平和実現会

・自衛隊父兄会

・日本を愛するデモ運動集団

・左翼&右翼

<勢力不明>

・新宿武装集団

ー日本国防軍階級ー

国防大臣
国防長官
国防総将官
国防総補将官
国防1等佐官
国防2等佐官
国防3等佐官
国防1等尉官
国防2等尉官
国防3等尉官
国防准尉官
国防先任曹官
国防1等曹官
国防2等曹官
国防3等曹官
国防先任士官
国防1等士官
国防2等士官

ー陸上自衛隊階級ー

陸将
陸将補
1等陸佐
2等陸佐
3等陸佐
1等陸尉
2等陸尉
3等陸尉
准陸尉
陸曹長
1等陸曹
2等陸曹
3等陸曹
陸士長
1等陸士
2等陸士
自衛官候補生

※空・海自は陸から空・海の文字に入れ替わる。

〜登場人物〜

・結美 玲也 ムスビ レイヤ (19) 国防2等尉官
 元自衛官。自衛隊員を殺害し、国防軍に入隊。防衛省では最高レベルの要注意人物であり、自衛隊の特殊作戦群では抹消対象者にされている。中隊長を務めていて、部下や上司からは評価が高い。皆からは親しみを込めて、名前と階級を混ぜ合わせて省略した玲兄さんと呼ばれている。中には兄さんと呼ぶ人も増えているらしい。お互い両想いだと気づき、夕美と交際を始めた。優しいのか甘いのか、敵味方関係なく多くの人が彼のもとに寄って来る・・・との噂もあるらしい。

・相模 勝負 サガミ ショウブ (52) 国防1等佐官
 玲也が状況中に接触した指揮官。彼を国防軍に入隊させるために国防省に駆け寄った。玲也からはヤジさんと親しみをこめて呼ばれている。喧嘩っぱやいおっさんで
、今は落ち着いた性格だが昔は戦闘中にとある事案で自衛官と殴り合いになったくらい荒かったらしい。

・貴志川 有 キシガワ ユウ (19) 国防2等士官
 入隊したばかりの新兵。入隊早々、射撃が最も優れており、狙撃手に。玲也に誘われ、玲也の部下になる。玲也とは同い年で、兄弟的な存在。よく玲也と夕美の3人で行動している。位置的には玲也と夕美の専属スナイパーとも言える。

・日暮奈 夕美 ヒグナ ユウミ (19) 国防3等尉官
尉官試験を一発で合格した成績優秀者。教育を終えて部隊に配属される。クールな性格上、ストレートに物事を言ってしまうが、実は寂しがり屋。玲也に助けてもらった事が多く、言動や行動でまれに玲也に対する好意がみられるが、お互い両想いだということに気づき、玲也と交際を始めた。

・河瀬 颯太 カワセ ハヤタ (36) 国防2等曹官
第1中隊、通称結美中隊に所属する国防官。物を丁寧に扱うのが特徴で、彼が使用した物は知っている限り壊れたことはない。そこで玲也から車両管理者を任される。車両を常に万全な状態にしてくれている。また、大家族のビッグダディをしている。

・華目 匠 ハナメ タクミ (23) 国防3等曹官
結美中隊に所属している。衛生を担当していることから、曹官または士官の間では先生と呼ばれている。昔病院の医院長をしていたことが理由である。面倒見が良く、常に中隊全員の健康をチェックしてくれている。また、心の病にも対象できる。小さな怪我でも心配してくれるのが特徴。

・慶田 武 ケイダ タケシ(45)国防先任曹官
結美中隊の先任。曹官・士官をまとめる小隊長。玲也と夕美の親父的存在でもあり、何かと2人のことを心配してくれている。貴志川と性格が似ているところもあり、2人がそろうとそこはもう熱血地獄になりかねないほど熱くなる。

・機十 編 キジュウ アミ(20)国防技術技官
国防軍技術研究本部に所属する技官。研究に全てを捧げる。特技は剣道で、六段。常に不機嫌、口調が悪い。幼少期、自衛隊員だった両親に虐待を受けていた。親が居た自衛隊に対し、快く思っていないがために、国防省に入った。

・浜田 意識 ハマダ イシキ(47) 2等陸佐
戦車大隊の大隊長。信頼が高く、大隊での評価は高い。玲也が国防官になった事を知り、部下の状態を把握していなかったことから責任を感じている。部下にはそれを表に出さず、大隊長としての任をまっとうする。

・小森谷 辺句朗 コモリヤ ヘクロウ (39) 准陸尉
戦車大隊の最上級先任曹長。常に考え事をしているのが特長。玲也が国防官になったことを知り、最近はなぜ玲也が国防官になったのかを考え始める。

・風神花月 フウジン カゲツ(23)2等空佐
防衛大学を成績優秀表で卒業し、強い復讐を糧に佐官クラスに登り詰めた。自衛隊に両親を殺された復讐のため自衛隊に入隊するも、国を守るなど考えておらず、常に復讐のことしか頭にない。また、表と裏の差がとても激しく、今の所殆どの隊員で彼女の裏を見たものは今の所ない。
※表・明るく、フレンドリー
 裏・腹黒く、人を見下し、自分の奴隷のように扱う

・古城 哉良 コウジョウ ヤヨイ(23)2等空尉
Fー15を操るファイターパイロットでタックネームはルド。一人で一作戦の相手を任せられるほどの脅威な実力を持っている。しかし、至って本人は人命を奪いたくないと思い続けている。航空学校をトップで卒業し、自衛官となる。間違っている自衛隊を、内側から変えていく事を目標に、奮闘している。国防軍からスカウトが来るも、武力で押さえるのは違うと考えて、それを蹴る。国防官に未練はないと言ったら嘘になる。また、女性の様な自身の名前を気にしている。普段は温厚で、誰にでも慕われるが命を軽視する者や奪う者を相手にした時は、怒りをあらわにし相手を震え上がらす。

・三溝 晋三 サミ シンゾウ(40) 1等陸曹
特殊作戦群所属の自衛官。冷静沈着である彼は小隊長を務める。いかなるときも常に任務を優先とする真の自衛官。玲也との面識はないが、遭遇すればそこは今までに見たことのない激戦区となる。

・神野 啓喜 カンノ ケイキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。玲也が国防軍に入隊しても気にせず玲也と関わりを持つ。心配性だが、何よりも敵同士である玲也と戦うことがないか常に心配している。

・波森 悟卓 ナミモリ ゴタク (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。元から仲が悪く、敵対することが多い。玲也が国防軍に入隊したことにより、敵対心が大きくなる。

・吉川 泰毅 ヨシカワ ヤスキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。前から自衛官を退職したいと希望していたが、人手不足から所属している大隊長に継続を命令され、未だ現役自衛官となっている。玲也が国防軍に入隊しても変わらず敵対心等を抱かない。戦場で遭遇すればお互い上司からの命令であり、仕事だから仕方ないと考え、互いに争う関係に。

・原島 羽吹 ハラシマ ハブキ(39)武装傭兵団社長
日本で初の民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るため傭兵派遣サービスを提供し続けている。まれに自分自ら派遣活動に参加することがある。会社を設立する前は日本警察の特殊部隊、SATの隊員として公務をしていた。国内戦争が勃発しそれにおびえた国民を見て考えが変わり、会社を設立した。なぜ考えが変わったのかは不明で、本人もまたそれを明らかにすることはない。


・帚木 冥 ハハサギ メイ(17)武装傭兵団社員
民間軍事会社、武装傭兵団の社員。常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップなどを装備し通常の重量を大幅に超えたSCAR−Hを酷使する。


〜活動記録目次〜


状況1.桜ノ心ナクシ自衛官、国防官ヘ

>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>08 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>27 >>28

状況2.躊躇ウ里帰リ、空ノ刺客アリ

>>31 >>33 >>34 >>37 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>51 >>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59

状況3.属サヌ傭兵、影ト成リ結美中隊

>>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>66 >>67 >>69 >>70 >>71 >>73 >>75 >>77 >>78 >>81

状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和

>>82 >>83 >>84

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.82 )
日時: 2015/10/23 11:50
名前: 裏の傍観者 (ID: mQwVxhmC)

状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和

相模1佐官達に見送られ、赤羽基地を出発してから4時間。
一先ず武装傭兵団の本社へ向かい、社長と顔合わせをして1日が終わる予定だ。
装備は今まで使っていた物は全て基地に置いてきた。
事前に連絡を入れて向こうで装備を受けとる事になっている。
要は現地調達だ。

「結美さん、もうすぐ到着します。」

「分かりました。」

運転手はナビの画面を切り替える。
あと10分といったところだ。
トランシーバーを手にし、送信ボタンを押す。

「皆起きてるか?」

<1号車コンテナ組、皆起きてるぜ。>

この声は貴志川だな。
慶田先曹官はどうしたのだろうか。

<2号車コンテナ組、キャビンの2名合わせて異常無しですぜ。>

河瀬2曹官達も異常無しっと。

<3号車コンテナ組、こっちも異常なしですよ。>

華目3曹官達も異常無しだな。
全車両確認がとれた。

「あと10分で着くそうだ、各人準備しておけよ。・・・とはいっても手ぶらなんだけどな。」

<そりゃそうだな!にしても手ぶらって何回聞いても卑猥だよな、ハハハハハハッ!!>

慶田先曹官がでかい声で笑い始めた。
酒でも飲んだかこのおっさんは。
他の単車からも皆の楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
親睦が深まってなによりだ。

「程ほどにな、今日の予定はミーティングで言った通りだ。着いたら振り分けられた部屋に直行からの装備確認で1日は終わりだ。注意事項をもう一度確認しておけよ。」

<<<了解〜。>>>

トランシーバーをしまう。
武装傭兵団はその名前の通り、傭兵だ。
恨みを買われてもおかしくはない集団。
基地のなかに本社があったとしても、国防軍の基地とちがって絶対安全というわけではない。
それを出発する前に皆に徹底させた。

「・・・ん〜?」

「起きたか夕美。」

「えぇ、状況は?」

「あと10分で着くそうだ、全車両異常無しの確認も取った。・・・夕美、服が乱れてるぞ。」

気づけば夕美の胸元が見えてしまっていた。

「!?」

それに気づいた夕美は直ぐに服の乱れをなおした。
寝ているときのガードが以外と弱いのが分かった。

「何よ。」

「いや、クールな夕美が寝ているときはガードが弱いなと思っただけだ。」

「ちょ、玲也!貴方ね・・・!」

「ハハハハハハッ!!」

思わず笑ってしまった。
夕美にもこんな一面があったとは、本当に可愛らしい。

「着きました、基地に入ります。」

「了解。」

運転手は書類が挟まれたバインダーを取り出す。
トラックは正面ゲートの前で止まり、警備にあたっている傭兵が向かってきた。

「運搬お疲れさまです、パスはお持ちですか?」

「お疲れさまです、この書類です。」

「預かります。」

運転手は傭兵に書類を渡す。
暫く確認をしていた傭兵が書類を運転手に返した。

「お待ちしておりました、結美2尉官。このまま地下補給庫へと向かってください。今そこに我々の車両が止まっています。誘導してくれるとのことなのでそれに従ってください。」

傭兵から指示を受けてその通りにする。
バリケードが一時的に解放され、トラックは傭兵に案内されて地下補給庫に到着した。
全員下車をし、整列する。

「異常は無いな?んじゃ予定通り行動だ。日暮奈3尉官と慶田先曹官、貴志川2士官は俺と一緒に来い。」

「「「了解。」」」

さて、これから世話になるこの組織の社長とご対面だ。



地下補給庫の休憩所から私は到着したばかりの彼らを見下ろしている。
本日から隠密行動の為に国防軍の1個中隊が私たち武装傭兵団の傭兵としてともに過ごすことになる。
問題はそこではない。
そう、私はその中隊の長である彼、国防2等尉官 結美 玲也が気になって仕方がない。
なぜ彼が自衛隊の特戦群をも越えてしまうほど強いのか。
私はその強さの理由が知りたい。
愛銃であるSCAR-Hを持って休憩所を出た。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.83 )
日時: 2015/10/28 06:33
名前: 裏の傍観者 (ID: mvR3Twya)

夕美と貴志川、慶田先曹官を引き連れ、武装傭兵団の社長である原島 羽吹のいる社長室へと足を運んだ。
案内をしてくれた立派な体をもつ大男に扉を開けてもらった。

「社長、お連れしました。」

社長椅子が横に回転し、社長が姿を表した。
原島 羽吹、日本で初めて民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るための人型防弾板を派遣するサービスを提供し続けている男だ。

「長い移動お疲れ様です、結美2尉官。私はこの会社の社長を勤めている原島です。」

「国防2等尉官の結美です。・・・今日からお世話になります。」

「こちらこそ、あの有名な国防官にあえて光栄です。」

互いに握手を交わし、案内されてソファーに座る。
机には恐らく国防大臣からだろうか、極秘と書かれた封筒がおいてあった。

「概要は国防大臣から送られてきた書類で確認しました。」

「今回の任務への協力、我々国防官一同感謝しています。」

「いえいえ、私は日本人として当たり前の事をしたまでです。日本を守りたい気持ちは我々も同じです。」

日本を守りたい気持ち。
確かに彼の言う通り、その気持ちは俺たち国防官だけではない。
武装傭兵団も同じだし、敵である自衛隊にもある。
なにが違うかとなるとそれは多分プライドなのかもしれない。

「それに、今回の作戦には我々にも関係があります。」

「そちらは警視庁から依頼されてるそうだとか?」

「その通りです。相手はテロリスト、だが分析の結果敵はテロリストにしては軍事レベルに匹敵するほどの装備を身に付けていた。あんなお金がいったいどこから流れてきているのやら・・・。」

原島社長は当時の写真を机におく。
真っ黒な、それも警察の特殊部隊にいるような装備を身につけた集団、米国製のアサルトライフル、M4小銃。

「我々武装傭兵団はテロ実行集団の尻尾を掴むことです。」

「手がかりは?」

貴志川はメモ用紙のページを変えながら質問をした。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.84 )
日時: 2015/11/03 13:51
名前: 裏の傍観者 (ID: 5MxYhyVX)


「調査派遣中に分かったのは相手がキャリバー50を持ち歩いていること。・・・そして大量の発電機と何かに繋がれたケーブルだ。」

発電機とケーブルであの時のことが脳裏を横切る。
ビルの屋上に設置された巨大なアンテナ。
傍受するというより、発信を主に作られたような感じだった。

「敵に関する情報は申し訳ないが我々は持ち合わせていないのです。」

俺はもう一度原島社長に質問する。

「原島社長、会社側は夜間の行動を規制しているとか?」

「あぁ、前に夜間活動中に事故があって今も規制されています。」

「ここ最近夜間でクレームを受けたことは?」

「・・・おっしゃる意味がわからないのですが?」

「国防官としてではなく、俺個人からの情報を貴方に譲渡する。封鎖区域に夜間にもかかわらず活動している傭兵を確認した。それもアンタらが着ている装備とまったく同じやつを。」

この場に全員が驚いた。
夕美と貴志川は事前に話してあるから驚いてはいない。

「待ってくれ、確認したというのは?」

「いつぞやか好奇心の半端ない大男が封鎖区域のフェンスを越えてしまって、俺も同行する羽目になったんですよ。時間は0200から0330時位の間だ。」

「おい結美!?おめぇまさか・・・!!」

「安心しろ慶田のおやっさん。」

「お、おやっさん!?」

「仕方ないっすよ、ここでは階級で呼べないんですから。」

「そうだったな、でもおやっさんか!あはははははっ!!」

貴志川がフォローをしてくれた。

「話がそれたな、封鎖区域に踏み込んだのはあの三溝1曹だ。」

「尚更じゃねぇか!!」

慶田先曹官が珍しく落ち着かないな。

「だが情報はある程度持ち帰ってきた。ここから先が本番だ。」

夕美と貴志川に指示をする。
部屋の扉を施錠する。
貴志川はカーテンをすべて閉め、夕美は机の上に電気スタンドを設置、地図をその場に広げた。

「原島社長が言っていた発電機は、俺達が侵入した経路をたどっていくと15機はあった。ケーブルの接続先を調べていたが、中にはダミーで繋がれたやつもあって確証はないが、大体は判明した。」

プリントアウトしてきた写真を机に置く。
そう、あの時見た巨大アンテナが設置されたビルの写真だ。

「これは・・・テレビ局か?」

原島社長はそういって虫眼鏡でアンテナをじっくりと眺める。

「このアンテナの周り、様子がおかしくないかしら?」

夕美はアンテナの周りを指差す。
そう、俺も現場で見たときは何かと思っていたものだ。

「これは通信機材か何か?」

「そこまでは調べられなかった。途中敵と接触し交戦、あの大男が一人を捕獲して警察に引き渡した。」

「「「・・・・・。」」」

「情報は以上です、原島社長。」

「・・・わかりました、極秘故に貴重な情報、感謝します。解析には貴方方がお世話になっている組織にお願いしましょう。」

原島社長は社長席に向かい、インターホンで連絡をする。

「私だ、彼女を社長室にお連れしろ。」

<かしこまりました。>

扉の鍵を解除する。
しばらくすると扉が開き、一人の女性が入ってきた。

「やっと私の出番か、待ちくたびれたぜ。」

これまた口の悪い女性だな・・・。
風神2佐を一瞬思い出した。

「初めまして、だな。私は機十 編。国防技術研究本部のもんだ。」

「「はぁ!?」」

おっと、俺を除く国防サイド皆して驚いているな。

「ちょっと玲也!?今回の作戦は私達だけのはずじゃ・・・!」

「ちょっとした保険で俺が技研に一人よこせと頼んだんだ。」

「そういうこった。お前があの有名な結美2尉官だな?」

「おう、よろしくな。」

「全力でサポートさせてもらうぜ。

互いに握手を交わした。
彼女の目は、いい実験台を見つけたかのようでとても熱かった。

Re: 守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.85 )
日時: 2015/11/03 23:05
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: W/M2HNwF)


こんにちは。
お久しぶりです。
風神を出して頂き、ありがとうございます。
とても嬉しいです。
これからも頑張ってください。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.86 )
日時: 2015/11/24 20:54
名前: 裏の傍観者 (ID: KBFVK1Mo)

「車両はこの辺に止めておけよ!借りもんだから下手に壊さないようにな!」

河瀬2曹官は俺たちが使う借り物の戦闘車両を管理、整頓していた。
車両は皆が良く知る米軍で現役のハンビーだ。

「河瀬ディーラー!追加装甲不足した車両分持ってきたっす!!」

「あいよ!整備1班は取り付けよろしくな!」

『おっす!!』

河瀬ディーラー・・・。
まぁ仕方のないことだ。
俺達は隠密で作戦行動している。
もちろん、国防軍に関するキーワードはNG。
だから変な呼び名で呼び合うしかないのだ。
ちなみに俺はというと・・・。

「兄貴!!こっちの車両はすべて把握しましたぜ!」

「毎度すまんな河瀬ディーラー。」

承知したことを知らせるため、手を挙げた。
そう、俺の呼び名は従来通りの「兄さん」か「兄貴」なのだ。
夕美にいたっては「奥さん」、貴志川はそのままだ。
安定の苗字ってところだ。
一通り自分が使用する個人携行火器等を掌握した俺は予定通り1日の仕事を終わらせた。
俺の部下も個人計画で終わったものから今日は終わりだと指示してある。
基地内の飲食店で飲むのもよし、寝るのもよし。
あとは個人の自由だ。

「さてと、早いが寝るか。」

欠伸をしながら宿泊施設に向かう。
そこで偶然寝間着姿の夕美と遭遇する。

「お疲れさん。」

「玲也もお疲れ様。・・・この後何するの?」

「寝ようかと思う。下手に動き回って体力を消耗したくないしな。」

「そう。」

夕美も寝間着を着ていることから、これから就寝するのだろう。
にしては顔がやたらと赤いな。
ふと気づく。
微かに誰かの声が聞こえた。
というか、これは音漏に近い。
無線機か?

<俺の言った通りですぜ奥さん!決めるなら今です!>

<さあ!これを逃したら次は無いかも知れないっすよ!>

<っあそ〜れ!>

<<<今夜私と寝てください!!>>>

<っもういっちょ!!>

<<<今夜私と寝てください!!>>>

なんだろう、この歓声は・・・。
はっきり聞こえた訳ではないがムカつく。

「ッフン!!」

カニのように顔を真っ赤にした夕美。
耳に何かをつけていたのか、それをつまみだし勢い良く地面に叩き割った。
発生源はこいつか。

「玲也!!」

「へいなんでしょうッ!?」

なんだ?
夕美が大声を出すほどご立腹なのだろうか?
俺・・・何かしたのだろうか。
言おうか言わないか必死になって迷っている夕美は深呼吸をした。

「・・・いったい何があった夕美、悩みなら聞くぞ。」

「!?べ、べつに悩んでなんかいないわよ!ただ・・・その、お願い・・・というかなんというか・・・。」

何を照れているのだろうか。
その理由はすぐにわかった。
逆にこっちが猛烈に恥ずかしくなった。
夕美のお願いとやらは・・・。

「さ、最近よく眠れないのよ・・・。だから、面と向かっていうのは恥ずかしいけど・・・貴方と一緒にね、寝ていいかしら?」

明日は俺の命日なのだろうか。
どうしてこうなった。
いや、理由を聞かなくてもさっきの破壊された無線機をみたら察しがつく。
今がチャンスだとか皆に押されたのだろう。

「迷惑・・・だったかしら。」

「そんなことないぞ!?ただ・・・その・・・俺、夜の経験はないから・・・さ。」

「なッ!?そんな恥ずかしいことをここで言わないでよもう・・・!」

まずい、このまま立ち話を続けていると誰かに聞かれて厄介なことになる。
とりあえず夕美と部屋に入り、扉に鍵をかける。
カーテンをしめて、明かりをつける。
夕美を椅子に座らせ、机に入れたばかりの紅茶の入ったカップを置く。

「ありがとう・・・。」

夕美も俺も、未だに恥ずかしさが消えずにいる。
まずは落ち着かせた方がいいと考えた。

「・・・最近眠れないといってたな、何かあったのか?」

「・・・・・。」

夕美は手にしていたカップを机に置いた。

「不安なのよ、今回の作戦。」

「・・・・・。」

「今まで通りにいかないんでしょ、もしかしたら・・・。」

俺はこれ以上なにも言わないように夕美の口を人指し指で封じた。

「夕美までそんな事を言うなよ、不安にさせてどうするんだ。」

「でも・・・!」

「夕美の思う通りだ、皆無傷で帰れるなんて思ってない。」

もしかしたら、死者が出るかもしれない。
その場合、責任は俺にある。
それが中隊長の務めだからだ。
俺は立ち上がり、明かりを消す。
月の光がカーテンの隙間から入ってくる。
カーテンをすこし開けて夜空を見上げる。

「・・・だからといって皆を死なせることは絶対にさせない。・・・犠牲は腐りきった俺だけで十分だ。」

「ッ!!」

バサッ!!

夕美は突然俺の背中に抱き付いた。
突然のことで俺はビックリした。

「それが不安だと言ってるのよ!!・・・私あの時聞いた、もう二度と一人にさせないって。」

夕美が寝ている間に俺が誓った事を聞かれていたか。
今思い出すと恥ずかしくなる。

「聞かれていたか。」

「・・・私嬉しかった、貴方が始めてなのよ。」

夕美は俺から離れ、俺は夕美に向き直る。

「だからお願い、これからも私の傍にいて・・・。」

「・・・夕美も随分と甘えん坊になったな。」

「・・・バカ。」

自然と夕美との距離が近づき、唇を交わす。
互いに強く抱きしめ合い、気づけば俺と夕美はベッドの上にいた。




宿泊施設屋上。
月明かりの魅力に引かれた俺は夜空を見上げた。
玲也と夕美はあれからうまくいっているだろうか。
俺はあの二人を無理矢理くっつけさせることに抵抗があった。
けどこの際別にいいんじゃないかと思った。
夕美が不安に思っていたことは、玲也が俺たちの代わりに犠牲になること。

「玲也、お前がいなくなるともっと悲しむ人がいるんだからよ・・・。」

狙撃銃を手にして銃口を月に向ける。

「守ってやるぜ、玲也も夕美も、皆も。」

『貴志川〜!!続きやろうぜ!!』

「今いくっす!!」

さて、とことん遊び尽くすとしますか!!
酒で酔った慶田先曹官達の元へと戻った。


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