複雑・ファジー小説
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- フライトドクターストーリーズ
- 日時: 2017/09/19 15:49
- 名前: Rain (ID: OZxqQ4OG)
☆attention
この物語を書いている作者は、駆け出しの初心者作家です。
また、医療のことをかいていますが、医者でも看護師でも医学生でもありません。自分の調べた知識だけで書いています。
そのため、なにかおかしいところがある場合がございます。
もし、これを読んでくださっている方の中で医者、看護師、医学生などの医療関係の職についている方がいらっしゃるなら、間違い等ガンガン指摘してください。
プロローグ
救命救急センター。
それは、命を救う最後の砦。
そして、救命救急の攻めの切り札、ドクターヘリ。
出動要請から離陸まで3分。
時速280kmの機動力。
この物語は、命を救うために戦い続ける人々を描いたものである。
- Re: フライトドクターストーリーズ ( No.85 )
- 日時: 2017/10/07 19:18
- 名前: Rain (ID: 9RGzBqtH)
工場の中に入ると、大きな機械が見えた。
「先生、こちらです!」
救急隊員の人に案内されて、患者のもとへ急ぐ。
「スズキ・タクロウさん、32歳です!」
スズキさんは、別に容態が悪いというわけではなかった。
顔色も悪くない。
胸に聴診器をあて、心臓と肺をみる。
ぜんぜん問題ない。内出血もなさそう。
でも、念には念を入れて。
酸素マスクをスズキさんの口にあてる。
「どなたか、毛布お願いします!」
風間さんが指示をだしてくれた。救急隊員が毛布を持ってくる。
毛布が必要な理由。
それは、火花が飛ぶのを防ぐため。
今、レスキュー隊員の人たちがスズキさんを救出しようとしている。
レスキュー隊員の人たちは、パイプを切って、パイプごと病院に行かせるつもりらしい。
パイプを切るとき、電動ノコギリが当たって火花が散る。
酸素と火花。それは爆発を起こしかねない組み合わせ。
だから、毛布でガードしないといけない。
ここに来てからもう20分。
まだパイプは切れない。
なぜなら、工業用に作られたパイプは尋常じゃなく固い。
スズキさんは、パイプの中のスクリューに腕を巻き込まれている。
スクリューを逆回転させて出せないかと聞いたところ、専門の技師しか扱えないらしく、呼び寄せるのに2時間かかるという。
2時間・・・。それじゃあまりにも長すぎる。
そうだ。杉野先生ならなんとかできるかも。
「もしもし、杉野先生?」
『おお、ゆみちゃん。どした?』
杉野先生のお気楽な声が聞こえる。
私は、患者の状態を説明した。
『そうか。最悪、腕を切って、出しな。』
耳を疑った。
切・・・断?
いや、そんなことしなくてもいいはず。
きっとすぐに、パイプが切れるはず。
そう願いをこめて待つものの、パイプは切れない。
それどころか、電動ノコギリの刃が壊れていくだけ。しまいには、近くのホームセンターにノコギリの刃を買いにいく始末になっていた。
これじゃ、まずい。
私はもう一度、杉野先生に連絡した。
『・・・わかった。俺が行くから、ヘリよこして。』
そういった杉野先生の声からは、いつもの気楽さは感じられなかった。
ヘリが空に舞い上がる。新たなヒーローを連れに。
- Re: フライトドクターストーリーズ ( No.86 )
- 日時: 2017/10/09 13:33
- 名前: Rain (ID: OZxqQ4OG)
杉野said
ドクターヘリがヘリポートに降り立った。
エンジン音がわずかにトーンダウンする。
しかし、エンジンは止めない。俺を乗せて、そのままタッチ&ゴーで飛ぶのだ。
スライドドアが開く。
一人で乗り込んだドクターヘリは、いつもより広く感じられた。
建物が小さくなっていく。
青空へと舞い上がったドクターヘリ。
一分、一秒でも速く、患者のもとへ。
工藤said
ドクターヘリのエンジン音が耳に入った。
よっし、来た来た!
「杉野先生ー!こっちです!」
麻酔とボーンソーを持った杉野先生が走ってくる。
「お父さん、わかる?」
「はい。」
「意識レベルはオッケー。腕は?」
その頃にはレスキュー隊員がパイプの上部を切り開き、腕が少し見えるようになっていた。
——————とんでもない位置に手があった。
腕が通常の1.5倍ぐらいの長さになり、手は真っ白。
杉野先生の表情がとたんに険しくなる。
「お父さん、これ、触ってるのわかる?」
杉野先生が触り、質問するも、スズキさんは首を横に振った。
ダメか・・・。その思いが、杉野先生の表情から伝わってくる。
「お父さん、あのな。もう腕がダメになってるから、切らんといかんよ。」
「・・・わかりました。」
それじゃ、あとは腕を抜くだけだね。
しかし。腕はなかなか抜けない。
すでに専門の技師は到着しており、少しずつ腕を出している。
それでも、まだ抜けない。
腕だけ抜ければ・・・。切断手術なら清潔な病院で出来る。
そのとき。
「ふわぁ。」
患者が生あくびをした。何故か杉野先生の表情がますます険しくなる。
「救出やめ。」
はい?
杉野先生、救出やめちゃうの?
レスキュー隊員も唖然としている。
杉野先生はさらに言葉を続けた。
「手術する。気管挿管と、麻酔の準備。」
えっ、ここで手術するの?
「はい!」
風間さんが動き出す。
「救急車からAED持ってきて。心電図替わりにする。」
現場は、緊急手術室へと変化を遂げていた。
- Re: フライトドクターストーリーズ ( No.87 )
- 日時: 2017/10/10 20:43
- 名前: Rain (ID: OZxqQ4OG)
「手術する。」と宣言した杉野先生。
その目は真剣で、いつものおちゃらけた雰囲気は全くなかった。
何も言わずに、手術の準備を整えていく。
あっという間に麻酔をかけ、スズキさんの腕にメスを入れた。
切断手術、開始。
初めに、大きな動脈と静脈を専用の糸で縛る。
そうして、出血しないようにしてから切断する。
筋肉を手早く切り離し、神経もなれた手つきで切っていく。
神経は上手く切ってあげないと、あとで痛みが残ってしまうらしい。
「ボーンソー、ちょうだい。」
手渡された、ヘアドライヤーの様な道具。
普通なら温風が出るところに、刃が小刻みに揺れている。
刃が骨に当たる。
次の瞬間。スズキさんの体が機械から離れた。
腕が、切断されている。
スズキさんは、腕を失ってしまった。
でも。杉野先生がいなかったら。
きっとスズキさんは助からなかった。
改めて、場数の違いや技術の差。
いろんなことが、身にしみた。
私も、いつかなれるのだろうか。
どんな人でも助けられる、フライトドクターに。
- Re: フライトドクターストーリーズ ( No.88 )
- 日時: 2017/10/10 20:52
- 名前: Rain (ID: OZxqQ4OG)
◇お知らせ◇
フライトドクターストーリーズは、今回で最終回となります。
尻切れトンボで申し訳ありません。
一度リセットして、新たな物語を始めます。
次回作
【Flight doctor stories 2】
勿論、今作で大活躍の人たちも登場!
さらに、少しだけ新メンバーも!?
さらに!
いつ始めるかは未定ですが、赤川先生達の過去の物語も用意しています。
こちら↓
【Flight doctor stories 0】
以上、お知らせタイムでした。
- Re: フライトドクターストーリーズ ( No.89 )
- 日時: 2017/10/10 21:02
- 名前: Rain (ID: OZxqQ4OG)
エピローグ
ある日の北海救命救急センター。
朝のカンファレンスで、衝撃発表があった。
「えー!?新人が来るー!?」
なんと、新人がやって来るというのだ。
しかも。
「もう・・・来てるの?」
今日からいるらしい。
「じゃ、じゃあ、どうぞー。」
ガラッ。
ドアが開いて、背の高い男性が入ってきた。
眼鏡をかけていて、眉にかかるぐらいの前髪。
長めの後ろ髪は、ゴムで結ばれていた。
「仙崎海翔です。今日からよろしくお願いします!」
新たな新人、仙崎海翔。
彼の物語は、ここから始まる。
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