二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜
日時: 2016/08/11 18:59
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

初めましてか何度目まして!春太郎です!
小説サイトでは凜太郎という名前でやってましたが、映像二次の方は初なので、折角なので、雑談で使っている春太郎に改名させていただきました!
凜太郎で馴染んでる方も、雑談の方で春太郎で馴染んでる方も、どちらも知らねえよ!というお初さんも大歓迎です!

さて、「!」を多用したところで今回から書く物の紹介ですね
今回からは、最近久しぶりに見たフレッシュプリキュアの二次小説です
大好き×100なキュアパインちゃんとの恋愛小説、ですが、色々な事情により、「新たなる刺客」というサブタイトルになりました
どんな話になるのか!皆さん、是非見て下さい!
それでは、よろしくお願いします

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Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.60 )
日時: 2016/08/10 22:19
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

 時間は少し遡り、下層の戦い。

「ハァ……ハァ……」

 キュアベリーは、腕を押さえながら、その場にへたり込む。
 目の前では、壁に背中を預け、俯いたスプリンガーの姿があった。
 物音がするので視線をずらすと、キュアパッションも戦いを終わらせたらしく、彼女の視線の先では、銀髪の少女が倒れていた。
 ベリーはパッションに近づくと、話しかける。

「急ぎましょう……きっと、ピーチとパインは、シーザーと戦っているわ」
「そうね。アイツは、二人じゃ倒せる相手じゃないわよ」

 パッションは頷くと、二人とも羽を広げ、飛んでいく。
 しばらく飛ぶと、廊下の先にピンク色の影を見つけた。

「ピーチ!?」
「あっ……ベリー……パッショ……ン……」

 肩で息をするピーチの体は、すでに傷だらけのボロボロの状態。
 いや、それを言えばベリーもパッションも、そうだ。
 満身創痍。しかし、ここで戦いをやめるわけにはいかない。
 なぜなら、仲間がまだ戦っているからだ。

「弱音を吐くのも、休むのも、戦いが終わってからだよ。行こう。パインの元に」
「えぇ。最初からそのつもりよ」
「最後まで、精一杯頑張るわ」

 3人は頷き合うと、登っていく。
 最後の、扉へと。

−−−

『これ以上、彼女には手出しはさせない』

 どこからか聴こえた声に、メビウスは一度動きを止め、辺りを見渡した。
 しかし、この部屋には、私とメビウスと……強いて言えば、シフォンちゃんしかいないこの状況。
 もちろん、さっきの声はシフォンちゃんじゃない。というか、男の声だった。
 そういえば、どこかで聴き覚え……。

「がッ……」

 突然、メビウスが苦しみ始め、胸を押さえたのだ。
 私は驚き、目を丸くした。
 その時、突然巨大な機械が光り始めた。見るとそこには、シフォンちゃんがいた。

「シフォンちゃん!?」
「キュアキュアプリプー!」

 シフォンちゃんの目にも輝きが戻り、嬉しそうな声を上げた。
 その時、メビウスの体は大きく揺らぎ、ついに膝をつく。
 しばらく彼は肩で息をした後で、顔を上げた。そして、唇を微かに震わせた。

「山吹……さ……?」
「龍也君!」

 私は、気付けば彼の体を抱きしめていた。
 彼は、最初は拒絶しようとしていたが、すぐに抱きしめ返してくれる。

「でも、どうして?生贄だとか、人格は死んだとか聞いてたけど……」
「あぁ。インフィニティのおかげだよ」

 シーザーはそう言うと一度距離を取り、シフォンちゃんを指さす。
 そこでは、シフォンちゃんが楽しそうに笑っていた。

「僕の人格、というか、僕のデータがメビウス様のデータに消されそうになった時、咄嗟にバックアップを自分の中に作ってくれたわけ。あとは、僕の気力でどうにか」
「気力って……」
「パイン!」

 その時、扉が開き、声がした。
 見ると、ベリーやパッション、ピーチが立っていた。
 現在私とシーザーは向かい合って座っている状態。しかも、私の手は彼の肩に置かれていた。
 私は慌てて彼の肩から手を離すと、その手を背中に隠す。顔が熱くなるのを感じた。
 顔を上げると、3人は明らかに困惑した表情を浮かべていた。

「えっと、たしか、シーザーを倒しに来たんじゃ……」
「和解はとっくの昔に終わってたんだけど……その……」
「でも、まだ色々ある」

 シーザーはそう言うと、ゆっくり立ち上がり、機械の元に向かう。
 そして、しばらくいじると「やっぱりか……」と呟いた。

「何が、やっぱり、なの?」
「メビウス様のデータが、まだ残っている。このままだと、もしかしたら、僕みたいにメビウス様を復活させようと思う人の方が多いかもしれない」

 そこまで言って、しばらく機械をいじると、一瞬目を見開いた後で俯く。

「どうしたの?」
「……ごめんけどさ、先に、出て行ってもらえないかな。メビウス様のデータ多すぎて、消すの時間かかりそうなんだ……。もしかしたら、一日や二日じゃ終わらないかも。だから、先に……帰ってよ」

 私達の方を見た彼は、そう言って優しく笑った。
 その笑顔に、私の心臓はドクンッと音を立てた。
 私はしばらく迷った後で、「あのっ……」と声を漏らす。

「何?」
「もし、終わったら……クローバータウンストリートに帰って来てよ!私、ちゃんと、気持ちを伝えたいから……」

 私の言葉に、彼は瞳の奥を揺らがせた。
 迷惑かもしれない。でも、言わないとダメだと思ったから。

「……分かった」

 なんだかんだで、彼は優しかった。
 好きでもない私のために、約束をしてくれた。

「あっ、そうだ。ついでにさ、スプリンガーとファルーラも、無事なら、連れて行っといてよ。あの二人は僕のために頑張ってくれたから、休ませてあげたいんだ」
「分かったわ。そっちの方は、あたしたちが完璧に助けておくから」

 ベリーはそう言って親指を立てた。
 それに、パッションとピーチも頷く。

「時間がすごくかかるようなら、言ってちょうだい。私や、隼人や、瞬も助けるから」
「心強いね。その時には、ドーナツも持ってきてもらえるとありがたいよ」

 シーザーはそう言って笑った。
 それ以外には特に無いようだったので、私たちは、シフォンちゃんを受け取ると、タワーを出た。
 もちろん、途中でスプリンガーとファルーラを回収して。

−−−

「キュアパインの気持ち、か……」

 僕はたくさん並んだスイッチを指でなぞりながら、呟いた。
 その手に、一滴の雫が落ちた。
 だって……やっぱり死ぬのは怖いよ……。
 でも、死ぬしかないじゃないか。だって……メビウス様のデータが、僕の中にあるんだから。
 もしもこのままにしておけば、それを利用しようとした誰かが、きっとやり方を調べて、僕や、下手したら、インフィニティや、それを保有するキュアパイン達を巻き込むかもしれない。
 だから、僕が死ぬしかないじゃないか。

「せめて最後に……キュアパインの気持ち、聞いておきたかったなぁ……」

 でも、仕方がないことなのだろう。だって僕は、悪事を働きすぎた。
 これが報いだというのなら、素直に従おう。
 あぁ、ダメだ。このままじゃ、死ぬのを途中で止めちゃいそうだ。
 僕は首を横に振ると、建物の自爆機能をONにした。
 赤い光に部屋の中は包み込まれた。僕は、目を瞑る。
 轟音と震動が、体の芯に伝わり、焼けるような熱気が体中を包んだ。

Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.61 )
日時: 2016/08/11 15:50
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

 タワーを出てしばらく進んでいると、突然爆発音のようなものが上空から聴こえた。
 振り返ると、タワーの上部が爆散していた。

「なに、あれ……?」

 ベリーは目を見開きながら言う。
 その時、私はとあることに気付く。それと同時に、背筋が凍った。

「ん?どうしたの、パイン」
「あそこ……シーザーがいた階だったハズ……」

 気付けば私は、羽を広げ垂直に飛んでいた。
 降り注ぐ瓦礫をかわし、速度を上げていく。その時、目の前に巨大な瓦礫が現れた。
 私はそれを一度両手で受け止めると、強引に落ちる方向を変えさせ、一度羽を畳んで急降下すると、両手に握りこぶしを作り、瓦礫に思い切りぶつけた。
 瓦礫が粉砕するのと同時に、私は羽を展開し、空中に舞う瓦礫に足を着けて飛び上がる。
 爆散した階層に行くと、外壁には巨大な穴が空き、そこには人が一人、倒れていた。
 私は床に足を着けると、その倒れ伏す人影に駆け寄った。

「シーザー!?龍也君!?」

 私が愛した人は、体中が黒く焦げた状態で、そこにいた。
 ギリギリ、それが人だったという原型は留めている状態。
 顔なんて、真っ黒で全く見えない。
 私は彼の体をそっと抱き上げた。

『メビウスシステム停止確認。メビウスシステム停止確認』

 どこからか、無機質な声が聴こえた。
 爆発で機械も吹き飛んだから、メビウスのデータが消えたのかもしれない。
 でも、わざわざシーザーが死ぬ必要なんて無いのに……。

「それは、シーザーの中にメビウス様のデータが、残ってたからだよ」

 背後から聴こえた声に、私は振り返る。
 そこでは、ベリーに担がれたスプリンガーが、息も絶え絶えにそう言っていた。
 かなり情けない姿だと思うが、今はそれどころではない。

「皆も……来たんだ……」
「当たり前でしょ。爆発した場所に一人にするなんて、危ないし」

 ベリーの言葉に、ピーチやパッションも頷く。
 それより、私は聞きたいことがあった。

「シーザーにメビウスのデータって……どういうこと?彼は、時間はかかるけど消せるって」
「ここにある機械のデータは、そうだった。でもなぁ……メビウス様のデータは、人間の体や心の奥深くに……それこそ、心臓だとか脳だとかまでもを支配するんだ。いつ死ぬかまで決められるくらいだからな」

 スプリンガーは、ベリーから離れ床に座り込むと、一度息をつき、続けた。

「もちろん、メビウスは自分は死にたくねぇからな。支配した体は、文字通り不老不死とかにでもなるだろう。仮にシーザーが自殺しても、コンピュータに残ったバックアップさえ使えば、また誰かを支配することだって可能。もしかしたら、それを悪用して不老不死になろうとする人間もいつかは現れるかもしれない」
「だからシーザーは……自分も機械のデータも、両方を速やかに消すために、爆死を選んだというわけ?」

 私が聞くと、彼は頷いた。
 それを聞いた瞬間、私の目からは涙がポタポタと落ちる。
 私の頬を伝った涙は、シーザーの顔に当たった。
 その時、どこからかシフォンちゃんが飛んできて、私の顔を覗き込んだ。

「いのり、泣かないで」
「シフォンちゃん……」
「プリプー……」

 シフォンちゃんはシーザーの顔を覗き込むと、突然「キュアキュアプリプー」と言った。
 その時、シーザーの顔についていた、私の涙の雫が突然輝きだす。

「な……ッ!?」
「キュアー!」

 嬉しそうな声を出すシフォンちゃん。
 そんな間にも、輝く雫はシーザーの体を包み込む。
 その時、ポロリと何かが剥がれた。見るとそれは、黒い、薄い皮のようなものだった。
 改めてシーザーの体を見ると、少しずつ、黒い皮のようなものが剥がれていった。
 光が止むとそこには、髪が黒くなったシーザーがいた。

「シーザー……?シーザーッ!」
「ぅ……ぁあ……?」

 シーザーは薄く目を開け、私の顔を見る。
 そして、ふわりと優しく微笑んだ。

「あれ、おはよう……?キュアパイン。って、え!?」

 自分の状況に気付いたのか、シーザーは上体を起こし、辺りを見渡す。
 そして自分の手を見て、足を見て、私を見て、首を傾げる。

「ねぇ、これどういう状況?」
「祈里の強い愛の力が、私の力と作用して、貴方の命を蘇らせたのよ」

 そう解説した声に、私は一度首を傾げた。
 見ると、そこには耳がピンク色で、それ以外は白っぽいフェレットのような生物がいた。

「貴方は……?」
「私はインフィニティ。いえ、シフォンよ」
「し、シフォンッ!?」

 私たちは、つい声を揃えて叫んでしまう。
 あのキュアキュアプリプーと言って喜ぶ赤ちゃんと、大人っぽい雰囲気のフェレットが同一生物とはとても思えない。

「ていうか、愛の力って、えっと……?」
「まぁ、祈里がシーザーを愛する気持ちがすごく強かったから、色々あって、シーザー……というより、四季龍也として生まれ変わったというわけね」
「私が、イースからこの姿に生まれ変わったようなもの?」

 パッションの言葉に、シフォンちゃんは頷く。
 なるほど……そういうことなのか。
 私はしばらく考えた後で、龍也君の服の裾を掴む。
 彼は首を傾げて私を見た。

「どうしたの?」
「帰ったら、私の気持ち伝えるって約束……今でも、いいかな」
「……いいよ?」

 私は姿勢を整えると、龍也君に向き直る。
 視線を感じたので見ると、ピーチ達が私を見ていた。
 私は恥ずかしかったので、見ないように手で合図をすると、皆はそれに気づいて、スプリンガーやシフォンちゃんも連れて出て行ってくれた。
 二人きりになった途端、顔が熱くなり、鼓動が速くなる。
 なんとかそれを抑えつつ、私は勇気を振り絞って、声を出した。

「りゅ、龍也君……」
「なに?山吹さん」
「わ、私ね……龍也君のこと、す……———

———好きですっ!」
「……僕もだよ、山吹さん」

 龍也君は、そう言って私を抱きしめた。
 私も彼の体を抱きしめて、感極まってしまったせいか、泣いてしまった。
 焦げた部屋の中、私は龍也君の腕の中で泣き続けた。

Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.62 )
日時: 2016/08/11 17:43
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

 あれから、数日が経った。
 僕達や、せつな達を含めた6人はラビリンスに帰ることになり、見送りのため、現在、公園のステージの上にいる。

「えぇぇぇッ!?帰っちゃうの!?」
「えぇ。元々、ダンス大会の後で帰る予定だったし、むしろ、かなり長くいた方だわ」

 ラブとせつなは、しばらくそんな会話をして笑いあっていた。
 微笑ましいと言うべきか、本当に二人は仲が良いんだな、となんとなく考えた。

「龍也君や、他の二人も、もっと長くいたって良いのに……」
「こっちの状態の名前を教えてないからって、そのまとめ方はないだろ」

 スプリンガー……いや、春日大樹は、そう言うと苦笑した。
 彼も、大分丸い性格になったと思う。
 ファルーラ……秋環奈は、僕の腕に抱きつくような体勢で、じっとしている。
 彼女は、なんだか甘えん坊な性格になった気がする。

「しょうがないよ、大樹。それに、もっと長くいる資格はまだ無いからね。僕が爆発させちゃったせいで、ラビリンスのデータは全部消滅。だからむしろ、僕が手伝わなくちゃ」
「今まで顎で使われていた分、これからはたっぷり使ってやるからな!」

 隼人はそう言って僕の背中を叩く。
 僕はそれに苦笑しつつ、辺りを見渡した。

「それにしても……祈里の姿が見えないんだけど、何、透明人間にでもなった?」
「え?」

 ラブや、その他の人たちも周りを見るが、もちろん祈里はいない。
 正直、別れの挨拶にも来てもらえないってかなりへこむんだけどなぁ……と、考えていた時、少し遠くにある林の中の一本の木の陰に、見覚えのある茶髪が揺れるのが分かった。
 僕はファルーラに腕を離させると、その木まで駆け寄った。
 途中から足音を潜め、驚かすように彼女の肩を掴んだ。

「わッ!びっくりした?」
「……ッ!」
「えっ……」

 びくりと肩を震わせた祈里の顔を見ると、彼女の顔は涙で濡れていた。
 それを見た僕は、驚いて少し固まってしまう。

「あっ、これは……」
「……僕がいなくなるのが、そんなに嫌なの?」
「……うん。でも、こんな風に目の前で泣いたら、龍也君、困るでしょ?」

 ……だから、隠れて泣いていたのか。
 そう思うと、胸が痛くなった。
 僕は彼女の体を強く抱きしめて、耳元で囁く。

「ラビリンスの仕事が終わったら、戻ってくる。その時、もしまだ僕のことが好きだったら……また、付き合ってください」
「……うん!」

 祈里はそう言うと、僕から少し距離を取って、涙を拭った。
 しばらくして、彼女が落ち着いたのを確認すると、手を引いて皆の元に戻る。

「お待たせ」
「ブッキー!何やってたのさ〜」

 ラブが頬を膨らませて抗議するのに、祈里は苦笑いで応える。

「じゃあ……そろそろ行こうか」

 僕が言うと、皆頷く。
 一度振り返ると、ちょうど祈里と目が合った。
 彼女は優しく微笑み、僕に手を振ってくれた。僕も、振り返す。
 そして赤い光が、僕たちを包んだ。

Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.63 )
日時: 2016/08/11 18:47
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

「……り?祈里!」
「……ふぇ?」

 友達の杏ちゃんが呼ぶ声に、私は間抜けな声で返事をした。
 大学からの帰り道。いつの間にか、考え込んでしまったようだ。

「もぉー。ずっとボーっとしてるから心配するじゃん。何?祈里にも心配事とかあるの?」
「えぇっと……」
「成績優秀、現在大学中の一番のモテ女で、就職氷河期と言われるこの時代ですでに働く先が決まっていて将来も安泰。今更、何に困るって言うのさ」
「それは……」

 さっきまで思い出していたこと……龍也君とのことは、話してもいいのだろうか。
 分からないけど、なんだか話してはいけないことだと思う。
 だから、私は話を誤魔化すことにした。

「な、何でもないよっ!ちょっと、ボーッとしてただけ。それより、大学のモテ女って……何の話?」
「えぇぇぇッ!?知らないの?」

 杏ちゃんは目を見開いて大きな声で言う。
 そう言われても、そもそも、周りの噂とかにも私は疎い方だし、男子の目とかもあまり気にしないもの。

「し、知らない……」
「大学の男子どころか、女子でも祈里のことを狙ってる子多いんだよ〜!?」

 ……ん?今、女子って言わなかった?
 まぁ……気にしないようにしようかな。

「そ、そうなんだ……そういえば、こんなものをよく貰うんだけど……」

 私は、鞄の中からカラフルな封筒を取り出し、見せた。
 それを見た杏ちゃんは、さらに目を見開く。

「これラブレターじゃない!」
「あぁ……やっぱりそういうのなんだ……」
「返事したの?」
「ううん。封筒に名前なんて無かったし、中身は……見る勇気なくて……」
「まぁ、祈里らしいと言えば祈里らしいか」

 杏ちゃんはそう言って苦笑する。
 その時、二人の帰り道が分かれる交差点が見えてきた。

「まっ、あたしはノンケだし、大学の中で一番付き合いが長いのもあたしだからね!困ったことがあれば言いなさい」

 そう言って、私の背中を叩いてくる。
 私はそれに「ありがとう」と返し、杏ちゃんと別れた。
 それにしても……。

「好きな人、かぁ……」

 もう、あれから8年経つんだ。
 あと少しで大学も卒業。そうしたら私は、実家である獣医で働く。
 ずっと夢だったことが、やっと叶う。でも、もう一つの夢は、まだ……———。
 そこまで考えていた時、動物病院の前で立っている青年に気付いた。
 彼は動物病院のドアをしばらく見つめた後で、開けようとしては、手を止めて、考え込んで、ドアを見つめて……そんなことを繰り返していた。

「あの、患者さんですか?」

 私は念のために聞いてみた。すると、彼は私の方を見る。そして、驚いた様子で目を丸くした。
 その顔を見た瞬間、私の胸の中に、懐かしい感情が芽生える。

「あっ、いやその……こちらに、山吹祈里さんって、いますか……?」

 記憶より、かなり低くなった声。
 背も高くなり、私より少し高かった程度だったのが、見上げてしまうくらいになっていた。
 私はそれに頷き、「はい。いますよ」と言った。
 ここで自分だと名乗らなかったのは、恐らく相手に名乗らせたかったからだと思う。
 彼の唇は動き、言葉を紡ぐ。

「家族の方、ですか?ご迷惑かもしれないですけど、呼んでいただきたいのですが……」
「……どちら様、ですか?」

「四季龍也、と言う者なのですが……」

 私は、気付けば彼に抱きついていた。
 彼は驚いた様子で、「えっ……」と声を漏らす。

「もしかして……」
「山吹祈里は……私ですっ!会いたかった……」

 私の言葉を聴いた彼は、すぐに私の体を抱きしめてくる。

「忘れないでいて、くれてたんだ……」
「龍也君こそ……」

 その後で、長い沈黙が流れる。
 しばらくして、彼が口を開く。

「そういえばさ、僕、まだホワイトデーのお返ししてなかったから……今でも、良いかな」
「えっ……」

 私が返事をするより前に、唇に柔らかい感触がした。
 初めてのキスは、夕日の中に溶けていった。

Re: フレッシュプリキュア!〜新たなる刺客〜 ( No.64 )
日時: 2016/08/11 18:58
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

あとがき

完結したぞー(/・ω・)/
はいっ、どうでしたでしょうか。プリキュアとの恋愛小説
もう途中から僕も書きたかったものがよく分からなくなり、文才は山へしばかれに、思考は川へ戦たくに行ってしまいました。
現在帰ってくる気配はありません。これを書き終わった後で迎えに行きたいと思います

いやぁ……プリキュアっていいですよねっ
この小説を執筆するにあたって、途中からお世話になり続けたのがプリキュアのOP&EDメドレー
変態以外の心の闇が浄化されましたよ〜
変態はむしろ助長された気がしますがw
それから、ブッキーや、ブッキーと同じくらい好きな、GO!プリンセスプリキュアのきららちゃんのキャラソン。
それから、最終更新の話を書くときには、プリンセスプリキュア全体?でのキャラソンにもお世話になりましたね

そうそう、余談ですがカラオケで全シリーズのプリキュアのOPを歌えるようになりましたw
16歳JKが本気でカラオケで歌いましたよプリキュアをw
そういえば、プリキュアに興味ない友達の前で歌った時に、他のプリキュアの時はスマホをいじる程度の友達が拒否反応を示したプリキュアがあります
ハピネスチャージプリキュアです
なんで?って感じですよ。僕としては
まぁ、ハピネスチャージプリキュアの方には興味は全くないので、どうでもいいんですけどねっ

じゃあ、また別の小説で会いましょう
読んでくれてありがとうございました!


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