二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- hunter×hunter 絵なんか描いちゃったり…
- 日時: 2011/01/05 00:44
- 名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=18644
オリキャラ主人公の小説です。
気まぐれ更新です(´・ω・`)
ネタバレ要素含む割に、原作&キャラガン無視です。
キャラ崩壊が凄まじいです。
旅団ヒイキなので、原作ではメインのキャラが脇に出てくるかこないかぐらいの頻度でしか登場しません・゜・(ノД`;)
後、他の作者さんの作品に登場するキャラクターたちが出演します。【颯様=リュカ&イール(戒魔様原案)&マダラ】などとなります。ハンター×ハンターの二次小説のキャラクターです。(颯様の作品へは、上記の参照URLからどうぞ♪)
承諾してくださる心の広ぉ〜〜〜〜〜い方、どうぞご覧になってやってくださいませ(´・Д・`)ノ))
第1話◆蝶と蜘蛛
第2話◇青いビロード
第3話◆蜘蛛の手足
第4話◇蝶への依頼
☆おまけ☆
第5話◆青い蝶【颯様のオリジナル主人公が登場いたします】
第6話◇道化と霧の惑い
第7話◆抱えゆくもの
★お知らせ★
第8話◇白い札
第9話◆悲しみの意味
第10話◇蜘蛛の灯
第4話のタイトルアイディア★颯様( ´艸`)★。、
>>新章<<
第1話●羽ばたき【前編】
第2話○幻想世界
第3話●羽ばたき【後編】
ёキャラ解説ё
【名前】
セリト=フリティラリア
【身長】
167㎝
【体重】
50kg
【年齢】
18歳
【性格】
冷静
優しい
物怖じしない
弱い自分は許せない
【体型】
細身のくせに出るトコ出てやがる
【容姿】
黒髪ロングのストレートで、具体的な長さは腰ぐらいまで。
目は、ブルー&バイオレットのオッドアイ(虹彩異色症)
【特徴】
左胸に、蝶の刺青
際立つ美貌ヽ(・∀・ )ノ キャッ キャッ
【戦闘】
体術&ナイフ
必要があれば銃も使える。
戦闘力は、クロロより僅かに劣るレベル
【職業】
表稼業・珍獣ハンター
裏稼業・よろず請け負い屋
【特技】
体術
医術
歌
【念能力】
女神の祝奏
ヴィーナスパフォーマンス
傷を癒す。
能力者及び、周囲の傷を負った者の傷を癒す。
欠陥した部位(千切れた腕)なども、対象者の細胞を糧とし、増幅して再生する。
しかし、能力者が直すことを望んでいなければ発動できない。(この能力を強制させることはできない)
また、疲労が激しく連発しては使えない。
悪魔の慈愛
デビルズアフェクション
念の影響、念による傷などを、他者へ移す事ができる。
能力者以外にも使用可能。
代償として、召喚された悪魔への口付けが要求される。
自然の祝福
エレメントブレッシング
四大元素(火・水・風・土)の精霊を、念で具現化する。
具現化された精霊は、能力者の望みに準じて力を貸してくれる。
ただ、集中時間を消費する。
念獣
自然の祝福で力を貸してくれる精霊、及び、除念の出来る念獣、メドラーを呼び出すことができる。
メドラー
常に召喚しておける念獣。除念ができる。召喚する際に労力を消費するが、それ以降(召喚後)の疲労はない。馬となり移動をスムーズにしてくれ、狼となり戦闘の補助をしてくれる。
説明、以上となります。
大変長々しく失礼致しました。
PS コメントなどいただけたら大変嬉し…((殴
失礼しました+。・(Pд`。q)゜。+
コメントなどの返信は、コメントして下さった方のスレに、直接返させていただいております(´・ω・`)
スレを持ってらっしゃらない方への返信は、自スレでさせていただきます( ´艸`)★。、
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- hunter×hunter 新章●第1話 ( No.112 )
- 日時: 2010/12/08 02:47
- 名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)
「……今、なんだと?」
訝しげに問い返すクロロ。
「ですから、ジャッカロープです」
鬱陶しげに答えるセリト。
「あの、未確認生物のか?」
「そうです。
未確認生物と言われる生き物の殆どは、実際に存在します。
ただ、彼らの乱獲防ぐ為に情報などは一切、公開されていません。」
「それは、ハンター協会がか?」
「ええ」
「だが、人の口に戸は立てられない。
確実に伏せることは不可能だ」
「人数が居れば…。
のお話ですね」
朝食を終えた二人は、長い机を挟んで向かい合っていた。
「……知るのは数人だと?」
「お答えしかねます」
そう言ったセリトは紅茶をコクリと嚥下した。
「目撃情報はどうする」
カチャリと紅茶をソーサーの上に戻すと、膝の上に陣取っている鹿兎、基ジャッカロープを撫でる。
「そもそも、未確認と言われるのは、非常に目撃が少ないからです」
クロロもセリトが答え始めるとティーカップを口元へと運んだ。
「そう言った生き物たちは、身を守る為に特殊な能力が備わっています。
強いて言うなら、そうですね…」
ジャッカロープを撫でていた手を止めて、セリトは首を傾げながら少し考える素振りを見せる。
「野生動物の気配の消し方を、更に分かりにくくする。
存在、気配を極限まで薄くすると、言えばいいでしょうか」
持ち上げた所為で揺れる紅茶を見ながら、クロロはゆっくりと口を開く。
「要するに、そもそも常人には見えないと?」
再び膝の上の生き物を撫で始めると、撫でられたジャッカロープは満足そうに顔を摺り寄せた。
「はい。
本来なら、貴方にも見えないんですが…」
そしてチラリと移った視線は、セリトのすぐ下に落ちている。その視線を受けた生き物は、言葉を理解している様に見上げてきた。
自分の言葉を代弁してくれと言わんばかりの視線に、セリトは思わずため息を吐く。
「……
この子が、貴方を気に入ってしまったようなので」
セリトがそう言うと、ジャッカロープは行儀悪くもテーブルを軽快に跳び、クロロの膝で丸まってしまった。
「……オレにどうしろと?」
自分の膝に乗るふわふわの黒い塊を指差して、無表情ながらも困惑しているようだ。
「動物の本もお読みでしょう?」
動物の扱い方ぐらいどこかで読んだことがありそうなものだ。
「……」
無言と無表情のダブルでゆっくりと丸まる背中に手を置くと、気持ち良さそうにもぞもぞと動く。これでいいのかと得心のいったクロロは、以前何処かで読み齧ったように手の平で背中を撫でると、クロロの手をフンフンと匂っては耳の後ろを擦り付けた。
「……」
思わずその光景をボーッと見てしまったセリトの行動は、予想外の出来事に驚いたからである。まさか目の前の男が動物を愛でるとは思っていなかった。
いや、先ほどの反応からして恐らく動物を撫でるなどといった行為は初めてなのであろうが、まさか自分の言葉を実行して兎を撫でるなど思っていなかったのだ。
命を簡単に奪うのに、セリトに自分自身を顧みろと言い、か弱い兎を優しく撫でている。
「ふっ」
思わず鼻息が漏れるが、口元を咄嗟に押さえて声は殺した。
肩は思いっきり揺れているが。
「……なんだ?」
セリトの様子に感づいたクロロは、撫でていた手を止めて顔どころか、身体を背けて俯きながら肩を揺らしているセリトへと声を掛けるが、返事はない。
必死に何かを堪えているような様子に、体調でも悪いのかと思うが、彼女が自分の前でそんな弱味を見せるとも思えない。
暫く肩口を震わせるセリトを眺めていると、俯き背けていた顔が露になる。
朝日の中真っ直ぐに向けられる瞳には、睫毛や瞳を濡らす、涙が浮かんでいた。
- Re: hunter×hunter お話が一段落つきました!! ( No.113 )
- 日時: 2010/12/08 20:07
- 名前: 魔堂 (ID: FLul5xpm)
こんばんは、魔堂です!!
やっとコメに来れました〜^^
hunter×hunterは自分も大好きです!!
特に好きなのがクラピカですね!!嫌いなのは…ピエロさんです;;
セリトさん格好いいですね!!
美人さんって憧れちゃいます^^
更新お疲れ様です!!
これからも頑張ってください!またきます♪
- Re: hunter×hunter お話が一段落つきました!! ( No.114 )
- 日時: 2010/12/09 21:17
- 名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)
笑いを堪能したにも拘わらず、まだ余韻の残るそれを引きずりながら、笑い過ぎて浮かんでしまった涙を指の背で拭った。
「あ、貴方が何かを愛でるなんて…」
また込み上げて来た笑いを飲み下すのに苦労する。
「それは心外だな」
そう言ってクロロはジャッカロープを持ち上げて、床へと下ろした。何処となく名残惜しそうだったジャカロープだが、仕方ないなとでも言うようにメドラーの居る厨房の方へと軽快な足取りで向かって行った。
「オレが“盗み”をするのはどうしてだと思う?」
立ち上がるクロロに笑いを引っ込めて、セリトはいきなり何を言い出すのかと目を眇める。
「さぁ?
貴方のことは私には関係ございませんので、返答しかねます」
テーブルを迂回してこちら側へと近づいてくる。
「愛でるためだよ。
こんな風にな」
セリトの背後に立ったクロロは、椅子の背とセリトの背中に腕を割り込ませ、セリトを両腕の間に挟むとテーブルのその手を突く。完全にクロロの腕の中に閉じ込められてしまったセリトは、行儀悪くセリトの服を捲って悪戯をし出したてを無視しながら、空気などお構い無しの発言をした。
「セイロンです」
「なんだ?」
首元に舌を這わせていたクロロは、突然のセリトの発言に訝しげに答える。
「あの子の名前です」
そう言ってセリトがチラリと遣った視線は、先程のジャッカロープの去っていった方向をクロロに伝えた。
「ジャッカロープの名前か?」
「他に心当たりでも?」
セリトはティーカップの傍にあった手をクロロの腕に絡めて自分の服の中から出させると、先程の意趣返しとばかりにクロロの耳の近くで甘えた声を出す。
「可愛がってやってくださいね」
そう甘く囁くと、クロロの耳朶を軽く噛む。
僅かに聞こえた低くくぐもった声にほくそ笑むと、閉じ込めていた腕から抜け出して、しなやかな動きで扉の前まで移動した。
「蝶なら喜んで可愛がるが?」
性懲りもなくそう言うクロロ。それにセリトは余裕の笑みで、
「標本になるのはご遠慮いたします」
そう言い放つと、扉をスルリと出て行った。
「……笑った姿は、初めて見たか?」
笑った顔は伏せてあったので笑顔は見ていない訳だが。
「(いや…、そうでもないか)」
あの受験生たちとは談笑していたようだったと思い至る。もちろんリュカたちのことだが、彼らに惜しみのない笑顔を見せていると思うと、僅かに面白くなくて、クロロは髪を掻き上げた。
「着替えるか」
自分がまだバスローブ姿な事を思い出して、今朝目覚めた部屋、つまり昨日寝たセリトの部屋のことだが、バスルームに服を放り出したままだったことに思い至った。
「面白い」
ニヤリと不敵な笑みは、圧倒的な存在感で蜘蛛を彩り、よりその黒は鮮やかになる。
- hunter×hunter 新章●第1話 ( No.115 )
- 日時: 2010/12/10 15:24
- 名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)
鮮やかな黒。訳が分からん。
はい、すみませんでした…
更新、したいと思います。
「あ、忘れてた…」
ラフな格好から普段着へと着替えている最中、セリトは思わずボソリと零した。
「メドラーも居るんだからちゃんと詳しいこと、聞いとけば良かった」
「はぁ」とため息を吐きながらシャツに袖を通す。落ち着いた深い緑のシャツに、灰色の柄の太いボーダーのカーディガン、際どい程に短くピッチリとした短パンは品のある黒で、膝上までの長いブーツにはフワフワのファーが付いている。頭には防寒用の白くふわふわとした帽子を被り、ベージュのロングコートを羽織る。
鏡で確認して向かった先は、セリトの部屋を追い出して用意したクロロの部屋だ。
向かう途中、クロロにコーヒーを運んだのか、カラカラとティーセットの乗ったワゴンを押して来るメドラーに、そのワゴンを片付けたらすぐにクロロの部屋へ来るように言いつける。
ヒールの音をコツコツと鳴らし、最後にカツンッと音を立ててクロロの部屋の前で立ち止まる。ノックをすると「どうぞ」と声が返ってきた。
「失礼しますよ」
部屋では、ジーンズにTシャツと言うラフな格好のクロロが、これまた寛ぎきってソファーの背に身体を預け、本を片手にコーヒーを楽しんでいた。
見覚えのある本に、ため息を吐く。
「その本は、うちの書庫のものですか?」
「メドラーに言ったら親切丁寧にお貸しくださったからな」
本からは相変わらず顔を上げないまま言うクロロの言葉に、先ほどのメドラーの曳いていたワゴンを思い出し、ソファーの脇に積まれた大量の書物を見て納得する。
「わざわざ運ばせてまでご入手になったところ、申し訳ないですけど」
そう言って近付いたセリトは、クロロの手から本を抜き取る。
「お散歩の時間です」
クロロを上から見下ろすセリトは、笑っていた。
「何で、私まで要るの?」
寒さや暑さをあまり感じないらしいメドラーは薄着で、寒い寒いとぼやくセリトとクロロに訝しげに問う。
「団長殿にご説明たまわろうと思ってね」
ブルリと身震いするセリト。
「何の事だ?」
クロロもポケットに手を突っ込んで出さないが、どうやら割かし平気な様子だ。
「“ソウビタユウ”のことです」
聞いたことのない名前にメドラーは二人の後ろで首を傾げるが、彼女の主人も勝手に上がり込んだ客も、気付いていない。
「またその話か」
ため息を吐くクロロは、ふと思った。
「(何で話したくないんだ?)」
セリトが知りたいと言うなら、話せばいい。大した手間でもない。ただ、何故か……
「(もうこれ以上、辛い思いをする必要もない。)」
「前回は手刀で眠らされてしまいましたからね」
厭味たっぷりにそう言うセリトに、クロロは苦笑する他ない。
「言っておくが、オレの知っていることはあのぐらいだ」
「確認をするだけです」
「あの、ちょっと待ってくださいって。
一体何の話なんです?」
それまで二人の会話を聞いていたが、どうにも話が掴めないので、メドラーは慌てて説明を要求した。
「ああ、ごめんね。
まだ言ってなかったし、確認も取るから、この機会にと思ってたの
私の、過去のことについて」
最後の一句で目の鋭さが増した主人の視線を受けて、メドラーがクロロへと視線を移す。
「オレは知っているだけだがな」
頷いたクロロは自分の吐く白い息を眺めて言った。
それで全てを悟ったメドラーは、話の本題を促すように黙って後ろに控えた。
サクサクと雪を踏みながら進んでいく。
「では、確認いたします。
私はラスベガルの稚児廓で働いていたんですね?」
「ああ」
「貴方が私を目撃したのは?」
「今から6年前だな。」
「今から6年…
セリトが12の時?」
メドラーが呟くと、セリトは間違いないかをクロロに問う。
「そんなものだったか?
年齢的には間違いないだろうが。
稚児廓に居られるのは……
確か13までだった筈だ」
セリトがネテロに保護された歳だ。
「……。
その店は…
その店は、今でもありますか?」
立ち止まって薄く積もった雪を見るセリトは、不安げに瞳を揺らした。
セリトよりも数歩進んだ先でその様子を見るクロロとメドラー。
クロロは恐らくと言って頷いた。
「行ってみるか?」
そのクロロの台詞にセリトは顔を上げるが、ふっと困ったような笑みを浮かべて、
「まだこれから仕事が控えていますから」
と力強く言った。
メドラーもクロロもセリトと同じ顔で笑った。
「仕事人間だな」
「それは同感だと思う」
セリトは満足した様に歩き出し、導く様に白い景色に飛ぶ蝶に、蜘蛛と獣は大人しく従った。
- Re: hunter×hunter 新章●第1話 ( No.116 )
- 日時: 2010/12/11 19:36
- 名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)
「で、これはドコへ向かっているんだ?」
訝しげに問うクロロの質問も尤もである。
話の確認だけなら外に出る必要も無い。
ひたすらに広大な庭と言う名の森を歩き、メドラーは目的地に気付いたようだった。
初めてこの家に上がり込んだクロロは、流石と言うべきか、普通驚く広すぎる敷地には驚いていない様子で、だがやはり目的地への見当はつかないようだ。
「もうすぐですよ」
木々の挟む狭い小道を歩いていると、突然木々が切れた。
いや、正確には、また向こうから続いている。
随分と遠くではあるが。
辺りを見回すと、左右や四方、何処を見ても木々はあった。ただ、地面が剥き出しになった広い空間を囲み、守るようにしてぐるりと円形の空間があった。
「……ここか?」
その空間に、なんとなく違和感を感じたクロロは、木の切れ目から動かず、数歩踏み出して此方を見ているセリトとメドラーに警戒の目を向けた。
「どうか?」
「ここは、なんだ」
眼光を鋭くしたクロロは、流石に迫力がある。その迫力を鼻で笑ったセリトを、空恐ろしいものでも見るような目のメドラーの視線は、至極当然のものではないだろうか。
「どうぞ、その剥き出しの警戒心はお片付けいただいて結構ですよ」
セリトがそう言って鼻で笑うと、何もない空間から、突然黒い塊が飛び出してきた。
「……」
クロロは余裕の表情でそれを避けると、後ろに飛んでいった塊を振り返る。
「またお前か……」
ため息を吐いて見下ろす先には、ジャッカロープのセイロンが居た。
だが、クロロは何もない空間から突然現れたセイロンを訝しく思う。再び向き直ると、そこには、巨大な温室があった。
「……何だ、これは……」
クロロの反応に満足そうに、セリトは笑いながら温室のセキュリティロックを認証している。
広大な森の、巨大な城。
セリトの所有地は、どれ程のものだろうか。
大きな街を丸ごと押さえたような広さだ。
そして、白亜の邸宅と、それよりも遥かに大きな温室。最早温室と呼んでいいような大きさではないが、形は、巨大なドームだ。
「こらっセイロン!!
勝手に離れてはいけないと、何度言ったら…」
たしなめるメドラーの言葉も聞かず、セイロンはクロロの肩に乗ってしまう。クロロは面倒臭そうにしながら、邪魔な角を横にずらせと軽く押すと、クロロは手に収まった物を見るや否や、一瞬動きが固まる。
「おい…」
「なんですか」
指紋照合を終えて、セリトが振り向くと、先ず最初に目に入ったのが固まったメドラーだ。
不審に思ってその視線の先を見て、セリトまでも驚愕に目を見張る。
全員が困惑する中、セイロンだけが嬉しそうにクロロの肩口に額を摺りついていた。
そう、角のない、額で。
「これは、抜けるものなのか?」
クロロは手の中に収まる、手触りのいい硬質な白い物に視線を落としながら、セリトとメドラーに問う。
何とも微妙な空気の中、チチチッとリスの様な鳴き声を零しながら、当のセイロンは、満足そうだ。
最早ただの兎になってしまったセイロンを見て、メドラーが呆然と呟きを零す。
「まさか、相手が…蜘蛛だとは……」
「それで、コイツが痛がっていないところを見ると抜けるもののようだが、何の意味があるんだ?」
「………」
セリトは仕舞いには顔を逸らして言い難そうにしている。
セイロンの、不自然に一本しかなかった角は、クロロの手の中に納まり、もう片方の角の行方は不明。
「もう一本の角は、主人が持ってますが…」
思わずと言ったようにそう言ったメドラーは、慌てて口元を押さえる。セリトも焦った様にメドラーの手の上から二重になって手を重ねた。
手の中の角を弄びながら、クロロはセリトへと近付いて行く。セリトの頬を角でペチペチと皮肉げに叩くと、セリトは引きつった笑いを浮かべる。
「もちろん、動物のことはご存知なんだろうな?」
クロロの言葉と、クロロの肩から期待に満ちた眼差しで見つめてくるセイロンの視線に負けて、セリトはメドラーの口元を開放した。
「ぷはっ
し、死ぬかと…」
まぁ、念獣は死なないのだが、苦しかったらしい。
セリトはそのままドアのロックを完全に開け、温室の中へと消えていってしまう。
クロロとメドラーは目配せをして、そのまま温室へと進んでいく。
セリトはどうやら、自分の口から説明を施すつもりはないらしい。
「えっと、ジャッカロープの角は、本来2本あるんです」
「ああ。コイツの額を見れば分かる」
セイロンの額には、不自然に左にだけ角が生えていた。右にも同じように生えていたと推測するのは難しくない。
「ジャカロープの角は、生涯に一度だけ、生え変わりの時期があるんです。
時期は個別に全く違い、生え変わらぬまま死ぬこともあるんだそうです。」
「条件は?」
「本来、ジャッカロープは友好的な生き物で、人間に拘わらず、どんな動物にも基本的に警戒心は抱きません。
そしてその角は、栄養や滋養効果が優れていて、よく捕食の対象になったそうです。
ですから、現存するジャッカロープは、確認できる限りでは、セイロンと、もう一匹、この温室で保護をしているものだけです」
「前置きも結構だが、条件はどうなんだ?」
「……人間や、どんな種族にも関わらず、主人を見つけること
ジャッカロープは別名、夫婦兎と言われています」
言い難そうに、メドラーは続ける。
「2回に分けて角が一本ずつ抜けて、生え変わる種と、一度で2本の角が抜ける種。この2つに分かれていまして、セイロンは前者の種ですね。
この2種がどのような法則に従って分けられているかは不明ですが…」
「その2度に渡って生え変わる方の種を、夫婦兎と?」
勘の鋭さも相まって、クロロはそう推測を立てたらしい。
「仰るとおりです…
夫婦兎は、主人を二人、見つけます。
それは必ず同じ種族で。
同じ兎から角を託された二人は、まぁ…はい」
濁した部分だが、なんとなく想像は出来る。
「夫婦の絆で結ばれる。幸せになれる。強い絆で、以下略。
まぁそんなところだろう」
さらりと言ったクロロの顔は、当然面白そうに笑っていたとか、いなかったとか。
それを見たメドラーの表情は、ご想像にお任せでしょう?
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