二次創作小説(紙ほか)

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暗殺教室×仮面ライダー 〜とある破壊者と王様の話〜
日時: 2021/03/21 15:26
名前: 宇治抹茶 (ID: kVdvMbwW)
プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi

初めまして、宇治抹茶です
名前の由来は、ごちうさと抹茶が好き
この二つだけです

性別は男、年齢は地球と同い年です
よろしくお願い致します

設定

この話は、仮面戦士たちの戦いに
落ちこぼれE組が巻き込まれていくお話です

主人公などは特に決めておりません
皆さんのご想像にお任せします

暗殺教室本編で掘り下げられなかったキャラたちの過去回想を
勝手に妄想して掘り下げます()

メタ発言、下ネタシーン、シリアス、鬱展開などありますがよろしくお願いします

第1話の方は後ほど投稿いたします

Re: 暗殺教室×仮面ライダー 〜破壊者と王様の話〜 ( No.54 )
日時: 2022/01/04 23:34
名前: 宇治抹茶 (ID: zOrwUnX8)
プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13018

EP52 ハッピーニューウォズ

「忍びと書いて、刃の心!仮面ライダーシノビ!」

謎のライダーは自身の名を名乗ると、怪物の大群へと走り出す

「なぜだ……なぜ2022年のライダーが…この時代にいる!?」

遠くから見ていたタイムジャッカーは、"仮面ライダーシノビ"の存在に驚きを隠せなかった
本来、このライダーは2022年に誕生するもの。この時代にはまだ誕生していないのだ

「…俺が呼んだ」

すると、巨大なオーロラカーテンが出現。そこから一つ、人影が現れる。……門矢士だ。
何か起こるたびに現れては、結末を変えていくこの時代クラッシャーの士に、タイムジャッカーは呆れていた。

「…俺は潮田渚アイツが王に相応しいか見る必要がある」

士はネオディケイドライバーを腰に装着。
ライドブッカーから『カメンライド ディケイド』のカードを取り出し、変身のトリガーとなる掛け声

「変身」

ライダーカードをバックルにセット

KAMEN RIDE:DECADE!!

すると、無数の影が出現。その影が士と重なり、仮面ライダーディケイドへと変身。
士はライドブッカーをソードモードに切り替え、化け物の大群に斬りかかる

「神蔵、いくぞ」
「ああ」

その様子を見て、渚も戦闘に参加しようとする
だが、ジクウドライバーがない。
どうしようかと考えていたところに、ウォズが通りかかる

「我が魔王、これを!」

ウォズはジクウドライバーを渚に投げ渡し、渚はそれを受け取る。
渚はトリニティライドウォッチを取り出し、ボタンを押して起動しようとする
……だが、起動できなかった。
何度押してもできないのだ。

「トリニティが使えない!?」

すると士は、渚の方を向いて

「お前らは逃げろ!」
「え、でも…」
「いいからお前らはとっとと逃げろ!たまには逃げることも重要だ」

そう声をかけ、自身はライドブッカーで怪物の大群を殲滅していく
渚達は仕方なく走り出し、家へと帰った

ーーー数時間前

「あぁん!?成績上がってよかっただぁ!?」

蝉がうるさく鳴くようになった7月の下旬、寺坂の怒声が、E組の校庭に鳴り響く
村松は全国模試の結果が記された紙を取り出す

「い……いやぁ、この前受けた全国模試が過去最高の順位でよ。これというのもあのタコが開いた“模試直前放課後ヌルヌル強化学習”のおかげ……」

「テメエ!あの放課後ヌルヌル受けたのか!!ヌルヌルなんざバックレようって3人で言ったべ!?」

寺坂は村松の胸ぐらを掴み、さらに怒声を浴びせる。

「いやでもヌルヌルするのとヌルヌルしないじゃ大違い……」
「ヌルヌルうるせー!!」

寺坂は村松を木に叩きつけ、全国模試の結果をビリビリに破いてその場を去っていった

成績欲しさに日和やがって。裏切り者が

本当に気にくわねぇ。どいつもこいつもあのタコに取り込まれやがって

"居心地悪りい"

寺坂がそのまま教室に入ると、何かの話で盛り上がっている吉田と殺せんせー、そして、クラスの人間がいた

「マジかよ殺せんせー!?まるで本物じゃねーか!!」
 
そこには木製のバイクにあのタコ……もとい、殺せんせーがまたいでいた。
 
「……何してんだよ吉田」
 
「い、いやぁ……この前こいつとバイクの話で盛り上がっちまってよ。うちの学校こーいうの興味ある奴いねーから」

「ヌルフフフ。先生は大人な上に漢の中の漢。この手の趣味も一通りかじってます。しかもこのバイク、最高速度300km出るんですって。先生1度本物に乗ってみたいモンです」
 
「アホか。抱きかかえて飛んだ方が速ぇだろ」
 
吉田のツッコミにクラス全員が笑う中、寺坂はイライラを更に募らせながら聞いていた。
もう限界に達した寺坂はバイクを蹴り倒し、イライラを発散させる

「にゅやあ!?」
「なんて事すんだよ寺坂!!」
「大人な上に漢の中の漢の殺せんせーが泣いてるよ!?」

クラス中がギャーギャー騒いでいる
こんな状況じゃあ、寺坂のイライラが治るはずもない
 
「……てめーら虫みたいにブンブンうるせーな!駆除してやんよ」

 
寺坂は机から虫除けスプレー缶を出し、それを思いっきり地面に叩きつけた。当然、スプレー缶は壊れて中身が教室中に充満する。
 
「寺坂君!!ヤンチャするにも限度ってものが……」

寺坂を止めようとする殺せんせーの触手を、汚物を扱うかのように手で払いのけると、怪訝そうな顔をして

「さわんじゃねーよモンスター。気持ちわりーんだよ。テメーもモンスターに操られて仲良しこよしのテメーらも」

そんな寺坂を見て、カルマは「ふ〜ん?」と声を漏らし、席から立ち上がる
 
「何がそんなに嫌なのかねぇ……気に入らないなら殺せばいいじゃん。せっかくそれが許可されてる教室なのに」

カルマは対触手ナイフを振り回しながらそう言うと、寺坂にそれを向ける
 
「テメー俺に喧嘩売ってんのか?上等だよ、だいたいテメーは最初から……」

寺坂はカルマに近づこうとするが刹那、カルマに口を片手で塞がれる。無駄のない動き。バカな寺坂とは大違いだ
 
「ダメだってば寺坂。喧嘩するなら口より先に手を出さなきゃ」
「離せ!くだらねー」

寺坂はイライラが頂点に達したのか、カルマの手を払いのけ、教室から去っていった

「…何なんだアイツ」
「仲良くできないもんかな」

…その夜
寺坂はプールに謎の液体を入れていた

地球の危機とか、暗殺のための自分磨きとか、落ちこぼれからの脱出とか、正直なところどーでもいい。
その日その日を楽してテキトーに生きたいだけだ

「ご苦労様。プールの破壊、薬剤散布、薬剤混入、君のおかげで効率よく準備ができた。はい、報酬の十万円。また次も頼むよ」

シロは寺坂に十万円を投げ渡す。
……こっちの方が、居心地が良いな
 
「なにせあのタコは鼻が利く。外部の者が動き回ればすぐに気づかれる。だから君のような内部の人間に頼んだのさ。イトナの性能をフルに活かす舞台作りを」

そして、シロは寺坂に手を差し伸べ、握手を求める

「寺坂竜馬、私には君の気持ちがよくわかるよ。安心しなさい。私の計画通りに動いてくれれば……すぐにでも奴を殺して奴が来る前のE組に戻してあげよう」
 
寺坂がほくそ笑んでいると、イトナが顔を覗き込んでくる

「お前は……あのクラスの赤髪の奴はおろか生身の鈍感な奴と真面目そうな奴より弱い。馬力も体格もあいつらより勝るのに何故かわかるか?」

イトナは寺坂の瞼を無理やり広げ、寺坂の瞳を見てこう言った

「お前の目にはビジョンが無い。勝利への意思も手段も情熱も無い。目の前の草を漠然と喰ってるノロマな牛は……牛を殺すビジョンを持った狼には勝てない」

そう言ってイトナは寺坂に背を向け、去っていった

「…」

寺坂が黙り込んでいると、近くに巨大なオーロラカーテンが出現
そこから出てきたのは………

「ひゃっはろー」
「おお、雪ノ下君」

雪ノ下陽乃だ。彼女は片手にウォッチのようなものを持っている。陽乃はイトナに瞬間移動で接近し、そのウォッチを差し出す

「…さ、イトナ君。これをどーぞ」
「…あぁ」

そのウォッチを受け取ったイトナは、それを自身の胸部に埋め込む。
すると、禍々しいオーラを放ち、異形の姿へと変貌した

「さあ…明日決行だ。寺坂君…君の力を、期待しているよ」

ーー場面は変わり、ここはコンビニの駐車場
ゲイツは買い物を終え、クジゴジ堂へと帰るところだった。そこへ、1人の男が現れる
"もう1人のウォズ"だ

「…お前は…あの時の」
「おお、覚えていてくれて嬉しいよ。我が救世主」
「…何をしにきた」

ゲイツの問いかけに、もう1人のウォズはニヤリと笑い、こう答える

「警告だね…。我が救世主、もう時間はない。君が魔王を倒すんだ」
「…わかっている。俺はあいつを倒さなきゃならない」
「おお、それでこそ我が救世主」

それだけ言うと、もう1人のウォズは姿を消していた

「なんなんだ……あいつは」

そして、翌日
この日、寺坂はまだ未登校だ。
昨日殺虫剤をもろに喰らった殺せんせーは……昼食を取りながらダラダラ涙を流していた
 
「何よ、さっきから意味もなく涙流して」

気持ち悪いほどに液体をダラダラと流す殺せんせーを見て、イリーナは問いを投げかける
 
「いいえ、鼻なので涙じゃなくて鼻水です。目はこっち」

確かに。殺せんせーの鼻は、目のほんの少し右上にある。体の構造が相変わらず気持ち悪いというのは伏せておこう

「まぎらわしい!!」
 
「どうも昨日から体の調子が変です」

そんな、不穏な空気のE組に寺坂が入ってくる
 
「おお、寺坂君!!今日は登校しないかと心配でした!!昨日君がキレた事ならご心配なく!!もう皆気にしてませんよね?ね?」
 
確かに気にはしていない。そんなことより生徒が気になっていることは、"殺せんせーが鼻水を流しながら寺坂に話しかけている"ことだ。
そのせいで、寺坂の顔面は今タコの鼻水だらけだ
 
「昨日1日考えたのですがやはり本人と話すべきです。悩みがあるなら後で聞かせてもらえませんか?」
 
──────君が今日撒いたのはただのスプレーではない。触手生物の動きを鈍らせる効果がある。そうした上で誘い出せ

寺坂はシロの言葉を回想し、顔についた鼻水を殺せんせーのネクタイで拭った。

「おいタコ。そろそろ本気でぶっ殺してやんよ。放課後プールに来い。弱点なんだってなぁ。水が……。テメェらも全員手伝え!俺がこいつを水の中に叩き落としてやっからよぉ」

この言い方じゃあ、クラスの反感を買うだろう。
これじゃあまるで、今まで影の薄かった奴が、新学期になって急に明るくなってクラスの中心人物になるようなものだ

「……寺坂。お前ずっと皆の暗殺には協力して来なかったよな。それをお前の都合で命令されて皆がハイやりますって言うと思うか?」

前原は寺坂を嫌悪し、舌打ちをしてそう返す

「ケッ。別にいいぜ来なくても。そんときゃ俺が賞金100億独り占めだ」

寺坂はこれだけ言うと、教室から出ていった。

「……なんなんだよあいつ……」
「もう正直ついていけねーわ」
「私行かなーい」
「同じく」
「俺も今回はパスかな」

生徒は口々に答える
寺坂のあんな態度を見てからじゃあ仕方ないだろう。すると、生徒全員は足元に"ネチャッ"という気持ち悪い音がなっていることに気づく
下を見てみれば、床が殺せんせーの粘液まみれになっていた

「皆行きましょうよぉ」
「うわ!?」
「粘液に固められて逃げられねぇ!!」

殺せんせーは粘液をダラダラと流しながらこう言う

「せっかく寺坂君が私を殺る気になったんです。皆で一緒に暗殺して気持ちよく仲直りです」
 
「…ふむ……これは…実験に使えるかもしれない」

戦兎は暗殺など目もくれず、実験目当てでフルボトルに粘液を入れていた。

「「「「「「まずあんたが気持ち悪い!!」」」」」」

戦兎以外の誰もがツッコミを入れた
相変わらず息のあったクラスだ。


結局、私達のほとんどが殺せんせーによって無理矢理プールへと行くことになった。ここにいないのはソウゴと、ゲイツそしてカルマの3人だけだった。
 
「よーしそうだ!!そんな感じでプール全体に散らばっとけ!!」

「偉そうに……」
「疑問だね、僕は。君に他人を泳がせる気量なんてあるのかい?」

竹林はメガネを抑えるポーズをし、寺坂に問いかける。だが、寺坂に"質問に答える"という脳みそなど存在しない
 
「うるせー竹林。とっとと入れ!!」

竹林は蹴り飛ばされてプールに落ちてしまった
理不尽だ。

「なるほど。先生を水に落として皆に刺させる計画ですか。それで君はどうやって先生を落とすんです?ピストル一丁じゃ先生を一歩たりとも動かせませんよ」

「覚悟はできたか?モンスター」

寺坂はピストルを天に向け、スタンバイしている。その様子を見て、殺せんせーは触手をヌルヌル動かし
 
「もちろんできています。鼻水も止まったし」

「ずっとテメーが嫌いだったよ。消えて欲しくてしょうがなかった」

「ええ。知ってます。これの後でゆっくり2人で話しましょう」
 
殺せんせーは舐めた顔になる
寺坂は「チッ!」と大きく舌打ちをし、ピストルの引き金を引いた……その時だった

ドカンッッッ!!

「…は?」

鼓膜が破れるような爆音が鳴り響くと同時に、
プールが爆破され、生徒達はなす術なく流されていく

するとプールサイドの方へ、イトナとシロが現れる
イトナは"アナザーシノビウォッチ"を使い、アナザーシノビへと変身
たった今飛び込もうとしたレーナは、すぐさま異変に気付く

「く……キバット!」

アナザーシノビへと変身するイトナを見たレーナは、キバットを呼ぶ
するとそれに呼応したのか、西の方からキバットがやってくる

「キバっていくぜ!」
『ガブッ!』
『バッシャーマグナム!』

レーナは"仮面ライダーキバ バッシャーフォーム"へと直接変身。そして飛び上がり、バッシャーマグナムでアナザーシノビに銃撃する

「…王族の人間は……この程度のものなのか?ビジョンがないお前に…この俺は倒せない!」

アナザーシノビは、懐から大量に手裏剣を召喚、レーナを攻撃する

「…ぐっ」

そしてちょうど今、
訳あって着替えが遅れた渚とゲイツが駆けつける
ゲイツと渚は同時に変身し、アナザーシノビに挑む

『RIDER TIME 仮面ライダージオウ!』
『RIDER TIME 仮面ライダーゲイツ!』

「…レーナさん、大丈夫?」
「ええ…かすり傷程度です」

「…おやおや。魔王と救世主が2人揃っているじゃないか」

背後から青年の声が聞こえる
渚達が背後を振り向くと、そこにはウォズ……否、もう1人のウォズが立っていた

「ウォズ?」
「いや違う…あいつはウォズだがお前の知っているウォズじゃない」

ゲイツの説明を受けるも、渚は全く理解できていない様子だった

「…まあ、簡単に説明すると……別の未来から来たウォズ…かな」

もう1人のウォズは
どこからか"ビヨンドライバー"を取り出し、腰に装着する
そこへ偶然だろうか、黒い方のウォズが走ってくる。

「…それは私の……!?」

"もう一人のウォズ"の腰に装着されたビヨンドライバーを見てウォズは手を伸ばすが、もう1人のウォズはニヤリと笑い

「本来は私のものだ」

そう言ってウォズミライドウォッチを起動

『ウォズ!』

左手のウォズミライドウォッチを、両手を交差させながらドライバーにセットし、腕を開きながらウォズミライドウォッチのボタンを再度押しカバーを開く。

『アクション!』

右手でビヨンドライバーのハンドルを前に向けることでミライドウォッチからデータが「投影」される

『投影!フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』

そして、"もう1人のウォズ"は仮面ライダーウォズへと変身。

「我が名は仮面ライダーウォズ。未来の創造者である!」

To be continued……

次回、仮面ライダージオウ!

「仮面ライダーウォズ…」

「イトナ!テメェ…俺とタイマンはれや!」

「勝利のビジョンがあったとしても…お前の力の使い方は間違っている!」

「ディ・ディ・ディ・ディケイド!」

EP53「シノビのビジョン2021」

ハッピーニューウォズ!!
あけましておめでとうございます、宇治抹茶です
はい、私…新年早々やらかしました。小説の文章を…えー、誤って消してしまうという事故が…えー……。まあ、そういうことです。
シノビ編は残すところあと2話ほど。
後述しますが、EP55からは新編をやろうと思っていますのでよろしくお願いします










次編 キャスト一部発表










EP55より、ウィザード編開幕

「魔法があるから絶望しないんじゃない、絶望しなかったから、魔法を手に入れることができたんだ」
・操真晴人/仮面ライダーウィザード

「ピンチとチャンスは表と裏! こんな時こそ必ずいいことある!」
・仁藤攻介/仮面ライダービースト

Re: 暗殺教室×仮面ライダー 〜とある破壊者と王様の話〜 ( No.55 )
日時: 2022/01/08 04:27
名前: 宇治抹茶 (ID: zOrwUnX8)
プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13018

EP53 シノビのビジョン2021

「我が名は仮面ライダーウォズ。未来の創造者である」

「仮面ライダー…ウォズ…」

もう1人のウォズが、ビヨンドライバーを強奪していたことに、渚達は驚きを隠せなかった。

一方その頃、殺せんせーは
流されていく生徒たちを助けるため、超スピードで加速。その様子をシロは、顔が隠れていてもわかるほどの笑みを浮かべながら見ていた

「フフフ……流されていく生徒たちを助けるには…水に入らなきゃあ、殺せんせー?」

寺坂は、流されていく生徒たちを見て、ただただ立ち尽くすしかなかった

「う…嘘だろ……こんなこと……聞いてねえ…!」

──────この先には激しい岩場が!落下すれば死んでしまう!

殺せんせーは触手を伸ばし、水に流されていく生徒たちを掴み、プールサイドに避難させながら移動している。
……だが、殺せんせーの触手は、真っ赤に腫れていた

「気遣って助けている間に…ヤツの触手はどんどん水を吸っていく……最高の構図じゃあないか!!」

そう言うとシロは高笑いする。
異変に気付いたカルマは、プールの様子を見てみるが…プールの水は全くと言って良いほど無くなっていた

「なにこれ…」
「俺は…なにもしてねえ」

すると、寺坂が現れる。
そして開口一番がこれだ。

「話がちげえよ…イトナを呼んで突き落とすって聞いてたのに…」
「なるほどねえ……自分で立てた計画じゃなくて…まんまと操られてたってワケ?」

カルマの言葉に、寺坂はカッとなったのか、カルマの制服を掴み

「言っとくが、おれのせいじゃあねえぞ?こんな計画やらす方が悪いんだよ!!」

寺坂の言葉は、まさに"最低"のものだった
操られてたとしても、寺坂の犯した罪は大きい。それも…生徒を殺しかけたんだから。

「流されたのも…全部奴らが悪……ぐはっ!?」

だが、寺坂が言い終えるのを待たずして、カルマの鉄拳が飛ぶ。

「流されたのはみんなじゃなくて自分じゃん。人のせいにすんなら…自分の頭で何した良いか考えなよ」

………一方その頃、殺せんせーは

「ぐっ…!」

殺せんせーは崖から落ちそうになっていた吉田を触手で助けると、アナザーシノビであるイトナの触手に掴まれ、崖下へと叩きつけられる。

「久しぶりだねえ…殺せんせー」
「あなたは…シロ!」

「あ、ちなみに殺せんせー。君が今吸ったのは触手の力を弱める成分が入った水だ。寺坂くんを利用……もとい寺坂くんに協力してもらってね」

すると、殺せんせーはイトナの触手により無理やりプールサイドへと引き上げられる。

「にゅやっ!?」
「殺せんせー…おれはお前と戦って…必ず勝つ!!」

イトナは忍法で炎を纏った触手を伸ばし、殺せんせーに攻撃する

「あっつ!?」
「まだまだだ…!」

イトナの攻撃で苦戦する殺せんせーを見過ごすことはできず、渚とゲイツはそれぞれ、ディケイドライドウォッチとドライブライドウォッチを起動。

『アーマータイム!KAMEN RIDE!ワーオ!DECADE!!DECADE!!ディ・ケ・イ・ド!!』
『アーマータイム!DRIVE!!ドライブ!』

2人はイトナに斬りかかろうとするも、イトナの触手で防がれてしまう。
シノビの能力と触手が組み合わさるとここまで厄介になるのだ。
刹那、プールの入り口付近から、人影が近づいてきているのがわかった。
……神蔵蓮太郎、仮面ライダーシノビである

「お前は……」

蓮太郎の姿を見るなり、イトナは殺せんせーと渚、ゲイツを押しのけ、変身を解除して近寄る。
そして、蓮太郎の顔を覗き込む

「お前には…勝利のビジョンがない。ただ正義のために戦う…落ちこぼれだ。俺は…勝利のビジョンを持たない奴は嫌いだ」

イトナは表情一つ変えずに上記を述べると、蓮太郎は拳を握りしめてこう言った

「勝利のビジョンがあったとしても…お前の力の使い方は間違ってる!」

すると、蓮太郎の手にはシノビミライドウォッチが握られていた。
それを見て察したのか、彼はもう1人のウォズにミライドウォッチを投げ渡す

「…これを使え!」

"もう1人のウォズ"はそれを受け取る

「この瞬間を待っていたのだ…!」

ウォズはそれをビヨンドライバーにセット。
『シノビ!アクション!』
そして、シノビのウォッチを投影させる。

『投影!フューチャータイム!誰じゃ!?俺じゃ!ニンジャ!!フューチャリングシノビ!シノビ!!』

ウォズは"仮面ライダーウォズ フューチャリングシノビ"へと形態変化。
そのままアナザーシノビにパンチを繰り出す。

「ぐはっ…!?」

どうやら効いていたようで、パンチだけでイトナ……アナザーシノビは怯んでしまう
ウォズはそのまま「ジカンデスピア」をビヨンドライバーから生成。

「カマシスギ!」

ウォズはカマモードに切り替え、アナザーシノビに斬りかかる。
強大な力の前に、アナザーシノビは追い詰められてしまう。
するとウォズは、"未来ノート"を取り出し、こう読み上げた

「仮面ライダーウォズ フューチャリングシノビの前に、崩れ去るアナザーシノビ!」

『ビヨンド・ザ・タイム!忍法・時間縛りの術!!』

ウォズはジカンデスピア・カマモードでアナザーシノビを空中に持ち上げる。アナザーシノビの動きは、時間縛りの術により鈍くなり、もがくことしかできなくなっていた。

『カマシスギ!フィニッシュタイム!!』

「はあぁぁぁぁぁぁ…!!」

2人の分身が敵を左右からアナザーシノビを斬りつけていく。そして、最後には本体のウォズがアナザーシノビを斬りつけると、アナザーシノビは爆散。中からはイトナが出され、アナザーウォッチは跡形も無くなった。

だが、イトナは立ち上がり、触手で殺せんせーに攻撃を始めた

「何…?」

イトナは殺せんせーを連れて下へと降りていく。
下へ着くなり、イトナは触手を伸ばして殺せんせーに攻撃を始めた

「にゅやっ!?」

「触手の数を減らし…その分スピードとパワーを増幅させた…その結果、素晴らしい触手人間が生まれたというわけだ…」

どうだ殺せんせー、今の状態では……とても身動きが取れまい。さあ、心臓を貫くんだイトナ。

「マジかよ…」
「あの程度の水のハンデは…なんとかなるんじゃ…!」
「…いや、水だけのせいじゃねえ、お前らを助けたからよ」

後ろから少年の声が聞こえる。
……寺坂だ。

「…寺坂!?」
「見ろ、タコの頭上!」

寺坂の言葉に、生徒たちは上を向く。
そこには…木の枝にしがみついた原の姿であった。そして…今にも落ちそうだ

「先生、原さんたちを守るために…!」
「あいつヘビーでふとましいからやべーゾ」
「早く助けないと…!」

「もしかして、今回のこと全部…あいつらに操られてたのか?」

磯貝の問いかけに、寺坂は「フッ」と笑い、こう答えた。

「ああそうだよ。俺の様な目的もビジョンもねぇ短絡的な奴は……頭の良い奴に操られる運命なんだよ。だがな…」

寺坂は上記を述べると
制服を整え、表情を硬くしてこう続けた

「操られる奴ぐらいは選びてえ。奴等は懲り懲りだ!賞金持ってかれんのもやっぱ気に入いらねぇ!だからカルマ!テメーが俺を操って見せろ!その狡猾なオツムで俺に作戦与えてみろ!」

寺坂の言葉に、カルマはニヤリと笑い、寺坂に歩み寄ってこう言った

「…良いけどさ。俺の作戦、ひょーっとしたら……死ぬかもよ?」
「いいぜ。こちとら実績持ってる実行犯だぜ?」

一方、弱った殺せんせーはイトナに追い詰められていた。

「さあでトドメだイトナ」

……その時、寺坂が飛び込んでくる。

「おい!!!!」

寺坂の声に、シロが反応して振り向く。

「寺坂君」
「よくも俺を騙してくれたなあ!」
「まあそう怒るなよ。ちょっとクラスメイトを巻き込んじゃっただけじゃあないか。E組で浮いてた君には丁度いいだろう?」

「うるせえ!!てめえらは許さねえ!!」

シロの最低最悪の煽りに、寺坂は切れたのか声を上げて怒鳴る。
そして制服を脱ぎ、上裸になれば、イトナの前に立ちふさがる

「イトナ!!テメエ俺とタイマンはれや!!」
「やめなさい寺坂君!君の命が危ない!」
「うるせー!!タコは引っ込んでろ!」

殺せんせーは寺坂を止めようとするも、寺坂は止まる気がないようで、制服を掲げて構える。
シロはその様子を見て微笑する。

「健気だねえ………"永遠に黙らせろ"、イトナ」

「カルマ君!!」
 
「いーんだよ。死にやしない。あのシロはあっちの2人はともかくとして、俺達生徒を殺すのが目的じゃ無い。生きているからこそ殺せんせーの集中を削げるんだ。原さんも一見超危険だけどイトナの攻撃の的になる事はないだろう。だから寺坂にも言っといたよ。気絶する程度の触手は喰らうけど、逆に言ったらスピードもパワーもその程度。死ぬ気で喰らいつけって」

カルマが言葉を終えた直後、イトナの触手が寺坂を襲う。常人が食らうと吐き気を催すレベルで危険だ。だが寺坂は耐えていた。

「チッ………いいパンチだなァ…今にも吐きそうだぜ…次食らったらまじーな…」
「よく耐えたねぇ。イトナ、もう1発あげなさい。背後のタコに気をつけながら……」

くしゅんっ!!!!

「は?」

……刹那、イトナは大きなくしゃみを出してしまう。その様子を見てカルマはニヤリと笑い

カルマ「寺坂のヤツ……昨日と同じシャツのままなんだ。って事は寺坂が昨日撒いた変なスプレーをもろに浴びている。それは殺せんせーの粘液をだだ漏れにさせた物なんだからイトナだってただでは済まない。そしてイトナが隙を見せれば原さんはタコが勝手に助けてくれる。後は……」

「吉田!!村松!!でけーの頼むぜ!!」
「マジかよ!」
「ったく!」

寺坂の言葉に、吉田と村松は笑って川へ飛び込む。続けてカルマが指で合図をすると磯貝と片岡が川へ飛び込む。

「殺せんせーと弱点一緒なんだよねえ?じゃあ、同じことやり返せばいいわけだ」

カルマが指で合図をすると、生徒が次々と入っていく。
………そう、"水遊び"だ

「いえーい!」
「オラァ!!」

生徒全員でイトナに水をかけ、追い詰めていく。
イトナの触手は水をどんどん吸っていき、原型をとどめていないほどに肥大化してしまった。

「おお〜。大分吸っちゃったねえ?……でどうすんの?俺らも賞金持ってかれんのやだし、そもそもみんなアンタの作戦で死にかけてるし、ついでに寺坂もボコられてるし。まだやるなら、こっちも全力で『水遊び』させてもらうけど?」

「…してやられたな。ここは引こう。ここで皆殺しにして仕舞えば…防衛省の人間もうるさいだろう…帰るよイトナ」

「どうです?とても楽しい教室でしょう?そろそろちゃんと学校に来ませんか?」

膨れ上がった殺せんせーはそう説得するも、イトナは舌打ちをし、シロと共に去っていった。

「よかったねー殺せんせー?私たちのおかげで命拾いして」
「ヌルフフフフ。とても感謝しています。まだまだ奥の手はありましたがね」

寺坂が何食わぬ顔で立っていると、
後ろから殺気が向けられていることに気づく

「…そういや寺坂君。さっきあたしのこと散々言ってたね?ヘビーだとかふとましいだとか…」
「い、いやあ…あれは状況を客観的に分析してだな…!」
「言い訳無用!!動けるデブの恐ろしさ、見せてあげるわよ!」

寺坂の言い訳も無論通用せず、追い詰められてしまう。そして後ろにはカルマがしゃがんでいる
最悪の状況だ。

「ほんと無神経だよなぁ寺坂は。そんなんだから、人の掌で転がされるんだよ」
「うるせーなカルマ!!テメーも高いところから見てんじゃねえよ!」

そう言って寺坂はカルマを無理やり川へ叩き込む。カルマはすぐさま立ち上がり、焦った様子で

「は、はあ!?何すんだよ上司に向かって!」
「上司じゃねーよ!触手を生身で受けさせるイカれた上司がどこにいる!?」

寺坂のツッコミは正しい。常識的に考えて普通に狂った上司だ。そして寺坂はこう続ける

「だいたいてめーは!いつもサボってるくせに美味しいところだけは持っていくよな!!」

的確だ。この男、体育の授業は大体サボるというとんでもないヤツだが、美味しい場面だけはいつも持っていくのだ。
寺坂のツッコミに、片岡と中村は賛成したようで、
「あーそれわたしも思ってた」
「この機会に泥水もたっぷり飲ませようか…!」

すると、どこからともなく前原が現れ、カルマに襲いかかる。続けて中村はカルマに水をかける

「はは、君のクラスは仲がいいね」

蓮太郎は笑顔で渚に語りかける

「うん。笑顔が絶えない良いクラスだよ」
「それなら良かった。最高最善の魔王を目指して、頑張れよ」

蓮太郎はそう言うと、オーロラカーテンの中へ消えていったこと

「寺坂君は高い所から計画を練るのに向いていない。彼の良さは現場でこそ発揮されます。体力と実行力で自身も輝き現場の皆も輝かせる。実行部隊として成長が楽しみな暗殺者アサシンです」
 
寺坂もだんだんとクラスに馴染んできて、E組もまとまりが出来てきた7月。
だが、まだこの物語も序章。終わりの見えないライダーの物語
潮田渚はそれを完結させることができるのか……
これからの活躍に乞うご期待!

…………

「アナザーシノビが倒されたんだって?」

紅茶を飲みながらそう問いかけるのは、雪ノ下陽乃。その質問に、シロは頷く。

「えー、せっかく力を渡したのにー」
「まあまあ、落ち着きたまえ。それより…切り札はあるのか?」

シロはコーヒーを飲みながら陽乃に質問する
すると陽乃は不敵な笑みを浮かべ、こう答える。

「ふふ…もちろん。タイムジャッカーの刺客として…新しいライダーを送り込む予定よ」
「そうか…わかった。魔王の抑止力になればいいんだがね」
「まあ、そこは期待しててよ。何せ……破滅を呼び寄せるライダーなのだから」

………場面は変わり、ここは砂漠の広がる異世界。
その砂漠の中を、1人の女が歩いていた
容姿は、2本の角、そして尻尾を生やしたブロンドのツインテール。

彼女は指で円をなぞると、ゲートのようなものが出現。人間界と異世界をつなぐゲート
彼女はそれを見てニヤリと笑い、ゲートの中へと入っていった──────

To be continued…

次回、仮面ライダージオウ

「小林って人に会ってみよう」

「俺は仁藤攻介。仮面ライダービーストだ」

「僕の意思を…あの人は継いでくれた」

「我が名はトール。仮面ライダーなど凌駕する!」

EP54「マジシャン&ドラゴン2021」



パパパパワー!はい、シノビ編が予想以上に早く終わってめちゃくちゃ驚いてる私です。
次回からはウィザード編!誰が出てくるかは皆さん……お察しですね?
前回のキャスト発表で出てこなかったキャラクターも結構います
…そして、近いうちに陽乃さんの言っていたオリジナルライダーが出てきます。
え?
「オリキャラ嫌いじゃなかったのか」って?
…私が嫌いなのは"オリ主"であってオリキャラではありません!
と、いうことで、次回からもよろしくお願いします!

さあ、結末はどうなるのか?
最後まで見届けてくれるとうれしいです!

Re: 暗殺教室×仮面ライダー 〜とある破壊者と王様の話〜 ( No.56 )
日時: 2022/11/30 01:38
名前: 宇治抹茶 (ID: kVdvMbwW)
プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13018

EP54 マジシャン&ドラゴン2021



「…出ろ!処刑だ」

朝八時。鉄臭い牢の中、どすの効いた男の声が響く。その牢には一人の女が収監されており、その女は「処刑」という単語を耳にしても、恐怖を抱かなかった。

2025年。荒廃した都市・日本国。
とあることが原因で政治、集団、都市機能すべてが崩壊してしまい、今や無法地帯。

政府のかわりに「将軍」なる存在ができ、国を統治していた。

前述のとおり法が存在しないため、将軍は気に入らない存在がいれば「大罪人」として収監し、公開処刑にしていた。

この囚人もその一人だ。
囚人の姿は影で隠れており、視認することはできない。
ただし、声で性別だけは判別できた。

女は手を拘束。
処刑台に立たされ、拳銃を向けられる。
向けられてもなお、女の感情が揺らぐことはない。

「フフ……これで何度目かしらね」
「許可なく喋るな!」.

女の言葉を遮るように、処刑人が声を上げる。

「最期の時くらい、好きに喋らせなさいよ」

女は「はぁ~」と大きくため息をつき、『独り言』を言い始めた。

「全ての元凶はアイツだった…………オーマジオウならきっとやってくれる…このクソみたいな世界を…変えてくれる……」

その刹那、女に向けて5発の銃弾が放たれる。
女は笑ってその弾を受け、絶命した………….







…………ゆっくりとまぶたを開けるとそこは、いつもの教室であった。
どうやら夢を見ていたらしい。そう思った渚は安堵する。

すると…   


「渚、やっと起きたか」
「今日は渚の家で勉強会の約束だろー。はやくはやく」

戦兎と杉野の言葉を聞いて、渚ははっとする。
"ああ、そうだ。今日は確か、いつものメンバーで勉強会をするんだった。 
外で不破さんやレーナさんも待ってる。急いで準備しなきゃ"

帰る支度を終え、渚は杉野達の後をついていく。

「テスト期間かあ…」

下校中、テスト範囲表を見ながら杉野が言う。
7月は地獄のテスト期間。中高生はここでさんざん苦しむことになる。
中学3年にとっては運命の分かれ目…は言いすぎだが、この期間での頑張りが評価され、成績が付けられる。

だがコイツら、全くもって勉強していないのだ。
戦兎やレーナは天才児?だからまだマシな方だ。しかし、それ以外の人間もそうとは限らない。
現に不破や杉野、渚は成績不振でE組に堕落した身だ。より一層勉強に力を入れなくてはならない。
故に今日、勉強会を開くと約束したのだ。


「不破ー青年誌見るか?」

『青年誌』というワードを耳に入れた瞬間、不破の顔がぼっ、と赤く染まる。

「えっ…あっ、私、そういうのは得意じゃないから…」
「そうか。そりゃ残念だなー」

と、戦兎はニヤニヤしながら不破に青年誌を見せびらかす。青年誌は際どい描写が多く、少年誌ファンの不破が最も苦手とするジャンルだ。(苦手というかただ慣れていないだけなのだろうが)
不破は『よろしくないシーン』を見ないよう、両手で顔を隠して対抗する。

「ふたりとも何やってんだ?」
「あはは…」

暫くして、渚の仮拠点であるクジゴジ堂に到着し、店の扉を開ける。

「おお、いらっしゃい渚くん!と、お友達!」

そこには店主である常磐順一郎が立っており、笑顔で渚たちを出迎えてくれた。

「おじゃまします~~」

杉野達は軽く挨拶して、2階の部屋を拝借した。

「そーいやさ渚、さっきから何読んでんだ?」

部屋に入るなり、杉野が渚に問いかける。
渚は下校中からある雑誌を夢中で読んでおり、杉野は気になって気になってしょうがなかったのだろう。

「魔法を扱ってる雑誌…かな。最近こういうのに興味があって」

─────らしい。
渚はまあ、"そういう年頃"なのだろう。
中学生とは、ありとあらゆることに興味を持ち、そして非現実的なものに憧れを抱く年頃。
「体は剣で出来ている!」などと魔術の詠唱をしたり、「これが私の、『全力』だぁぁぁぁぁぁっ!!!」と叫んでみたり……と、カッコつけたくなるものなのだ。
そういう人達の事を、世間では中二病と言う。
渚も一見、その類に見えるのだが…


「次に我が魔王が手に入れるべきウォッチはズバリ、"仮面ライダーウィザード"。魔法使いの力だ」

突如どこからかウォズが出現。
コイツは突然現れ渚たちにヒントを残してから去っていく。わけのわからない男だ。
ウォズが言うには、次手に入れる力は"仮面ライダーウィザード”、即ち魔法つかいの力。

「魔法…使い?」
「そう。少年少女であれば誰しもが憧れるであろう存在─────ン我が魔王はその力を…とある男から貰わなければならない」
「え、それって誰─────────」


刹那、外からギィィィィン!!と、耳が破壊されそうになるほどの轟音が鳴り響く。

「な、なんだ!?」

その轟音は数秒で鳴り止み、何だったのだろうかと外を見ようとしたところ─────

ドスッ…ドスッ…と、地響きが起こる。
しかし、その地響きも数秒で消え去る。

「み、みんな!大丈夫かい!?」

順一郎が慌てて出てくる。
どうやら中はなんの問題もないようで、杉野達を見た順一郎は一瞬だけ安堵する。

なにかおかしい…!!

そう思い渚は咄嗟に外へと出る。
時計屋から100メートルほど離れたところに、ヤツはいた。
遠目からでもわかるほどに凄まじいオーラ……
ヤツは渚たちの姿を視認すると同時に、住宅の壁を蹴り上げ急接近─────

「自ら出てきたか、魔王」

見慣れない格好の、人間らしき生き物。
しかし人間にしては…何処かおかしい。
先端が平らな二又の角に、大きな緑の尻尾を生やした女。

新手のコスプレイヤーか?と一瞬思ったが、先程のあのスピードは……
さらに、此奴の周りには半壊した建物、燃え盛る炎─────
偶然にも、ここは空き家であったため、被害はまだマシな方だが…

それよりも、だ。

こいつ、明らかに人間ではない。

「…誰?」

渚は怯むことなく、"人間ではない何か"にそう問いかける。

「私の名か?いいだろう、答えてやる」

彼の問いに、その人間ではない何かは、尻尾で建物を破壊し、それと同時に何らかの魔法を使ったのだろう……火をすべて消し止めてはこういった

「我が名はトール。仮面ライダーを凌駕し─────魔王、貴様を始末する」

刺客か…?
渚は咄嗟にライドウォッチを取り出す。

「おおっと、そいつぁ困るなあ」

すると……背後の方から男の声が。
なんだと思い振り返ると…一風変わった青年が一人。

「え……誰…!?」

渚は突然やってきたその謎の男に名を尋ねる。
青年は「良くぞ聞いてくれた!」と、言わんばかりのテンションそして声量でこういった。

「俺は仁藤攻介、仮面ライダービーストだ!」

青年は自身の名を名乗れば、指輪のようなものを指に装着。それを腹部にやると、そこから魔法具のようなものが出現。

「変〜〜身!!」

仁藤は独特なポーズを取り、魔法具のスロットに指輪をセットする。

SET! OPEN!!
L・I・O・N!!LION!!!

すると、金色の魔法陣が仁藤の体を通って行き、彼の肉体を変化させた。

─────仮面ライダービースト。

それが、彼のライダーとしての名前。
そして……渚が手に入れるべき力の一端でもある。

渚も続けて、ジクウドライバーを腹部に装着。ライドウォッチを取り出し、変身の準備をする__


一方、
東京都 椚ヶ丘市、貴凛町。
ここは「メロンパンがうまい」で有名な街で、緑髪のちょっと厳つい男がメロンパンを売っているという………

そんな街中を歩く一人の女───── 

外見は14~16歳ほどで、
少し赤みがかった黒髪ロングに、紅色の美しい眼球。白シャツの上に黑ジャケット、ジーパンという…かっこいいのかダサいのかよく分からないファッション。

その女は、何者かと電話している様子で、表情も少女らしいものではなかった。

「───もしもし?」
「…ええ、問題ないわ。ジオウ暗殺の手筈は整えた」
「───あとは実行するだけ」

人っ子一人いない河川敷─────そこで繰り広げられるは『暗殺計画』

「場所は…空龍街?彼処は国内でも有数の繁華街………それに、強いヤクザが取り締まってる所よ。暴れたらタダじゃ済まないわ。」

その後女は数分ほど会話した後、通話を終了さへる。終えると同時に、女は不敵に笑い───こう言った。

「待っていなさい、最低最悪の魔王。
私があんたを─────徹底的に潰すから」




To be continued………




次回、仮面ライダージオウ

「俺は操真晴人」

「やめろ!トール!」

「あんまりソワソワしないで~……」

「あの人は…僕の夢を継いでくれたんだ」

「よそ見をするのはやめてよ~……」

「さぁ─────死になさい、ジオウ」


EP55「ゼツボウ&ハメツ2021」









10連爆死悲しすぎるだろ!爆死悲しすぎるだろ!!!!!!田中脊髄剣!!ボボボボボボボボボ!アガガガガガガガガガガガガ!!!

ハイ、超絶お久しぶりです、宇治抹茶デッス。

えー、言い訳をしますと、今年入ってから忙しすぎてほぼ死んでました。
ですが休んでいた間、完結までのストーリー構成…そして、キャラクターたちがどんな結末を迎えるのか─────じっくり考えることができました。

いやぁ、もう書きたくて書きたくてしょうがない!!なのでここから投稿ペースを上げていこうと思います。
飽き性でだらしない人類種の私ですが…
この作品を最高のものにできるよう精進していきます。

これからも、暗殺教室×仮面ライダーをよろしくお願いします!

Re: 暗殺教室×仮面ライダー 〜破壊者と王様の話〜 ( No.57 )
日時: 2023/06/25 03:53
名前: 宇治抹茶 (ID: kVdvMbwW)
プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13018

EP55 ゼツボウ&ハメツ2022

「我が名はトール。仮面ライダーを凌駕し─────魔王、貴様を始末する」

刺客か…?
渚は咄嗟にライドウォッチを取り出す。

「おおっと、そいつぁ困るなあ」

すると……背後の方から男の声が。
なんだと思い振り返ると…一風変わった青年が一人。

「え……誰…!?」

渚は突然やってきたその謎の男に名を尋ねる。
青年は「良くぞ聞いてくれた!」と、言わんばかりのテンションそして声量でこういった。

「俺は仁藤攻介、仮面ライダービーストだ!」

青年は自身の名を名乗れば、指輪のようなものを指に装着。それを腹部にやると、そこから魔法具のようなものが出現。

「変〜〜身!!」

SET! OPEN!!
L・I・O・N!!LION!!!

すると、金色の魔法陣が仁藤の体を通って行き、彼の肉体を変化させた。

渚も続けて、ジクウドライバーを腹部に装着。ライドウォッチを取り出し、ポーズを取り、変身のトリガーとなる掛け声……

「変身!」

瞬間、世界は回転。 

RIDER TIME!!
仮面ライダー!ジオウ!

渚の体をスーツが覆い、複眼部分に「ライダー」の文字が刻まれる。
…そして、仮面ライダージオウへと変身した。

「 二人がかりでも…私には遠く及ばない」

渚と仁藤の変身を見たトールは、彼らを嘲るようにそう言い放ち、右手にエネルギーを集約させる。
────それはやがて、禍々しい光を放つエネルギー弾へと変化。

トールはそれを─────市街地に向けて放たんとする。

「 これしか…! 」

渚はジクウドハイバーにディケイドライドウォッチを装填、回転した。

アーマータイム!
カメンライド!ワーオ!
ディケイド!ディケイド!ディケイドー!

変身し、すぐさまライドヘイセイバーを用いて弾を斬ってやろうと試みる。

「はぁッ!」

────が、その刃がエネルギー弾を貫通することはなかった。コイツ…硬さが尋常じゃない!硬すぎて斬れないのだ。
結局、斬ることはできず、その弾をトールに跳ね返す形となった。
跳ね返された弾は真っ直ぐの軌道を描き、トールに接近。そのまま被弾するかと思われたが─────

「───つまらん。」

彼女は動じることなく、右手に再度エネルギーを集約させる。そして…十分に溜め込んだ後、それらを放つ。
放たれた弾は、渚の跳ね返した弾とぶつかり合い────相殺される。

「仮面ライダーを始末しろとの命令だったが───想定よりはやく終わりそうだ」

トールは渚に対し、まるで〝嘲笑〟とも取れる表情でそう言い放つ。

「しかし───今は時間がない。貴様との決着はまたの機会にさせてもらう。」
「お、おい!俺なんもしてねーぞ!!」

刹那、トールの背後にオーロラカーテンが出現。
トールはこちらに背を向けて去っていく。
それを仁藤は追いかけようとするも────カーテンとトールの姿はすでに消えていた。

「大丈夫ですか!?」

変身を解除した渚、仁藤にレーナ達が駆けつける。

「大丈夫…。」
「あぁ、それにしてもアイツ…マジで強かったな」
「そういえば…仁藤さんはどうしてここに?」

渚の問いに、仁藤は微笑しながら答えた。

「 あー…ちょっと野暮用だ 」

野暮用……?なんの用事かは分からないが、あまり触れないほうが良いと渚は判断し、敢えてこれ以上は追求しないでおいた。

杉野の手を借り、ゆっくりと立ち上がっていると、仁藤はこちらに背を向けて去って行こうとしているのが、ボヤつきながらも確認できた。

「 んじゃ、俺はここらでお暇させてもらうぜ。縁があったらまた会おうな〜、少年!」

仁藤はそう言いながら手を振って去っていった。
渚たちは、それをただ黙ってみていることしかできなかった。


────ふと時計を見れば、時刻は18時。
良い子はみんな家に帰っている時間だ。
少々傷を負ってしまったが…早く帰って絆創膏でも貼っておこう。

渚たちは帰路につき、他愛のない話をしながら帰っていく。

「なんかさー、こんな時間まで外に出てたことって…まじでなかったくね?真面目な俺等にしては珍しいわ 」
「それってどのくらい珍しいの?」
「んー、めざましジャンケンでシャンクスが出るくらい珍しい」
「私らの世界でそのネタ使うのマズくない?」「あ、そうだった。それはすまん」

と、相変わらず訳の分からない会話をする不破と兎。それに追いつこうと必死な杉野、理解が追いついていないレーナたち……。

これがテンプレである。

「…やべ、はよ帰らないとマスターに怒られるわ」
「私もそろそろ帰らなきゃー」

と、皆ペースを上げ、別々に帰ろうとした────その時。

「あんまりソワソワしないで〜…♪」
「「「「「…!?」」」」」

背後から女の声が聞こえてくる。
姿は視認できない…ただ声だけが聞こえる。
どこか聞き覚えのあるフレーズを口ずさみながら────その声は徐々に近付いてくる。

「あなたはいつでもキョロキョロ〜…♪」

どこだ…どこにいる?

「よそ見をするのはやめてよ~…♪」

ダメだ…何も見えない!
聴覚情報だけを頼りに、声のする方へ近づくも…その度に声は遠ざかる。

そして─────

「─私が誰より一番♪」

──同時だった。
「パァン!」という轟音と共に、渚の横を何かが通過した。それも一瞬のうちに…。
何だ、何が起こったのかと、渚達は辺をキョロキョロと見回す。

─────すると、暗闇の中から、一人の女が現れる。

赤の混じった黒髪ロングに、紅の…光を失った瞳。
その女の手には拳銃が。
女は手に持ったそれを指で回しながら、渚に歩み寄る。

「こんにちは、〝我が魔王〟あなたの命を…頂戴しにきたわ。あぁ───上からの命令なの。ごめんなさい?」

───次の刹那、この辺り一帯に爆音が木霊する。
思わず、渚は下を見る。すると………ジクウドライバーに弾丸が一つ、命中していたのだ

「 これで貴方のジクウドライバーは死んだ────変身なんてできないわね」

あまりに突然のことで、混乱している渚たち。
そんな彼らを他所に、女は次の攻撃へと移る。

「バチバチのコインぶつけまーす!眉間に穴開くかしら~?」

───コインを投げる。
すると……そのコインは電気を帯びて、渚たちに向けて発射。コインの速度は尋常じゃあ無く、常人であればまず回避不可能であろう。

「ナギサ!危ないッ!!」
「うおおおおお!キバって行くぜ〜〜!?」

間一髪のところで、レーナとキバットが混乱状態の渚を突き飛ばす。ちなみにコインはキバットが受けた。

「がは…」
「ありがとう、キバット!貴方はそこで眠ってて!」

レーナの言葉を聞くと…キバットは目を閉じ、仮眠状態に入った。

「ハッピーで埋め尽くして~♪レストインピースまで行こうぜ~♪」

そうしているうちに、黒髪の女は聞き覚えのあるフレーズを口にしながら…こちらに近づいてくる。
そして…

「 まぁ、そこの魔王はとりあえず再起不能ね。ベルトをぶっ壊したから…もう二度とジオウにはなれない。ならばまだ殺す必要はないわね。」

そう言うと女は、レーナたちに背を向ける。

「今日はここで失礼するわ。足汚れるの嫌だし、帰って風呂にでも入るわ。あぁ、潮田渚くん。君は絶対殺すから─────覚悟しといてね」

「I know, I know I've let you down…♪」

上記の言葉を述べ、不敵に笑うと女はその場からゆっくりと去っていった…。

「ナギサ!ナギサ!」
「渚ー!大丈夫!?」
「う…あ……レーナ、さん?かや…の?」

二人の呼びかけに呼応するように、渚の目がゆっくりと開く。

「 知らない天井だ…… 」

渚が真顔で言う。
ちなみにここはクジゴジ堂の天井である。 

「 いやオメーの仮拠点だよ 」

戦兎が珍しくツッコミを入れる。

「まあひとまず…渚が無事で良かったわー。俺等も安心して帰れる!」

杉野が胸をなでおろす
レーナや茅野も「よかったぁ〜〜…」と、その場にへたり込む。

時刻は19:30────。
杉野たちは、この後物凄く怒られることになるのだが……それはまた別のお話。

- 空龍街 -

ここは空龍街と呼ばれる、東京都有数の繁華街。夜の店やレストラン、ショッピングモール等…様々な世代や境遇の人間が集まる場所。
治安はあまり良いとは言えないが、ここではヤクザが治安維持を行っているため、ある程度の秩序は保たれている。

そんな街中を歩く、黒髪の女─────先程、渚達と戦った者である。その女は、ある人物と電話していた。

「もしもし、スウォルツ?ジクウドライバーの破壊だけでよかったんでしょ?───ええ、完全に破壊したわ。めっちゃ簡単だった 。」
「うん、うん──────じゃ、あたしは貴凜町にヤサでも作っておくわ。後はよろしく 」

彼女は長々と話し終えた後、電話を切った。

「 いやぁ、これからの戦争─────血が踊る心が躍る〜!あ、腹減った 」



To be continued……


次回、仮面ライダージオウ!

「やめろ!トール!」

「仮面ライダーは根絶やしにしろと…スウォルツ様が言った……!」

「この私から逃げられるとでも?」

「俺は羅威刃の菊川ってモンだァ……」

「真のウィザードはこの俺だァーーッ!!」

EP56「銃声」




はい、どうもこんにちは!
宇治抹茶だと思います笑
多忙故に久々の更新になりました。マジですみません!

ちなみに、前回の話で「いつものメンバーで勉強会をする」と書いていましたが、ゲイツとツクヨミは訳あって欠席してます。その理由は後ほどわかると思います。

また、今回のお話で黒髪の女が歌っていた曲……すべてわかりましたか?最後のやつは結構難しいかもですね〜〜、わかった方はテレパシーで私に教えてくださいな!
えっ?殺せんせーの活躍がなさすぎる…だって?
安心して下さい、これからメッチャクチャ増えます。

えー、これからもゆっくりめの更新になりますが、どうかお付き合いして頂けると幸いです。


Re: 暗殺教室×仮面ライダー 〜とある破壊者と王様の話〜 ( No.58 )
日時: 2024/07/11 02:31
名前: 宇治抹茶 (ID: zOrwUnX8)

EP56 「銃声」

「 あー、はいはいもしもし?」

7月10日 16:24 椚ヶ丘学園前校門前
黒髪ロン毛の女───蒼莱あやのが、スマホで何者かと連絡を取っている。

「 今、椚ヶ丘中学校の正門にいるわ。下校時間みたいね、生徒みんな、単語帳とにらめっこしながら帰ってるわ 」

相手は、恐らくスウォルツ。
本校舎の様子を見ながら、逐一スウォルツに報告している。どうやら…渚達の知らない所で、奴らの計画は徐々に徐々に進んでいるらしい。

「────じゃ、報酬はたんまり頂戴ね。」


──────────────────
場面は変わり、椚ヶ丘中学校旧校舎にて。
渚は鞄を背負いながら考え事をしていた。

" ベルトを破壊された。
昨日、闇の中から襲ってきた…謎の女に。 "

昨日、突然何者かの奇襲に遭い、ベルトのバックルを銃で破壊されてしまった。銃…と言っても、恐らく通常の物よりも遥かに強化された代物だろう。

一日中ずっと考えに耽っていた渚を見て、戦兎はポンっと手を叩いて言った。

「 近くにカフェあるし、そこで状況整理でもしようぜ 」

戦兎の提案に、渚やレーナ達は頷く。
そうと決まれば即行動。とりあえず旧校舎を出、街を目指して山を下った。相変わらず虫だらけで気持ちが悪い。街に出ると、戦兎は西の方角を指さし、こう言った。

「 ここをまっすぐ行ったら着くぞ 」

戦兎の言う通り、まっすぐ歩いていく。しばらく歩くこと10分、街並みは閑静な住宅街から都市部に近づいており、人通りも増えていた。

「 ここだ!! 」

都市部に差し掛かった所で、戦兎は右方向を指さした。そこには一塔のビルが立っており、一階部分にカフェ、二階より上は空きテナント…といった場所であった。そしてこの一階に位置するカフェこそが───戦兎の言っていたカフェである。

「 カフェ…スイーツ……楽しみ…」

レーナはニヤニヤと笑みを零しながらカフェの看板をじっと見る。

「 レーナさん、完全にスイーツ目的になってるな 」
「 うへ、うへへへへへ…!プリン!プリン!」
「 茅野もかよ! 」



そして、店の扉を開けると────



「 おっとォ、お客さんかい?いらっしゃい。席はガラ空きだから好きに座ってくれェ 」

カフェの内装は───一言で表すなら「とにかくお洒落」!フィクション作品等でよく見かけるような感じの、良くも悪くも量産型のカフェ。だが、このカフェの特徴といえばそれだけではない。

───店員の存在だ。

「 おーい、バンビ!接客しろー 」
「 あーはいはい!わかってるっての!! 」

ハワイアンな服を着たラテン風の男、赤を基調とした服に、上から白のエプロンを着た黒髪ロングの別嬪な女。かなーり特徴的な店員が二人、そこに居た。

「 アンタ達、見ない顔ね。ウチは初めてかしら? 」
「 はい、一人を除いて。 」

バンビと呼ばれた店員に尋ねられ、笑顔で答えるレーナ。

「 ふーん。じゃ、最初に言っとくけど…この店、店主含めて超変わってるから気をつけなさいよ 」

人数分のお冷を置くと、バンビという店員は厨房へと去っていった。そして、バンビと入れ替わる様に、店主が渚達の卓にやって来る。

「 お客サン、此処は初めてかい?じゃあ自己紹介しとくぜ。俺はここの店主のアスキン・ナックルヴァール。んで、厨房に居ンのが店員のバンビエッタ・バスターバイン。」

「「「「(めっちゃ語呂いい!!)」」」」

この場に居る全員がそう思った。
一度は言ってみたい名前ランキング10位圏内にランクインしてそうだ。東海道中膝栗毛と同じ部類。(絶対違う)

「 ウチはクセの強いお客サマが多くってなァ、カフェインを摂取したら酔っ払うヤツ二人、あァ、そのうち一人は泣き出す。あとは毎度毎度女のタイプを聞いてくる変な客、『ここは世界一神聖な場所だ』とか言って一万円だけ置いて帰る客…… その他諸々だな 」

「 癖強いどころじゃねーでしょそれ… 」

戦兎が呆れ気味に突っ込み。マスターは『ま、変わった店だがゆっくりしていってくれ』と気さくに笑ってみせ、厨房へと帰った。

──甘いスイーツに舌鼓を打ちつつ、テスト勉強に励んでいると、カウンター席の方から馴染みのある声が聞こえてくる。

「 ねえ、マスター。前回の更新から1年近く音沙汰なかった本作だけど────これについてどう思う? 」

コーヒーをずるずると飲みながら…カッコつけた雰囲気でマスターに話しかける女────不破優月。

「 ちょっと何言ってっかわかんねえけど、好きな雑誌の新刊がいつまで経っても出ないのは嫌だな。 」

「 うっ…うぐ……マスター…コーヒーおかわり…!」

マスターの苦笑交じりの返答に、不破は苦虫を食いつぶしたような顔でおかわりを要求する。

「 お客サンさァ…苦手なら無理して飲むんじゃねーよ 」
「 今日は飲まなきゃやってらんないの!! 」
「 仕事終わりの社会人か、アンタは 」

渚達はその様子を見て『いつもの不破さんだ』と苦笑していた……忍び寄る影に気づく事なく。

「 ────ねえ、そこの君たち。 」

…突然、背後から話しかけられる。
渚は驚き、瞬時に後ろを振り向くと………そこに居たのは、アロハシャツっぽい服に、黒のジャンパーを着た、一風変わった雰囲気の男。その男は、プレーンシュガーを頬張りながら、此方の話に耳をそばだてていた。

傍から見ればただの不審者である。

「 あ、貴方は────? 」

渚は目を丸くし、思わず名を尋ねる。

「 驚かせてすまない。俺は操真晴人、魔法使いだ。 」

男は操真晴人と名乗り、魔法使いであると答えた。その言葉に、杉野や茅野は眼を丸くして「「ま、まま魔法使い!?」」と返す。

「魔法使い…?」

渚も半分困惑気味に言葉を返す。
それに対し、操真は『ごめんごめん』と軽く言ってこう続けた。

「 仮面ライダーウィザード。潮田渚君__多分、君なら知ってると思う。」

仮面ライダーウィザード……この名前には聞き覚えがあった。何時、何処で聞いたのかはさっぱり分からないが、「仮面ライダーウィザード」という単語だけが脳内にこびりついて離れない。仮面ライダージオウの力を手にして以降、事ある毎に渚の脳内を駆け巡る「仮面ライダーの記憶」────明らかに自分の物ではない、中途半端に挟み込まれた記憶。

「 名前だけなら、聞いたことあるような… 」

首を傾げながら、曖昧に言葉を絞り出していく渚。
───その直後だった。ドゴォーーーンッ!!という爆音が街中に鳴り響く。

「 まさか…!! 」
「 どうやら敵襲みたいだ。 」

会計は杉野たちに任せ、金だけ置いて店を出ると、街は逃げ惑う人々で溢れかえっていた。周囲をぐるりと見渡せば……カフェを出た所から左に真っすぐ行った所の公園から、何やら煙のようなものが舞い上がっていた。

渚達は急いで例の場所まで走って行く。
すると、そこには────────

「 見つけた……抹殺対象ライダーッッ!」

昨日、クジゴジ堂付近を襲撃した───人間と怪物のハイブリッドの様な女。特徴的な尻尾や角以外は、至って普通の少女……なのだが、問題はその凶暴性と能力にある。

一度行使すれば、相手の身体を容赦なく焼き尽くしてしまいそうなブレス、それに伴う広範囲の爆発────また、使用者本人の性格は凶暴かつ傲慢で、先の破壊活動を見る限りは、相手がたとえ人間だろうと容赦なく能力を行使するだろう。

今すぐにでも変身したいが…渚は今、ベルトを破壊されている。それ故、ただ見ている事しか出来ない。

「キバット!」
「あいよ!キバって行くぜ!」
「アイツを倒せるか分かんねえが、足止めくらいなら出来る 」

幸い、レーナ、戦兎の二人は変身可能だ。
レーナは黄バットを腕に噛ませ、バックルに装填。続けて戦兎もビルドドライバーにボトルを装填。

【鋼のムーンサルト!ラビット!タンク!イェーイ!】

変身後、二人は駆け出した───怪物の女・トールを止めるために。

「仮面ライダー…殺す!!!」

対するトールは鬼の形相で迎撃体制に入る。
二体一の数的不利な状況下で、トールが見せたのは【殺意】──たとえこの身が滅びようとも、スウォルツの命令通りに仮面ライダーを倒さんとする執念。

ライダーとトールが攻防を繰り広げる中、渚はただ呆然と立ち尽くしていた。

変身できない、即ち何もできない。善き王様になるという渚の漠然とした目標は、最早消えかかっていた。否、これは自分の意思で決めたものではない。義務だ。未来、自分は最低最悪の王様になってしまう。それを止めるために───渚は今の今までライダーとして奔走していた。

このまま何も出来ぬまま終わるのか…?
そう思考を巡らせていた渚の元へ、一人の男が歩み寄る。

「よぉ…魔王サマ」

まるで嘲るように渚に話しかけた男───渚はゆっくりと後ろを振り向く。

「誰…ですか?」

渚は無機質な声で問いを投げかける。
それに対し、男は「ハッ」と笑い飛ばしながら言葉を続けた。

「俺か?俺は羅威刃の元幹部…菊川ってモンだァ…」

男の口から出た「らいじん」という言葉──まるで「そういう時期」の子供が考えそうなヤツである。渚は少々困惑しながら、男に言葉を返す。

「えっと…らいじん……?」
「 ───そう、羅威刃 」

渚が聞き返したと同時、ウォズが何処からともなく現れる。

「うわぁ!?!?いつからいたの!?」
「 最初から居ましたよ、我が魔王。 」

ウォズは薄っすら笑みを浮かべながら渚に歩み寄り、例の「羅威刃」について解説を始めた。

どうやら「羅威刃」とは、裏社会に存在する「半グレ組織」の一種だそうで、違法薬物の売買を中心に周囲から金を巻き上げている謂わば「悪の組織」的なヤツである。

「なるほど…悪い人ってことか」
「 長話は終わったかァ? 」

奴の魂胆は…失礼だが、顔面に張り付いた醜い笑みから何となく想像できた。渚は鋭い目つきで菊川を見やる。すると奴は、ポケットからウォッチの様なものを取り出した。

「 魔王、テメェを殺して…スウォルツ様に認められたらよォ〜〜〜、美女囲って一生遊んで暮らすんだァ!!! 」

【ウィザード!】

奴が取り出したのは、アナザーウィザードのライドウォッチ……奴はそれを自身の胸部に入れる。
刹那、奴の体は闇に包まれ──姿形が異形そのものへと変わっていく。

「真のウィザードはこの俺だァァ!!」

闇が晴れた頃には、そこに菊川の姿はなかった。代わりに、異形となった奴が立っていた。

その容姿は…顔面は粉々に割れてしまった宝石、後頭部の装飾は異形の怪物の鷲掴んだ手を連想させ、目はドクロのように落ち窪み、全体的に「仮面ライダーウィザード」を歪めたようなものであった。

「やっぱりお前か、第二のウィザードは」

アナザーウィザードの変身と被さるように、ゆっくりと此方に歩み寄る晴人。

「あァ?テメェは…操真晴人だなァ?」
「そうさ。俺が本物のウィザード・操真晴人……お前の事は調べさせてもらった。 」

晴人は渚の前に立ち、腹部にあるバックル・ハンドオーサーに右手をかざす。

【ドライバーオン!プリーズ!】

音声と共に、晴人の腹部にウィザードライバーが出現。左右に位置するシフトレバーを上下させ、ベルトを起動。

【シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!】

新たに音声が鳴り、その間に晴人は、右手に着けられた指輪・ウィザードリングの複眼を下にシフトさせ、ハンドオーサーに翳す。

「 変身 」

【フレイム!プリーズ!ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!】

刹那、晴人と等身大くらいの大きさの魔法陣が出現。それはゆっくりと晴人に近づいていき、彼を包み込んでいく__音声が鳴り止むと同時に、仮面ライダーウィザードの変身が完了。

「さぁ、ショータイムだ!」


──────────────────


場面は変わり、戦兎とレーナはトールと戦闘を繰り広げていた。

「しぶとい輩が…!早く消えろ!!」
「消えてたまるか!!」
「ここは絶対に通さない…!!」

二人は執念で抵抗を続け、消耗戦に持ち込もうとしていた。トールも薄々勘づいたようで、後方に跳躍し、二人から少し距離を取る。

「く……醜い、実に醜いぞ人間…!!」

キッ、と鋭い眼光を二人に浴びせるトール。
すると……

「やめろ!!!」

どこからともなく女の声が聞こえてくる。戦兎やレーナは辺りをキョロキョロと見回すが…声の主はどこにも見当たらない。
トールも反応を見せ、目を見開いて驚いている様子であった。

その刹那、トールの背後から…ワープゲートのような物が出現。そこから、一人の女が現れる。

女は和装に身を包んでおり、額に角、リヴァイアサンを彷彿とさせる尻尾を生やした…人間とドラゴンのハイブリッドの様な見た目。
恐らく、トールと同じタイプの生命体だろう。戦兎は警戒心をより一層強める。

その女はゆっくりと口を開き…こう言った。

「トール!お前…こんな所で何をやっている!」
「エルマ……」

語気を強め、まるで子供を叱る母親の様な迫力で第一声を述べた女……エルマ。対して、トールは一瞬、呆然とした表情でエルマを見つめるも、即座にキッ、と睨みつけた。

「 うるさい…黙れ……!仮面ライダーは根絶やしにしろと……スウォルツ様が言った!!!私はそれに従っているだけだ!!」

トールは鬼気迫る表情で叫ぶ。
禍々しいオーラが、ゴォゴォと音を立てながら広がって行く。

「 だからと言って、この街まで巻き込む必要はないだろう!! 」

エルマは一層語気を強め、さらにはトールに突進をかける。

「 うるさい───ッ!!お前はどこまでも私の邪魔をするッ……!!! 」

トールも迎撃体制に入り、右手に自身のエネルギーを集約させ、街に放たんとするが……

その刹那、トールの背後に、巨大なワープゲートが出現。エルマはトールに突進し、激突。自分諸共ゲートの中へと入っていった。同時、ワープゲートに向かって、強風が吹き荒れる。

それを見た戦兎とレーナは変身解除し、お互いに顔を見合ってこう言った。

「「今の……殺せんせーだよな(ですよね)」」

『ヌルフフフフフ…』

To be continued…


次回・仮面ライダージオウ!

「ハハハハ!魔法使いの力っつーのは楽しいもんだなァ!!」

「絶対に取り返す!」

「明光院ゲイツは葛藤していた」

「渚…いや、ジオウ!俺はお前を倒す……」

EP57「トリニティ崩壊」



お久しぶりです!宇治抹茶です!
今気づいたのですが、連載開始から3年経ったそうですヨ。あっという間ですね。
3年連載してて56話分しか書けてないって結構まずいですね!書かなきゃ書かなきゃ!
いつも通り拙い文章ですが、温かい目で見てやってください。


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