二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

hunter×hunter 絵なんか描いちゃったり…
日時: 2011/01/05 00:44
名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=18644

オリキャラ主人公の小説です。
気まぐれ更新です(´・ω・`)
ネタバレ要素含む割に、原作&キャラガン無視です。
キャラ崩壊が凄まじいです。
旅団ヒイキなので、原作ではメインのキャラが脇に出てくるかこないかぐらいの頻度でしか登場しません・゜・(ノД`;)
後、他の作者さんの作品に登場するキャラクターたちが出演します。【颯様=リュカ&イール(戒魔様原案)&マダラ】などとなります。ハンター×ハンターの二次小説のキャラクターです。(颯様の作品へは、上記の参照URLからどうぞ♪)
承諾してくださる心の広ぉ〜〜〜〜〜い方、どうぞご覧になってやってくださいませ(´・Д・`)ノ))

第1話◆蝶と蜘蛛
第2話◇青いビロード
第3話◆蜘蛛の手足
第4話◇蝶への依頼
 ☆おまけ☆
第5話◆青い蝶【颯様のオリジナル主人公が登場いたします】
第6話◇道化と霧の惑い
第7話◆抱えゆくもの
 ★お知らせ★
第8話◇白い札
第9話◆悲しみの意味
第10話◇蜘蛛の灯

第4話のタイトルアイディア★颯様( ´艸`)★。、


>>新章<<
 第1話●羽ばたき【前編】
 第2話○幻想世界
 第3話●羽ばたき【後編】


ёキャラ解説ё

【名前】
セリト=フリティラリア

【身長】
167㎝

【体重】
50kg

【年齢】
18歳

【性格】
冷静
優しい
物怖じしない
弱い自分は許せない

【体型】
細身のくせに出るトコ出てやがる

【容姿】
黒髪ロングのストレートで、具体的な長さは腰ぐらいまで。
目は、ブルー&バイオレットのオッドアイ(虹彩異色症)

【特徴】
左胸に、蝶の刺青
際立つ美貌ヽ(・∀・ )ノ キャッ キャッ

【戦闘】
体術&ナイフ
必要があれば銃も使える。
戦闘力は、クロロより僅かに劣るレベル

【職業】
表稼業・珍獣ハンター
裏稼業・よろず請け負い屋

【特技】
体術
医術


【念能力】
女神の祝奏めがみのしゅくそう
ヴィーナスパフォーマンス
 傷を癒す。
 能力者及び、周囲の傷を負った者の傷を癒す。
 欠陥した部位(千切れた腕)なども、対象者の細胞を糧とし、増幅して再生する。
 しかし、能力者が直すことを望んでいなければ発動できない。(この能力を強制させることはできない)
 また、疲労が激しく連発しては使えない。 

悪魔の慈愛
デビルズアフェクション
 念の影響、念による傷などを、他者へ移す事ができる。
 能力者以外にも使用可能。
 代償として、召喚された悪魔への口付けが要求される。

自然の祝福
エレメントブレッシング
 四大元素(火・水・風・土)の精霊を、念で具現化する。
 具現化された精霊は、能力者の望みに準じて力を貸してくれる。
 ただ、集中時間を消費する。

念獣
自然の祝福で力を貸してくれる精霊、及び、除念の出来る念獣、メドラーを呼び出すことができる。

メドラー
常に召喚しておける念獣。除念ができる。召喚する際に労力を消費するが、それ以降(召喚後)の疲労はない。馬となり移動をスムーズにしてくれ、狼となり戦闘の補助をしてくれる。



説明、以上となります。
大変長々しく失礼致しました。
 PS コメントなどいただけたら大変嬉し…((殴
   失礼しました+。・(Pд`。q)゜。+   


コメントなどの返信は、コメントして下さった方のスレに、直接返させていただいております(´・ω・`)
スレを持ってらっしゃらない方への返信は、自スレでさせていただきます( ´艸`)★。、

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Re: hunter×hunter 新章●第3話 ( No.122 )
日時: 2010/12/21 05:08
名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)

「さて、行きますか」

 よいしょ、と言う声と共に大きなリュックを背負うと、セリトは自分の部屋から廊下へと踏み出す。
 数を絶やしてしまったポリカ族の話を聞いた後、そのまま温室を歩く気分にもなれずに、生活住居へと戻り翌日を迎えた。そろそろ蜘蛛のアジトへと出発しなければならなくなり、試験から離脱後約2日をセリト宅で過ごして、荷物をまとめるとすぐさま出発となった。

「セイロン…」

 クロロの部屋へと廊下を歩んでいると、セイロンがまるで待っていたと言うように座っていた。

「連れては行けないよ?」

 セイロンを抱き上げて顔の前まで持ってくると、セイロンの目は何も語らず、セリトを見返すだけだ。セリトは苦笑して腕の中に収めると、大人しく目を閉じて気持ち良さそうにしている。
 クロロの部屋に行くつもりだったのだろう。何せセイロンの主はセリトとクロロの2人なのだから。

「セイロン、夫婦兎めおとうさぎは同じ種族で主人を2人選ぶんだよ?」

 名前を呼ばれて、小さな身体が反応する。セリトを見上げると、続きの言葉を待って鼻を可愛らしげにくんくんと動かした。

「蜘蛛と蝶じゃ、天敵同士だからね」

 そっと見遣ると、小さな生き物の不安げな瞳の揺らぎを見つけてしまう。
——何か、間違った?——
 そう問いかける視線に、セリトは慌てて頭を撫でる。

「ううん、大丈夫。
 大丈夫だから…」

 消え入りそうな声は、自分を狙っていた蜘蛛のアジトへ行くからだと誤魔化して、クロロの部屋までたどり着くとノックをしてドアノブを捻る。

「準備はできたようだな」

 セリトがドアを開けると、クロロはそれまで読んでいた本を閉じてコートのポケットへと仕舞う。その今しがた仕舞われた本はセリトの物だが、何を言っても無駄なことは、この数日間で嫌と言うほどに分かったのでもう何も言わなかった。
 それまで腕の中で大人しくしていたセイロンは、クロロの姿を見るなりセリトの腕から跳び出して行く。クロロの座るソファーまで駆け寄ると、早くセリトも来いと言わんばかりに振り向いてセリトを見ている。
 仕方ないと諦めてクロロの傍まで寄ると、丁度ドアがノックされる。2度の軽い音が終わると、数秒の間を置いて、サンドイッチなど簡単な軽食を乗せたワゴンを押すメドラーが顔を覗かせる。

「出発前に、簡単な食事でもと思ったんですが」

「ありがとう、戴くわ」

 セイロンを抱き上げながらセリトが告げると、3人分の食器が並べられていく。1つだけ規格外な皿が置いてあるのは、もちろんメドラーの分である。

「セイロンは、コレね」

 そう言ってメドラーは床にフルーツの乗った皿を置く。ジャッカロープは、どうやらフルーツしか食べないらしい。置かれた皿には、瑞々しい桃と、歯ごたえのシャキシャキした梨が盛られていて、美味しそうだ。
 ソファーの前の脚の低いテーブルに並べられていく料理の、メインであるサンドイッチが置かれると、3人手を合わせて食べ始める。それまで皿の前でウズウズしながら辛抱していたセイロンも、幸せそうに梨をシャクシャクと租借した。
 いただきます。
 その一言はなくて、一瞬静かに目を閉じる。神聖にさえ思える一瞬の静寂を経て、いつも食事は始まる。
 セリトもクロロも、その習慣は同じで、なんとなく似ている様な気もしながら最後の一口を口に入れる。
 サンドイッチといっても惜しげなく使われている具は美味で、パンももっちりなのにふわふわで食べ応えもある。いつもの食事のように満足して一息つくと、デザートにフォンダンショコラがワゴンの二段目の積まれた鉄製の箱から取り出されて、セリトとメドラーの前に置かれる。クロロの前にはコーヒーが置かれて、食後のティータイムへと移り変わる。
 セリトが口にフォークを運んでいると、ソファーに少しの距離を開けて座るセリトとクロロの間を埋めるようにして、黒い塊が満足そうに蹲る。
 床は大理石なので冷たかったのだろう、クロロとセリトの脚に挟まれて暖かそうだ。

「気をつけて」

 微笑ましい気持ちでセイロンを見ていると、テーブルの向こう側からメドラーが心配そうに声をかけてくる。

「大丈夫、そんなに大きな仕事じゃない」

 セリトはメドラーにそう言うが、どこかやはり納得仕切れない様子で、フォークを口に運んでいる。
 今回メドラーは同行しない。温室の管理をする為だ。
 餌は1か月分程度のストックを置いておける施設があるため、2週間の試験には一緒に行けたのだが、今回は一緒には行けない。いつ終わるとも知れない仕事なのだ。
 今までは温室がなかったので管理する必要もなかった訳だが、こればかりは仕方が無い。
 幸いどれだけ距離を挟んでも、メドラーとは連絡が取れるし、大丈夫だろうと踏んだ訳なのだが、セリトから離れたことのないメドラーは、己がと言うより、やはり主人が心配らしい。

「保障しよう」

 そう言うクロロに、メドラーもセリトも視線を向ける。

「身の安全は、オレが保障する」

 真剣な眼差しに、セリトは驚き、メドラーはやっと安心して、朝食を終えた。
 そのまま玄関へと向かって、新鮮な朝の空気を吸う。雪が薄く積もっているが、空は明るい。ふっと笑うと、後ろに控えるメドラーを振り返る。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 お互い笑って挨拶をして、微笑んでしばしの別れに備える。
 行ってきます。その言葉に続くのは、行ってらっしゃい。必ずその言葉が繋がる約束として、こんな習慣があるのだ。昔からある習慣。それには全て意味がある。
 何気ない一つ一つに願いが篭って、約束と言う絆に変わり、絆を守るためにそれは大きな感情となって人を動かす。
 2人を見守るクロロもまた、その願いに触れて、セリトを守る約束を果たそうと感情が生まれる。
 爽やかな別れを終えて歩き出す。
 隣には蜘蛛。
 蜘蛛と蝶の旅。
 どうなるのかは、また今度。








よしっ
更新したぞ!!
一回消えてしまって、保存もしていなかったものですからやる気がおきn((言い訳すんな
はい、ごめんなさい(´・ω・`)

えっと、エピソードの題名を変更します( ゜Д゜)
まぁあんまり題名って見ないし、どうでもええがな
と言う感じですね。
既に掲載してしまっているので、一応報告でございます。

第1話●羽ばたき

が、

第1話●羽ばたき【前編】

になります。
ほっとんどかわらないんですけどね∑d(゜∀゜d)
では、ここまで読んでくださり、ありがとうございました ( ´艸`)★。、

Re: hunter×hunter 新章●第3話 ( No.123 )
日時: 2010/12/21 23:28
名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)

「………」

「………」

 なんとも微妙な空気は、暖かい暖房の利いた個室で柔らかな日差しを受けながら、悠々と列車に揺られている時のことだ。

チチッ

 リスの様な鳴き声は、セリトの膝の上からのもの。
 出発後約30分。
 柔らかな冬の日差しに包まれて、心地よい列車の揺れに身を任せ、うとつき始めた午前10時。一つ目の、問題発生。

「……セイロン?」

 お馴染みの黒い塊を発見したのはついさっき、列車に乗り込んで個室に移動し、荷物を下ろした時の事だ。聞き覚えのあるリスの様な鳴き声が聞こえて、嫌な予感と共に荷物を解くと、他の荷物に押されてヘロヘロになったセイロンが顔を覗かせたのだ。
 思わず抱き上げて膝に乗せてみるが、どうすることもなく沈黙が流れる。

[セリト!!]

 突然頭に響いた声は焦ってはいるが、メドラーのものだ。

「どうしたの?」

[セイロンが!!]

「それなら安心して(?)何でかここに居る」

 安心していいのかどうか微妙な状況に、いささか疑問形で終わるものの、セイロンの居所は主人であるセリトとクロロの傍だ。

[えっいつの間に…]

 呆然とした響きに苦笑する他ない。

「さぁ…
 仕方ないし、一度戻るよ」

[……………]

 セリトの台詞を聞いて、メドラーは沈黙する。

「メドラー?」

[……いや、多分大丈夫かな。
 ピコラが居るから、何とかなると思う]

 ピコラとは、もう一匹のジャッカロープだ。セイロンとも仲が良く、雌雄で丁度いいしくっつけばいいと常々思っている。ピコラは既に主を見つけていて、角は生え変わっていた。主への執着心は個々で異なるらしく、ピコラは執着心も薄い方で夫婦兎でもない為、あまり気にはしていないようだった。

「ピコラ?」

 何故そこでピコラの名前が出てくるのかが、甚だ謎である。

[セイロンと、つがいになったから使えるんだって。力]

 何とはなしに虚脱感を覚え、セリトはガクリと項垂れる。

「いつの間につがいになんてなったの……」

 なって欲しい、なればいいなとは思っていたが、嵌められた気がしてならない。膝の上で蹲るセイロンを見ると、無垢な瞳に見つめられて、もうセリトは諦めるしかなかった。

「……問題はないのね?」

[うん、大丈夫]

「はぁ…
 分かった。何かあったら連絡して」

[了解、気をつけて]

 承諾してコンタクトを終える。全く、困ったものだ。

「何と言ってたんだ?」

 そう声を掛けられてクロロを見ると、本を開いて目を落としていた。

「(酔わないの…?)
 このままで大丈夫だって。
 遅れる心配はご無用」

 乗り物の中、文字などを見ていると酔わない人間でも酔ったりするものなのだが、どうやら平気な様で、「そうか」と一言落とすと、本に没頭し始めてしまう。
 そんなに面白い本なのかと本の表紙を読めば「文字の芸術と料理の関係性とシンメトリー」と長ったらしく書いてあった。

「(意味が分からない…)」

 文字の芸術?
 まぁ、ロゴや字体は豊富にあるし、これは分からないことはない。だが、それと料理が結びつかない。しかもその上シンメトリーときたものだ。

「(何処が左右対称なんだか)」

 考えても無駄かと放棄して、セリトはセリトで別口の情報収集の書類整理に掛かる。そして没頭する癖が出て、いつの間にか時間を忘れるのだった。



「ふぅ…。」

 クロロは満足げに本を閉じる。知識を吸収したと言う満足感と、集中した後の心地よい僅かな疲労感に包まれて視線を上げると、幻想的な場面を目にする。
 もう辺りは闇に包まれているが、暖房の利いた列車内は暖かい。走る列車に、注ぐ月明かりは途切れ途切れで、ちらちらと映る目の前の光景に、クロロは先程の本など遥かに凌駕する満足感を得た。

「まるで幻みたいだな」

 そう一人ごちるクロロの足元で、ごそごそと何かが動いた。視線を落とすと、そこには闇に幻想的に光る金の瞳が二つ、低い位置からクロロを見上げていた。
 扱いに慣れていないクロロは、慎重にそっとその瞳の正体を抱き上げると、先程見惚れた光景を見せてやるように、自分とは反対の方向へと向けてセイロンを膝に下ろした。

「お前の主人は、美しいな」

 反対側に向かい合わせである光景は、静かに眠るセリトの姿だった。
 膝や足元に紙が散らばっているところを見ると、どうやら書類の整理でもしていたらしい。

「仕事のし過ぎだな」

 苦笑を漏らすと、手を伸ばして顔に掛かった髪をそっと払う。
 髪は月明かりに煌めき、端整な顔の形に影を落とす長い睫毛が美しく、僅かに開いている口が艶めかしい。
 だがしかし、クロロはそれ以上触れなかった。
 神聖にさえ思えるその美貌に触れるのは、例えそれが自分であっても許せなかった。
 ガラクタの寄せ集めの中、出来損ないの仲間を寄せて、強がって、いつの間にか、本当の孤独を手に入れた。
 奪われてばかりだった。理不尽に、力のない自分たちは、奪われてばかりで、どうすることもできなくて。
 ただ、最初は欲しかった…
 奪って、奪って、奪って、奪って…
 孤独なことは一緒だが、彼女は常に誇り高く生きてきた。
 自分が安いプライドで生きてきたとは言わない。だが、彼女は希望だ。
 罠を張って待つだけの蜘蛛とは違う。
 自らの翼で、懸命に羽ばたいて欲しいものを掴んでいく。
 彼女は、それを惜しげもなく他者に与えるのだ。
 成功率100%の呼び名は高く、膨大な金が動く。その金に執着することもないのに、依頼料が莫大な訳。
 ハンターのセリト=フリティラリアが有名な理由。
 その二つは繋がって、セリトを英雄へと昇華させた。
 民衆への、多額の寄付。その額は、5つの国が建国出来ると言われている。そして、手元に置いてあった財産の殆どを、温室の増設に当てたのだろう。維持費などのことを考えれば、まだそれなりに蓄えはある筈だが、自分の為に使った金は、如何程のものだろうか。

「セイロン、お前、とんでもない間違いを犯したかもしれないな」

 もう一人の主人にも言われた様な台詞を聞いて、セイロンは静かにクロロを見上げる。

「奪うものと与えるものでは、見ている景色から違うだろうな」

 列車の車輪の音に巻き込まれていった呟きは、小さな兎の心にだけ、記憶された。

クリスマスネタ 1 ( No.124 )
日時: 2010/12/25 01:36
名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)

一人身で寂しいのでクリスマスをしてみた(´・ω・`)
(えっと、蜘蛛とすごしてますよ)








「セリト、アンタ食べてないじゃないか」

「いや、食べてるって
 大丈夫だから。
 ほら、マチそれならヒソカの方が食べてないって」

「いや、アイツはむしろ食べないほうがいいんだけどさ」

 青い髪の美少女、マチと会話を交わすセリトの状況は、蜘蛛全員の集合と言う奇妙な人間たちに囲まれた、豪華な食事だった。
 冬のイベント、クリスマス。その前夜のクリスマスイブの夜。
 キリストが生まれたとされる日を翌日に控え、人々は寄り集まって幸せな一時を過ごす。全ての人間が暖かくは居られないが、セリトはコンクリートがむき出しになった廃墟で、聖なる前夜を迎えていた。
 狐色に焼かれ香ばしい匂いをたてる七面鳥、暖かいコーンスープ、ホクホクとしたハッシュドポテトに、色とりどりの野菜が使われ目にも楽しいピラフ、いろいろな品々が美味しそうに食卓に並んでいた。

「あー、食った食った。
 コレで酒もたらふく飲めるってもんだよな」

 大きな巨体のウヴォーギンが多くの料理をあらかた食べ終えると、その他のメンバーもナイフやフォークを置いて一息つく。
 パクノダが食器を片付け始め、セリトもそれを手伝う。キッチンへと運ぶとマチが待機していて、皿を洗う。運んで洗ってを繰り返して、おおかたの皿を下げ終えると、今度はまた皿を人数分並べていく。
 全員の皿をセリトが並べ終えると、パクノダがフォークを持ってきて、マチがワゴンを引いてくる。ただ、そのワゴンの上には巨大なものが乗っていて、高さもあるそれは思いっきり不安定だ。

「おおっ
 今年のはデケェな」

「コリャ食い応えがあるぜ」

 ノブナガに賛同するウヴォーギンに、またフィンクスも頷く。

「食べれるかな…」

「……多分」

 心配そうに呟くコルトピにはボノレノフが答え、「何でそんなに大量に買て(買って)きたね」とフェイタンが溜息を吐く。

「あれ、それってセリトが作ったんじゃなかったっけ?」

「「「ああ!?マジかよっ」」」

 シャルナークの言葉に、ノブナガ、ウヴォーギン、フィンクスが驚きに声を揃える。

「すごいね」

 平坦なシズクの言葉に少し照れくさくなりながら「ありがとう」と答え、フェイタンも素直に凄いと褒める。

「あれ★でもキミって、料理は出来ないって言ってなかったっけ?」

「できませんよ。
 メドラーからレシピを聞いたので、その通りに作ってみただけです」

「「「「(それって、出来ないとは言わないんじゃ……)」」」」

 皆そう思うが、セリトが頑固なのは承知の上なので、誰もそれを口には出さなかった。

「まぁいいさ。
 じゃあ切るよ」

 そう言うマチの手には、ナイフも包丁も握られていない。あるのはマチの十八番の念糸だ。下手な刃物よりもよく切れるし、ケーキなど、柔らかいものを形を崩さずに切りたい時は、糸の方がきれいに切れるのだ。

「なーんかクリスマスって感じだね」

「いいじゃねーか!」

「いつぶりだよ、こんなの」

「いつぶりも何も、過去にこんなことあたか?」

「オレの国はクリスマスなんかなかったぜ
 仏教の国だからな。ジャポンは」

「はい、切れたよ
 セリト、アンタ選びなよ。
 アンタが作ったんだ」

「私はいいよ?」

「ほら、いいから選びなって」

 マチにそう言われ、セイロンにケーキを切るときに落ちたイチゴを
あげていた手を止めて、どれも一緒だろうと思いながらもある一つを選んだ。

「それでいいの?」


 パクノダの問われてコクリと頷くと、次々にケーキが行き渡って行く。キレイにケーキが並ぶと、マチが改めて乾杯の声を上げる。

「じゃ、改めて、メリークリスマス!!」

「「「「乾杯っ」」」」

 シャンパンを乾杯して、それぞれケーキや酒に手を伸ばす。
 旨い旨いと言う声にほっとして、セリトもケーキにフォークを刺す。普通のイチゴショートケーキだが、材料は全てメドラーの指定のものを使ったから、随分と深みのある味になっていた。
 どんどんと食べ進んでいくと、パクノダに声を掛けられる。

「あら、セリト苺が好きなの?」

 ショートケーキを食べ終えた皿に、ちょこんと赤く瑞々しい果物が乗っている。最後に残された苺を見て、パクノダはセリトが密かに楽しみに取っておいた苺を見て、そうなのかと問いかけてくる。

「まぁ、好きだけど」

 そう言いながら苺を口に含み、租借する。粒粒とした食感と、ジューシーで甘酸っぱい果汁は、セリトも好きだ。
 すると、今の今までだんまりだったクロロが、突然口を開いた。

「苺か…」

 ボソリと呟いたクロロに、その場に居た全員が視線を向けるが、クロロは手付かずだったケーキに手を伸ばして食べ始める。何も言わないクロロに、団員ははてなを浮かばせるが、そのうちまた話題が飛び交う。
 話題は尽きることがなく、結局その後宴会となりてんやわんやの騒ぎになって、寝付いたのは空が紫に明るんだ頃だった。

クリスマスネタ 2 ( No.125 )
日時: 2010/12/25 02:44
名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)

「……」

 相変わらず寝起きの悪いセリトは、30分程をベッドでボーっとして過ごすと、顔を洗って歯を磨いた。

「(そう言えば、今日は忍び込んでないな)」

 いつの間にか起きるとベッドに潜り込んでいる不届き者は、もちろんクロロのことだ。だが、今日は姿が見えない。仕事の日なんかはさすがに自分の部屋で寝たりするのだから、今日も別に何か用事があったか、先に起き出していたんだろうと片付けて、セリトはうがいをする。歯磨き粉をよく濯ぐと、服を着替えて1階へと降りる。

「おはよう」

「今日も相変わらず遅いわね」

 マチにおはようと返して、パクノダには苦笑で答える。
 他のメンバーは既に食べ終えているのだろう。マチとパクノダが食器を棚に片付けている最中だった。

「サラダとトーストだよ。
 焼くからちょっと待ってな」

 そう言って踵を返そうとするマチを引き止める。

「あ、いいいい。自分でやるからっ」

 わざわざマチを使わせるつもりなどないので、パクノダからパンを受け取ってトースターで焼く。
 すると、キッチンの向こうから凄い声が聞こえてきた。

「うわっ 
 団長、コレ何さ!!?」

「え、どうしたの…
 うわ…どうしたんですか、これ」

「何だ何だ、何か面白いことか?」

「どうしたの?」

「シャル、ノブナガ」

「パク、どうしたの?
 これ」

「いや、私も今見たとこなのよ」

「団長、どうしたのさ、コレ」

「何ね、騒がしいよ」

「フェイタンか。
 集まってくるな」

「当たり前ですよ。
 二日酔いのウヴォーとフランクリンは来ないでしょうけど」

「他のやつらはどうした?」

「ボノとコルトピとフランクリンは二日酔いの薬を買いに行ったよ」

「いつの間に行かせたのさ」

「さっきかな」

「……セリトですか?」

 キョロキョロとしていたクロロに、パクノダが問いかける。
 トースターの前で話を聞いていたセリトは、自分の名前が出てきてキッチンから出て行く。

「なにか?」

 そう言って一番に起こした行動は、目を瞠ることだった。
 赤、赤、赤っ
 クロロより後ろの背景が、全て真っ赤に染まっていた。
 いや、正確には、赤い粒の、塊。
 逆三角形のフォルムに、ツンツンと反り返った緑の頭、小さなつぶつぶに、艶やかなその赤。
 その名もまさしく!!!

「……いちご?」

 ポカーンと口を薄く半開きにして、セリトはその正体を呟く。
 そう、クロロの背後に箱で積まれた大量の赤い物体は、苺だった。

「ああ。
 クリスマスプレゼントだな」

 そう言われて、恐る恐る近づいてみると、甘酸っぱい匂いが漂ってくる。
 手にとって、まさしく本物の苺だと確かめると、セリトは「何で苺?」と疑問符を浮かべるが、背後ではわいわいとクロロの行動について論議している。

「いや、これはちょっと、やりすぎなんじゃ…」

「オレもそう思うかな…」

「いやぁ、にしてもこんな大量の苺、どっから持ってきたんだ?」

「どのぐらいあるね?」

「大型トラック3台分くらいだな」

「なんていうか、スケールが違うんだよね。
 団長のやることは」

 関係者であるセリトを置き去りにして、後ろの会話は弾むばかりだ。
 何かが触る足元の感覚に、半ばボーっとしながらセリトは心ここに在らずといった様子で視線を下げる。
 すると、口の周りに苺のかすを大量に付けたセイロンが座っていた。見上げて来るセイロンによると、どうやら昨晩セリトが苺が好きだと行ったことが原因だったらしい。
 クリスマスに何をやればいいのかわからないと言っていたそうで、苺を買うならフルーツにはうるさいセイロンが選別を手伝ったそうだ。
 この大量の苺を、あの一言で購入してきたらしい。
 セリトは思わず、周り蹴りを繰り出す。

「「うわっ」」

「何ねっ?」

「どうしたの、セリトっ」

「何さいきなり!!」

「や、」

「「「「……や?」」」」

「や…っ」

「「「「や?」」」」

「やりすぎでしょうが!!!」

 セリトはクロロを思い切り叱る。

「あー、うん。
 確かにそうなんだよね」

 マチの同意に、全員うんうんと頷く。

「なっ」

「返してきてください!!
 お金も返金してもらうんですよ!!!」

 その後嫌がるクロロを思い切り押さえつけ、金銭感覚について延々と語り続け、挙句の果てにはアジトから放る。
 クロロは寒そうにコートのポケットに手を突っ込み、苺の箱を追いかけて外に出ていたセイロンに話しかける。

「何でだ?」

 寒い北風に言葉は浚われて、虚しく響く台詞。クロロ=ルシルフル、幻影旅団団長の一言。






コンコンッ

「どうぞ。」

 部屋で本を読んでいると部屋をノックされる。暖かい暖炉の灯される部屋に覗いたのは、シャルナークだった。

「メリークリスマス、セリト」

 そう言うシャルナークに、セリトも笑顔で返す。

「メリークリスマス、シャル」

「あのさ、団長のことなんだけど・・・」

 そう言ったシャルは、セリトが「座って」とソファーを勧めると、「ありがとう」と礼を言って腰掛ける。

「悪気はさ、ないと思うんだ。
 オレたちもあんな団長を見るのは初めてで、セリトがきてから団長を身近に感じるんだ」

 そこまで言い終えると、慌ててシャルナークは両手を振る。

「いや、必要な人だとは思ってたよ?
 でも、やっぱりリーダー、だったんだよね。
 なんか、セリトがきてから感情がよく見えるようになったって言うのかな…人間味が増したって言うか……。
 とにかくさ、今日の事も、きっと喜ばせたかっただけだと思うんだ!!」

 シャルナークの必死さが伝わってきて、セリトは笑顔になる。

「うん、分かってるよ。
 それと、さっきから隠してるものは何?」

 シャルナークの胸ポケットに入っているものを、セリトは指差す。ちちらちらと目がいっているので、何を隠しているのかと問うたのだ。

「あれ、やっぱりばれちゃったか」

 苦笑しながら胸ポケットから小さなものを取り出す。

「……ジャム?
 随分小さいビンに入ってるけど……」

 シャルナークの取り出したものは、人差し指ほどの大きさと細さの小瓶に入った赤く透明な液体だった。

「作ってみたんだ。
 香水だよ、苺の香りの」

「凄い、器用ね…」

 香水を受け取って蓋を開けると、ふわりと苺の瑞々しい香りが鼻腔を擽る。そのまま苺を絞ったような香りに、セリトは笑顔で礼を言って、シャルナークもおやすみと言って部屋を出て行った。
 思いがけない贈り物に、セリトは笑顔になるのだった。



Re: hunter×hunter 新章●第3話 ( No.126 )
日時: 2010/12/25 03:11
名前: びたみん (ID: J7cEmcFH)

 部屋をノックしても、返事は返ってこない。
 構わず部屋を開けると、やはり部屋の主は部屋に居た。
 本を広げながら、ソファーの背もたれに気だるげに背を預けていた。膝の上はもう定位置らしく、セイロンは眠そうに丸まっていた。
 セリトは背もたれに腰掛け、丁度太腿の横にある顔を眺める。無表情で居るが、やはり顔の整った男だなと思う。
 髪を触るが反応しないので、そのまま髪を梳く。いつも後ろに流していて良く分からないが、髪質自体は柔らかくて、さらさらとしている。

「ご機嫌斜め?」

「お陰様でな
 まさかクリスマスに八百屋を駆けずり回るとは思ってなかったよ」

 肩を竦めるクロロにセリトは「やりすぎですから」とそこはゆずらない。

「それで?
 ご機嫌伺いにでも来てくれたのかな?」

 本から視線を離さないままのクロロの前に回って、セリトは持っていたものを口に含む。
 クロロの本をクロロの顔の前から離すと、クロロの唇の温かさを味わう。軽く触れるだけのキスだが、いつもはしない行動にクロロは戸惑っていたようで、いつものように強引なキスには中々発展しない。
 やっといつもの調子が出てきたのか、いつものごとく舌が進入を試みる。その途端セリトはニヤリと笑って、目的を遂行した。

「っ?!」

 クロロは驚いたように口を引こうとするが、セリトがガシリと後頭を押さえているのでそうそう離す事はできない。
 満足したセリトは顔を離し、クロロの喉が動くのを見届けると今度は頬にキスを落として悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「メリークリスマス」

 クロロは呆然とセリトが部屋を出て行くまでを眺めていたが、もぞもぞと膝の上で動くメドラーの存在に気付き、我に返る。

「……この味、苺ジャムか?」

 もう呑んでしまったが、口の中に残っていた甘味は馴染みのあるものだった。

「クックハハハハッ」

 込み上げて来た笑いを抑えることが出来ず、思い切り笑ってしまう。
 してやられた、と思った。

「クックック……
 面白い」

 自分をとことん楽しませてくれる。

「最高のプレゼントだな」

 まさか自分の贈り物をプレゼントされるとは、予想外のクリスマスだ。

「まぁ、悪くない」

 ふっと微笑む顔は、どこか満足げで、この聖なる日に、相応しく幸福に満ちていた。







+。・.゜Happy Mary Christmas!!゜。・+ 


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