複雑・ファジー小説

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水車の廻る刹那に【『そして彼女は弁当を投げた』更新!】
日時: 2012/11/16 18:53
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: qgJatE7N)

はい、こんにちわ。火矢八重です。
前から予告していた小説、遂に書くことにしました!


注意点
・神話の神々の名前を出すことがありますが、宗教を軽蔑しているわけではありません。
・これはフィクションです。登場人物、団体名はありません。
・荒らし、中傷、チェーンメールはお帰りクダサイ。
・宣伝は程程に。
・コメ・アドバイス、貴方のオリキャラが来ることは、おk!寧ろ来てもらったら喜びのあまり踊りますwwww

前回の『六花は雪とともに』は、かなりシリアスでしたが、今回はシリアスもあるけれどライトとお笑いを重視しております。どうぞ、お楽しみください。
それでは、始まります!!


お客様&恩人様

陽様 (恩人様その一。六花の頃からお世話になってます!)
ガリュ様 (恩人様その二であり、私がここに来てから知り合った友人様でございます^^b)
はぜかみ様 (妖モノがお好きのようで、仲間が居て嬉しいですww)
風猫様 (陰陽師モノを書いている方ですw かなり個性的な陰陽師が勢ぞろいしてます)
黒雪様 (妖モノ好きはやっぱり多い!)
陽菜様 (合作で共に闘った(?)同士です! 『六花は雪とともに』から見てくださっているようで・・・・・・うう、感涙)
刹那様 (刹那はこの刹那様から一応来てます♪妖好きの同士で、六花の頃からお世話になってます)
樽原武甲様 (恩人様その三。敵キャラを頂きました♪)
水月様 (恩人様その四。オリキャラを頂き、六花の頃からお世話になってます♪)
藍永智子様 (同じく妖モノを書くお方! 一つ年下のようですが、私以上に文才力とアイディア、ユーモラスで尊敬してます!)
ゆぅ様 (最近のお客様♪ 人生ゲームをモチーフにした小説を書かれています)
ヒトデナシ様 (かなり長い付き合いであり、恩人でもあり、私が尊敬する方です!『もしも俺が・・・。』は、とても面白い作品ですよー!!)
白月様 (六花の頃からお世話になりまくってますww)
六花様 (「かみさま世界」という作品を書かれている方です!w)

オリキャラ投稿をしてくださった方々
・夏蜜柑様
・樽原武甲様
・周忌様
・水月様
・陽菜様

目次

登場人物>>27

卯月編 >>1 皐月編 >>69

お絵かき
写真を撮る>>81
おはぎを食べる>>95new!


【参照300突破&お客様十人突破感謝記念——————!!】>>41

経歴

12年3月31日 『水車の廻る刹那に』スタート。
  4月2日 参照100突破!(こんなにもすぐに行けたとは・・・・・・(感涙)
  4月5日 参照200突破!(明日から学校です)
  4月17日 参照300突破&お客様十人突破!(メッサ嬉しいです! 体調は中々優れませんが・・・・・・)
  4月28日 参照400突破!(体調は少しずつですが良好に向ってます♪)
  5月6日 参照500突破!(体調がよくなっています♪)
  5月17日 参照600突破!(テストが近くなっている…)
  5月28日 参照700突破!(理科絶望!!)
  9月15日 参照800突破!(久しぶりすぎる更新!! これからコツコツ更新します)
  11月17日 参照900突破!! (アッハハハハ、本当に遅いわー、私w)

Re: 水車の廻る刹那に【そこは変人の巣窟だった パート2】 ( No.32 )
日時: 2012/04/09 19:59
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)



「そ、そしたら蛍と一緒だな!」
「え……?」


 ヒナが答えてくれた。


「あの子、両親が居ないんだ。だから、身元引受人は順子さんたちになってるんだよ」


 初めて聞いた。何となく両親いないのかなー、とは思っていたけど、順子さんが身元引受人だったなんて。
 その時、ふと朝から感じていた違和感に気づいた。


「アレ……? そういや、蛍はどうしてるんだ?」


                             ◆


「——って、何でここに居るんだァァァァァ!!?」


 店へ入ると(店と家は渡り廊下で繋がってるんです)、学校に行っているはずの蛍が、店の手伝いをしていた。


「何って……店の手伝いやけど?」
「いや、見ればわかるよ!! そうじゃなくて、学校は!?」
「え、行っとらんよ?」


 ガク、とこけそうになりました。——それって、つまり不登校ってこと?
 そんな俺の様子にスルーし、蛍は俺の後ろに居るヒナと勇気に声をかけた。

















 離れの間は、順子さんが入れてくれた緑茶の匂いが香っていた。丸ボーロも一緒に置いてある。


「「——呪いの人形?」」


 俺の声と、蛍の声が重なった。ヒナは、コクンと頷く。
 話を持ちかけたヒナの家系は、『人形師』という職業についているらしい。
人形師というのは、人形を作るのもそうだが、人形と心を通わせたり、人形に言葉をあげたり、五感をあげたりする術師のこと。中には人の恨みを吸った人形も居るので、そんな人形の心を浄化させるのも人形師の仕事らしい。
そんな四月一日家に、とあるややこしい依頼が舞い込んできた。


「それがねえ、もう最っっ低なのよ。依頼人金持ちなんだけど、祖母から貰った人形ば『古臭い』『気味悪い』って言って、無残に捨てたんだって!! でも、捨てても川に流しても燃やしても戻ってきて……とうとう夜中動くようになったって大騒ぎして、ヒナたちに泣きこんできたのよ」


——だから、呪いの人形ってわけね。
 怒り狂うヒナの様子に、気持ちは判らないわけでもない。けど、人形を捨てるのも所有者の自由じゃないか? それに、物を大切にしない若者だって、そこらへんに居るし、めくじら立ててもなあ……。
 そう言うと、ヒナは険しい顔で言った。


「人形にだって心はあるんだよ。……とても、繊細な心をね。だから、この場合、誰かにあげるとか、そういうことをしなければならなかったの」


 ——その表情は、何処か険しくも、哀しく見えたのは俺の気のせいだろうか。


「でも、珍しいなあ。ヒナがそぎゃんこと私に依頼するなんて。何時もなら、パパパパ、って出来るんじゃなか?」


 蛍が言うと、ヒナは俯いて言った。


「それが……無理なの」
「え?」
「声を聞こうとしても……聞こえないの。その人形だけ」


 ヒナが言うには、人形は結構おしゃべりらしい。例えば、持ち主のことや、世の中のこと、喋る相手がいれば、尽きること無く話すのだ。
 ところが、その人形は全く話さない。まるで、口を縫いつけているように。


「よっぽど悲しかったやろか、その人形……」


 蛍の言葉に、ヒナは困ったように首を横に振った。


「判らない。でも、このまま放っておくと、どれくらいか判らないけど悪影響を及んでしまうと思う……。
 ばっちゃとじっちゃに聞いてみたけど、ヒナ以上の力を持つ人形師は、別の都道府県に居るから……」
「だから、ヒナは蛍に頼もうとしたんだ」
「どう、蛍。依頼、引き受けてくれない? 勿論、依頼料はあるからさ」


 蛍は少し考え込むようにして、やがてクスッ、と笑って言った。


「まあ、依頼料も貰えるし、無二で一番世話になっとる親友の頼みだし、してみっよ」

Re: 水車の廻る刹那に【そこは変人の巣窟だった パート3】 ( No.33 )
日時: 2012/04/11 18:51
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)



                             ◆


というわけで、やってきました四月一日家。
 何となく想像していたが、純和風の家だ。しかも豪邸と言っていいほどの。
 松の木を沢山植えてあり、何と池もある。池には蓮の広い葉の下で、錦鯉が悠々と泳いでいた。


「しかし、いつ来ても広い庭だなー」


 同行してきたヤマちゃんが言う。その横で、同じく同行してきた紗織が頷いた。


「四月一日家には、人形作りの依頼も来るからね。雛段も受けたまっているから、結構金持ちなんだよ」


 ヒナはサラっと言って、俺達を客間へ案内した。
 客間はもちろん和室だ。純和風だ。上等な畳に、上等な長い机。仕切っているふすまを取れば、何処まであるのか判らない、部屋の広さ。床の間には桜の絵が書かれた掛け軸がかけてあり、生け花もある。障子を開ければ、広々とした庭が見えた。
 お手伝いさんがお茶と小城羊羹を持ってきてくれた。ピンクの小城羊羹で、外はシャリ、と砂糖で固まってあり、中は柔らかい。


「そしたら、ヒナは例の人形持ってくるね」


 そう言い、ヒナが客間を出ようとしたところをヤマちゃんが止めた。


「何? ヤマちゃん」
「その前に大事なことがある」
「大事なこと?」


 怪訝そうに蛍が言った。


「ああ。ある意味とっても大切なことだ。これを終わらせなければ、例の人形に会っても解決できん」


 ヤマちゃんの真剣な声(今犬の姿だから、表情は良く解らない)に、皆真剣に耳を傾ける。


「それは……」
「それは……?」



 ゴクリ、と唾を飲み込んだ音が聞こえた、その時だった。








































「——————出席を取る!!」





 一瞬の間が空いた。と思ったら、「ダァァァ!!」と、皆一斉にコケた。


「何で出席!?」


 俺は突っ込んだ。


「だって、今メンバー確認してないだろ。私たちは判っているが、活字でしか判らない読者の皆様は、一体誰が居るのか判らないだろうし」
「そいけんがらって二十行も引っ張らなくていいやろ。それに、何気に世界観壊しとる、ヤマちゃん。小説の中に居る人が読者とか活字とか言っちゃいかん」


 ヤマちゃんの弁論に、蛍が冷たく突っ込む。
——だが、蛍。お前も何気に世界観壊してるよ。


「ま、まあ……ヤマちゃんの言ってることも一理あるし、出席取ろうか。ね?」


 ヒナが場をつくろうように言うと、早速ヤマちゃんの出席が始まった。


「んじゃー、乙音 蛍—」「はーい」


 蛍ののんびりな声が客間に響く。ちなみに、出席の順番は五十音順だ。


「影宮 紗織—」「はーい」
「坂田天—」「はい」
「宮副 勇気—」「へい」
「四月一日 雛—」「はーい」
「ダイ君—」「はーい」

「よし、これで全員だな」


 そうヤマちゃんが言った途端、一人だけ抜かして皆一斉に振り向いた。


「……居たんだ、ダイちゃん」
「気配全くしなかったから気づかなかった」
「影薄かったから気づかなかった」
「酷いです皆ァァァ!!!」


 それぞれの反応に、ダイ君はワアアア!! と泣きだした。
 この幼稚園生並みに小さい男の子——ダイ君は、豆腐小僧という妖怪だ。順子さんが経営している店のバイト君である。一応俺と同じく居候。——一応なのは、本人が影薄いからだ。
真っ白い肌に(俺もモヤシと言われるほど白いけど)、ふっくらとした頬。現代風に赤のチェックの上着の下に、黒い長そでが見える。デニムのズボンをはいていて、女の子だったら抱きつきたくなるほどの可愛さだ。——ただ、残念なことに影が薄い。
 未だに泣いているダイ君を、ヤマちゃんが慰める。


「まあまあ、俺はお前が居るの判ってたぞ。——一通り出席を確認して気づいたがな」



 余計なひと言が入ってるよヤマちゃぁぁぁん!!……ヤマちゃんを除く、全員がそう思ったに違いない。——思った通り、ダイ君はもっと泣きだしてしまった。

Re: 水車の廻る刹那に【そこは変人の巣窟だった パート4】 ( No.34 )
日時: 2012/04/13 20:21
名前: ガリュ  (ID: F.VKszn7)

四月一日家は金持ちですねw!
ダイ君は豆腐小僧か…。
しかも影が薄いw!
かわいいですね〜!!

それにしてもヤマちゃん、何を言い出すかと思えば
出席確認ですかい!!
しかも一言多いw!!

     ではまた!!

Re: 水車の廻る刹那に【そこは変人の巣窟だった パート4】 ( No.35 )
日時: 2012/04/14 18:06
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)

ガリュさん!

おひさです!!

はい、四月一日家は金持ちっす!!w

出席はほら・・・・・・わかる人は分かるはずww

ダイちゃんは弄りやすいので、出番が結構あると思います!

更新頑張ります!!

Re: 水車の廻る刹那に【そこは変人の巣窟だった パート4】 ( No.36 )
日時: 2012/04/14 18:08
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)



                               ◆


 まあてんやわんやの騒ぎが落ち着き、やっとのことでヒナが例の人形を持ってきた。
 持ってきたのは市松人形。


「確かに、これは凄い……」


 蛍の言葉に、俺も頷いた。
 外見は普通だ。黒いおかっぱの髪に、真っ赤な着物を身にまとう人形。——ただ、何と言うのだろうか。雰囲気が、黒く淀んでいるような気がする。怒り、悲しみ、絶望、憎しみ……どれにも当てはまりそうで、どれにも当てはまらない様な、そんな『気』だ。
 蛍は険しい顔になり、人差し指を人形の額に当てる。しばらく蛍は黙っていたが、やがて口を開いた。


「……ヒナ、ビデオカメラ持ってきて」


 ヒナはすぐにビデオカメラを蛍に渡す。蛍は右の手はそのまま、ビデオカメラに左の手のひらを乗せた。——その時、バチバチバチィッ!! と電気がカメラを包んだ。だが、それも一瞬で、発光が終わると外見は変わっていないビデオが置いてあった。
 何がなんやら判らないで居ると、蛍は再生ボタンを押す。すると、液晶画面が見た事もない映像を写していた。


















 その映像は、市松人形と一人の少女が写っていた。景色を見ると、昭和の初めごろだろうか。素朴な感じが漂っていた。
 長い髪を三つ編みでおさげにした少女は、頬を紅潮させて人形を抱いている。とても嬉しそうに、そっと人形を抱きしめた。
 人形も嬉しかったのか、人形の周りに包まれた空気が、とても暖かく見える。
 少女は人形をとても良く可愛がった。着せ替えをしたり、ご飯をあげたり、市松人形の髪を梳いたり。少女は幾つになっても人形を可愛がった。
 人形は表情こそ無かったが、それでも嬉しそうだった。人形を包む空気は、春のように暖かい空気だ。
 少女は大人になって結婚しても、人形を可愛がり続けた。




 ——だが、それは戦争で打ち砕かれる。
 食糧すら貰えない困難な状況で、人形と遊ぶことなどもってのほか。人形は物置の奥に隠されてしまった。







——寂しい。暗い。








 人形の想いが伝わった。真っ暗で何も見えない何も聞こえない所で、たった一人。
 それでも人形は我慢した。少女がどんな想いで自分を手放したか知っているから。
 きっとまた少女と遊べる。また可愛がってくれる。そう信じて待っていた。

















 永遠と思われる暗闇の時間が続く。——遂に、物置の扉が開かれた。
 光が差し込む。やった、と人形は想った。


 ——やっと、主の元に行ける。一緒に遊べる。


 期待が膨らみ、また暖かな空気が流れる。
























 ——だが、現実は残酷だった。


 いきなり画面が変わる。白いカーテンが風と一緒に踊る。窓際には、綺麗な花が添えられた花瓶があった。——どうやら、病室のようだ。
 白い清潔なベッドには、あの少女が横たわっていた。——やつれており、目は開いているのに何処か遠くを見ているようだ。
 他の人が話しかけても、瞼すら動かさない。まるで、死んでいるようだった。


 少女の瞳には、もう人形の姿は映らない。
 少女はもう、人形を可愛がることすら出来ない——。


 少女はそのまま、五十年という年月を生きた。
 その間は何も無い。何も見えず、何も聞こえず、何も感じず、ただただ五十年の年月が過ぎただけだった。









 また画面が変わる。葬式だった。人形は少女(もう老婆なんだけれど)と一緒に棺に入っていた。
 これで、一緒に静かに眠ろう——そう思った時、人形は聞いてしまった。

























「やれやれ。お荷物がやっと死んでくれたよ」




 ——下品な笑い声が人形の思考を真っ白にした。
 笑い声の主は、少女の息子だった。その後に続いて、孫も親戚の者たちも下品に笑いながら言う。


「本当に。喋っても何も返事来ないしサ。死んでいるのも同然、ってかもっと早く死んでほしかったね。そしたら、治療費もかからないで済んだし、遺産もすぐ貰えたし」
「おいおい、実の祖母にそこまで言うかあ〜? ま、遺産が貰えて嬉しいけどよ。あの女、かなりの金を貯め込んでいたしな」
「つーか、廃人になる前は人形と遊んでいたんだぜ? いい大人が人形ごっこ? 笑えるぜ、頭いかれてるんじゃないの?」


 下品な笑い声が響き渡った。
 刹那、人形の周りに黒く濁った空気がまとわりつく。



 ——許セナイ……主ヲソンナ風ニイウナンテ……。
 ——仮ニモ息子ヤ孫ガソウ言ウナンテ……。
 ——金目当テデ死ネト? ソンナ、ソンナ……。





 人形には、判ってしまったのだ。
 何故、少女がこの世界に戻って来れなかったのか。
 彼女は戻って来れなかったのではない。戻りたくなかったのだ。
 人間の醜い所を、彼女はこれ以上見たくなかったのだ——……。



 ——許セナイ許セナイ許セナイ……。


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