ダーク・ファンタジー小説

ショタくんの反撃!【完結】
日時: 2019/01/05 23:01
名前: 立花 ◆FaxflHSkao




 可愛くて、可愛すぎて、あの頃天使だったショタくんは、
 成長した姿で言うのです。「もう、俺は子供じゃない!」と。










「 お客様 」


 すーぱーうるとらすぺしゃるさんくす!!!!!!!!!!!!!!(意味不明)
 コメントありがとうございます。励みになります。
 読んでくださる皆様もありがとうございます。もしよろしければ、もう暫くお付き合いくださいませ。

■電波 様
□小夜 鳴子 様






藍色の宝石 【中編集】/5作品目

(1作品目)優しい蝉が死んだ夏 >>003
(2作品目) 深青ちゃんは憂鬱だ。 >>029

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10-2(終) ( No.27 )
日時: 2017/08/26 20:18
名前: 立花 ◆FaxflHSkao

 御門に結婚しようと言われた日、すぐに荷物をまとめて姿をくらませた。同情されたとは思わなかったけれど、御門の人生の汚点にはなりたくなかった。

「風子に会いたいなぁ」

 御門の家から出て一ヶ月経ったある日、無性に風子に会いたくなった。一種の自慢だ。わたしは風子より先に死ねるんだよ、いいでしょうって、そういう自慢。

 風子にとっての死は、お母さんからの解放だけど、わたしは違う。
お母さんの記憶に一生残る、最悪な記憶となって束縛する。そういう死だ。

「久しぶり」

 メロンソーダばっかり飲む彼女は、前に会った時と変わらない。
 変わったのは髪の毛の色と長さ。黒髪のショートカットになった風子は、最初誰かわからなかった。

「結婚するの?」

 風子が泣いたことに少しだけ優越感を感じた。一番大事だと言いながらも、きっとわたしは一番風子のことが嫌いだったのだ。

「するよ」

 御門と結婚するなんて考えてもなかったけれど、その言葉は簡単に出た。






 御門のことは好きだった。大好きで大好きで仕方なかった。唯一、風子にあげられなかったのが御門だ。

 それくらいに愛してた。誰にも渡したくなくて、必死にしがみついてたのはわたしの方だった。

 だから風子の気持ちが痛いくらいにわかった。
 御門を好きな気持ちは一緒だから。

 風子が妊娠してないことはすぐに気がついた。嘘をつく時、いつも風子は耳の後ろをかく。わたしだけが知ってる癖。
 だから、風子のマグカップに「風子の嘘がバレませんように」と魔法をかけて、持っていった。薬も何も入れてない。

 御門だけには気づかれませんように。
 風子の一世一代の決心が鈍りませんように。


 わたしだけが悪者になりますように。



「喉、乾いた」

 御門に飲み物を買わせにいって、ゆっくりと息を吐いた。胸のあたりがすごく痛かった。自分のしたことが間違いだらけだと今になって気づく。
 ゆっくりわたしは目を閉じた。おやすみなさい。誰もいない病室で、一人で呟いた。
 涙は出なかった。








 蝉が死んだ夏。わたしが死んだ夏。

優しい蝉が死んだ夏(あとがき) ( No.28 )
日時: 2017/09/03 20:48
名前: 立花 ◆FaxflHSkao



 【 あとがき 】


 初めまして。ちゃんとした挨拶はこれが初めてな気がします。
 立花(たちばな)と申します。
 七月からこちらのサイトで小説を書き始めて、これが最初の作品になっております。
 このスレッドは「藍色の宝石」という中編集になっておりまして、二か月ごとに色々な小説を書いていこうと思っています。
 気が付けば暗い作品になることが多いのですが、頑張ってコメディにもチャレンジしたいと思います。
 どうぞよろしくお願い致します。



 七月〜八月 「 優しい蝉が死んだ夏 」


 とにかく暗いお話です。
 百合のようで百合じゃない。恋愛感情のように見えて、実はただの執着心、共依存。そんなのがこの上なく好きな私の性癖が垣間見える本作。


 ( ストーリー)

 ※時間軸が分かりにくい作品ですので、簡単に


 主人公のマキは小さいころに母親にネグレクトを受け、施設行きに。暫くして彼女は一人の少年に出会います。それが御門です。
 彼は優秀な兄が死んでしまい、悲しむ親たちに「兄のようになれ」と強要されて悩んでいました。親から「自分の存在を否定された」という点で同じ彼らはいつの間にか恋に落ちていました。
 高校生になって「いつでも別れる」を条件に付き合いだした二人。でも、そんな関係はきっと長く続かないだろうとお互いわかっていました。
 そんな時に一人の少女が現れます。風子、というマキの母親の再婚相手の連れ子です。御門のことを好きになった風子はマキに対抗心を抱きますが、御門が自分のほうには絶対に振り向いてはくれないという事実を突き付けられショックを受けます。
 その日の夏、風子が突然マキの前で飛び降り自殺を図りました。死ななかった風子を見て、マキは少しだけショックを受けました。
 マキが二十歳になり、自分が病気であり、寿命が残り少ないことを知ります。それをきっかけに御門に結婚を申し込まれ、どうしようもなくなり姿をくらませます。
 しかし、結局自分はどうあがいても御門のことが好きで、風子にも誰にも渡したくないという感情が抑えきれなくなり、マキは御門と結婚することに。
 死ぬまでにやりたいことをすべてやったマキは最後に風子に会います。彼女はどうやら妊娠しているらしく、最後にマキは彼女と御門と自分の三人分の紅茶を入れます。
 マキが死んだあと、御門の携帯に風子から電話がかかってきました。「流産した」という内容とともに、マキが最後に入れた紅茶に薬が入っていたということが風子の口から伝えられます。

 

 −−− キャラクター −−−


 マキの風子への感情は、半分が愛情で半分が憎悪でした。マキの一番好きだった相手はきっと母親(美夜子)でした。マキは母親が異常な人格の持ち主だと知っていました。きっと風子は母親に苦しめられていると知りながら助けなかったのは、きっとそれすらも羨ましかったからなのだと思います。子供はいつだって親に愛されたいと思っていますから。その典型が愛されなかったマキなのだと、私は考えます(おい作者)

 風子は典型的な嘘つきです。御門のことが好きすぎて、他を傷つけても何も思わない、そんな子でした。義母である美夜子からの異常な愛情に耐えられなくなり、一度自殺を図りますが、未遂に終わります。マキのことを恋愛がらみでは敵対視していますが、心のどこかでは自分を救ってくれるヒーローだと思っていました。最後についた妊娠のウソは、きっとマキなら気づいてくれると信じていたのでしょう。面倒くさいツンデレがこの子の本性です。

 一番よくわからないのが御門です。マキのことを愛しているし、それに絶対ウソ偽りなんてありません。風子のことを大切にするのは、きっとマキの妹であるから。そういう部分はちょっとマキに心酔してる気がします。マキからの最後の手紙で、マキは自分よりも風子のことが大切だったのだと気づきます。それで、妊娠がウソだということに彼も気づいてしまいました。ですが、こやつは賢いのでそれを絶対に口にはしません。未亡人(じゃなくてやもお)になって、永遠マキを愛し続ける気がします。





 まぁ、簡潔に言えば「幸せ」って何かなって話です。
 突然現れた大好きな母親の新しい娘。いつかいなくなってしまうだろう恋人。現実にはないようで、ある話。
 個人的にこの話は落ちもないし、面白いかって問われたら面白くないいって私は答えます。でも、誰かの心に触れられる作品になった気はします。次は「面白い」と自分でも思える作品を書けたらなと思います。

 また、夏の小説大会で次点をいただきました。初めての作品で入賞(?)することができ感激です。また、次の作品で会えることを願っております。


 立花


 

深青ちゃんは憂鬱だ。 ( No.29 )
日時: 2017/10/07 22:14
名前: 立花 ◆FaxflHSkao





「……なっ、なんで」

 わたしはその人のことを憎んでいる。
 殺したいほど憎んでいる。

「ごめんな、深青」

 大好きだった兄を殺したその人が、泣きそうな顔でわたしの頭をくしゃっと撫でた。
 いつの間にかわたしの頬が赤く染まっていた。こいつだけは、こいつだけは……。
 好きじゃないと何度も自分に言い聞かせて、今日もわたしはその人の隣にいる。


「 登場人物 」

*古渡深青(こわたり みお)(本作の主人公。千里に復讐を誓いながら彼に恋に落ちる)
*水原千里(みずはら ちさと)(菖の親友。深青のことを引き取る)
*古渡菖(こわたり あやめ)(深青の兄で、千里の親友。故人)



第一話「 深青ちゃんは困っている 」 >>30
第二話「 深青ちゃんは怒っている 」 >>31
第三話「 深青ちゃんは悩んでいる 」 >>32
第四話「千里さんは傷ついている 」 >>33
第五話「 千里さんは泣いている 」
第六話「千里さんは後悔している」
第七話「 深青ちゃんは笑っている 」
第八話「 深青ちゃんは恋してる 」


1 ( No.30 )
日時: 2017/09/10 16:22
名前: 立花 ◆FaxflHSkao

 十歳年上の兄が死んだ。両親が死んで二人で助け合いながら生きてきた、わたしの唯一の家族。
 それは、わたしが八歳の時のことだった。冬の海に落ちて死んだ兄は、自殺だったらしい。警察の捜査はあっという間に終わった。
 だけど知っている。わたしだけが知っている。

「あんたが兄ちゃんを殺したんだ」

 彼はわたしを見て小さく口を動かした。「ごめん」聞こえなかったその声は、鮮明にわたしの目に映った。
 どうせなら勝手にあいつが死んだんだってくらい言ってくれれば良かったんだ。そしたら、ちゃんと嫌いになれたのに。
 兄がいつも楽しそうに話す話題に、彼の名前をよく聞いた。最後に兄に会った人、兄の死体の第一発見者。どうして、助けなかったんだろう。どうして助けてくれなかったの。怒りはあっという間に憎悪に変わった。

 それから月日は過ぎてった。高校生だった彼は成人して、今度はわたしが高校生になった。わたしはまだあいつを憎んでいる。





「深青」

 その声は甘ったるくて、耳がくすぐったくなる。だから、その声で名前を呼ばれのは嫌いだ。
 頼むから、もう少し寝させてくれ。――目覚まし時計が彼の声と一緒に響いてうるさい。

「深青ちゃんっ!」

 その男は何故かわたしの布団をひっぺがし、ニッコリと悪魔の笑みを浮かべてカーテンを開けた。あっという間に眩しい太陽の光が差し込んで来て、思わず目を瞑ってしまう。

「うる、さい」

 あくびを一つして、わたしは涙でぼやけた視界を睨みつける。
 うっすらと見えるのは、わたしの新しい家族。

「おはよう。深青」
「おはよう、ございます。千里さん」

 兄を殺したその人と、一緒に住み始めたのはほんの一ヶ月前。二十五歳になったその人は、当時より背も高くなり格好良くなった。久しぶりに会ったのは施設の面会室。見慣れないスーツ姿の兄の親友に、鳥肌がたった。
 その千里さんがわたしを引き取りたいと言った時、もちろん喜んだ。復讐のチャンスだと思った。兄を見殺しにした、冬の海に溺れる兄を見捨てた最低な男。この男を不幸にするために、わたしは彼の娘になった。そのはずだったーー。


「深青って朝弱いよね。夏休みだから朝起きなくて良かったけど、これから学校だし。心配だなぁ」
「なにそれ。起きようと思えば起きれるし」

 鏡の前で二人で歯磨きをする。千里さんの鳥の巣みたいな頭に思わず笑いそうになって、グッと堪える。


「ぅん〜やっぱ俺も眠いなぁ」

 ワックスを使って髪を整えようと葛藤する千里さんの隣を通り過ぎ、わたしは一足先にキッチンに向かう。
 だんだんと自分の足音が大きくなる。速足がいつのまにかダッシュに変わった。

(可愛過ぎだろ、あの人!)

 勢いよく冷蔵庫を開けて、熱くなった頬を隠した。一緒に暮らし始めて一ヶ月。予感はしてた。なぜなら、兄が死ぬ前わたしは彼に好意を持っていたから。わたしの大嫌いな初恋の人、千里さん。一緒に暮らしてる現実に本当は頭が追いついていない。
 復讐どころじゃない。初恋が私の脳裏をかすめて、いつか勢いよく刃をつきつけるだろう。
 冷蔵庫から水の入ったペットボルを取り出してぐびっと一気に飲み干した。そのあと、大きな足音ともに千里さんがこちらに走ってくる姿が見えた。


「深青、朝ごはんパンケーキ食べたいよね!」

 突然キッチンに駆け込んできた千里さん。意味不明な発言にわたし戸惑いながら、取り敢えず「どしたの」と聞いてみる。
 そうすると、千里さんは甘いものはあまり好きじゃないはずのわたしに、生クリームがたくさん乗ったパンケーキの特集記事が載った雑誌を見せてきた。
 見事にワックスのおかげでイケメンになった千里さんは相変わらずニコニコだ。でも、アレだ。朝からそんな嬉しげにホットケーキミックス持ってきても、千里さん料理なんて全く作れないくせに。

「食べたいなぁ、深青〜」

 千里さんは甘え上手だ。その言動は、例えそれが二十五のおっさんだろうと、可愛く見える。

「はいはい、作ればいいんでしょう!」

 結局、わたしがホットケーキを作って始業式に遅れそうになった。という、そんな話。


*続くよ


(※今回はホットケーキ=パンケーキという風に書きましたが、ホットケーキは甘くて厚みのあるデザート向けのもの、パンケーキは甘さ控えめで食事向けのものと言われたりもしてます。まぁ、ほぼ一緒ですよね)

2 ( No.31 )
日時: 2017/09/20 17:30
名前: 立花 ◆FaxflHSkao



 一緒に住み始めてまだ一か月だけど、分かったことがある。
 それは、千里さんの残念すぎる家事能力だ。今まで一人暮らしだと言ってたはずなんだけど、本当どうしたって感じのそのスキル。初めてわたしがこの家に来た時も千里さんはわたしの好きなものをなんでも作ってくれると言った。だから、ちょっと子供らしく「ハンバーグが食べたい」と言ってみたのだが、出てきたのはそれはそれは炭化しきった謎のブツで。よく聞いてみると、今まで外食ばかりで自炊したことはなかったらしい。もともとわたしも料理が得意ではなかったけれど、この事実を知って危機感を察知。もちろん、料理の練習をひたすらして、今ではある程度の物なら普通に作れるようになった。
 その上、掃除や洗濯もろもろも、コインランドリーやハウスキーパーを利用している話を聞き、わたしはすぐにやめさせた。千里さんのお金を使う感覚は少し普通じゃないと思った。


「ただいま」

 家に帰ると、千里さんはまだ帰ってなかった。
 そりゃそうだ。今日は始業式だけで学校は昼まで。千里さんはあと六時間は帰ってこない。
 わたしはチャンスだと思った。今まではわたしとの養子縁組の手続きや、その他の問題で長いこと仕事を休んでいた。だからわたしが家に一人になることはなかった。
 でも、ようやく全てのことが終わり、これからはわたしは学校、千里さんは会社に行く。つまり、この家を調べ放題ということだ。

「復讐だもん。悪くない、わたしは悪くない」

 千里さんの部屋の前でわたしはそう呪文のように何度も唱えた。そうしないと罪悪感でこの部屋の扉を開けられそうになかったからだ。
 勢いよく千里さんの部屋の扉を開ける。


「なんだ、自分の部屋は綺麗にしてるんじゃん」

 千里さんがお手伝いさんにもハウスキーパーさんにも入ることを禁止した自室。
 思っていたより物がすくなくて、基本的に資料は整頓して置かれてあった。千里さんが意外と几帳面な人だと、初めて知った。

 何かないのかな、なにか、兄ちゃんのことが分かる何か。


 周りを見渡しながら、私は足を進めた。瞬間、目に入った写真たてに心をすぅっと持っていかれた。
 兄と千里さんと綺麗な女のひと。三人で映っている一枚の写真。
 わたしの知らない過去の写真。

 いつの間にかわたしの足はそちらに向かっていた。
 近くにあった分厚い本をそっと開けてみる。ビンゴだった。

 それは兄と千里さんの写真がいっぱい詰まったアルバム。



「わたしだけが、いない……」


 知らない女の人と、兄が笑顔で笑っている。
 その写真にはわたしは写っていなかった。そりゃそうだ、何年前の写真だと思っているんだ。
 ふいに目の縁が熱くなって、涙が出そうになった。


「深青――」


 部屋の扉の方から声がした。そこにはスーツ姿の千里さんがいた。
 突っ立ったまま、此方を見ている。彼は怒ることなく、こちらにゆっくり歩いてきた。

「ごめんね」


 何を謝っているかは分からなかった。
 だけど、何も教えてくれない千里さんにただただムカついた。知らないのは自分だけ。
 それが無性に悔しかった。


 *続くよ

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