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終章引きニート感情論
そこはなんと居心地の悪い場所だろう。僕の前には土に埋もれ、みすぼらしい建物があった。いや、埋まっているから建ってはいない。
森の奥地、見張りもいない。ただし、探そうとしなければ見つかりそうもない。薄汚れた扉は、人の気配を感じさせないどころか、近寄り難い雰囲気を出している。
それだけならまだいい・・・。
この森、気味が悪い。いや、居たくない。明るさが無く、すべての色、緑や茶がくすんで見える。この場所に鮮度が感じられない。また、不自然に曲がって伸びていない植物がない。すべてが歪んでいる。生き物は見あたらないが、静まり返っているわけではなく、気配はあっても精気がない。
趣味の悪い森だ。
武器を確認し、対策を練る。そもそも、あの扉を開けなければ話にならない。
ふと、扉があいたことに気付き、身を植物に埋める。
扉から出てきたのは、男。
あの爺じゃない。蒼と緑を主としたローブに身を包んでいる。男といっても僕と年が近い気がする。それでも、なにか違う。直感的に理解する。
彼には、人の一部が足りない。
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