二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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hunter×hunter 絵なんか描いちゃったり…
日時: 2011/01/05 00:44
名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=18644

オリキャラ主人公の小説です。
気まぐれ更新です(´・ω・`)
ネタバレ要素含む割に、原作&キャラガン無視です。
キャラ崩壊が凄まじいです。
旅団ヒイキなので、原作ではメインのキャラが脇に出てくるかこないかぐらいの頻度でしか登場しません・゜・(ノД`;)
後、他の作者さんの作品に登場するキャラクターたちが出演します。【颯様=リュカ&イール(戒魔様原案)&マダラ】などとなります。ハンター×ハンターの二次小説のキャラクターです。(颯様の作品へは、上記の参照URLからどうぞ♪)
承諾してくださる心の広ぉ〜〜〜〜〜い方、どうぞご覧になってやってくださいませ(´・Д・`)ノ))

第1話◆蝶と蜘蛛
第2話◇青いビロード
第3話◆蜘蛛の手足
第4話◇蝶への依頼
 ☆おまけ☆
第5話◆青い蝶【颯様のオリジナル主人公が登場いたします】
第6話◇道化と霧の惑い
第7話◆抱えゆくもの
 ★お知らせ★
第8話◇白い札
第9話◆悲しみの意味
第10話◇蜘蛛の灯

第4話のタイトルアイディア★颯様( ´艸`)★。、


>>新章<<
 第1話●羽ばたき【前編】
 第2話○幻想世界
 第3話●羽ばたき【後編】


ёキャラ解説ё

【名前】
セリト=フリティラリア

【身長】
167㎝

【体重】
50kg

【年齢】
18歳

【性格】
冷静
優しい
物怖じしない
弱い自分は許せない

【体型】
細身のくせに出るトコ出てやがる

【容姿】
黒髪ロングのストレートで、具体的な長さは腰ぐらいまで。
目は、ブルー&バイオレットのオッドアイ(虹彩異色症)

【特徴】
左胸に、蝶の刺青
際立つ美貌ヽ(・∀・ )ノ キャッ キャッ

【戦闘】
体術&ナイフ
必要があれば銃も使える。
戦闘力は、クロロより僅かに劣るレベル

【職業】
表稼業・珍獣ハンター
裏稼業・よろず請け負い屋

【特技】
体術
医術


【念能力】
女神の祝奏めがみのしゅくそう
ヴィーナスパフォーマンス
 傷を癒す。
 能力者及び、周囲の傷を負った者の傷を癒す。
 欠陥した部位(千切れた腕)なども、対象者の細胞を糧とし、増幅して再生する。
 しかし、能力者が直すことを望んでいなければ発動できない。(この能力を強制させることはできない)
 また、疲労が激しく連発しては使えない。 

悪魔の慈愛
デビルズアフェクション
 念の影響、念による傷などを、他者へ移す事ができる。
 能力者以外にも使用可能。
 代償として、召喚された悪魔への口付けが要求される。

自然の祝福
エレメントブレッシング
 四大元素(火・水・風・土)の精霊を、念で具現化する。
 具現化された精霊は、能力者の望みに準じて力を貸してくれる。
 ただ、集中時間を消費する。

念獣
自然の祝福で力を貸してくれる精霊、及び、除念の出来る念獣、メドラーを呼び出すことができる。

メドラー
常に召喚しておける念獣。除念ができる。召喚する際に労力を消費するが、それ以降(召喚後)の疲労はない。馬となり移動をスムーズにしてくれ、狼となり戦闘の補助をしてくれる。



説明、以上となります。
大変長々しく失礼致しました。
 PS コメントなどいただけたら大変嬉し…((殴
   失礼しました+。・(Pд`。q)゜。+   


コメントなどの返信は、コメントして下さった方のスレに、直接返させていただいております(´・ω・`)
スレを持ってらっしゃらない方への返信は、自スレでさせていただきます( ´艸`)★。、

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Re: hunter×hunter【女主人公】 ( No.1 )
日時: 2010/10/01 21:29
名前: 颯 ◆Qvzaeu.IrQ (ID: yUkMdmJn)

はじめまして!
びたみん様と同じくHUNTER×HUNTERの小説を書いている、颯と申します!
主人公は女の人ですか!楽しみですね〜(ワクワク
HUNTER×HUNTERの小説書いているの、ボク以外いなかったので、めっちゃ感激しました!!!!

更新頑張ってくださいねノノ

Re: hunter×hunter【女主人公】 ( No.2 )
日時: 2010/10/01 23:20
名前: びたみん (ID: xDkHT39H)



 月が冴え渡る青い宵。
 静かに地上を照らす月と、月に落とされる影、静かに佇む建物の群れが、動くことなく音を立てず、夜の闇と調和する夜。
 ひとつ影だけが、音も無く動いていた。
 その影は人の形を象っている。その人影は、建物の影から影へと移りそして、一際大きな建物の中へと消えていった。
 
 その様子を高い時計塔から見下ろす影がまたひとつ。建物へと消えていった人影を見下ろしていた影の主は、建物へと消えていった影を見て、不敵な笑みを浮かばせた。





 美しい美術品が並ぶ建物の中を、音も無く走り抜ける影があった。
 大きな美術館の窓から入る月明かりに照らされて、その人影がはっきりと見える。
 黒く長い髪は頭部の高い位置で結ばれ、サラリとそのつややかな髪を揺らしていた。しなやかに動く肢体は、美しく、同時に艶かしい体のラインを強調している。
 全身を、ピッチリとした黒い衣装で包んでいたが、かえって豊かな胸や、細い括れの部分が美しく、見るものの眼を釘付けにする。
 顔の細かい部分は、影になっていて見えない。
 ただ一つ、女の目だけが、月のある薄暗闇の中でも光って見えた。
 女は暫く、館内の中を走り続ける。その足に迷いはなく、ある一つの目標に向かって進む。

「何で、警備システムが作動しない…」

 女は、走り続ける中でボソリと呟く。
 警備が厳重な筈の美術館の警備システムは、女が侵入したところで一切反応を見せずに、進入を許している。警備員は、闇に紛れる女に気付かずに、見過ごしていた。
 これ幸い、と思うどころか、不信感ばかりが募っていく。

「やっぱりこの仕事、受けない方が良かった…?」

 はぁ、とため息を吐きながら、依頼を受けたときのことを思い出していた。
 
「いやぁ〜、まさかこんなに可愛らしいお嬢さんだったとはねぇ〜〜」

「あ、ははは…
 それで、依頼の話はどこい…」
 
「ふんふん、倍額だしてやらんこともないから、一晩ワシの警護もせんかね?ん?」

「いえ、結構ですから、美術館の品物…」

「君のよろず屋はなんでも請け負うんだろう?一晩ともいわんから請け負いなさい。倍額いや、3倍でもいいぞ??」

 にったりと笑いながら、机を挟んだ向かいのソファに腰掛ける女を見る。その目は執拗で、頭から爪先までをねっとりと飽きる事なく見回していた。

「ハァ…」

 女は、仕方がないと言ったふうにため息を吐いて、ニッコリと笑う。その瞬間、辺り一辺を、酷い威圧間にが襲った。重力が、2倍にも3倍にもなった様に感じる威圧感の中、女はただひとり、極上の笑みを浮かばせ問いかける。

「マクミアさん、美術館の美術品を盗む、という御話だった筈ですよね?では、早急に交渉をいたしましょう?私の様に一見暇そうに見える者でも、案外余裕がありませんので」

 女の放った威圧感で息が継げず、脂汗と冷や汗を滲ませた依頼人は、脂肪で重そうな顎を僅かに動かし、一言。

「あ、ああ…………」

「結構。では、お仕事の話を致しましょうか」

 女の顔から、凄絶な笑みは消え、落ち着いた表情へと戻っていた。

「(なんだったんだ今のは……)」

 依頼人は、目の前で言葉を紡ぐ女を、信じられない顔で見ていた。
 女が放った威圧感の正体。それは、殺気だった。
 そして、その殺気を放ち、即座に煩い依頼人を黙らせた女。プロのハンター資格を持ち、且つ、もうひとつの仕事として、よろず屋の裏の顔を持ち、その双方に絶対の地位を誇る、生きる伝説となりつつあるその人。
 名を、セリト=フリティラリアと言う。

Re: hunter×hunter【女主人公】 ( No.3 )
日時: 2010/10/02 00:49
名前: びたみん (ID: xDkHT39H)




 頭の中にある地図の記憶を辿りながら走るセリトは、1人ごちる。

「あの狸、なにか隠したままね…」

 小さく舌打ちをし、駆ける足はそのままに、セリトは考えをめぐらせ始める。

「(そもそも、盗む品物に対して報酬額が高すぎる…
  美術館の警備が厳重だからだと言ってたけど、現状、警備なんて名前だけだし…警備に穴がある以上、危険なんて殆どない。危険がないのに、報酬額が高い訳が無いし……
 きっと、まだ何かあるな)」

 セリトは、なにかある事を確信し、だが敢えて道を引き返すことはしない。ただ、依頼品に向かって広い館内を駆けている。
 
「(危険なんて今更。
 それに、ゾルディック家ぐらいでないと、私は死なない。
 依頼は遂行する。依頼の内容が変わらない限りは、この仕事は全うする。)」

 セリトは、腕利きのプロハンターであり、成功率100%を誇るよろず屋でもある。今回の依頼は、世界五大宝石に指定されている、ミルクムーンダイヤを盗み、依頼人に渡すこと。
 そのダイヤは、ムーンストーンとダイヤが奇跡的に混ざり、カットの影響で、乳白色と輝く透明色の2色に変わる、世にも珍しいダイヤだ。
 今回の依頼の報酬額が、190億。
 ダイヤの時価が、260億。
 依頼人からすれば、利益が70億前後という事になる。報酬額に190億を出す人間が、70億の金銭を欲しがるとは思えない。
 ただのコレクターで、そのダイヤを売るつもりもなく手元に置いておくつもりならば、考えられない事もないが…

「それにしても…」

 マクミアと言う男は、金に対する執着が激しいことで有名な男だ。
 マクミアに、宝石コレクターの趣味があるとは聞いたことがない。セリトの事前の調査でも、それは確かだ。信用できない依頼人のことは、前もって調べておくのが最低限の情報処理であり、今回もある程度は徹底して洗っておいたつもりだった。

「(ぬかったか…?)」

 考えをめぐらせている内に、小部屋へと辿り着いた。依頼品がある筈のその部屋は、展示の為の開きになっていて、扉はない。
 扉のない入り口を通って、中へと足を踏み入れる。
 依頼品へと辿り着くと、隙が生じる事を解っているセリトは、より一層辺りを警戒した。
 一歩一歩慎重に、床を踏む。
 宝石を守っている強化ガラスに、開いた胸元から出した小瓶の中身を振り掛けた。
 ガラスはジワジワと溶けていき、ダイヤを取り出せるだけのスペースが開いたところで、セリトはピクリと手を止めた。

カツーン——……カツーン——……

 広い館内で、音は反響して間延びした。
 足音を立てる人間は、素人か、余程の自信を滲ませるもの。

「(どっちだ…?)」

 カツーン—… カツーン—…

 次第に大きくなっていく音に、セリトは警戒する。
 警戒を怠らないまま、親指の先程度の大きさのダイヤを、胸元に潜り込ませた。
 じっと動かず警戒していると、足音は見当違いの方向へと向かっていき、その内聞こえなくなった。
 ふっと息を吐きリラックスするように瞼を閉じた瞬間、背後に気配を感じる。
 咄嗟に体勢を低くして、足で相手の足を蹴り払う。
 相手は瞬時に移動し、そして、消えた。
 一瞬気配を見失い、屈んだままのセリトのすぐ後ろで、また気配を感じ、セリトはバク転をしながら相手との距離を取った。
 月明かりを届ける窓もなく、電気の光源も経たれているこの真夜中の時間、相手を詳細に見定める光はない。
 ただ朧気にわかるシルエットは、男だと言うことと、身体を纏う衣装が足元まである長いものだという事。コートだろうか?

「(こいつ、強い…)」

 チッと舌打ちをすると、左横に見える入り口へ向かって掛け出した。

 廊下を駆け、月明かりの差し込む大きな窓に差し掛かったところで、再び追いつかれる。

「(振り切れないかっ)」

 セリトは後も見ずに蹴りを繰り出す。常人ならば速過ぎて見えないだろうその攻撃を、男は半歩退がり身体をずらして避ける。

「(甘い)」
 
 目を細めて、セリトは足の筋肉だけで、男が避けた方向へと、横薙ぎに、新たな攻撃を加える。
 男は、今度は一歩退いてまたも攻撃をかわす。

「(しめたっ)」

 男がギリギリの距離で避けたセリトの踵から、仕込みナイフが飛び出す。
 
「っ!!」

 男の驚いたような反応と共に、ナイフがほんの僅かに、男の頬に食い込み、そのまま横薙ぎに顔の皮膚を切ってやろうと足に力を込めた。

「随分と物騒なことだな」

 クククっと背後から響く声に、セリトは動きを止めた。

Re: hunter×hunter【女主人公】 ( No.4 )
日時: 2010/10/02 03:06
名前: びたみん (ID: xDkHT39H)

えー…
い、一部、15禁(ぐらい…?)の表現を含む描写がありまして……
その、苦情なんかは一切受け付けられませんので、不快感を感じると思われる方は、矢印を今すぐ左上へとお持ちください。
そして他の投稿者さんがお書きになった作品をお読みになってください(´・ω・`)
似たような描写をされている方もいらっしゃると思いますが、そっと左上のボタンをクリックしてくださいませ(。・ω・)ノ
では、長々と注意書き失礼いたしました。
ご覧になってくださる方、有難うございます。
コメントをくださると涙ちょちょ切らしてよろこ…((殴っ
はい、調子に乗りました、すみません…
では、ご照覧あれ。










 月明かりの差す、館内の廊下。
 男と女がひとりずつ。男は女の背後に立ち、女の両手を片手に纏めて拘束し、耳元に顔を寄せ、女に囁き掛ける。

「随分と物騒なことだな」

 セリトは、耳に吹き込まれる言葉と、男の片手に纏めて高く掲げられ、自由の利かない両手に驚愕し、硬直していた。
 セリトの両手を拘束する為に、男の右手は塞がっている。
 男の左手は、蹴りの体勢に入ったまま高く上がっている足を、降ろせと促す様にゆっくりと撫でる。

「………」

 セリトは無言で、ゆっくりと足と降ろした。

「いい子だな」

 どこか、からかいを含んだ空気が男からは感じられる。

「……何か御用がおありで?」

 セリトは、答えの判り切った質問を投げる。

「その胸元に、ちょっと用がね」

「残念ですけど、身体だけの関係ならお断りしてます」

「噂どおりの蝶だな。」

 クククっと喉の奥で笑う声に、セリトは怒りもせずに答える。

「羽に付く燐粉を触ったら、返り討ちに毒にやられるっていう噂?」

「いいや、一目見ると、その目はその羽の色彩で周りが見えなくなると言う方の噂だな」

「あら、そんなに噂があるなんて。存じ挙げずに申し訳ない」

 そう言い放ったセリトは、ピクリと小さく肩を揺らす。
 セリトの太腿に置いてあった男の手が、ツツーっと指先でなぞる様にセリトの身体のラインを辿っていく。
 細いウエストのラインを通って体の中心に移動し、胸の谷間を辿り、大きく開いた胸元の心臓側に見える蝶の刺青の線を、一本一本丁寧になぞる。
 爪の先を柔らかく首元まで這わせ、セリトの顎を上向かせる。
 
「………」

 男は一瞬、眩しいものを見るように目を眇る。

「オッドアイか。
 美しい色だな」

「……」

 セリトは、男の言葉よりも、男の顔に驚愕していた。

「(こいつッッ…)」

「ふっ
 気に入った」

「(こいつ、A級賞金首の…
 クロロ=ルシルフルっ
 そうか、こいつが侵入する為に警備システムが落とされ……)」

 セリトの思考はそこで中断を余儀なくされる。
 濡れた音が、静かな館内で、妙に大きく聞こえた。

「んっ……ぐ!んんーー!!」

 驚きに目を見張って、セリトは抵抗を試みるが、拘束された体を捩ったところで、クロロと重なった唇は離れない。

「んっ」

 口の中にある性感帯を探し当てられ、危機を感じてクロロの舌をガリッと噛む。
 ククククっと、噛まれたにも拘らず喉の奥で笑い、舌から滲む血を誇示する様に、セリトの咥内に鉄の味を残す。

「っ…
 (こいつ、抵抗を楽しんでる)」

 セリトは抵抗を止め、クロロの舌の動きに答える。
 するとクロロは驚いた様に一瞬動きを止めた。
 クロロに拘束されていた手をスルリと抜き、身体をクロロの方に向きなおして、腕を首に巻きつける。
 ニッとクロロは口の端で笑って、行為を再開した。
 脚でセリトの股を割り、割れ目を刺激する。
 ピクンと反応したセリトはクロロの脚に脚を絡ませる。

「(今だっっ)」

 出しっぱなしにしていた踵の仕込みナイフをクロロの脚に突き刺そうと勢いよく向かわせた。
 すると、クロロはセリトの胸元に手を突っ込み、ミルクムーンダイヤを抜き取ってぱっと離れた。

「ちっ」

 隠しもしない舌打ちをすると、セリトは口元を手の甲で擦る。

「随分だな、お互い楽しんだろう?」

 ぺろりと、口の端についた血を舐めると、指先でダイヤを弄びながら言う。

「痛いのがお好きで?
 ここで貴方にダイヤを盗られたら、仕事の経歴に傷が付いてしまう」

「その傷、プレゼントにどうだ?」

「いいえ」

 セリトは擦っていた手を下ろす。

「どうぞ、部屋の引き出しにでも大事に仕舞って、永遠に放置してください!!」

 身を低くしてクロロへと一気に距離を詰める。

「そうするさ。
 このダイヤをなっ」

「メドラー!!」

 大きく叫んだセリトの声に反応する様に、一頭の白馬が視界を埋める。
 大きな嘶きと、硬そうな蹄を、クロロな難なく避けた。
 避けた先に黒く美しい肢体が眼に入る。

「っっ」

 軽く目を見張ったクロロに、セリトは迷いなく突っ込んでいく。
 眼前に迫ったセリトの顔に、クロロは不覚にも見惚れた。
 月光を映す色違いの目は、神秘的に輝き、奇跡の産物の様に整った顔の造作は、瞳の輝きを一層引き立て、艶やかな黒髪は、見る者の目を奪う。さらにニッコリと華の様に笑う。この場にそぐわぬ、少女宛らの笑み。
 クロロは、一瞬動きを止めた。
 呼吸さえも忘れ、目を奪われる。

「さよなら、クロロ=ルシルフル
 男前の盗人。」

 ふふっと笑い、クロロの手の中にあるダイヤを手中に収めて、白馬の背に跨る。
 クロロが後を振り返ったときには、もうその姿は見えなかった。
 そしてクロロはニヤリと、不敵な笑みを浮かべた。先程、時計塔で笑った様に。

「気に入った」

 そう、一言発すると、月光の届かない闇の中へと溶けて行った。

Re: hunter×hunter【女主人公】 ( No.5 )
日時: 2010/10/24 00:39
名前: びたみん (ID: drD68yPL)




 住宅街にある普通のアパート。
 その一室からは、男の声と、シャワーの音が響いていた。

「セリト、タオルを置いておくよ」

「ああ、ありがとう。
 メドラー、後でこの前破れたシャツ縫っておいてくれない?」

 シャワーの水音に紛れて、薄いガラス越しに男へと問いかける声がする。

「うん、かまわない。
 じゃあ女になるよ?」

 磨りガラス越しに笑う声が聞こえる。
 シャワーのコックをきゅっと捻って水を止めると、女は何の躊躇もなく扉を開けて、男の前へと裸体を晒す。

「いちいち変形するのに私に報告しなくてもいいって」

 女、セリトは笑いながら男に告げる。

「でも、一応言っておかないと落ち着かない」

 うーんと唸りながら、銀髪の美青年、メドラーは手に持ったままだったタオルをセリトに手渡す。
 ありがとうと小さく言って、セリトは身体に付いたままの水滴を拭い始める。

「でも、狼のときも馬の時も、女のときも、男のときにだっていちいち了承とってたらキリがないでしょ」

 爪先からウエストまでの水滴を拭き終わり、腕の水滴を拭いながら会話する。

「狼のときも馬のときも、念で会話はできるよ」

 動物の姿をとっている時に、メドラーは当然のことながら言葉を発することができない。
 そのかわりに、念を通して、主人であるセリトとだけは会話が出来るようになっていた。

「今まで何回言っても治らなかったもんねぇ…
 でもいちいち了承なんかとってたらホントにキリないよ?」

 苦笑いをしながら身体を拭き続けるセリトは、一瞬動きを止めて、また身体を拭い始める。

「メドラー、お客さん」

「うん、わかってる」

 こっくりと頷いたメドラーは、足音を迎える為に玄関へ向かう。
 相手が玄関のベルを鳴らすのを待ってから、扉を開ける。

「うっ…」

 はい、どちら様ですか。扉を開け放ったメドラーの顔を、もふっと何かが覆って、呻き声を上げてしまう。

「ああ、すみません。
 ○×宅急便です。
 セリト=フリティラリアさんのお宅はこちらでよろしいでしょうか?」

 配達員はメドラーの顔に当たった、真っ青なバラの花束を退けるながら名前の確認をする。

「ええ、そうです」

 セリトの名前での配達と言うことは、ハンター稼業としての彼女宛。ということだ。
 色々な面倒を回避する為に、裏稼業のよろず屋では別の名前を使用している。

「こちらがお荷物になります。
 こちらの欄にサインをお願いできますか」

 抱える程に大きな青バラの花束をメドラーに渡しながら、サインを取る為の用紙を差し出してくる。
 紙のサイン欄にサインではなく印鑑を押して、配達員に返してやる。
 紙を受け取った配達員は、ありがとうございましたーと言いながら帰っていった。背中を見送っていたメドラーは、花束を片手にパタンと扉を閉める。

「へぇー、綺麗なバラ」

 扉を閉めて振り返ったメドラーの目の前に、いつの間にかセリトが立っていた。

「珍しいね、青バラなんて。
 花屋には置いてないよ」

 昔から、不可能の代名としてその名を馳せる青バラ。セリトへの贈り物だろうか?

「しかもこんな鮮やかな青。
 香りも芳醇だし」

 顔を近づけてクンクンと青バラの匂いを嗅いでいたセリトは、青色に紛れるようにして存在する物に気付き、「ん?」と声を漏らす。

「何コレ?
 メッセージカード??」

 薔薇の鮮やかな青色に紛れた黒いメッセージカード。片手に持ったタオルで髪をわしゃわしゃを拭きながら、メッセージカード片手に狭い玄関からリビングへと向かう。
 髪を拭いていたタオルをソファーの背に投げ、テレビのリモコンを手に取る。
 ブゥンと音を立てて点いたテレビニュースの内容に、セリトは思わず目を剥く。
 バラを花瓶に活けて戻ってきたメドラーは、ソファーに投げられた濡れタオルを目にしてため息を吐きながら、タオルを片付ける。
 メドラーの様子を気にも掛けていないセリトは、ニュース番組と手元の闇色をしたメッセージカードとを、交互に見遣って、また視線をテレビ画面へと戻す。その表情は硬い。

「セリト、朝食はトーストでいい?」

 そう問いかけたメドラーの声に、返答はない。
 怪訝に思って、ソファーの前で立ったままにテレビに食い入るセリトの顔を覗き込む。

「セリト?朝ごはん…」

「———臨時ニュースをお知らせします。
 昨夜未明ブレイベルグ博物館にて、展示前の『青いビロード』が盗難に遭ったとの情報が入りました。展示前の宣伝効果を大きくする為に、展示物の具体的な様相は公表されておらず、博物館の館長も同時に行方不明となっております。
 警察の捜査は難航している様子ですが、現在の捜査状況を知らせる旨などはなく、詳細は判っておりません」

 耳に入って来る、中年男性のニュースキャスターの知らせる情報は、セリトとメドラーを硬直させた。

「………メドラー、明後日のよろず屋の仕事、なんだった?」

「『青いビロード』の護衛」

 ニュースで知らされる青いビロードの護衛を、セリト達は依頼されていた。明後日から展示予定の青いビロードは、バラの事だ。ビロードと言う名前から、バラだと予想づけて居る者も少なくはないだろう。
 そのバラが昨夜、盗まれた。依頼人の館長と共に。
 そして今朝、先程の宅配で届いたのは、青いバラ。
 珍しい青バラだが、生産所となっている、世界に1つの青バラの生産所から、大金をつぎ込めば買える代物。そんな手間を掛けてまで、一体誰が青バラなんかを、何故セリトに贈ったのか。
 セリトの手元で、静かに揺れるカード。
 黒いカードには金の文字でメッセージが記されている。

——青いビロードを君に——





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