ダーク・ファンタジー小説

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守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜
日時: 2016/01/06 23:15
名前: 裏の傍観者 (ID: 2PmCSfE.)

はじめまして、裏の傍観者です。
シリアス・ダークで小説明を書かせてもらってます。
戦争系のお話しということで、今回は国内での戦争を描いた「守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜」を書いてみました。
自衛隊と国防軍の戦闘が繰り広げられた日本が舞台となります。
恋愛も入れてますが、他の作者より下手です。(自覚してますm(。_。)m)
初心者ですが、よかったら読んでみてください。
オリキャラ・コメント歓迎します!
では、本編をお楽しみください!!



〜本編紹介〜

日本が大きく変わった平成32年。
高3の時から自衛隊にあこがれていた少年は、やがて自衛隊に入隊。
長いようで短いような教育期間を終えた彼は、やがて部隊に。
そこに待ち受けていたのは、自衛隊の裏の世界。
いくつも重なり山となる理不尽とストレス。
彼はこんな自衛隊が日本を守るなんて冗談じゃないと考え始める。
その頃日本政府では日本の国防力を高めるために新たに組織を設立していた。
日本国憲法第9条をねじ伏せてまで強引に設立した組織は、突如日本国内にあるすべての自衛隊施設を襲撃する。
緊急呼集をかけられた機甲科隊員である彼は、完全武装し状況に入る。
その際、敵が自分と同じ日本人であり、攻撃してきたのは最近設立されたばかりの日本国防軍だったことを知り、彼は敵に向けていた銃口を乗り合わせていた戦車乗員の車長に向ける。
乗員の小銃弾、車長の拳銃を強奪し味方の戦車を破壊した彼は、自分に銃口が向けられているにも関わらず日本国防軍の指揮官に接触する。
「殺したければ殺せ、今はすぐにでもこの戦闘服を脱ぎたい。」
血まみれになった戦闘服の上を脱ぎ捨て火に投げ込み燃えた。
彼は日本国防軍に捕獲されるが、接触した指揮官により日本国防軍へ階級を飛ばした異例の入隊を果たした。
自衛隊員をためらいもなく小銃で殺した彼は自衛隊を敵に回してまで何を守ろうとしているのか、彼の記録が語られる。

〜登場組織〜

<軍事組織>

・防衛省

・自衛隊(陸・海・空)

・国防省

・国防軍

・民間軍事会社 日本武装傭兵団

<民間組織>

・戦争撲滅の党

・国防の党

・新未来の党

・平和実現会

・自衛隊父兄会

・日本を愛するデモ運動集団

・左翼&右翼

<勢力不明>

・新宿武装集団

ー日本国防軍階級ー

国防大臣
国防長官
国防総将官
国防総補将官
国防1等佐官
国防2等佐官
国防3等佐官
国防1等尉官
国防2等尉官
国防3等尉官
国防准尉官
国防先任曹官
国防1等曹官
国防2等曹官
国防3等曹官
国防先任士官
国防1等士官
国防2等士官

ー陸上自衛隊階級ー

陸将
陸将補
1等陸佐
2等陸佐
3等陸佐
1等陸尉
2等陸尉
3等陸尉
准陸尉
陸曹長
1等陸曹
2等陸曹
3等陸曹
陸士長
1等陸士
2等陸士
自衛官候補生

※空・海自は陸から空・海の文字に入れ替わる。

〜登場人物〜

・結美 玲也 ムスビ レイヤ (19) 国防2等尉官
 元自衛官。自衛隊員を殺害し、国防軍に入隊。防衛省では最高レベルの要注意人物であり、自衛隊の特殊作戦群では抹消対象者にされている。中隊長を務めていて、部下や上司からは評価が高い。皆からは親しみを込めて、名前と階級を混ぜ合わせて省略した玲兄さんと呼ばれている。中には兄さんと呼ぶ人も増えているらしい。お互い両想いだと気づき、夕美と交際を始めた。優しいのか甘いのか、敵味方関係なく多くの人が彼のもとに寄って来る・・・との噂もあるらしい。

・相模 勝負 サガミ ショウブ (52) 国防1等佐官
 玲也が状況中に接触した指揮官。彼を国防軍に入隊させるために国防省に駆け寄った。玲也からはヤジさんと親しみをこめて呼ばれている。喧嘩っぱやいおっさんで
、今は落ち着いた性格だが昔は戦闘中にとある事案で自衛官と殴り合いになったくらい荒かったらしい。

・貴志川 有 キシガワ ユウ (19) 国防2等士官
 入隊したばかりの新兵。入隊早々、射撃が最も優れており、狙撃手に。玲也に誘われ、玲也の部下になる。玲也とは同い年で、兄弟的な存在。よく玲也と夕美の3人で行動している。位置的には玲也と夕美の専属スナイパーとも言える。

・日暮奈 夕美 ヒグナ ユウミ (19) 国防3等尉官
尉官試験を一発で合格した成績優秀者。教育を終えて部隊に配属される。クールな性格上、ストレートに物事を言ってしまうが、実は寂しがり屋。玲也に助けてもらった事が多く、言動や行動でまれに玲也に対する好意がみられるが、お互い両想いだということに気づき、玲也と交際を始めた。

・河瀬 颯太 カワセ ハヤタ (36) 国防2等曹官
第1中隊、通称結美中隊に所属する国防官。物を丁寧に扱うのが特徴で、彼が使用した物は知っている限り壊れたことはない。そこで玲也から車両管理者を任される。車両を常に万全な状態にしてくれている。また、大家族のビッグダディをしている。

・華目 匠 ハナメ タクミ (23) 国防3等曹官
結美中隊に所属している。衛生を担当していることから、曹官または士官の間では先生と呼ばれている。昔病院の医院長をしていたことが理由である。面倒見が良く、常に中隊全員の健康をチェックしてくれている。また、心の病にも対象できる。小さな怪我でも心配してくれるのが特徴。

・慶田 武 ケイダ タケシ(45)国防先任曹官
結美中隊の先任。曹官・士官をまとめる小隊長。玲也と夕美の親父的存在でもあり、何かと2人のことを心配してくれている。貴志川と性格が似ているところもあり、2人がそろうとそこはもう熱血地獄になりかねないほど熱くなる。

・機十 編 キジュウ アミ(20)国防技術技官
国防軍技術研究本部に所属する技官。研究に全てを捧げる。特技は剣道で、六段。常に不機嫌、口調が悪い。幼少期、自衛隊員だった両親に虐待を受けていた。親が居た自衛隊に対し、快く思っていないがために、国防省に入った。

・浜田 意識 ハマダ イシキ(47) 2等陸佐
戦車大隊の大隊長。信頼が高く、大隊での評価は高い。玲也が国防官になった事を知り、部下の状態を把握していなかったことから責任を感じている。部下にはそれを表に出さず、大隊長としての任をまっとうする。

・小森谷 辺句朗 コモリヤ ヘクロウ (39) 准陸尉
戦車大隊の最上級先任曹長。常に考え事をしているのが特長。玲也が国防官になったことを知り、最近はなぜ玲也が国防官になったのかを考え始める。

・風神花月 フウジン カゲツ(23)2等空佐
防衛大学を成績優秀表で卒業し、強い復讐を糧に佐官クラスに登り詰めた。自衛隊に両親を殺された復讐のため自衛隊に入隊するも、国を守るなど考えておらず、常に復讐のことしか頭にない。また、表と裏の差がとても激しく、今の所殆どの隊員で彼女の裏を見たものは今の所ない。
※表・明るく、フレンドリー
 裏・腹黒く、人を見下し、自分の奴隷のように扱う

・古城 哉良 コウジョウ ヤヨイ(23)2等空尉
Fー15を操るファイターパイロットでタックネームはルド。一人で一作戦の相手を任せられるほどの脅威な実力を持っている。しかし、至って本人は人命を奪いたくないと思い続けている。航空学校をトップで卒業し、自衛官となる。間違っている自衛隊を、内側から変えていく事を目標に、奮闘している。国防軍からスカウトが来るも、武力で押さえるのは違うと考えて、それを蹴る。国防官に未練はないと言ったら嘘になる。また、女性の様な自身の名前を気にしている。普段は温厚で、誰にでも慕われるが命を軽視する者や奪う者を相手にした時は、怒りをあらわにし相手を震え上がらす。

・三溝 晋三 サミ シンゾウ(40) 1等陸曹
特殊作戦群所属の自衛官。冷静沈着である彼は小隊長を務める。いかなるときも常に任務を優先とする真の自衛官。玲也との面識はないが、遭遇すればそこは今までに見たことのない激戦区となる。

・神野 啓喜 カンノ ケイキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。玲也が国防軍に入隊しても気にせず玲也と関わりを持つ。心配性だが、何よりも敵同士である玲也と戦うことがないか常に心配している。

・波森 悟卓 ナミモリ ゴタク (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。元から仲が悪く、敵対することが多い。玲也が国防軍に入隊したことにより、敵対心が大きくなる。

・吉川 泰毅 ヨシカワ ヤスキ (19) 陸士長
自衛官時代の玲也の同期。前から自衛官を退職したいと希望していたが、人手不足から所属している大隊長に継続を命令され、未だ現役自衛官となっている。玲也が国防軍に入隊しても変わらず敵対心等を抱かない。戦場で遭遇すればお互い上司からの命令であり、仕事だから仕方ないと考え、互いに争う関係に。

・原島 羽吹 ハラシマ ハブキ(39)武装傭兵団社長
日本で初の民間軍事会社を設立し、国内戦争から民間人を守るため傭兵派遣サービスを提供し続けている。まれに自分自ら派遣活動に参加することがある。会社を設立する前は日本警察の特殊部隊、SATの隊員として公務をしていた。国内戦争が勃発しそれにおびえた国民を見て考えが変わり、会社を設立した。なぜ考えが変わったのかは不明で、本人もまたそれを明らかにすることはない。


・帚木 冥 ハハサギ メイ(17)武装傭兵団社員
民間軍事会社、武装傭兵団の社員。常に冷静。というか冷めている。感情表現がほとんどない。まれに怒ったとき「Fuck(死ね)」と呟く。ホロサイト、赤外線レーザーサイト、暗視装置、低倍率スコープ、フォアグリップなどを装備し通常の重量を大幅に超えたSCAR−Hを酷使する。


〜活動記録目次〜


状況1.桜ノ心ナクシ自衛官、国防官ヘ

>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>08 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>27 >>28

状況2.躊躇ウ里帰リ、空ノ刺客アリ

>>31 >>33 >>34 >>37 >>39 >>41 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>51 >>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59

状況3.属サヌ傭兵、影ト成リ結美中隊

>>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>66 >>67 >>69 >>70 >>71 >>73 >>75 >>77 >>78 >>81

状況4.始マル争イ、揺レル日本ノ平和

>>82 >>83 >>84

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.87 )
日時: 2015/11/18 23:00
名前: 裏の傍観者 (ID: oOaw6UvZ)

2300時。
この時間帯なら彼は一人になっているはずだと思った私は宿泊施設へと足を運んだ。
彼の部屋は尉官クラス2名しかいない4階にあった。
人が少ない階なので、気が楽だ。
彼の部屋にたどり着き、扉の前に立つ。

「・・・・・。」

扉をノックする。
すると部屋の中から足音が聞こえた。
運良く彼は起きていたようだ。
扉が開き、彼が下着姿で出てきた。

「・・・何があった?」

「・・・・・。」

なぜ彼は下着姿なのだろうか。

「社長から伝言があって来たんだろう?」

「社長からは何も伝言を預かってはいない。・・・ただ私は貴方と話がしたくて来た。」

「・・・・堂々とアポなしでくるとはな。」

彼は安心したのか、肩の力を抜いた。
部屋からまた足音が聞こえてきた。
どうやら彼は一人ではなかったようだ。

「玲也・・・?呼集かしら・・・。」

寝ていたのだろうか、目を擦りながら日暮奈3尉官が彼と同じ下着姿で姿を現した。
なぜ二人とも下着姿なのだろうか。

「いや、呼集じゃないとさ。・・・彼女が俺と話をしたいらしい。」

「貴方は・・・?」

結美2尉官は寒そうにしていた日暮奈3尉官に上着をかけた。

「私は帚木 冥、この会社の社員。」

「初めまして・・・になるわね。私は日暮奈よ。」

「俺と話がしたいということは、名前はすでに知っているのだろう。・・・ここで立ち話もあれだろうから入ってくれ。」

「失礼する。」

2人に案内され、部屋に入る。
明かりがつけられ、真っ先に目に入ったのがベッド。
2人で寝ていたのだろうか、シーツなどが荒れていた。

「・・・なぜ二人は下着姿でいるの?」

「「・・・ッ!!」」

二人は急に顔を真っ赤にした。
結美2尉官は右手で頭をかきながら斜め上を向く。
日暮奈3尉官は彼にかけてもらった上着で上半身を隠し俯く。

「・・・あー、すまんがプライベートについてはノーコメントにさせてくれ。」

これは恐らく、夜の営みというものなのだろうか。
彼と日暮奈3尉官の関係が知りたくなった。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.88 )
日時: 2015/11/30 20:13
名前: 裏の傍観者 (ID: UcGDDbHP)

日本国防軍、赤羽基地。
任務を終えて一時この赤羽基地に駐留することになった部隊が戦車をつれて入門した。
90式戦車2型が泥だらけで洗車場に移動される。

「須田1曹官、全車両の点検今のところ異常はありませんでした。」

「おう、人員は異常ないか?」

「装填手1名、右腕をかすめたそうです。」

「・・・してやられたな。」

「彼は悔しがってましたよ、装填できるだけでもまだ良かっぞと慰めたんですがね。」

「だがあいつは俺達と戦えることを嬉しがってたんだ。頼れる国防官を傷つけちまったし、あいつの初陣を台無しにしちまった。」

陸自のRCV、87式偵察警戒車の撃滅・・・のはずが待ち伏せをくらって10式戦車に囲まれてしまった。
小回りがきく故に足の速さには苦労した。
なんとか突破できたのはよかったものの、衝撃で身を乗り出してしまった車長を庇った装填手は10式戦車から連装銃で攻撃をくらった。
かすめた程度だとは言っていたが、運が悪ければ腕をなくしていた。

「・・・まぁ、生きて帰ってこれたことだけは喜べるな。引き続き、頼むぞ。」

「任せてくださいよ、いつでも狙って吹っ飛ばしてやります。」

砲手は敬礼をすると整備に戻った。

「よう、須田!」

聞き慣れた声を聞き、後ろを向く。
そこには相模がいた。

「相模じゃねぇか、久しぶりだな!佐官になっても変わんねぇな!!」

「お前もな!その歳になっても車長か、そろそろきつくねぇか?」

「体にガタが来ちまってな、乗り降りすんのがきつくなっちまった。」

「そりゃそうだろ、ここじゃ日本一デカいのが90だしな。」

改めて90式戦車2型を見つめる。
こいつが正式に自衛隊配備されたのが1990年。
今は平成32年、西暦2015年。
25年経った今でも2型として大きく更新され、国防軍ではまだ生産されている。
だが自衛隊で使われている90式戦車初期型はもう生産されていない。
10式戦車なんかよりは90式戦車の方が俺的には好みだ。

「・・・須田、お前にすこし話がある。」

急に相模の声のトーンが低くなり、彼の顔を見る。
こういう時の相模はとんでもない事になってしまったことを意味している。

「なんだ相模、穏やかじゃないな。」

「例の新宿の件は知っているだろう。」

「あぁ、西口辺りが公開処刑場になったんだろ。」

テレビでは毎日放送されていたくらいだ。

「そしてもう一つ、日暮奈の件だ。」

「・・・お嬢に何があった。」

「何もないが、今は例の件で結美の中隊と出てる。・・・問題はそこじゃない、日暮奈の過去だ。」

これまた随分と遡る話になった。

「相模、その話しは個室で話そう。」

「分かった、大隊長室にいくぞ。」

「おう。・・・ちと用事ができた!後は頼むぞ!!」

『『おっす!!』』

相模とその場を後にし、昔話をしながら彼の執務室でもある大隊長室へと向かった。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.89 )
日時: 2015/12/06 21:49
名前: 裏の傍観者 (ID: m9NLROFC)

宿営施設。
突然の来客に俺と夕美はどうも落ち着かなかった。
あれの後にいきなりくるとは思いもしなかった。
下着のままだと夕美も落ち着かないだろうからシャワーを浴びてから着替えることにした。
先に夕美をバスルームにいかせる。

「夕美、お前からシャワー浴びてくれ。」

「え、えぇ・・・。先に浴びて来るわね。」

夕美はバスタオルを取り、シャワーを浴びにいった。

「・・・ベッドに血が染み付いてる。・・・初めてだったの?」

「人のプライベートを覗くんじゃない・・・。」

帚木は無表情でとんでもないことを聞いてきた。
普通なら見た相手も恥ずかしくなってそんなことは聞いてこない。

「そんなことより、俺と話がしたいといったな。それまたどうして俺なんだ?」

すると彼女は資料を静かに机に置く。
その資料は、俺に関することだった。

「・・・調べたのか。」

まさかと思い、机の下に張り付けていた拳銃を握る。
いったいどこのスパイだ、俺を調べたということは、国防官であることがバレている。
ここに来て早々危険な目に合うとはな・・・。

「私はスパイなんかじゃない、安心してほしい。」

「ならなぜ俺の資料を?調べたんだろ?」

「理由はいたってシンプル、私は貴方に興味がある。」

「・・・・・は?」

別の意味で危険だ。
俺に興味がある?
そんなことを夕美にでも知られたら修羅場という悲劇を目に焼き付ける羽目になる。

「すまんが他人にいきなり俺に好意を見せられてもな・・・。」

「・・・そういうことではない。」

彼女が急に本気の目になる。
俺はすこしゾッとした。

「結美2尉官、貴方はどうして強くなれたの?」

「・・・・・。」

なるほど、話の内容はそれか。
まったく、回り口説いからかなり焦った。
それにしても俺が強い理由か・・・、今まで自覚したことなんてなかった。
物好きもいたものだ。

「貴方に関する資料には全て目を通した。初めて撃った相手が味方、それが今では自衛隊では精鋭にして極秘の特戦群とまで渡り合えるほどの力。今の貴方は一人で1個中隊を相手にできる程の・・・。」

「帚木といったな。」

「冥で構わない。」

「・・・では冥、強さの理由ってのは人様々なんだ。」

よくある話だ、強い奴には訳がある。
理由がなければやるにしても無意味だし、やる気が起きない。
たったそれだけのことだ。
あの三溝1曹なんか自分の弱さが原因で自分で自分に罰を与えている。
その理由だけでも強くなれるのは俺としては不思議で仕方がない。

「人様々・・・。」

「そうだ。・・・理由がなきゃ銃なんか手にしちゃいないし、国防官なんてやってない。」

俺は昔の出来事を思い返す。
始まりは東富士演習場での戦闘で、味方を殺したことからだ。
入隊して自衛隊の裏を目の辺りにし、俺はなんの為に入隊したのかわからなくなった。
そして守りたいものがなんなのかすらわからなくなった。
俺が守ろうとしていたのはなんだったのか。
それは今になってもまだ答えは見つからない。

「玲也、浴び終わったわ。」

夕美がバスロープ姿で戻ってきた。
一先ず俺もバスロープを羽織り。3人分の紅茶をいれる。

「いいタイミングで帰ってきたな。・・・俺の過去を話そう。」

「あら、玲也の過去話を聞き出せたなんて珍しいわね。」

「珍しいことなの?」

「滅多にないことよ、かなり貴重なの。」

「そこまで貴重ではないだろう、俺が話さないだけさ。んじゃ始めるぞ。」

俺は今までの振り返りだと思って話を進めた。

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.90 )
日時: 2015/12/13 21:28
名前: 裏の傍観者 (ID: fYNkPhEq)

入間基地。

「・・・・・んで、古城2尉。なんでアタシの部屋に陸自のハイエナなんか入れちゃったのよ!?」

「どうしても風神2佐に話があるってごり押しされて・・・。」

「だからってあんな大男入れちゃってアタシに何しろってんのよ!!」

さっきまで寝そべってテレビを見ていた私は古城2尉に電話で呼び出され普段仕事で使っている執務室の前にいる。
課業はとっくの数時間前に終わっていて、これから就寝しようとしていたときにこの様だ。
扉を静かに、少しだけ開けて中を覗く。
ソファーに一人の大男だ座っている。
恐らく古城2尉がいれたのだろうか、お茶を飲んで待機している。

「だいたい誰なのよあの大男は?」

「陸自の三溝1曹・・・っていってました。・・・所属は明かせないとのことです。」

「それ完璧に特戦群じゃない・・・。」

「まさか彼との関与を疑ってきたんでしょうか・・・。」

「そういやそうだった・・・。」

結美2尉官は陸自の特戦群では抹消対象者にされていて、つけ回されていた。
たしかにあいつとは接触はしたが、ここまで押し寄せてくるとは・・・。

「こうしていても仕方ない、いくわよ。」

「え!?僕もですか・・・?」

「・・・これ命令だから☆」

「は、はい・・・(帰りたい・・・)。」

扉を開けて執務室に入る。
大男はこっちを振り向くと席を立つ。

「貴方ですか、こんな時間に私を呼び出した人は。」

「お休み中申し訳ありません。」

「いいですよ、私は風神2佐です。彼は・・・。」

視線を古城に向ける。

「古城2尉です。」

「申し訳ないんですが、貴方の所属と氏階級を確認してもいいですか?」

「は、中央即応集団、特戦群の三溝1曹です。」

・・・・やはり特戦群だった。

「ありがとうございます、どうぞ座ってください。」

「はい。」

私達もソファーに座る。
大男を前にすると少し怖い。
まぁ何かあったら古城2尉を盾にするから大丈夫だろう。

「あ、あの・・・風神2佐?」

「ん〜?なぁに?」

「(お願いですから僕を盾にするような真似は絶対にしないでください。)」

チッ、気づかれた。
このままでは話が進まない。
さっそく事情を聞くことにする。

「こちらへは命令で来たんですか?」

「いえ、私個人で来ました。」

「あら意外ですね、特戦群は命令じゃないと自分からこのようなところには来ないのに。」

「・・・結美2尉官をご存じで?」

ビンゴ、こいつは彼が目的でここに来たと見て間違いない。

「なぜそれを?」

「私個人の情報網です。・・・風神2佐の部隊が損傷したアパッチの搬送任務で相馬原に向かい、彼と接触した・・・間違いないでしょうか?」

「・・・間違いありません。たしかに私と古城2尉は結美2尉官と接触しています。」

「そうでしたか。」

彼は安心したかのような顔をすると、持参してきた黒い鞄のなかに手を突っ込み書類を出した。

「ここに来たのは捜査ですか?それなら普通警務隊が来るはずですが。」

「初めに言ったはずです。これは私個人として来ているのだと。」

苛つきが頂点に達した私は席を立つ。

「じゃあ何しに来たんだよ、いい加減回りくどいと強制出門さんぞてめぇ!!」

「風神2佐!!」

古城2尉は私に抑えてと言って席に座らせられる。

「すみません三溝1曹、風神2佐は気が短い方でして・・・。」

「古城2尉〜?すこし表に出てくれないかしら?」

「一緒に来いって言ったのは風神2佐ですよね!?」

冗談はさておき、一個人としてここにやってきた理由を聞くことにする。

「で、一個人としてやってきたアンタはウチに何の用?」

「結美2尉官をご存じなら話がはやい。・・・これから話すことは、彼に接触した人だけにしかお話しないのでどうか他言無用でお願いします。」

「・・・わかった。それで、結美2尉官がどうしたってのよ?」

三溝1曹は机に地図と書類を見せるように置く。
その地図は・・・つい最近騒ぎになった新宿駅西口の地図だった。

「!?風神2佐、これ・・・。」

「新宿が公開処刑場になった事件・・・だな。」

「はい、現在この新宿駅西口からは封鎖区域となっていて荒廃しています。」

あれから未だに事件の手がかりは見つからず、警察はついに武装傭兵団に派遣要請するも進展はない。
地図に多くの赤印と点線があるのを見つける。

「これはなに?」

「彼と立ち入った際に発見した発電機とケーブルです。」

「へぇ・・・ちょっと待って。立ち入った?アンタが!?」

「いえ、彼もです。」

「彼って・・・まさか結美2尉官も!?」

「はい。」

「どういうこと!?自衛隊と国防軍は今回の事件は一切関与しないんじゃなかったの!?単独だったとしたら大事じゃね!?」

大事どころじゃない、関与してたなんてマスコミにばれたらそれこそマスゴミといえるほどかなりウザい状況になるし下手したら封鎖区域でも自衛隊と国防群がドンパチをやりかねない!

「古城2尉、アンタ何か知ってた?」

「いえ、今初めて知りました。」

三溝1曹にもう一度顔を向ける。

「・・・それはいつの話?」

「4日前です。」

・・・あんまり大事には関わりたくはなかったけど、今回ばかりは黙ってはいられない。
結美2尉官に死なれちゃこれからの自衛隊を見せることができない。
約束したんだ、あいつに変わった自衛隊を見せると。
それが4日前ならまだ遅くはない。

「三溝1曹、現状を全て教えて。古城2尉、最悪の場合アンタにも出てもらうわ。・・・いつでもフライト出来るように。あとこの事は他言無用、ここにいる3人だけの話よ、いい?」

「「了解。」」

守るべきもの〜守リ手ノ戦争〜 ( No.91 )
日時: 2016/01/02 09:09
名前: 裏の傍観者 (ID: WSDTsxV5)

新年ご挨拶

あけましておめでとうございます!!
どうも!
裏の傍観者です(^^)/
ついに新しい年が始まりましたね。
今年もいい年になればいいなぁ・・・と心より願ってます。
さてさて、最近仕事がらみで投稿が遅くなりつつありますが、まだまだ書き続けます!
物語はまだほんの4分の1、完成までまだ遠いですが頑張っていきます!
そのためにはご訪問してくださっている読者のみなさんのご協力が必要です!
まだまだ未熟ではありますが、今年もどうぞよろしくお願いいたします!

By裏の傍観者


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