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*62*
四章残された希望論
人が覇権を握る。そう決定しかけた未来を否定した生物がいました。それは、人でありながら人であることに奢らない人。
君の父、雨祢悠璃です。
彼と私は戦地で二度会いました。
一度目はモリナラの激戦区で・・・。
二度目は生き残るために僕が逃げ延びたこの聖域で・・・。
彼により僕は救われました。そして同時に、僕以外のエルフやそれ以外の種族は・・・。
全滅しました。
「これが語られない戦争の全てです・・・。」
俯いたアオバの顔は見えない。それでも、その顔は物語っているのだろう。自分の知らない事実。身近過ぎる異常。僕の顔はどうなっているだろう。霞む視界と、その周囲は微かに熱を帯びている。
その微かな熱は、燃え上がることも消えることもなく、ただ灯され続けた。こぼれ落ちる物は、暖かい。
ただ、微かに、
暖かい。
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