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引きニート感情論 完
作者: 火羅 ◆t2Fwfd0vJs  (総ページ数: 115ページ)
関連タグ: ドラクエ 二次創作 重なる世界続編 
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五章空虚な持論

「へぇー、初めて見ました。」
「おや、魔物に対して驚かないとは・・・。」
驚かない。たしかに、それは珍しいだろう。魔の生き物。魔物。人から見れば、恐怖や私怨の対象にもなる。でもかわいいな。
「存在を知ってますし、共存している人が居たことも知っていますから。」
「ふむ・・・。お前さん、若いのに、変わってるな。」
言い終えてから、思い悩む主人。何か、辛い過去があるのだろうか?
いや、無いはずがない。
「あなたは、僕が生まれる前に起きた戦争を知っていますか?」
いきなり、図星だったらしい。主人は目を見開き、こちらを伺う。そして、僕の目を見た後、
「・・・そうか。」
と一言こぼし、店の奥に目をやる。それから、僕をこちらに来いと目で合図し、自分は奥に進んでいく。
合図した時の主人の顔に、僕は後悔した。主人の心の傷を開いてしまったかもしれない。とても、悲しい。そんな感情を思い出してしまったような、深く沈んだ顔。
そんな中に、自責と微かな憤りを匂わせていた。

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