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*4*
「第3話冒険の始まり」
ナナカマド博士のいるマサゴタウンへとアイコはヒコザルを抱いて201番道路を歩いていた。楽しい気分になったアイコはヒコザルを下ろすと、どっちがマサゴタウンにつけるか競争しようと言った。アイコとヒコザルは元気よく走っていった。一番に着いたのは、ヒコザルだった。アイコは、息を切らしてヒコザルの前でしゃがんだ。
「クス、早いのね君って」
そう言ってアイコはヒコザルの頬を撫でた。
「やあ、マサゴタウンへようこそ」
そこへコウキと言う博士の助手をしている少年が声をかけた。
「あ、君は」
「僕はコウキ。博士、ナナカマド博士のお手伝いをしているんだ。研究所で・・・」
コウキが次のセリフを言おうとした時、バタン、と研究所のドアが開いた。出てきたのはソウスケだった。
「ソウスケくん?」
「アイコか、これから博士に会うのか。気をつけろよ。あのじいさん恐いというか目茶苦茶だぜ。じゃあ」
ソウスケはそう言い残して研究所をダーッと走って去っていった。
「なんだ、君の友達ってすごくせっかちなんだね」
「うん、でもそこがいいところなんだけどね」
取り敢えず、アイコはコウキと一緒に研究所へと入っていった。その奥でナナカマド博士が、彼女の来るのを待っていた。
「あの・・・」
「君が、アイコかね」
「はい」
「もう一度、ヒコザルを見せてくれないか?」
博士に言われてアイコは胸に抱いているヒコザルを見せた。ナナカマド博士はヒコザルをじっと見たあと、口を開いた。
「ふむ、このヒコザル君に懐いているようだな。よし、君にプレゼントしよう」
「え、いいのですか?」
恐いと言われている博士の意外な言葉にアイコは驚いた。博士は優しい眼差しで言う。
「君のような優しい子なら、そのヒコザルを任せられると思ったのだ。心して受け取ってくれ」
「あ、ありがとうございます。わあ〜良かったね、うふふ」
アイコはヒコザルを目一杯抱きしめて博士に感謝した。ナナカマド博士は咳払いをするとアイコに言った。
「さて、アイコ。君に頼みたいことがある」
「はい、何ですか?」
「君にポケモン図鑑の完成を頼みたい。このシンオウ地方を旅して、すべてのポケモンに会って図鑑に記録してほしいのだ」
「わ、私が・・・」
アイコは考えた。トレーナーになったばかりの自分にそんなたいそれたことが出来るのだろうか、でも、ヒコザルを任せてくれるほど、この博士は度量が大きいのだ。この広いシンオウ地方を、自分で冒険するのもいいかもしれない。アイコは決めた。
「分かりました、引き受けます!」
「うむ、いい返事だ」
博士は快く、図鑑をアイコに手渡した。
「アイコ、君は201番道路を歩いた時、どんな気持ちだった?」
「え、それはすごく楽しい気分で・・・」
「そうだ、私も生まれて60年になるがドキドキすることがたくさんある。世界にはそれだけたくさんのドキドキがあるのだ。さあ、行きたまえ、今、君の冒険が始まるのだ!」
「はい!」
アイコは、シンオウ地方を駆けるべくヒコザルと一緒に走っていった。アイコの冒険が、今、始まる・・・!