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五章空虚な持論
「諦めたくないんだ!」
僕は、杖を地面に刺して手を合わせ、弧を描こうとする。しんぴのさとりだ。
だが、甘かった。手を合わせた時には、
狼さんは背後にいた。
「おせぇよ。」
軽く蹴りを入れてくる。僕はそれをしんぴのさとりを中止し、前に転がりながら避ける。しかし、振り返ったその時微かに、
狼さんの裏拳が僕の腹部をとらえた。
多量の血を吐き出す。異常な衝撃だった。だが、狼さんからすれば軽く放ったのだろう。やりすぎたかのように、こちらと拳を交互に見ている。やがて、僕の杖を持ち、転がる僕の頭に足を乗せ、笑う。
「分かっただろう。諦めろ。」
そう言って、杖を空気中に投げ、手刀でへし折る。折れた杖は直後に一度発光し、そして燃えている。
普通はあり得ない現象。科学的に説明するならば、
手刀の速度が高速に達し、空気との摩擦が発光するまでの熱を生み出した。
圧倒的で、驚異的。架狩狼に僕は敗北した。
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