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*63*
四章残された希望論
「これから、君の父が生涯を賭けた研究成果を実践します。そうすれば、君は全てを理解出来るはずです。」
「貴方は・・・?」
アオバの声はふるえている。落ち着いていた声が、ふるえている。なにが起こるかは分からない。でも、分かることはあった。
アオバか僕が、死ぬ。
死ぬ。死ぬ。死ぬ。
「止めてください・・・!研究成果なんかより・・・。」
「大丈夫です。君は死にません。」
僕が死にます。そう宣言しているようだった。そして、アオバを見ると異変はあった。
体が崩れている。ボロボロと皮膚が足から剥がれて落ち始めている。
「生物は、時を越えられません。あの方なら、越えられたのでしょうが・・・。もう、時間がない。」
アオバは僕に手を当て、僕を見る。揺れて潤んだ瞳で僕を見る。そして、瞳を閉じ、俯く。僕が最後に聞いた彼の言葉は、
「忘れない・・・。」
だった。
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