二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 銀魂 【江戸炎上編】
- 日時: 2010/11/02 23:10
- 名前: 灰色の空 ◆zbc0mftbJU (ID: ObYAgmLo)
初めまして灰色の空です
つい最近久しぶりに銀魂を見て銀魂の小説書いてみたいなって思いました
初心者でしかも記憶があいまいな所もあって間違いが生じるかもしれませんので、おかしな所を見つけたら教えてやって下さい
注意!
グロイ描写あります
パクリとかでます
銀魂の小説です
ギャグ下手です
宜しくお願いします!
***
プロローグ ≫No.2
第1章 万事屋
≫No.3
≫No.4
≫No.9
≫No.31
第2章 「灰雷」
≫ No.34
≫ No.37
≫ No.38
≫ No.39
≫ No.46
≫ No.47
≫ No.48
≫ No.50
≫ No.52
≫ No.53
第3章 神楽
≫ No.54
≫ No.56
≫ No.57
≫ No.58
≫ No.59
≫ No.60
≫ No.61
***
第1訓【冷蔵庫の中身はちゃんと確認すること】
≫ No.65
第2訓【母と子の絆の間に幽霊も人間もクソもねェ!前編】
≫ No.66
第3訓【母と子の絆の間に幽霊も人間もクソもねェ!中編】
≫ No.67
第4訓【母と子の絆の間に幽霊も人間もクソもねェ!後編】
≫ No.68
【銀時編】
第5訓【夜に町歩く描写は何かある前触れ】
≫ No.69
第6訓【地図は下手くそが描くとアートに見える】
≫ No.70
第7訓【一度言ったらやりぬき通せ!】
≫ No.71
第8訓【ピンチに駆けつけてくれる友を持て!】
≫ No.72
第9訓【助けてもらったらお礼を言いましょう】
≫ No.73
第10訓【背中の大きい大人になれ!】
≫ No.74
第11訓【苦しみを分かち合えるのが親友、家族】
≫ No.77
第12訓【オレは気にせず先へ行けって死亡フラグ?】
≫ No.78
第13訓【諦めたら全部終了】
≫ No.81
第14訓【敵はパワーアップするとたまにわけのわからない生物になることも】
≫ No.82
第15訓【傘は雨を防ぐために使いましょう】
≫ No.83
第16訓【常に相手の二手三手先を行く】
≫ No.84
第17訓【人は見かけによらない】
≫ No.85
第18訓【人は誰でもかけがえのない宝を持ってる】前編
≫ No.86
第19訓【人は誰でもかけがえのない宝を持ってる】後編
≫ No.87
***
第20訓【記憶障害で都合の悪い記憶だけ消しておきたい】
≫ No.90
第21訓【ペットは飼い主の心を癒す】
≫ No.92
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- Re: 銀魂【灰色ノ恋】 完結 ( No.65 )
- 日時: 2010/10/03 22:45
- 名前: 灰色の空 ◆zbc0mftbJU (ID: zdDXpDJz)
第1訓【冷蔵庫の中身はちゃんと確認すること】
日の照った猛暑日。銀時のイライラゲージもついに限界を迎えた。
「この野郎、太陽!! アチィんだよ!! そっから降りて来い!! 今すぐオレが成敗してやらァ!!」
太陽に向かって叫ぶ銀時。もちろん太陽は降りてくるわけもなく、銀時はソファにばったりと倒れ、ゼェゼェと息を切らせながら団扇で仰ぐ。
すると、誰かが部屋に入ってくる気配を感じる。
「あー……銀さんまただらだらして。 全国の子供達に悪影響を及ぼすだけですよ!?」
新八だった。買い物袋を手に提げている彼はもう一方の手でアイスを持ち、口に入れようとしていた。
「おい新八!! テメエ一人で何良いもん食ってんだよ!? オレにもよこせェ!!」
恐ろしい形相でにらむ銀時。その時、今度は神楽が部屋に入ってくる。彼女も肩手にアイスを持っていた。
「何でテメエもアイス持ってんだよ!? 定春の散歩行ったんじゃなかったのか!?」
「近所のおばちゃんが一本くれたアル」
涼しい表情をした神楽はそれだけ言ってテレビを見始める。暑さで次第に思考回路も断たれそうになる銀時。今度は聞きなれない声が耳に入る。
「どーも、銀時さん。 どうしたの? 噴水みたいに汗が噴き出てるようで」
灰雷だった。彼も肩手にアイスを持っている。
「何でテメエは人ん家勝手に入ってんだ!!??」
「だって、神楽が勝手に入っていいよって……」
灰雷の言葉を遮るように銀時が怒鳴る。
「この野郎!! 人が暑さで死にそうになってるときにそろいもそろってアイスなんか食いやがって!!」
「じゃあ銀時さんも買ってくればいいんじゃない?」
「この暑さの中で歩いたらオレの体が溶けちまうだろうが!!」
「ちょ、銀さん落ち着いて下さいよ!」
新八の話にも耳を向けず、銀時は怒鳴り続ける。
***
「ごめんなさいね、今アイス売り切れで」
スーパーマーケットの店員はそう言って頭を下げる。これで何件回っただろうか。銀時の体力も既に限界に達していた。
「ねえ銀時さん。 もう帰らない? 何処行っても無駄だヨ、これじゃァ」
隣で銀時の分の傘も持っている灰雷がやれやれとでも言わんばかりの表情で言う。
「アホか!? ここまで来て買わなかったら何のために出てきたか分かんねえだろうが!! それにウチの万事屋で働くんなら社長のオレの言うこと聞きやがれ!!」
「ゥゥ……帰りたいよゥ……」
涙目の灰雷を無視して銀時はずんずん歩いていく。
「アイス?」
それだけ言った店員の胸倉を銀時が掴み、揺さぶる。
「うっせェよ!! どうせねェんだろ!!?? 分かってんだよ!!」
頭に血が上った銀時を何とか灰雷が止め、店の外へと出る。
「銀時さん! こうなったらやることは一つだヨ!」
そう言って灰雷は銀時の手を引っ張って歩いていく。
***
「で、これどうすんの?」
万事屋に戻った銀時の目の前に置かれた謎のカラクリ。灰雷はこれでかき氷を作れると言う。
が、
「あー……どうしよう、ボク使い方わかんないヨ」
「何で買ったんだよ!? 意味分かんねえよ!? オレの金返せー!!」
「お、落ち着いてよ! 銀時さん!」
そう言って灰雷は箱の中から取扱説明書と書かれた紙を取り出す。
「えっと、まず氷をこのかき氷作り機に入れるんだって。 氷持って来てヨ」
銀時が冷蔵庫の扉を開けた時だった。ふと頭の中である考えが思いつく。
(あれ? この氷食った方が早くね?)
「まァいっか。 ほれ、こんだけありゃ充分だろ?」
冷蔵庫の中には新八がさっき買って帰った何かが入っているビニール袋とその他もろもろ、それと氷のパックがいくつか入っていた。
銀時は両手に氷の入ったパックを持って灰雷に渡す。
「これに入れる」
ガラガラと音を立てて氷がかき氷作り機のラッパのような口に入っていく。口からはみ出し、山積みになっているが、気にせず続けた。
「あとはスイッチ押して待つだけだって」
緑色のスイッチを押す。しかし、特に何も変わった様子はなく、音も立たない。
「おい、これ大丈夫かよ? やっぱ新八に任せた方がいいんじゃねえの?」
「だって新八さん帰っちゃったんだもん。 神楽はボクより機械音痴だし」
「ん? 何か変な音しねェか?」
耳をすまさずともその音は確かに聞こえて取れた。ガタガタと机の上が振動している。
「おお! ようやく動いたじゃねえか!」
「うん! ようやくかき氷食べられるヨ!」
二人とも笑顔でその光景を近くで見守っていたが、次の瞬間、氷を吹き出し、耳を裂くような爆発音が響く。
「おいィィ!! なんか爆発したぞ!? これ完全に使い方間違ったでしょ!?」
「え、ええと……説明書通りにやったつもりなんだけど……」
「もういい!! もう二度とテメエに何か頼むかよ!! ああ!! 今頃新八はかき氷でも食いながら楽しくお喋りでもしてんだろうよ!!」
***
一方神楽は新八とその姉、お妙の三人でかき氷を食べ、楽しくお喋りをしている最中だった。
***
銀時はもうイライラと暑さで完全に脳の機能は停止していた。灰雷はそんな暴れる彼を止めるので精いっぱいだった。
その時、玄関からお登勢のどなり声が響いてくる。
「うるせえぞ、天然パーマ!! 何ドタバタしてやがる!?」
「ああ!? うっせえぞ妖怪ババア!! こちとら冷たい物食えなくてイライラしてんだよ!!」
そう言って玄関に現れた銀時は灰雷の手が腹に回されていて歩きづらそうだった。
「あ? 冷たい物? 新八が買ってきたアイス買ってきてたんじゃなかったのかい?」
「え?」
銀時と灰雷が凍りついたように動きが止まる。
- Re: 銀魂【灰色ノ恋】 完結 ( No.66 )
- 日時: 2010/10/03 22:46
- 名前: 灰色の空 ◆zbc0mftbJU (ID: zdDXpDJz)
第2訓【母と子の絆の間に幽霊も人間もクソもねェ!前編】
すっかり日も暮れ、辺りは静寂と闇に包みこまれる。銀時は酒を飲み、ふらふらとした足取りで我が家、万事屋へと向かう。
「うひ〜……ちょっと飲み過ぎた〜。 明日二日酔いかァ〜?」
完全に酔っ払い、幸せそうに歩く銀時。そんな彼は突然走って来た女性と激突してしまう。
「いって!! おいおい、どこ見て歩いてんだァ?」
尻もちをついた銀時が腰をさすりながら立ち上がる。すると女性は
「私……前が見えないんです……」
「はあ? なァに言ってんだよ?」
言った女性の顔を覗いた銀時。すると、銀時の表情は一変し、どんどんと青く変化していく。同時に悲鳴を上げ、銀時は一目散に逃げ出す。
女性の顔には鼻も、目も、口以外なにもなかった。怪談話でよく出るのっぺらぼうと言うやつだ。
ゼェゼェと息を切らし、銀時は近くの電柱に手をつく。
「ささささささ酒飲み過ぎたか……? いいいいいいいや、あれほほほほほほほ本物だったよね!? ねえ!?」
誰に言うわけでもなく銀時の声は静かな闇の中に消えていった。
「……ってあれ? ここ何処だ?」
少し落ちつき、銀時が辺りを見回すが民家が見当たらない。と、その時だった、突然銀時の肩に手を置かれる。冷や汗が吹き出すのを感じる。
振り向けない。振り向いたら全てが終わる気がする。これが夢なら早く覚めて欲しい。
(ああああああ!!!!!!!! ななななな何か後ろにいるよ!!?? まままままさかさっきの……あああれか!?)
声にならない叫び声が銀時の頭の中だけで響き渡る。
「あの……私……子供……探してるんです……」
女性が耳元で呟いている。まるで金縛りにでもあったかのように銀時の体は全く動かなくなってしまう。だが、口だけは動かすことができた。
「れれれれれれれ霊さん? わわわわ私が悪ゥございました。 ここここここれからは苺牛乳飲む量も減らしますから許して下さいィィィィィ!!!!」
「あ、いえ、私は特にアナタに何かしようとかは……」
「へ?」
体中を縛りつけていた縄のような物が次第に緩み始める。半泣きになっていた銀時は振り向く。やはり、そこにはのっぺらぼうが佇んでいた。
「ひェェェェェェェ!!!!」
我慢できず銀時は再び悲鳴を上げる。逃げ出そうとする銀時を今度はのっぺらぼうがしっかり彼の後ろ襟を掴む。意外と力は強かった。
「お願いです! 私の子供、探して下さい!」
「こ、子供?」
再び振り向き、銀時はのっぺらぼうの顔を見る。やはり悲鳴が出そうになったが今度は喉の奥にしまい込んだ。
「子供がいないんです……。 私、3日前に子供と一緒に事故に会い、私は亡くなってしまったんですが子供がいないんです。 一緒に霊になっていないと言うことは生きてると思うんです……。 成仏してしまう前に一目。 一目だけでもいいです! どうか、子供と合わせて欲しいんです!」
「じゃ、じゃあ……アンタホントに幽霊なの?」
「ええ。 ……フフ、おかしいですか? 幽霊がこんなこと言うなんて? そうですよね、こんなのっぺらぼうになって、普通人はすぐ逃げだしちゃいます。 でも、アナタは今こうして私の話を聞いてくれている。 怖くないんですか?」
「怖ェよ。 めちゃくちゃ怖ェよ」
「やっぱり、そうですよね。 ……やっぱりいいです。 子供を探すのは私一人でやりますから」
それだけ言って消え去りそうになる彼女を銀時は止める。
「待てよ」
銀時の表情は明らかに嫌そうだったが、髪を掻きながら言う。
「仕方ねェ、オレも万事屋だ。 その代り、報酬はたっぷり頂くぜ?」
「ほ、ホントですか!?」
「おうよ、オレは浮気したことを彼女に聞き詰められた時くらいしか嘘はつかねェ」
言い方はともかく、銀時は彼女の依頼を承った。するとのっぺらぼうは銀時の手を握り、何度もありがとうを繰り返し、頭を下げる。
「本当に……ありがとうございます……何度お礼を言っても足りないくらいです!」
「へ、任せとけよ」
銀時の表情にも自然と笑顔が浮かぶ。
- Re: 銀魂【灰色ノ恋】 完結 ( No.67 )
- 日時: 2010/10/03 22:46
- 名前: 灰色の空 ◆zbc0mftbJU (ID: zdDXpDJz)
第3訓【母と子の絆の間に幽霊も人間もクソもねェ!中編】
万事屋中に新八と神楽の笑い声が響き渡る。
「銀さん、また嘘ばっかり!」
「銀ちゃんギャグセンス低すぎね!」
(あー……やっぱ話さなけりゃよかった……)
銀時が肩を竦める。
結局万事屋に戻ったのは朝になってしまった。それで新八と神楽に理由を説明していたのだが、彼らは銀時の話しなど微塵も信じてはいないらしい。
ため息を吐いて外へ出る。
「探してやるとは言え、何処にいるかもわかんねえしなァ……。あ、だから探すのか」
自分の言葉を自分で返す銀時はある場所へと向かう。それは————
「あァ? 交通事故で死んだ子連れの女?」
煙草を口にくわえた土方が嫌そうに顔を歪めている。すると今度は隣にいた沖田が口を開く。
「旦那、いくら自分に合う女がいねェからって幽霊にまで手ェ出すなんて、正直見損ないやした」
「ちげーよ! オレはそんなマニアックな彼女作らねェよ!!」
信じてもらえないだろうが、と銀時は昨夜あった事を土方と沖田に話す。結果はやはり想像していた通りだった。
「バカかテメェは! 幽霊がテメェに依頼だ? んなことあるわけねえだろ!」
腹を抱えて土方は笑う。だがしかし、沖田の方はまじめに銀時の話を聞いていた。
「土方さん、まさか幽霊なんざいないなんて思っていやせんか? 違いやすぜェ……土方さんの背後にも例がうようよしてらァ……。 土方死ねェ……って……」
「な、何言ってやがる! んなわきゃねえだろ!?」
顔を青くする土方を見て銀時は意地悪そうに笑みを浮かべた。
「ははーん、まさか江戸の平和を守る真選組の副長が幽霊怖がってんのか? こりゃいい笑い話だ」
「上等だこの野郎!! だったらこの目でテメェの言った幽霊と面と向かって話してやろうじゃねェか!」
それだけ言って土方は倉庫の方へと向かう。すると沖田は銀時の耳元に顔を寄せて囁く。
「旦那には何度かお世話になってんで、今回は協力しやすぜ」
「ああ、悪ィな」
すると、すぐに土方は一冊のファイルを持って戻ってくる。
「このファイルの中にはこの一週間の間に死んだ奴の情報が入ってる。 この中から探しな」
差し出されたファイルを銀時はパラパラとめくる。すると、あるページで指が止まる。そこには紅い着物を着た女性が、昨日ののっぺらぼうとそっくりの女性の写真が貼られていた。髪型も、口も似ている気がする。
「秋野早弥。 交通事故により死亡。 子供は大江戸病院へと搬送。 ……こいつだ」
「だったら、大江戸病院までとばすぞ」
銀時、土方、沖田の三人はパトカーに乗って大江戸病院まではしりだす。
***
ここに来たのはこの前神楽が入院して以来だろうか。結局あの入院代は灰雷が全額支払ってくれた。
中に入り、看護婦に秋野早弥の子供に関して訊ねる。すると、その子供の部屋まで案内してくれた。
扉を開けるとそこは小さな部屋の中にベッドが一つと椅子、テレビなど、どこの病院にもあるような品のみ置いてあるだけだった。
ベッドの上に、その少年はいた。黒いおかっぱ頭で背の低い少年。突然の来客に少し驚いているのか銀時達の顔をぽかんとして見ている。
「おじさん達、誰?」
「えっと……変なおじさんじゃなくて、かっこいい天然パーマの銀時おじさんです」
「超サディストでみんなの人気者の沖田お兄さんです。 そしてこいつはニコチン中毒のおに……土方おじさんです」
「誰がニコチン中毒のおじさんじゃ!! てか今何でお兄さんって最後まで言わなかった!? まだおじさんじゃねえだろ!? やり直せ!」
「天然パーマがイカス、人気ランキング第1位、銀時おじさんでーす」
「みんなのヒ—ロ、やるときはやっちゃう沖田お兄さんでーす。 で、こっちはオレの下僕で一人じゃ何もできないゲス野郎、しかも女にもてないニコチン中毒者の土方お兄さんでーす」
「長ェよ!! しかもなんつー紹介の仕方してんだ!! 斬るぞテメェ!!??」
「だからおじさん達誰だって!?」
ようやく落ち着き、一人一人自分の名を教える。少年も名を名乗る。草田と言うらしい。名を教えたところで少年の緊張が解れたわけではないが、銀時は思い切って切り出す。
「実はだな、お前の母ちゃんがお前に会いたがってる」
「母ちゃんが!? でも母ちゃんは確かあの時の事故で……」
「いや、えっと……なんつーか……幽霊になって……」
「幽霊!?」
少年が驚くのも無理はない。銀時はもっと驚いていたのだから。
「ますます怪しいよおじさん!」
「あ、えーっと、なんて言えばいいかな」
銀時が戸惑っていると沖田が自分の手帳を草田に見せる。
「安心しな、オレ達は新撰組。 絶対危険な目にあわせたりはしやせん」
「え!? 嘘!? 真選組!? かっこいい!! オレも将来真選組になりたいんだ!」
目をキラキラときらめかせる草田。沖田は銀時の耳元で呟く。
(楽なもんですぜ、あんなガキ一人のせることなんざ)
もちろん草田には聞こえていない。すると、草田の緊張は完全に解けたらしく、一緒に母の元へ行くと言う。
***
「ところで————」
大江戸病院から出ると土方が口を開く。
「その女のいるところ、お前分かってんのか?」
「え? あ、あーえっと……」
「まさか旦那、ここまで来てわかんねェなんて言うんじゃ……?」
「そ、そんなわけねえだろ? も、もちろん覚えてるさ! さあ、オレがナビするからさっさと車乗れよ!」
嫌な汗がにじみ出るのが、銀時自身もよくわかっていた。
- Re: 銀魂 【次回より銀時編】 ( No.68 )
- 日時: 2010/10/03 22:47
- 名前: 灰色の空 ◆zbc0mftbJU (ID: zdDXpDJz)
第4訓【母と子の絆の間に幽霊も人間もクソもねェ!後編】
右、左、また右、またまた右、左。銀時の指示通り土方が車を走らせる。
それから何時間経っただろうか?既に空は茜色が広がり、太陽は沈みかけていた。辿り着いたその場所はやはり何もない、ただ野原が広がっているだけの場所だった。そこについて一番最初に銀時は大急ぎで車から出る。どうやら車に酔ったらしい。
「この場所に見覚えはあるか?」
「うん……。確かこの場所には母ちゃんとよく来てた」
その時、突然風邪がビュウと吹き、同時に青白い光と共に紅い着物の女性が現れる。昨日銀時の見たあののっぺらぼうだ。
「ああ……草田……?」
のっぺらぼうが笑みを浮かべる。
だが呼ばれた草田は怯えているようで、沖田の後ろに
隠れている。
「か、母ちゃんなの……?」
恐る恐る草田が訊ねる。すると、のっぺらぼうがコクリと頷き、草田に近寄ろうとする。
しかし
「お前なんかが母ちゃんなもんか!!」
草田はそう言ってのっぺらぼうを睨みつける。
「か、母ちゃんはもう死んだんだ! オレ一人を残して!」
「草田……」
よろよろと銀時が歩いてくる。
「草田、そいつはテメェの母ちゃんだ。 間違いねェ」
「いや、違う!!」
きっぱりと草田が言いきる。
のっぺらぼうは残念そうに頭を垂らし、草原の中に消えて行こうとする。だが次に銀時の発した言葉を聞いて彼女の動きは止まった。
「いや、母ちゃんだ。 今の見たろ? お前を見た時のあの笑顔。 顔はなくてもオレには確かにアイツの優しい笑顔が写って見えたよ。 母親の優しくて、全てを包み込んでくれるような笑顔が」
「でも……」
「幽霊だろうがなんだろうが、テメェと母ちゃんの絆は何も変わりはしねェ。 いくら姿形が違えども、母親の子を思う気持は絶対変わんねえんだ!」
銀時はそれだけ言うと草田の背を軽く押す。草田はまだ迷っているのか、下を向き、足を動かそうとはしない。すると、のっぺらぼうの方が口を動かす。
「草田……アナタが私を母親だと思ってくれなくてもいいです。 でも……草田。 これだけは言わせてほしいの。 ごめんなさいって」
草田はまだ黙って足を動かそうとはしない。
「幼いアナタを残して、本当はアナタにいくら謝っても謝りきれないくらい、私は重い罪を犯しました。 ……銀時さん」
無言で銀時はのっぺらぼうの方を見ている。
「この子を……草田をしばらくお願いしたいんです。 ずうずうしい話ではありますけど……どうか……この通りです」
のっぺらぼうはそう言って頭を地面につけ、土下座をして見せる。するとついに、草田が頭を上げ、ハッキリと言う。
「頭をさげないでよ!!」
顔を上げるのっぺらぼう。彼女の前には涙を流しんがらこちらを見る草田の姿があった。
「母ちゃんは何も悪くなんてない! それにオレ、母ちゃんを恨んでなんかないよ! それより……謝るのはこっちの方だよ……! 母ちゃんじゃないなんて言って……。 母ちゃん、ごめんなさい!」
草田が深く頭を下げる。のっぺらぼう、否、秋野早弥の顔にまた笑顔が浮かぶ。彼女が近づいても、今度は草田は何もしなかった。すると、早弥は草田の体を抱きよせ、言う。
「草田……ありがとう……。 私はアナタのような優しい息子を産むことができて本当に幸せです。 すごく、すごく嬉しい。 でも……涙がでない。 目がないから……ごめんね」
すると、早弥の体はどんどんと薄くなっているのが分かった。
「もう……私のこの世に居られる時間はお終いみたいです」
「嫌だよ母ちゃん! オレ、一人ぼっちになるなんて!!」
「私も……もっとアナタの傍にいたい。 ……家の畳裏にアナタへの贈り物が隠してあります。 草田、アナタの夢のために、かっこいい、強い男になるために、私から贈ります。 いつまでも……天国……から……祈っ……ています……草田の……しあ……わせ……」
言葉が終わらぬうちに、早弥の姿は消えてしまう。後に残ったのは草田の泣き声だけだった。
***
夢のようなひと時だった。草田は銀時と共に家に戻っていた。
「そりゃ!」
銀時が畳を三枚ほど裏返すと、床下には布がまきつけられた細長い何かが一つ置いてあった。布をゆっくりと解く。中から出てきたのは黒い鞘に収まった真剣だった。そして、布に巻きつけられていたのか、手紙が添えられていた。
草田へ
アナタが一人前の男になりました。この刀をアナタに贈ります。
驚いた?
草田の夢、真選組に入ることだったね。その刀で、私と草田の大好きな江戸を守ってください。
アナタといられる時間はあとどれくらいなのかは分かりません。でも、私はいつまでもアナタを見守ります。
母 早弥より
目を通した草田の目に涙が浮かぶ。
「おいおい、お前、泣かないって決めたんだろ? 天国の母ちゃんきっと呆れてるよ?」
「泣いてなんかないやい!」
そう言って草田は表へ駆けだす。もうすっかり暗くなり、空には無数の星々が浮かんでいる。
「ねえ、銀時さん」
「ん?」
「母ちゃん、見てるかな?」
「ああ、見てるさ。 だからお前も母ちゃんの期待裏切らないように立派な大人になれよ?」
「うん!」
力強く頷く草田。彼はお登勢の店で働かせてもらうことになっている。それが、彼の進む第一歩となった。
【母と子の絆の間に幽霊も人間もクソもねェ!】 完
- Re: 銀魂 【銀時編】 ( No.69 )
- 日時: 2010/10/03 22:48
- 名前: 灰色の空 ◆zbc0mftbJU (ID: zdDXpDJz)
第5訓【夜に町歩く描写は何かある前触れ】
銀時、神楽、新八、灰雷、お妙。彼ら5人は今仕事、と言うよりバイトを終わらせて帰るところだった。彼らは長谷川奉三にコンビニのバイトを代わりに任せられていた。何でも急用ができたらしい。
「あー、肩こるー」
銀時が自分の肩を自分で揉む。
「何言ってんですか? 頑張ってたのは僕だけじゃないですか? 銀さんは裏でジャンプ読んで、神楽ちゃんは商品食べて、姉上は客に暴行、灰雷君は迷子のおばあさん連れてどこか行っちゃうし」
新八が愚痴をもらすが、他の4人は無視して歩いていた。すると、二本の分かれ道に差しかかる。
「じゃあボクと姉上はこっちだから。 また明日」
「おう、明日までに疲れとっとけよ」
銀時は新八の方も向かずに手を上げ、別れを告げる。
銀時の背後では灰雷と神楽の話し声が耳に入る。何度か神楽のゲンコツ音が入ったような気がしなくもないが、銀時にとってそんなことは気にもならなかった。
「あ、銀時さん見てヨ。 満月だヨ」
頭をさすりながら灰雷が空を指さす。空には青白い光を放つ満月。銀時も足を止め、月に釘づけになっていた。
「ホントだ。 そう言えばもう何日も満月なんて見てなかったな」
と、その時だった。銀時の目に、一つ、影が映る。月をバックに、その影は彼らに向かって飛び出した。 そして彼らの前に現れたのは、侍服で真っ白な顔で目は細く、口元には笑みを浮かべている男だった。
「ん? だれだテメェ?」
銀時が訊ねるが、男は無言でいる。すると、男は腰にさした二本の刀を抜きとる。
「なんだ? やろうってのか?」
銀時も腰の木刀を抜く。灰雷と神楽も身構えをするが、銀時は二人は手は出すなと言った。しばらく両者とも動かなかった。そして数秒後、先に男が走り出す。
標的は銀時。ヒュウと風を切る音を立て、刀を振る。銀時はそれを軽くかわし、返しに木刀で男を横から叩く。男は踏ん張り、体制は崩さなかった。
「おいおいなんだ? ビビってんのか?」
銀時がそう挑発するが、男は涼しそうな笑みを浮かべている。
「ったく、いいですね、こんなくそ暑ィ中そんな涼しい顔できてよォ!」
今度は銀時が先に動き、木刀を振る。男も刀でその一撃を止める。
と、彼らがそんな戦いを繰り広げている時だった。突然灰雷の足元に亀裂が入り、太い腕が彼の喉元を掴む。そこから現れたのは何とも巨大な男だった。身長は銀時の倍以上はある。灰雷はそのまま地面に叩きつけられる。
「灰雷! 今助けるアルよ!」
神楽が強烈な蹴りを男に放つ。男は体制を崩し、灰雷を掴む腕の力は弱まった。その隙を見て灰雷はそこから抜け出す。
「あ、ありがとう、神楽」
「まだ安心するには早いアルよ!」
大男はまだ立ち上がる。何故だろう、さっきから敵の二人は全く喋らない。だが銀時達にそんなこと考えているような余裕はなかった。
「そらよ!」
隙をついた銀時の一撃が男の横腹を打つ。男は確かに剣の腕は良いが、銀時には及ばない程度だ、と思っていた。が、しかし次に男のとった行動に銀時は己の目を疑った。
男の服の両袖からは刀が伸びていた。しかも、履いている下駄の先端から刃が突き出している。
「全身凶器かよ!」
片腕を受け止めようとも残りの片腕と足が銀時を襲う。
***
神楽と灰雷が同時に同じ攻撃をしかける。が、大男は少しも怯みはしなかった。攻撃は恐ろしく遅いが、その肉体は凄まじく堅い物だった。灰雷も何度か骨を砕こうと試みたが、何か違和感のようなものを感じながら諦めた。
「コイツ……いくら攻撃しても倒れないヨ!?」
遅い拳だが、破壊力は凄まじかった。地面をも砕き、飛び散る小石が体に当たる。
「気味悪いアル……何もしゃべらないし何も気配も感じない……」
***
銀時も同じく、相手から感じるこの違和感のようなものが気持ち悪く感じていた。
「テメェ……何もんだ?」
もちろん男は何も答えはしない。黙ったまま、銀時顔面に蹴りを放つ。銀時はそれをしゃがんで回避し、その後しゃがんだ所を狙った一撃も受け止める。
と、その時。突然笛の音が辺りに響き渡る。すると、二人の無言の男はそれぞれ散り、闇の中へ溶け込んで行く。
あまりにも突然の事で銀時達は追うことができなかった。
***
ろうそくの火が部屋の中を照らしている。だが、部屋の奥は暗く、そこに二人の男が何か話しているようだが、誰なのか分からない。
「どうだ? なかなか良い動きをしておろう?」
「ああ、完璧だ。 お前みたいなのがオレに肩貸してくれるとホント力強いねェ」
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