複雑・ファジー小説

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たか☆たか★パニック(松浦鷹史くん・武藤なみこちゃんCV)
日時: 2013/04/11 17:11
名前: ゆかむらさき (ID: E/MH/oGD)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

 ※たか☆たか★パニック〜ひと塾の経験〜を読んでくださる読者様へ
 この物語はコメディーよりの恋愛物語なのですが 性的に刺激的な文章が処々含まれております。
 12歳以下、または苦手な方はご遠慮頂く事をお勧めいたします。


 ☆あらすじ★
 冴えない女子中学生が体験するラブ・パラダイス。舞台はなんとお母さんに無理やり通わせられる事となってしまった“塾”である。 
『あの子が欲しい!』彼女を巡り、2人の男“たか”が火花を散らす!


 視点変更、裏ストーリー、凝ったキャラクター紹介などを織り交ぜた、そして“塾”を舞台にしてしまったニュータイプな恋愛ストーリーです!
 読者の方を飽きさせない自信はあります。
 楽しんで頂けると嬉しいです。


 ☆ドキドキ塾日記(目次)★
  >>1 宣伝文(秋原かざや様・作)
  >>2 はじめに『情けなさすぎる主人公』
  >>3 イメージソング
 塾1日目(主人公・武藤なみこちゃん)
  >>4-5 『塾になんかに行きたくない!』
  >>6-7 『いざ!出陣!』
  >>8 『夢にオチそう』
 塾1日目(主人公・松浦鷹史くん)
  >>9-10 『忍び寄る疫病神』
  >>11-12 『もの好き男の宣戦布告!?』
 塾2日目(主人公・武藤なみこちゃん)
  >>14-15 『初めての恋、そして初めての……』
  >>16-17 『王子様の暴走』
  >>18-19 『狙われちゃったくちびる』
  >>20-21 『なんてったって……バージン』
 塾3日目(主人公・武藤なみこちゃん)
  >>22-23 『キライ同士』
  >>24 『怪し過ぎ! 塾3階の部屋の謎』
  >>25-26 『一線越えのエスケープ』
  >>28 『美し過ぎるライバル』
 塾3日目(主人公・高樹純平くん)
  >>29 『女泣かせの色男』
  >>30-31 『恋に障害はつきもの!?』
  >>32-34 『歪んだ正義』
 塾3日目(主人公・武藤なみこちゃん)
  >>35-37 『ピンチ! IN THE BUS』
  >>41 『日曜日のあたしは誰のもの?』
  >>42-44 キャラクター紹介
  >>45-47 >>48 キャラクターイラスト(ゆかむらさき・作)
  >>49 >>50 キャラクターイラスト(ステ虎さん・作)
  >>102 キャラクターイラスト(秋原かざや様・作)
 日曜日(主人公・武藤なみこちゃん)
  >>51 『祝・ドキドキ初デート』
  >>52 『遅刻した罰は……みんなの見てる前で……』
  >>53 『少女漫画風ロマンチック』
  >>54-55 『ギャグ漫画風(?)ロマンチック』
  >>56 『ポケットの中に隠された愛情と……欲望』
  >>59 >>61-65 >>68-69 たか☆たか★“裏ストーリー”第1章(主人公・松浦鷹史くん)
 日曜日(主人公・松浦鷹史くん)
  >>70 『残され者の足掻き(あがき)』
 日曜日(主人公・武藤なみこちゃん)
  >>74-78 『王子様のお宅訪問レポート』
 日曜日(主人公・松浦鷹史くん)
  >>79-80 『拳銃(胸)に込めたままの弾(想い)』
  >>81 『本当はずっと……』
 日曜日(主人公・武藤なみこちゃん)
  >>82-83 『闇の中の侍』
  >>84-85 『こんな娘でごめんなさい』
  >>86 『バスタオルで守り抜け!!』
  >>87-89 『裸の一本勝負』
  >>90-91 『繋がった真実』
  >>92-96 インタビュー(松浦鷹史くん・高樹純平くん・武藤なみこちゃん・蒲池五郎先生・黒岩大作先輩)
  >>97 宣伝文(日向様・作)
  >>98 キャラクター紹介(モンブラン様・作)
  >>99 たか☆たか★“裏ストーリー”(主人公・高樹純平くん)
 日曜日(主人公・高樹純平くん)
  >>106 『もう誰にも渡さない』
  >>114 たか☆たか★(松浦鷹史くんCV・トレモロ様)
  >>115 たか☆たか★(武藤なみこちゃんCV・月読愛様)

忍び寄る疫病神 ( No.10 )
日時: 2012/12/24 07:21
名前: ゆかむらさき (ID: cLFhTSrh)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

 平和な日々に“ひび”が入る。
 “こいつ”のせいで、何かいやな事が起こる予感がする。


     ☆     ★     ☆


 バスの中、俺の隣の席で石の様に固まっている武藤がいる。
 俺は、彼女と今日から同じ塾に通う事になる。
 頼むから母さん達には、この話を他の奴らには漏らさないで欲しい。
 こんな奴なんかとヘンな噂になるのは、ゴメンだからな。


 塾に着いた。
 多分、同じ学校に通っていて、住んでいる家が隣同士だから“仲がいい”のかと思われたのだろう。先生に“武藤の面倒をみてやれ”みたいな事を頼まれたけれども、
(フン! 自分で何とかしやがれ)
 俺は武藤の事は構わずバスを降りて、早歩きで逃げ出した。


 教室のドアを開けて自分のクラスの教室に入り、席についた。
「よォ、鷹史」
「はぁーい、鷹っち」
「来たな、鷹殿」
 わざわざ自分から動いたりなんかしなくても周りの奴等の気持ちが自然に集まってくる。こんな事を自分で言うのもなんだが、俺には人を惹きつけるオーラが出ているのかもしれない。
 違う学校なのに何かと親しくしてくれる彼らに、俺は軽く手を上げ笑顔で答えた。


 今頃Bクラスの教室で武藤はどうしているだろう。
 周りにいるのは違う学校の知らない人だらけ。
 あいつの事だから、きっと教室のドアの前で立ち止まって泣きそうな顔してるだろうな。
 ごめんな。“優しく守って”あげられなくて。……ククッ。


 まァ、とにかく武藤と違うクラスで良かった。


 ————と、なんだよ全く。今日武藤がこの塾に通う様になってから、気が付くと無意識で彼女の事ばかり考えてる気がする。
 極力、俺の視界と脳内に連れてきたくはない女なのに。
 いち早く強力な殺虫剤でも撒いて追い出さなくては気分が悪くなる。
 俺はカバンの中に手を入れて、講習が始まる時間までの暇潰し、にと家からちゃっかり持ってきていた小説本を出して読み始めた。
(今、スゴくイイとこなんだよな……)
 断じてエッチな小説ではない。
 ただ……恋愛小説なので、誰にも知られたくない。


 他の奴等にタイトルを見られない様にしっかりとカバーを付けて隠した本を読んでいると、俺の大嫌いなくさい香水の臭いが近付いてきた。
「たーかし、クンっ」
(チッ! こいつか……)
 同じクラスの彼女の名は、徳永静香。
 俺の前でだけ人格を変えられる、という得意技を持っている。
「なに、よんでルのぉ?」
 さらに彼女は声のトーンを普段よりも一オクターブ上げた見事な作り声で話す事ができる、という高度な裏技まで持ち合わせている。笛を吹いたら壺の中から出てくる蛇の様に体をくねらせながら、徳永さんは俺の手元を覗き込んできた。
「本……」
 こんな女と話したくないのに。
 香水の臭いが鼻にまとわりついてむせ込みそうだ。こいつの顔面にも殺虫剤をぶっ掛けて追い返してやりたい。
 ジャマだな、と思いながら本を閉じ、『さっさとどっかへ行きやがれ』と念じたが、今度は俺の顔に顔を近付けてきやがった。
「ねェ……今日、鷹史クンと一緒にバスに乗ってきたコって、ナニ?」
 彼女はいきなりイヤな事を聞いてきやがった。
 武藤の事は話したくない。
「アハハ……」
 俺は笑ってごまかそうとしたけれど————ダメだった。
「あのコ、鷹史クンと同じ中学で家が隣同士なんだって、さっき蒲池(かばいけ)センセイに聞いて……。ねェ、どんな関係なの? 幼馴染み? 
 ————もしかしてコイビト……なんてコト、ナイよね?」
「——ッ!」
(くそッ! 蒲池のやつ、余計な事言いやがって!!)
 ムンムンとくさい香水の臭いが、さらに俺をムカつかせる。
 俺は右手の拳で机の上をドン! と叩いた。
 教室の中が俺の怒りのオーラで一瞬シーンと静まりかえる。
(おっと、コレはマズったな……)
「フッ」と小さく笑って椅子にのけ反り返った俺は、


「関係ない……」
 と呟いた。
 “武藤と俺は何の関係も無い”
 “徳永さんには関係の無い話”
 両方の意味を込めて————


「よかったァー。コイビトじゃなかったのネー。じゃあ静香、まだ脈アリなんだねェー」
 スキップしながら自分の席に去ってゆく彼女に向けて、俺は心の中で“フェイク・ポーズ”をおみまいしてやった。

もの好き男の宣戦布告!? ( No.11 )
日時: 2012/12/26 16:43
名前: ゆかむらさき (ID: cLFhTSrh)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

     ☆     ★     ☆


 講習が終わり、俺は教室のドアを開けて廊下に出た。


 Bクラスの教室の前を通ると、武藤のバカ顔が頭に浮かんだ。
 そういえば……この塾は、他の所に比べるとレベルが高かったんだ。
 学校のレベルにさえ全くついていけてないあいつが、どう考えてもここで続けていけるわけがねぇんだ。
 一体あいつの母さんは何を考えてんのか分かんねぇけど、あんなのを塾なんかに通わせるなんて、はっきり言って金をドブに捨ててる様なものだ。ああいう勉強の仕方から分かっていない様な奴には、せめて家庭教師の先生を頼むとかにしとかねぇと。
 確かに、あんなにヒドすぎる成績じゃあ、親が心配する気持ちがイタいほど解るけれども、イヤイヤ勉強なんてさせたって頭に入るわけがない。
 好きなものに熱中する意欲がねぇと、力を発揮できねぇから。まじで。
 親の心子知らず……なんて昔の人はよく言ったものだ。
 俺も俺で母さんに『なみちゃんと仲良くしてあげなさい』とか、しょっちゅううるさく言われてるから。
 ————死んでも嫌だが。
 そうやってやりたくない事をムリヤリ押しつけられて、あいつもまぁ可哀そうっちゃあ、可哀そう————
(……って! か、かわいそう!? はあっ!? なに考えてんだ、俺っ!!)
 塾の外に出た俺は、月の光を浴びながら長く深呼吸をした。
(フン! い、いい気味だぜ!)


 駐車場の脇の自転車置き場から、俺に向かって大きく手を振っている徳永さんがいる。
 いらない愛情をムリヤリ押しつけられている俺の気持ちと武藤の気持ちがなんとなく似ている気がして、「ふっ」と思わず笑ってしまった。
 さて……と、あいつの疲れきって青ざめた顔をバスの中でじっくり見てやるかな……。
 わざと徳永さんに気付かないフリをして、俺はバスへと向かって歩いた。


「松浦くん」
 バスに乗ろうとしたら、背後から誰かに声を掛けられた。
 足を止め、振り返ると、上品な顔をした男が近付いてくる。
(ああ、こいつは確か……)
「高樹ー、早く来いよー」
 そうだ、高樹だ。見覚えがある。今、この男をを呼んだ、俺と同じクラスの結構仲のいい友達の“健”っていうやつと、よくつるんでいるBクラスの奴だ。 
 クラスが違うから話をした事はまだ一度もないが————
「いーよ、健。先行ってて」
 髪の毛を指でかき上げてニコッと紳士的な笑みを浮かべた彼はゆっくりと話し出した。
「どうも。僕、2年生Bクラスの高樹純平です」
 律儀にまず自分の名を名乗り、ニコリと微笑む“高樹”とやらいう男。誰にでも好かれるような甘い声、そして優しい瞳をしている男だが、なんとなく感じる。まるで俺に対して挑発をしているかの様に。
 どうも、うさん臭い。
 健の友達だから、あまり悪くは言いたくないのだが。
 こいつが俺に一体何の用なのか。
 ジャケットのポケットから出した右手を腰にあてて目を細めると、高樹……というやつは俺の顔色を探りながら聞いてきた。


「今日、君と一緒にバスに乗ってきた女の子の事、聞かせてくれない?」

もの好き男の宣戦布告!? ( No.12 )
日時: 2013/01/15 16:55
名前: ゆかむらさき (ID: cLFhTSrh)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

     ☆     ★     ☆


 帰りのバスで、また俺はわざと武藤の隣の席に座ってやった。
(さて……と、今度はどんな攻撃カマしてやろうか……)
 ワクワクする気持ちが抑えきれず、思わず笑みがこぼれてしまう。
 思った通り、隣で武藤はとても疲れた様子で口を半開きにして窓の外を見ている。
「綺麗な月だなァ、武藤」
「…………」
 いきなり俺にこんな事を言われて驚いているのだろう、彼女は何も返してこない。
 コレは手応えのある反応だ。この調子で次の俺の発する言葉に毒を盛る。
「このバスから、おまえと一緒にこの月を何回見れるんだろうな。もしかしたら……今日で最後、だったりしてな! ハハッ!」
 さあ、どんな反応くれるかな?
「…………」
 彼女はまたもや何も返してこない。
「!」
 もしかしたらこいつは生意気に俺の事無視しやがる気なのか!! クッ!
 予想外の彼女の反応に迂闊にもカッときた俺。
(上等じゃねーか、コイツ……。まさかそうきやがるとはなあ!!)
 首を伸ばして俺は窓の外を見ている彼女の顔を覗き込んだ。
「チッ!」
 舌打ちをして俺は鼻でため息をついた。
 彼女は見事に寝ていやがったんだ。俺と同い年とはとても思えない、幼少時代からまるっきり成長していない様な顔をして。
 楽しい夢でも見ているのだろうか。幸せそうに笑みを浮かべている彼女のくちびるを思いっ切りつまんで現実に引っぱり出してやりたくなる。無性に————


「可愛いお友達ですね、松浦くん」
 ハンドルを操作しながら俺に話を振ってきやがる蒲池の言葉に『どう見たって“友達”になんか見えねぇだろうが!!』と心の中でツッコミを入れながら武藤の寝顔に視線を流す。
(確か高樹、といったな……)
 さっきバスに乗る時に、こいつの名前とか俺との関係とか色々聞いてきた男の事を思い出した。


 ゴツッ!
 いきなり俺の傍ですごい音がした。
 武藤が寝ぼけて窓に思いっ切り顔をぶつけた様だ。
「プッ!」(……バーカ)
 ……なんて笑ってる場合なんかじゃない。その後、彼女は俺の二の腕に寄り掛かってきた。
 小さな白い額に、ほんのりと赤い跡が付いている。
「く、来んなよ、バーカ」
 俺はひじを使って彼女を押し返した。
 すると一昔前のコントの様に、再び寄り掛かってきやがった。
「はーっ! ……クソッ!」
 俺は諦めて腕を組み、後ろにのけ反った。


 俺の腕を図々しくも枕にして鼻の音をピーピーさせて寝ている武藤を見ながら思った。
 こんな奴のどこがいいんだ……。
 高樹の気持ちが分からない。
 待てよ、もしかしたら————
 高樹の奴は、誰でもいいからただ単に女とヤリたいだけなんじゃないか?
 こいつバカだから、なんとか上手いこと騙して、思う存分弄んで終いにはポイするって魂胆か。
 考えてみれば、あの紳士的な態度といい、純粋“そうに”見える顔つきといい、あんなのに限って意外に“そーゆーやつ”が多いんだ。
(ん? だがしかし、なんでよりにもよって、こんな女をターゲットにしたんだ? もっとましな奴がいたんじゃねぇのか?)
 ますます彼の気持ちが分からなくなった。
 俺だったら金をしこたま積まれて土下座で頼まれたって、こんな女はお断りだ。


(ん? なんだ? 冷てぇな……)
 俺の手の甲に何か変なものが落ちた。
 ふと手元に目をやると、半開きの武藤の口からよだれが滴り落ちている。
「!」
(こっ! こいつッ————!!)
 慌てた俺はポケットの中に入っているハンカチを出そうと思って右腕を少し動かした。
 ズルリ。
 そのせいで武藤の頭が俺の腕から滑り落ち、今度は膝の上にやってきた。
(おい……マジかよ……)


 とにかく武藤のよだれをどうにかして止めなければ、と自分の手よりも先に彼女の口をハンカチで拭いた。
 その時、俺の指がかすかに彼女のくちびるに触れた。小さくてプルンとした……柔らかいくちびるだった。
 彼女の着ている黄緑色のVネックのカットソーの脇から右の鎖骨がちらりと覗いている。シャワーを浴びたらお湯が溜まりそうな深く窪んだ鎖骨が。
「ゴクリ」
 俺は無意識で生つばを飲み込んでいた。


「痛い! ダメッ! そんなコトしないで! 松浦くんッ!」


「!」
 武藤が、いきなり寝言でとんでもない言葉を叫びやがった。
 ————キーッ!
 バスが急ブレーキをかけて止まった。
 何故こうしたのかは自分でも分からないが、俺は反射的に膝の上の彼女を落ちない様に手で押さえ守っていた。……っつーか、よっぽど勉強に疲れたのか、武藤はまだ目を覚まさない。
(いーかげん起きろって……)
 蒲池が、運転席から首を出して心配そうに振り向き、俺たちの事を見ている。
「なッ! ななな何もしてませんッッ!!」
 俺は(不自然に動揺しながら)必死で訴えた。


 こいつは確かに、はっきりと俺の名前を叫んでいた。
 痛い、ってドコが……? そんなコト、って……どんなコトだ? 
 ————夢の中で俺がおまえにナニをシタんだ?


 塾に行く前に見た武藤の下着姿とさっきの叫び声が、頭の中で合成されて一つの映像になった。
(松浦くんの……エッチ……)
 モンモンと俺の中で勝手にエスカレートしてゆく武藤のエッチな映像。
 俺が今何を考えているのかも知らずに、彼女はまだ俺の膝の上でのん気に寝ている。
 俺は武藤の口をハンカチで押さえながら、ため息をついた。
(なんでこんな奴のために、俺がこんなに……)
 彼女のよだれのせいで俺のズボンは今大変なコトになっている。大変になっているトコロが“股間”じゃなくて良かったが。
 蒲池がバックミラーを俺たちが映る位置に合わせて、さっきから何回もチラチラと見てくる。


「も、もうすぐ着きますよー」

Re: たか☆たか★パニック〜ひと塾の経験〜 ( No.13 )
日時: 2012/10/29 15:33
名前: メフィストフェレス_〆 ◆6tU5DuE3vU (ID: SZlP8yQp)
参照: ご挨拶に参りました、悪魔でございます。

……あれ? また新しいスレになってますね。ああ、新しく建ててパス問題を解決しようと言う……と、すみません。
プチ改名した悪魔でございます。ああ、感想とは別件ですよ。

みっともねーと思うなら、見なきゃいいのに……と感情移入しながら見ていたら、ちょっと気になるところが。

>松浦くんが隣のシートにに座っているはずなのに、
段落がないのと、「シートにに」と、「に」が二つあります。凡ミスでしょうか?

私は何をしにきたのでしょうか、と思いつつも、この辺で失礼させて頂きます。

初めての恋、そして初めての…… ( No.14 )
日時: 2013/02/27 16:29
名前: ゆかむらさき (ID: E/MH/oGD)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

《ここから再び武藤なみこちゃんが主人公になります。》


「なみこー、早くしないと迎えのバスが来るわよー」


「うーん……もうすこしだから……」
 お母さんとお父さんの寝室にこっそり忍び込み、化粧台の椅子に座ってあたしは鏡の中のあたしに向かって“にらめっこ”をしている。震わせた手にお母さんの変身アイテムその1・ビューラーを持ちながら。
 ちなみにそのアイテムというモノは実を言うと10種類以上はあるのだが、あたしにはとても全ては使いこなせない。だって、あたしはまだ僅か14歳。お化粧なんて、もちろんまだした事などない。出掛ける時にお母さんがどうやってコレを使っていたのかをよく思い出しながら初めてのメイクを体験中。
 どうして今までオシャレになんて興味のキョの字も無かったあたしがこんな事をしているかというと————


(よぅし……目力、アップ……)
「痛ッ! イタタタタ……」 
 気合いが入り過ぎたのか、まぶたの皮を思いっきり挟んでしまった。お母さんの変わりにビューラーに『5年早いわ!』と説教された感じ。


「————ちょっとアンタ! 何やってんのよ!」


 鏡の向こうに、ただでさえ多いシワをさらに増やして睨んで立っているお母さんが現れた。
(げっ! 見つかった!!)
 慌てたあたしは、手に持っているビューラーを化粧台の引き出しの中にしまおうとしたら————
 ガッ!
「!」
 ————今度は手の指を思いっきり挟んでしまった。
 挟んだ指にフーフーと息を吹き掛けているあたしを、すぐ横でお母さんが両手を腰に当てて(多分)怒りで引きつった顔で見ている。
「……じゃ、行ってくる」
 痛さを堪え、彼女と視線を合わせない様に気を付けながら塾のカバンを持ち、玄関を飛び出した。


「今から塾でしょ! そんな事してるヒマがあったら予習とかしたらどうなの!」


     ☆     ★     ☆


 だって、予習……みたいなものだもん。
 たかぎに逢えるのは1週間でたったの2回だけ。彼に少しでも可愛い状態のあたしを見て欲しいから————


 家の前で停まったバスに乗る前に、サイドウインドーに映っている自分の顔をチェックしているあたし。
 ビューラーで押さえたまつ毛は結局片方だけだった瞳をパチパチと瞬きをさせ『よし、いくぞ!』と気合いを入れる。
 たかぎに逢える喜びと、松浦くんに耐える意気込みでドキドキと高鳴る胸。


 塾は今日で2日目になる。
「……はやく乗れよ」
 今日も相変わらず無愛想な顔をした松浦くんに言われ、あたしはバスに乗った。
 ああ、きっと今日も隣に座ってきて嫌なコト言ってくるんだろうな、と思ったけれど、何故か彼はあたしとは離れた席に座った。
(あれ? どうしたんだろう松浦くん……)
 きっと今日はあたしを苛めるネタが無いのだろう。……ま、いっか。とりあえず出だし好調。


「武藤さん、塾はどうかね?」
 バスが動き出したと同時に、いつも運転中口数の少ない蒲池先生が突然話し掛けてきた。
「え? まぁ、うん……」
 どう答えたらいいのか分からず、曖昧に返した。
「知らない人ばっかりで大変だろう? もしも困った事があったら、何でもいいから一人で悩まないで先生に相談してくださいね」
 塾の先生なのに、こんなにあたしの事心配してくれている。
 毛は少ないけれど温かい先生。学校とは違って、ここはなんてイイ塾なんだ、と思った。
「大丈夫ですよ、松浦くんがいますし」
 あたしは丸っきりウソ丸出しの棒読み台詞と笑いを浮かべながら松浦くんを見た。
 腕組みをして座っている彼は、『こっちを見るな』と言う様な目であたしの事を睨み付けてきた。


 バスが塾に着くと、相変わらず松浦くんは早歩きで中に入って行ってしまった。
 あたしと一緒に居るところを人に見られるの、そんなに嫌なんだ……。
 入り口の所で足を止めたあたし。
 触らぬ“悪魔”に崇り無し……だったっけ? そんな様なことわざがあったよね、確か。
 ここでしばらく待ってから行こう。
 入り口の脇の壁にもたれ、手に持ったカバンを胸に抱き締めて、ドキドキしながらあたしは自転車置き場にいる人達を見ていた。
 “彼”の事を探しながら————


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